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天ヶ瀬 冬馬
第1話 めざせアイドルナンバーワン! | |
---|---|
御手洗 翔太 | 315プロダクションに、バラエティ番組のオファーが来てるの?資料見せてよ! |
天ヶ瀬 冬馬 | へえ、トーナメントバトル型アイドルバラエティ番組…か。 |
伊集院 北斗 | ゴールデンで放映される、生放送の特番みたいだね。 |
この番組の形式だと、出演するのはユニットじゃなくて、ひとりだけかな。 | |
御手洗 翔太 | トーナメント形式で、アイドル同士があらゆるお題でガチンコバトル、かぁ。 |
じゃあ出演するのは冬馬君かな…あ、プロデューサーさんもそう思ってた? | |
伊集院 北斗 | 確かに、こういう企画なら冬馬が1番向いてそうだね。 |
天ヶ瀬 冬馬 | ガチンコバトルか。出演できるなら、もちろん目指すは優勝ただひとつだ!! |
御手洗 翔太 | 冬馬君ひとりで大丈夫かなー?プロデューサーさん、冬馬君をよろしくね。 |
天ヶ瀬 冬馬 | おまえは俺のなんなんだよ…とにかく、必ず優勝してみせるからな! |
第2話 立ち込める暗雲 | |
天ヶ瀬 冬馬 | ここが収録スタジオか。へへっ、燃えてきたぜ! |
なあ、プロデューサー。この番組、業界の注目度も高いって話だったよな。 | |
北斗や翔太、315プロダクションのみんなのためにも、バシッと優勝を決めて… | |
目つきの悪いアイドル | おい、邪魔だぞ。どきな! |
天ヶ瀬 冬馬 | …っと!おい、なんだよおまえ!ワザとぶつかってきやがったな!? |
目つきの悪いアイドル | お前は…315プロダクションの「天乃瀬冬馬」、だったか? |
天ヶ瀬 冬馬 | 器用に「ヶ」だけ間違えるんじゃねえ!俺の名前は天ヶ瀬冬馬だ! |
目つきの悪いアイドル | ははは!そうムキになるなよ天ヶ瀬冬馬。人として底が知れるぜ。 |
突っ立って無駄話してるぐらいなら、しっぽを巻いて逃げた方がいいぞ? | |
お前がどれほどのアイドルだろうと、この番組で優勝するのは僕だからな! | |
天ヶ瀬 冬馬 | …なんだったんだあいつ。ちょっとしゃべってただけじゃねぇか… |
あの人は… | |
天ヶ瀬 冬馬 | 元・961プロダクション所属アイドル…!?おいマジかよ…俺たちと同じか… |
あの高圧的な態度…ちっ…面倒なことにならなきゃいいが… | |
第3話 あやしい台本 | |
天ヶ瀬 冬馬 | なあ、プロデューサー。用意してもらった台本、本当にこれで間違いないか…? |
二重線で消されてたり、塗りつぶされたページがちょくちょくあってよ… | |
番組内容に変更があったのかもしれねーが、それにしてもおかしいんだ。 | |
「陸に上がったマンボウの心境」とか「サバンナに出張が決まった会社員」とか… | |
シチュエーションの意味がわからねえ。というかシュール過ぎるだろ。 | |
この台本の内容に沿って1回戦の演技対決をするってことだったが… | |
確認してくる! | |
天ヶ瀬 冬馬 | ああ。よろしく頼む!その間に俺は……一応考えておくか、マンボウの心境… |
天ヶ瀬 冬馬 | ちっ、もうすぐ出番か…プロデューサーはまだ戻ってこねえが、仕方ねぇ。 |
とにかく、今の俺にできることをやるだけだ! | |
第4話 やるべきことを | |
司会 | これから、台本に指定されていたお題からひとつを指定します。 |
そのお題に沿って、アドリブで演技をしてください。 | |
天ヶ瀬冬馬さんは、恋愛系の3番でお願いします! | |
天ヶ瀬 冬馬 | (ちっ…思った通りか。あの台本の内容は滅茶苦茶だったんだ) |
(どうする?台本が間違ってたって言い出すか?だが、これは生放送だ…) | |
(しかも恋愛系かよ…!くそ、こうなったらアドリブでつなぐしか…!) | |
冬馬に見えるようにスケッチブックを掲げた。 | |
天ヶ瀬 冬馬 | (…!プロデューサー!?戻ってきたのか!そこに書いてあるのは…お題か!?) |
(夕日の差し込む教室で告白、だな。助かったぜ!プロデューサー!!) | |
天ヶ瀬 冬馬 | 1回戦はなんとか突破できたな…プロデューサー。サンキュな。 |
っと…気に病まないでくれよな。あれはあんたのせいじゃねぇ。 | |
誰かが故意に妨害してきやがったんだ。まさかとは思ってたが… | |
目つきの悪いアイドル | うまくやりやがったな。初戦で負けておけばよかったのによ。 |
天ヶ瀬 冬馬 | …おまえ…! |
第5話 背中は預けた | |
目つきの悪いアイドル | やあ、「お任せ冬馬」。どうだった?僕からのプレゼントは。 |
天ヶ瀬 冬馬 | アドリブも任せとけ!…って、違う!俺は何でも屋じゃねぇ!天ヶ瀬冬馬だ! |
プレゼント…やっぱりか。台本にイタズラ書きしやがったのはおまえだな!? | |
目つきの悪いアイドル | 大正解!我ながら渾身の出来だったんだけど、演じてくれなくて残念だ。 |
天ヶ瀬 冬馬 | いや、あのシュールな内容のどこが渾身だったんだよ!ふざけやがって… |
目つきの悪いアイドル | とにかく!醜態を晒したくなければ、次の試合でさっさと負けることだ! |
天ヶ瀬 冬馬 | …!…なんだと…!? |
目つきの悪いアイドル | どんな手を使っても勝つのが僕のやり方だ。今度こそ恥をかかせてやる! |
天ヶ瀬 冬馬 | 俺は汚い手には屈しねぇ!おまえの好きなようにはさせねーぞ! |
目つきの悪いアイドル | …っ、どこまでその強気を貫けるか、楽しみだよ。じゃあな!ははは…! |
天ヶ瀬 冬馬 | …悪ぃ。挑発に乗っちまった。面倒なことになるかもしれねぇ。 |
手出しはさせない | |
天ヶ瀬 冬馬 | …サンキュな。あんたがいてくれてよかった。本当にそう思うぜ。 |
(本当に…プロデューサーがいてくれて助かった…頼れるって、いいな…) | |
第6話 暗雲の正体 | |
冬馬に飲み物を手渡した。 | |
天ヶ瀬 冬馬 | わざわざ買ってきてくれたのか?へへっ、ありがとな、プロデューサー。 |
あんたが目を光らせてくれてたお陰か、大きな妨害はなかったぜ。 | |
他の参加者たちは、妨害だなんだでトラブッってる様子はなかったみたいだ。 | |
(あいつ…俺にだけ妨害工作をしてるってのか?何のために…?) | |
とにかく、何事もなく決勝まで来られたのは、プロデューサーのおかげだな! | |
…しかし、あいつも決勝まで勝ち上がってきたな。 | |
ここまでは大人しくしてたみたいだが…用心してかからねぇとな。 | |
目つきの悪いアイドル | …ぜぇ…ぜぇ…懲りずに決勝まで来やがったな…「春夏秋冬馬」!! |
天ヶ瀬 冬馬 | 季節を一巡させるんじゃねぇ!俺の名前は天ヶ瀬冬馬だ! |
…わざわざケンカ売りに楽屋まで押しかけてきたのか?しかも走って… | |
目つきの悪いアイドル | うっ、うるさいな!僕が何をしようと僕の勝手だろ!!とにかく、だ!! |
覚悟しろよ。決勝戦でこそ、どんな手を使ってでも蹴落としてやる…! | |
僕が勝つんだ…ここで勝てなければ、僕は…僕は……! | |
第7話 その輝きは誰のために | |
天ヶ瀬 冬馬 | おい。どうした?顔色が悪くねーか? |
目つきの悪いアイドル | ぼっ、僕に触るな!! |
自分で961プロダクションをやめたヤツにはわからないだろ、僕の気持ちなんて! | |
僕はな、あの事務所をやめさせられたんだよ!パッとしないってな! | |
天ヶ瀬 冬馬 | …! |
目つきの悪いアイドル | 諦めきれず必死にもがいて入った今の事務所でも、僕は崖っぷちだ。 |
この番組は最後のチャンスなんだ。勝てなきゃまた見捨てられる…! | |
だからどんな手を使っても、僕は勝たないと…アイドルでい続けるために! | |
天ヶ瀬 冬馬 | …さっきから黙って聞いてりゃゴチャゴチャと… |
おまえは何のためにアイドルやってんだ?事務所に見捨てられないためか!? | |
そうじゃねーだろ!! | |
ファンを笑顔にするために踏ん張るのが、アイドルってもんだろーが! | |
目つきの悪いアイドル | っ…! |
天ヶ瀬 冬馬 | 961プロダクションをやめさせられても、アイドルを諦められなかったんだろ…? |
それだけ、アイドルってもんに強い想いがあるんだろ? | |
だったらこれはあんたの道だ。事務所がどうこうは今は関係ねー。 | |
あんたが進む道は、あんたが自分で決めるんだ! | |
第8話 雲の上の太陽 | |
目つきの悪いアイドル | じゃあ…どうすればいいんだ。大人しく負ければいいってのかよ!? |
天ヶ瀬 冬馬 | 正々堂々と勝負すりゃいいだろ。負けるなんて決めつけるなよ。 |
目つきの悪いアイドル | 勝てるわけない!あの天ヶ瀬冬馬に、敵うわけがないだろ…!! |
僕は961時代のJupiterに憧れてアイドルを志した…!実力で勝てるわけが… | |
天ヶ瀬 冬馬 | …実力のない人間なら、最初からここにいねぇよ。 |
汚い手を使っても、実力がなきゃ決勝まで来るなんてできねえだろうし。 | |
それに…だ。短い間でも、961プロダクションに在籍してたってことは、 | |
黒井のおっさんも、1度はあんたの実力を認めてたってことだろ。 | |
やり方はいけ好かねえが…人を見る目だけは確かだったからな… | |
目つきの悪いアイドル | …くそ…くそ…!でも、僕は…わからない…そんなの、わからない…!! |
天ヶ瀬 冬馬 | 待てよ!決勝が始まる前にひとつだけ、言わせてくれ。 |
勝ち負けも大事だけどよ…俺と一緒に、客席を最高に盛り上げようぜ! | |
目つきの悪いアイドルは、早足に去っていった… | |
冬馬らしい叱咤だった | |
天ヶ瀬 冬馬 | そうか?な、なんか照れ臭いな…思ったことを言っただけだし… |
よし。決勝でもっと俺らしいところを見せてやる。見届けてくれよな! | |
第9話 天ヶ瀬 冬馬 | |
司会 | いよいよガチンコバトルも決勝戦!最後の戦いは歌唱力勝負です! |
お互いの持ち歌を、2人一緒に歌っていただきます! | |
目つきの悪いアイドル | 天ヶ瀬冬馬…僕は…僕は… |
天ヶ瀬 冬馬 | どんな時でも、俺はアイドルとして全力でパフォーマンスをするだけだ。 |
あんたも、見せてみろよ!あんたの本気をな…!! | |
目つきの悪いアイドル | (♪) |
天ヶ瀬 冬馬 | (♪) |
目つきの悪いアイドル | (僕の憧れた961プロダクションの天ヶ瀬 冬馬とは違うのに…目が離せない) |
(あれだけのパフォーマンスをしながら、ちゃんと客席の反応も見ている…) | |
(これが「315プロダクション」の天ヶ瀬冬馬か…!!) | |
(…僕が敵う相手じゃない…でも、あの輝きに…焦がれている僕がいる) | |
(…ヤケクソだ。正面からぶつかってやる。そして、観客を楽しませるんだ…!) | |
天ヶ瀬 冬馬 | (あいつのあの目…本気になったみてえだな) |
(だが、俺も負けてやる気はないぜ。本気でぶつかり合って、そして…) | |
(見てくれてる客に、ファンに、最高のパフォーマンスを届けるんだ!!) | |
最終話 それがアイドルってやつだろ | |
優勝おめでとう! | |
天ヶ瀬 冬馬 | …はぁっ、はぁっ…へへっ。楽勝!だぜ! |
…あんたも、お疲れ。 | |
目つきの悪いアイドル | …はは、僕の完敗だ。961プロダクションにいた頃とは比べ物にならないな。 |
天ヶ瀬 冬馬 | ありがとよ。そういうあんたのパフォーマンスだって、凄かったぜ。 |
目つきの悪いアイドル | 僕は…今までで1番、夢中で歌ってた気がする。 |
なのに、今までより観客の声援がクリアに聞こえてきた気がするよ。 | |
…あんたのおかげで、僕は最後の最後に、本当のアイドルになれたのかもな。 | |
敗者はこの場を去ることにするよ。天ヶ瀬冬馬…ありがとう。 | |
天ヶ瀬 冬馬 | …行っちまった。最後、って言ってたな… |
根拠のない予感だが、プロデューサー。あいつはアイドルをやめない気がするぜ。 | |
あいつを信じるファンがいる限り…きっとあいつは戻ってくるはずだ。 | |
きっと、今よりもずっと強力なライバルとしてな。 | |
まあ、あんたと一緒なら、どんなライバルが現れたって… | |
負ける気なんかしねぇけどな!! | |
一緒に頑張ろう | |
天ヶ瀬 冬馬 | ああ!これからも頼りにしてるぜ、プロデューサー! |
御手洗 翔太
第1話 新たなオファー | |
---|---|
御手洗 翔太 | おはようございまーす。あっ、そのお団子おいしそーう、1本もらいっ! |
モグモグ…モチモチでおいしー。それでプロデューサーさん、話ってなに? | |
ダンスをテーマにしたバラエティ番組のオファーが来ていることを伝えた。 | |
御手洗 翔太 | …ふーん、確かに僕向きかも。ちょっと企画書見せて! |
前半はトークやクイズ、後半は出演者全員で勝ち抜きダンスバトルか…面白そー! | |
優勝者は…特別ゲストのダンスキングと対決!?えーっ、それはすごいよ!! | |
海外で活躍してる有名なプロダンサーだよね、動画で見たことあるよ。 | |
勝ち抜ければプロダンサーと対決…いいね、ワクワクするよ! | |
その仕事受ける!へへっ、ダンスキングとの対決かぁ、楽しみだなー! | |
僕ならもしかしたら勝っちゃうかもだし…なんてね☆ | |
第2話 やりたいと思ったら | |
御手洗 翔太 | …はぁ、はぁ…今の、ちょっとトチっちゃったかな。もう1回…! |
声をかける | |
御手洗 翔太 | …あ、プロデューサーさん!へへっ、見られちゃった。 |
ちょっと自主練してたんだ。なんか僕、勉強熱心って感じ? | |
…そうだよ。勝ち抜きダンスバトルに向けて、ストリートダンスをね。 | |
ほら、番組内でダンスキングに挑戦できるかもしれないんでしょ? | |
どうせならベストコンディションで挑みたいし、いつもより練習してるんだー。 | |
ほら、僕ってやりたいって思ったら本気出しちゃうタイプだからさー。 | |
ん?練習付き合ってくれるの?えへへ、ありがとープロデューサーさん。 | |
…プロデューサーさんが応援してくれるなら、負けるわけにはいかないよね。 | |
第3話 可愛がられ上手の本領 | |
御手洗 翔太 | はいはーい!僕それわかるよ!発祥は、ニューヨークだよね! |
わーい!正解だ!これで商品の高級お菓子は僕が…もう1問あるんだっけ? | |
うーん…これはわかんないなぁ…おにーさん、答えを教えてほしいな~? | |
クイズにならないって?ごめーん、おにーさん人が良さそうだから、つい! | |
観客 | あはははは! |
番組ディレクター | キミ、315プロダクションのプロデューサーさん?御手洗翔太くん、中々いいじゃない! |
容姿もいいし、聞き上手で話し上手!彼にオファーを出して正解だったよ! | |
ダンスキング | あのCuteボーイ、ダンスも上手なんだっテ?後半の収録が楽しみだヨ! |
御手洗 翔太 | (プロデューサーさんが話してるの、ダンスキングと…番組の偉い人だよね) |
(なんか褒められてるみたい。へへっ、あれって僕のおかげだよねっ!) | |
(あ、こっち向いた。プロデューサーさんに向けて、ぶいっ☆) | |
第4話 実力差 | |
司会者 | さあ、勝ち抜きダンスバトルも最終戦!ダンスキングに挑む、勝ち残ったダンサーは… |
アクロバティックなダンスで他の出演者を圧倒したアイドルダンサー!御手洗翔太だ! | |
御手洗 翔太 | へへっ、遂にダンスキングとバトルだね!今日1番楽しみにしてたんだー。 |
今日は調子良いし、ダンスキング相手でもいいトコまで行くかもね☆ | |
司会者 | ダンスバトル、スタート!!おっと、序盤からダンスキングが大技を繰り出したぞ!! |
御手洗 翔太 | (うわっ、何これ…!今までの人の比じゃない…間近で見ると全然違う!) |
(でも、僕だってまだまだ動ける…!なんとか食らいつかないと!) | |
司会者 | ダンスキングの名に恥じない圧倒的なこの動きのキレ、テクニック!まさに絶対王者! |
ダンスキング | ハッハー!まだまだとばしてくヨ!ついてこれるかい、Cuteボーイ!! |
御手洗 翔太 | (頑張って動いてるのに、全然追いつけない…くっ…このままじゃ…!!) |
第5話 顔には出さない | |
司会者 | 勝負あり!勝者、ダンスキング!世界レベルのプロダンサーの実力を見せつけたー! |
しかし、翔太さんも最後まで踊り切り、健闘を見せてくれました! | |
御手洗 翔太 | …あははっ、ちょっと自信あったんだけど、負けちゃって悔しいな~。 |
ダンスキングさん、対戦してくれてありがとう! | |
ダンスキング | ハハッ!こっちこそサンキュー!思ってたよりはCoolだったゼ、Cuteボーイ!! |
御手洗 翔太 | …みんなも応援ありがとね~!それじゃあ、またねー! |
御手洗 翔太 | …僕、もう帰る。 |
送っていこうか? | |
御手洗 翔太 | …いい。今日は1人で帰るから。 |
…しばらくダンスの仕事はいいかなー。スケジュールに入れないでおいてね。 | |
じゃあね、バイバイ。 | |
第6話 ただ黙々と | |
御手洗 翔太 | …ハァ…ハァ…今のところ、もう1回! |
翔太は1人でダンスの練習をしている… | |
天ヶ瀬 冬馬 | なあ、プロデューサー。翔太のやつ、最近ずっとああなんだよ。 |
ソロの仕事以来か?暇さえありゃスタジオこもって練習するようになってよ。 | |
帰るぜって声かけても聞きゃしねーし。 | |
伊集院 北斗 | ここのところずっとああだから、少し心配だな。 |
後のことは任せて | |
伊集院 北斗 | ありがとうございます、プロデューサー。翔太のこと、お願いします。 |
天ヶ瀬 冬馬 | 俺たちにも何かできることがあったら、遠慮なく言ってくれよな! |
第7話 頑張りすぎちゃった? | |
翔太はダンスを続けている。 | |
御手洗 翔太 | ぜぇ…はぁ…もっと、キレがないと…!もう、1回! |
…ハァ…ハァ…うぅ、も、もうダメ… | |
翔太を抱えこむ | |
御手洗 翔太 | …あ、プロデューサーさん…もしかして、ずっと見てたの? |
いたなら声かけてよ…恥ずかしいとこ見られちゃったじゃん… | |
…でも、抱えてくれてありがと… | |
なんか…プロデューサーさんの顔を見たら、肩の力が抜けたっていうか… | |
僕、お腹すいちゃった。ねえプロデューサーさん、何か食べに行きたいなー? | |
第8話 譲れないプライド | |
御手洗 翔太 | うん、おいしー♪やっぱ練習の後に食べるハンバーガーって最高だね! |
店員さーん!アボカドバーガーとポテトとプリン追加で! | |
うん。お腹いっぱいになったら落ち着いてきた。心配かけてごめんね! | |
…そうだよ。ダンスキングに負けてから毎日、ダンスの自主練してたんだ。 | |
つまんないって思ってた筈なのにね…ダンスのことが頭から離れないんだ。 | |
実は対戦が始まってすぐ、想像以上に実力差があるって気づいてたんだ。 | |
でもね、あんなに圧倒的に勝たれちゃうと…悔しくてさ。 | |
僕、2度とあんな負け方したくない…そう思うと、ふとレッスンしちゃうんだ。 | |
…あーあ。レッスンすると疲れるし面倒くさいのに、イヤになっちゃうよ。 | |
ダンスキングに勝たないと僕、ずーっとこんなイヤな気持ちのままかもなー。 | |
プロデューサーさんがなんとかしてくれないかなー? | |
なんとかするよ | |
御手洗 翔太 | テレビ局にリベンジ企画を持っていく?プロデューサーさん、それ本当? |
…そこまで言うなら、実現させてよね。約束だよ!絶対だからね! | |
第9話 決戦!ダンスキング | |
リベンジ企画収録日、当日… | |
御手洗 翔太 | プロデューサーさんはすごいよね。ホントに企画を実現させちゃうし! |
前にも言ったけど…僕、やりたいと思ったら本気出しちゃうタイプだから。 | |
いつもは面倒くさがりだけど…僕、この日の為にすっごく頑張ったよ。 | |
僕がこんな熱血キャラになっちゃったのも…プロデューサーさんのせいかもね。 | |
一生懸命な姿もカッコいい…?へへっ、そういうのは勝ってから言ってよ!! | |
…そろそろ収録開始だね。それじゃ、行ってくるね、プロデューサーさん! | |
僕の事、ちゃんと見届けてね。今度は絶対に勝ってくるから! | |
ダンスキング | ハッハー!リベンジとは粋なCuteボーイだネ!でも、オレも負ける気は全然ないヨ! |
御手洗 翔太 | …前までの僕と同じって、思わない方がいいよ、ダンスキングさん☆ |
超本気になった僕を見せてあげる!目をそらしちゃダメだよ! | |
ダンスバトルは熾烈を極めた…! | |
最終話 御手洗 翔太 | |
御手洗 翔太 | まさか…あのダンスキングに本当に勝てるなんて…ドッキリじゃないよね? |
超本気になっていたとはいえ…やっぱり僕って、本当に天才なのかも…? | |
ダンスキング | ヘーイ、Cuteボーイ!…いや、素晴らしいダンサー、ショータ! |
御手洗 翔太 | わっ、ダンスキング!?えっと…僕に、何か用? |
ダンスキング | オレは本気で、また君を倒すつもりでいタ。でも、対戦結果はこの通りサ。 |
ショータ!次はオレがリベンジしにくるゼ!オレも1から修行し直してくるからナ! | |
御手洗 翔太 | …うん!次も絶対に負けないから!へへ、僕ももっと頑張らないとね! |
御手洗 翔太 | プロデューサーさん、ちゃんと見届けてくれてありがとー!応援、見えてたよ! |
翔太を褒める | |
御手洗 翔太 | へへっ、ダンスキングに勝っちゃったことで、世界中から目をつけられて… |
あちこちで、ダンス対決を挑まれちゃうかも。そうなったら面倒だなー。 | |
まあ悪い気はしないけどね!それだけ僕のダンスがすごいってことだしさ! | |
全力で踊ったらお腹空いちゃった!何か食べにいこーよ、プロデューサーさん! |
伊集院 北斗
第1話 今日も完璧だったよ | |
---|---|
御手洗 翔太 | あ、プロデューサーさんだ!たっだいま~! |
撮影の仕事はどうだった? | |
伊集院 北斗 | 当然、バッチリでしたよ。雑誌の発売日が今から楽しみですね。 |
天ヶ瀬 冬馬 | 確か、この後は珍しく3人全員オフだったよな。 |
おまえら、予定がなければうちに昼メシでも食いにくるか? | |
御手洗 翔太 | 行く行く~♪北斗君は? |
伊集院 北斗 | ごめん。実は今日は先約があってさ。 |
天ヶ瀬 冬馬 | 先約…ああ、また女とデートか? |
伊集院 北斗 | 今日は違うんだ。モデル時代の友人たちと久々に会うことになっててね。 |
天ヶ瀬 冬馬 | へぇ、珍しいな。まあ楽しんで来いよ。 |
伊集院 北斗 | もちろん。おっと、そろそろ出ないと。 |
じゃあ、お先に失礼するよ。チャオ☆ | |
第2話 久しぶりだね | |
伊集院 北斗 | みんな、久しぶり。遅れてごめんね。 |
モデル仲間A | よー、来たか北斗!今ちょうどお前の話が出てたんだ。 |
モデル仲間B | 昨日の歌番組、見たぜ。変わらずすげー人気みたいじゃん! |
モデル仲間A | ま、北斗なら女性ファンもすごいだろうし、納得できるけどな。 |
伊集院 北斗 | はは、ありがとう。それじゃ、俺もランチをいただこうかな。 |
その後、再会に喜びつつしばらく雑談をして過ごした… | |
モデル仲間A | ところで北斗、いつまでアイドルを続けるつもりなんだ? |
伊集院 北斗 | …いつまで、というと? |
モデル仲間B | いや、アイドルってのもお前にとっちゃお遊びみたいなもんだろうし。 |
伊集院 北斗 | ううん、俺はアイドルを遊びでやっているつもりはないよ。本気なんだ。 |
モデル仲間A | またまたぁ。もしアイドルに飽きたらモデルの方に戻ってくるんだろ? |
伊集院 北斗 | (…これ以上否定しても、場の空気を悪くしてしまうだけだな) |
モデル仲間A | ってことで、今日は食事会お疲れっした!北斗、この後遊びに行くだろ? |
伊集院 北斗 | 誘ってくれてありがとう。でも…実はこの後、少し予定があるんだ。 |
モデル仲間B | そっか。久々に会えたのに残念だな。 |
伊集院 北斗 | 本当にごめん。また次の機会にね…じゃあ、今日はお疲さま。 |
第3話 思うところがあるかな | |
伊集院 北斗 | (アイドルはお遊びみたいなもん…か) |
(アイドルとして活動を始めて結構経つけど…) | |
(まだ、ああいう風に捉えてる人もいるんだな) | |
(昔はともかく、今はアイドルに真剣に向き合ってるつもりなんだけどな) | |
(彼らがどう思っていても、俺の心が変わることはないけれど…) | |
(やっぱり、少しだけモヤモヤするな…) | |
(…?…あれ…) | |
(いつの間にか事務所の近くに来ていたみたいだ) | |
何か忘れ物ですか? | |
伊集院 北斗 | …!プロデューサー、まだ仕事じゃ…ああ、事務所の備品の買い出しでしたか。 |
忘れ物、というわけでもないんですが、はは。 | |
立ち話もなんですから… | |
伊集院 北斗 | …そうですね。せっかく来ましたし、事務所に寄らせてもらいます。 |
第4話 少し、お話しても? | |
事務所の中に入ってしばらくして、北斗はどこか上の空の様子だ… | |
なぜ事務所へ戻って来たんですか? | |
伊集院 北斗 | ふふ、実はあなたの顔を一目見たくなってしまいまして。 |
…なんて、心配してくれているあなたに、隠しごとはできませんね。 | |
実は昼に事務所に立ち寄った後、モデル時代の仲間と会っていたんですが。 | |
アイドルは俺にとってお遊びみたいなものだろ?と言われたんです。 | |
世間が俺に対して抱いているパブリックイメージ的にも、 | |
アイドルに本気でないと思われても、仕方ないとは思うんですけどね。 | |
ただ、古い友人たちに自分の真剣な想いが伝わっていなかったのは、 | |
さすがにちょっと寂しいと思って、少しモヤモヤしていたんです。 | |
ひたむきに続けていれば、イメージも覆せるはずと伝えた。 | |
伊集院 北斗 | ひたむきに…そうですね。俺がやることは今後も変わりません。 |
ありがとうございます。プロデューサーの言葉で、少し心が軽くなりました。 | |
…ん?冬馬からメールだ…ふふ。 | |
あの後、翔太に昼食を作ったそうですが、作りすぎたとかで、 | |
予定が終わってれば食べに来い、って連絡がありました。 | |
プロデューサーも時間があれば、一緒にどうですか? | |
第5話 女性の涙は見過ごせないな | |
後日、北斗は1人、公園でのグラビア撮影の仕事を終えていた。 | |
伊集院 北斗 | (さてと…この後の予定は、16時からのプロデューサーとの打ち合わせだけか) |
(…おや?あそこに座っている女の子、泣いているのかな) | |
チャオ☆ミルクティーはお嫌いではないですか? | |
女学生 | …えっ…ええっ!? |
伊集院 北斗 | お嫌いでなければ、どうぞ。温かい物を飲むと落ち着きますよ。 |
ああ、そこの自動販売機で買ったものなので、安心してください。 | |
このハンカチもよければ使って。返さなくてもいいですから。 | |
女学生 | あ、あの、伊集院北斗…さん、ですよね?Jupiterの… |
伊集院 北斗 | ふふ。俺のことを知っているんだね。嬉しいな☆ |
ところで、どうして泣いてたのかな。悩みがあるなら話してみない? | |
女学生 | …大したことじゃないんです。ただ、どうしていいのかわからなくて。 |
来週、ピアノのコンクールがあるんですけど、なんというか…少しスランプで。 | |
全然楽しく弾けないし、思うような音が出せない気がしてるんです。 | |
伊集院 北斗 | (ピアノのコンクール、か…なんだか懐かしい響きだな) |
そうだね、そういう時は気分転換をする時間も必要なんじゃないかな。 | |
(今からなら…急げば打ち合わせの時間にも間に合うはずだ) | |
…この後、少し時間あるかな?俺とデートしませんか? | |
第6話 ちょっと冷たいかな | |
女学生 | 彫像に絵画…今まであまり縁がなかったですが、綺麗なものなんですね。 |
伊集院 北斗 | 美しいものを見ると心が潤うからね。いい刺激になると思って。 |
さ、館内は一通り見て回ったし、どこかで一息ついていこうか。 | |
歩かせちゃってごめんね。俺とのデートは楽しんでくれたかな? | |
女学生 | 楽しかった…です。でも…私、コンクールが近いのに遊んでていいのかな… |
伊集院 北斗 | うーん、何をしていても、ピアノのことが気になっちゃうんだね。 |
それだけ夢中になれるものがあるっていうのは、すごいことだよ。 | |
でも、今の君は少し辛そうだ。それだけ夢中になれるピアノの話なのにね。 | |
女学生 | 辛そう…ですか?でも、それは私がスランプなんかになっちゃったから… |
伊集院 北斗 | 1つの目標だけを見つめて生きていく、それができる人は幸せだ。 |
けど、軸が1つだけだと、折れた時にどうしたらいいのかわからなくなる。 | |
…少し、冷たい言い方をしてしまったね。 | |
第7話 昔のことなんだけど | |
伊集院 北斗 | 実は俺も、少しピアノが弾けるんだ。昔は真剣にピアニストを目指してた。 |
女学生 | …!そうだったんですか。私、知りませんでした。 |
伊集院 北斗 | 隠しているわけじゃないけど、大々的に言うような話でもないからね。 |
ピアノは…今でも好きだよ。昔に出た映画の演出で、弾いたこともあるし。 | |
でもやむを得ない事情があってね。プロになる道は閉ざされてしまった。 | |
その後しばらくは、空っぽだったな。流されるまま、惰性で生きていた。 | |
女学生 | ………… |
伊集院 北斗 | そんな顔しないで。今は毎日楽しいよ。新しい夢も見つけたしね。 |
女学生 | …私は弱いですね。大した事情があるわけでもないのに、弱気になって。 |
伊集院 北斗 | 誰にでも悩みはあるし、その深刻さは人と比べるようなものじゃないさ。 |
自分の話ばかりしてしまってごめんね。 | |
スランプだったり、自分の道がわからなくなることは誰にでもあるよね。 | |
そういう時は思いつめないで、少し気分転換してみるのもいいと思うよ。 | |
女学生 | …私、ピアノが自分の全てだって、ずっとそう思ってました。 |
でも、こうして他のことに目を向ける時間も大切なんですね。 | |
今日はいろいろありがとうございました。光明が見えた気がします…! | |
伊集院 北斗 | ふふ、また会うことがあれば、その時もまたデートしてくれると嬉しいな。 |
それじゃあ、チャオ☆偶然が出会わせてくれた素敵なエンジェルちゃん。 | |
(…ええと、今は…15時半か。打ち合わせにはギリギリ間に合いそうだ) | |
(新しい夢、か…本当に、俺はあの時から変わったんだな) | |
第8話 あなたにだから言えること | |
打ち合わせ開始時間ぴったりに、北斗は事務所に到着していた。 | |
伊集院 北斗 | 時間ギリギリになってしまってすみません。打ち合わせ、始めましょうか。 |
よろしくお願いします | |
伊集院 北斗 | …ふぅ。とりあえず、決めなきゃいけないことは決まったかな。 |
…おっと、もうこんな時間なんですね。 | |
プロデューサーも今日はもう上がりでしょう?送っていきますよ。 | |
今日の打ち合わせは楽しかったな。やりたいことが次々出てきて。 | |
正直、自分がここまでアイドルに夢中になれるとは思っていなかったです。 | |
961プロダクションにいた頃は、俺はまだ… | |
アイドルは暇つぶし程度にしか考えていませんでしたからね。 | |
目標を見失って惰性で生きてきたような俺を変えてくれたのは… | |
冬馬の持つ情熱と、Jupiterというユニットの存在… | |
そして、315プロダクションと…あなたとの出会いですよ、プロデューサー。 | |
第9話 伊集院 北斗 | |
伊集院 北斗 | ふと…アイドルになるずっと前のことを思い出しました。 |
音楽家として活躍する家族たちに囲まれて… | |
俺もいずれは、家族と同じような道を歩んでいくであろうことに、 | |
疑いを持つことはありませんでした。 | |
その後、怪我によって夢を見失って、情熱を傾ける物を見失い… | |
紆余曲折あって、黒井社長に見出された俺は、アイドルとなった。 | |
ただ…音楽一家で育ってきたという経験もあってなのか、 | |
アイドルは技術力の伴わないパフォーマンスで喜ばれているような世界だと… | |
子どもの遊びの延長のようなものだと、捉えていました。 | |
なので当時は、チヤホヤされる割のいいバイトというくらいの感覚でしたよ。 | |
しかし、Jupiterでの活動を続けて、冬馬、翔太を過ごしていくうちに… | |
ずっと子どもの遊び程度のものだと思っていたアイドルに、 | |
こんなに本気になれるのか、こんなに熱くなれるのかと驚かされました。 | |
夢と共に忘れていた熱さを、冬馬といれば思い出せるかもしれない… | |
そう、強く思うようになったんです。 | |
最終話 これからも隣で | |
伊集院 北斗 | ちょっと話しすぎましたか?聞いてくれてありがとうございます。 |
弱音も含めて、ここまで俺が本音を話せる人はプロデューサーだけなので、 | |
あなたがいてくれてとても助かっています。 | |
冬馬と翔太は? | |
伊集院 北斗 | もちろん、冬馬と翔太も本音で話せる相手ですが… |
あの2人は大切な仲間であると同時にライバルですから。 | |
弱みよりも、完璧でカッコいい俺を見せたいって気持ちが上回るんです。 | |
だから俺が甘えられるプロデューサーは、かけがえのない存在なんですよ。 | |
責任重大ですね | |
伊集院 北斗 | そうですよ。だから、これからもずっと側にいてくれないと困ります。 |
これからも俺の隣にいてくれますか? | |
もちろんです | |
伊集院 北斗 | ふふ、なんだかプロポーズみたいになっちゃいましたね。 |
なんてね☆ありがとうございます。何よりも心強いです。 | |
これからも俺はJupiterに、アイドルに本気で向き合い続けます。 | |
だから…サポートよろしくお願いします、プロデューサー。 |
DRAMATICSTARS
天道 輝
第1話 難問奇問、何問解ける? | |
---|---|
天道 輝 | プロデューサー、話って?…俺にソロの仕事? |
へえ、クイズ番組にゲスト出演か! | |
柏木 翼 | この番組、結構有名ですよね。頑張ってくださいね、輝さん! |
桜庭 薫 | 難問奇問が揃い踏み…というのが番組のテーマだったな。天道で大丈夫か? |
天道 輝 | こう見えて勉強できんのは知ってんだろ? 1人でもバッチリやってやるぜ! |
他には誰が出演してるんだ?出演者リストは、と…あれ、この名前… | |
柏木 翼 | どうかしましたか?もしかして、知り合い がいたとか? |
天道 輝 | ああ、弁護士時代に世話になってた先輩が出るみたいなんだ。 |
柏木 翼 | あ、その人知ってます!現役弁護士タレントとして活躍されてる方ですよね。 |
天道 輝 | 正義感が強くて情熱的な人でさ、 当時から尊敬してたなぁ。 |
桜庭 薫 | 情報番組などでも見かける名前だ。まさか君の知人だったとはな。 |
天道 輝 | 俺も直接会うのは久しぶりだ。 恥ずかしいところは見せられないぜ! |
第2話 不正の誘惑 | |
数日後、 事務所でクイズ番組に関する打ち合わせを行っていたのだが… | |
番組ディレクター | 初出演のアイドルが優勝! なんてドラマティックな展開、 絶対話題になるでしょ? |
そこで、ナイショで出す問題を見せちゃうからさ。予習しといてほしいんだ。優勝したら天道くんの株もビューンと上がるし、悪い話じゃないでしょ? | |
天道 輝 | (…要するに、番組を盛り上げるためのヤラセをさせたいってことか) |
…すいません!その提案、俺にはちょっと乗れないです。 | |
ドラマティックな優勝なら、 自分の力で掴んでみせますよ。任せてください! | |
番組ディレクター | いや~、そうは言ってもウチの番組のクイズ、激ムズのベリーハードだよ~? |
天道 輝 | ハードな問題だったら、ハートの強さでなんとかしますよ!なーんつって… |
番組ディレクター | うーん…無理強いはできないか。 また別の盛り上げ方を考えてみるよ! |
天道 輝 | 悪い、プロデューサー。つい勢いで断っちまったが… マズかったかな? |
(ああ言うと思いました) | |
天道 輝 | そっか… へへ。あんたと気持ちが通じ合えてて良かった。 |
テレビ番組で、ある程度ヤラセがあるのは仕方ないけどさ… | |
カンニングで優勝すんのはカッコ悪すぎだろ。しかも先輩の前で、なんてよ。 | |
(クイズの特訓をしましょう!) | |
天道 輝 | そうだな!仕事の合間を縫って猛特訓だ。絶対に優勝してやるぜ!! |
番組ディレクター | んー、しょうがない。 予定を変更して、 今回もあの人に掛け合ってみるか! |
第3話 ヒーローを目指した頃 | |
天道 輝 | なるほど…まとめてみると、出題される問題にも傾向がありそうだ。 |
理系文系はできなきゃカッコ悪いよな。あとはスポーツと芸能に… | |
…お、プロデューサー。 お疲れ!過去問の資料、用意してくれてサンキュな。 | |
(一息入れませんか?) | |
天道 輝 | コーヒーも持ってきてくれたのか!そうだな、少し休憩するか。 |
天道 輝 | しかし、この歳になって机にかじりついて勉強することになるとはな。 |
なんか、こうして夜遅くまで勉強してる感じ…昔のことを思い出すぜ。 | |
弁護士になりたくて、来る日も来る日も必死で勉強してたっけな… | |
…ん?なんだよプロデューサー、なんか言いたそうな顔してるけど… | |
ああ!安心してくれ。別に弁護士に未練があるってわけじゃないんだ。 | |
こうしてアイドルになれて本当によかったって、心の底から思ってるよ。 | |
あんたと会えたおかげで、俺は……っと。 ちょっと休憩しすぎたか。 | |
よし、 それじゃそろそろ勉強に戻るぜ。コーヒーうまかった、 ごちそうさん。 | |
第4話 難問解いて、どんなもんだい! | |
天道 輝 | 先輩!覚えてますか? 天道輝です!今、弁護士辞めてアイドルやってて… |
弁護士タレント | ああ、活躍は聞いてるよ天道。 今日はお互い優勝目指して頑張ろうな。 |
天道 輝 | はい、今日の収録もよろしくお願いします! |
天道 輝 | (… なるほど。確かに噂通り、歯ごたえのある難問ばかりだぜ) |
(先輩は優勝候補なんだな… でも、俺だって負けてられないぞ) | |
(お。 この問題は、プロデューサーが持ってきてくれた資料の中にあったな!) | |
番組司会者 | 天道輝、 またしても正解ー!すごい!ここまでパーフェクトです!! |
番組司会者 | …それでは結果発表です。 優勝は…DRAMATIC STARSの、 天道輝ーっ!! |
天道 輝 | …俺が優勝…!? いよっしゃー!!努力の成果が出たぞーっ! |
番組司会者 | おめでとうございます! すばらしい成績でしたね! |
天道 輝 | ありがとうございます、今日のために勉強しまくった甲斐がありました! |
弁護士タレント | ……あいつ… |
第5話 予期せぬ衝突 | |
天道 輝 | 先輩…?お疲れ様です!どうしたんですか?わざわざ俺の楽屋まで… |
弁護士タレント | …やってくれたな、天道。おかげでめちゃくちゃだ。 |
天道 輝 | えっ? |
弁護士タレント | 今回の番組は、俺が優勝するっていう段取りになっていたんだよ。 |
なのにお前が優勝だと?俺のインテリタレントとしてのイメージはどうなる! | |
天道 輝 | …ちょっと待ってください。優勝する、段取り…? |
まさか先輩、事前に出題される問題を受け取っていたんですか…!? | |
どうして… 俺の知ってる先輩は、そんなことをする人じゃ… | |
弁護士タレント | っ…甘っちょろいことを。 俺は地位を守るためなら何でもやってきた。 |
お前も…そんな覚悟のままで、この先やっていけると思うなよ! | |
天道 輝 | (…先輩…一体、何があったんだ…?) |
(大丈夫?) | |
天道 輝 | …はは、悪い。俺は大丈夫だ。心配してくれてありがとな、 プロデューサー。 |
なあ、優勝祝いに2人で食事でもどうだ?パーッとやろうぜ、パーッと! | |
第6話 無実の証明 | |
天道 輝 | 『天道輝、クイズ番組でカンニング疑惑か?』『優勝賞品欲しさに』…か。 |
ひどい週刊誌だな。 明らかにねつ造された記事じゃねぇか。 | |
…でも、タイミングが最悪だったな。 | |
来月DRAMATIC STARSが出演する予定だった、 生放送の歌番組… | |
このスキャンダルのせいで、スポンサーから待ったがかかってるって聞いた。 | |
…迷惑かけてすまねえ、 プロデューサー。 | |
(無実を証明してきます!) | |
天道 輝 | プロデューサー、待ってくれ!…実は、噂の出所に心当たりがある。 |
ただ…あんまり信じたくない話だ。今のところ、確かな証拠もねぇ。 | |
証拠を掴むために、あんたの力を貸してくれないか? | |
(もちろん) | |
天道 輝 | ありがとな…それじゃ、早速行動に移ろう。まずは作戦会議からだ。 |
第7話 不変の輝き | |
天道 輝 | クイズ番組の件…週刊誌にデマをリークしたの は先輩なんですよね。 |
証拠は揃ってるけど、 まだ信じられない。 先輩、 どうしてこんなことを… | |
弁護士タレント | …あの頃から何も変わっちゃいないな、お前は。頭の切れるお人好しだ。 |
昔は俺もそうだった。 正義を信じて、仕事に邁進していたさ。 | |
だが…いつしか、 地位と名誉を守ることに固執するようになっていた。 | |
この前の収録でお前に会って、変わってしまった己の醜さを自覚したよ。 | |
俺の手はすっかり汚れてしまった。 それがたまらなく悔しかったんだ…! | |
天道 輝 | まだやり直すことはできるはずです。俺の知っている昔の先輩なら… |
弁護士タレント | 黙れ!弁護士を辞めて、アイドルなどという未知の世界に入ってなお… |
挫けることなく、まっすぐに生きていられる… | |
そんなお前に、俺のこのみじめな気持ちがわかるものか!! | |
天道 輝 | ……先輩。俺にも、挫折の経験はあります。 |
あの弁護士事務所を辞めたあと、俺は一時 …世間から孤立してた。 | |
仕事が来なくなって、誰からも相手にされなくなって、 | |
『まっすぐに生きる』 って決めたのに、 その自信も失いかけた。でも… | |
だからこそ、俺になら…先輩が汚れたというその手を掴めるはずなんだ。 | |
俺、来月の歌番組に出るんです。 生放送の。 | |
俺の歌なんて、聞きたくもないかもしれないけど…見てほしいんです。 | |
そこでありったけの、俺の気持ちを伝えます。アイドル、 天道輝として。 | |
第8話 強い想いは世界を照らす | |
番組司会者 | 次は、最近ますます勢いを増しているDRAMATIC STARSの登場です! |
歌の前に、 意気込みやメッセージなど視聴者にあれば、聞かせてくれますか? | |
天道 輝 | …それじゃ、俺から。 桜庭、翼、悪いけど少し時間をもらっていいか? |
若い連中に比べりゃ、俺は遅咲きのアイドルだよな。 | |
その分、昔はいろいろあったんだ。キツいことも、数えきれないぐらい。 | |
でも、ふさぎ込んでばっかりじゃ、何も変わらないんだよな。 | |
辛い時は…何よりも、『負けないこと』が大事だと思うんだ。 | |
どんな時も、前を向いて。 一歩でもいい、歩き出しさえすれば… | |
弱気な自分は変えられる。取り巻く世界だって、きっと動き出す。 | |
俺はそう信じてる。 みんなにも、このメッセージが届けばいいな。 | |
柏木 翼 | 『負けないこと』が大事…素敵な言葉ですね! |
桜庭 薫 | …気合いだの根性だのを重視する、君らしいメッセージだな。 |
天道 輝 | へへ。要は今…テレビの前で、 |
挫けそうになってる人の背中を押したくってさ。 | |
そんな想いを、俺の、俺たちの歌を通して伝えたい… みんな! | |
これからも俺は、アイドル界のてっぺんに輝く一番星を目指して走ってく! | |
そして、本物のヒーローになる!夢を叶えてみせる… その姿を見ててくれ! | |
さぁ、始めようぜ!最初の曲は…『DRIVE A LIVE』! | |
第9話 不屈のヒーロー | |
天道 輝 | 315プロダクションに正式に謝罪があった?そうか、先輩からか… |
実は少し前に、 俺の方にも先輩から連絡があったんだ。 | |
「信じてもらえるまでどれだけかかるか わからないが、再出発したい』 | |
ってさ。俺のアイドルとしての姿がちょっと でも響いてくれたのかな。 | |
…そうだプロデューサー、 この後ちょっと時間あるか?軽く食事でもどうかな。 | |
天道 輝 | へへっ。この店、あんたは久しぶりだろ? 覚えてないとは言わせないぜ! |
なんたって、ここは 『アイドルとしての天道輝』の始まりの場所だからな。 | |
あの頃から天道さんは変わらずまっすぐだと伝えた。 | |
天道 輝 | だろ~!?つっても、最初はだいぶ荒れてて迷惑かけちまったけどな… |
(どうしてそこまでまっすぐでいられる?) | |
天道 輝 | …辛くてもまっすぐ生きるってのは、俺の理想のヒーロー像のひとつでさ。 |
子どもの頃から、ずっと目指し続けてる夢なんだ。 | |
この夢を、今も諦めないでいられるのは、プロデューサーのおかげなんだぜ。 | |
最終話 太陽は明日も輝く | |
天道 輝 | 弁護士事務所を辞めるって決心したとき…後悔はなかったんだ。 |
けど、正直自暴自棄になってるところもあったかもしれない。 | |
この店で管を巻いてた俺に声をかけてくれたのが、プロデューサーだ。 | |
アイドルって新たな可能性を見せてくれたあんたには、本当に感謝してる。 | |
…っと、結構長居しちまったな。そろそろ出ようか。 | |
天道 輝 | なあ、プロデューサー。さっきの話の続きだけど… |
俺はあんたのおかげで、アイドルって道を見つけて、桜庭や翼にも出会えた。 | |
先のことはわからないが、 未来の俺が後悔するようなことはしたくない。 | |
だから、辛いことも嬉しいことも、全部抱えて全力で走り続けたい! | |
これからもDRAMATIC STARSの3人で、一番星を目指していきたいんだ! | |
(必ず一番星を掴みましょう!) | |
天道 輝 | ああ!これからも頼りにしてるぜ。プロデューサーも一緒に一番星を掴むんだ! |
…おっ!空を見ろよ。 今夜は星が綺麗だぜ。雲ひとつない綺麗な星空だ。 | |
へへっ、明日もきっといい天気になるだろうな! |
桜庭 薫
第1話 日々 | |
---|---|
天道 輝 | ふぅー。今日のダンスレッスンはキツかったな。 |
柏木 翼 | 新しいダンス、初めての通しでしたけど、かなり上手くいきましたよね! |
天道 輝 | ああ!この調子なら単独ライブも成功間違いなしだぜ! |
桜庭 薫 | …浮かれているようだが。 これからも単独ライブに備えたレッスンは続く。 |
今から気を引き締めていかないと、本番で痛い目を見るぞ。 | |
天道 輝 | そりゃわかってるけどよ、ちょっとぐらい喜んだっていいだろ? |
柏木 翼 | 2人とも喧嘩しないでください。 あ、そういえばアレって考えました? |
天道 輝 | ライブ中の企画で、ファンに贈るメッセージのことか? |
柏木 翼 | それです!ライブのテーマである 『未来』にからめてってことですが… |
オレ、まだなんですよね。 輝さんは何にするか決めましたか? | |
天道 輝 | ああ。バッチリだぜ! いい感じのメッセージが浮かんだからな。 |
桜庭 薫 | ライブの開催まではかなり期間がある。柏木も焦る必要はないはずだ。 |
天道も、さぞ良いメッセージが浮かんだようだが、即断するのは早いだろう。 | |
天道 輝 | なーんか言い方がひっかかるが…それもそうか。 もう少し考えてみるぜ。 |
桜庭 薫 | (…僕もメッセージを考えておかないとな。 何を伝えるか…) |
第2話 研鑽 | |
桜庭 薫 | (… メッセージのヒントにもなるかと思い、来てみたが…) |
(有意義な時間だった。 自身のルーツを振り返ることもできたしな) | |
医師 | おっ、知った顔がいると思ったら桜庭じゃないか!久しぶりだな! |
桜庭 薫 | …君は。 |
医師 | おまえ、今アイドルやってるんだよな?まさかこんなところで会えるとは。 |
桜庭 薫 | 僕の台詞だ。君が論文の研究大会に参加しているとは意外だな。 |
君は在学中、研究に熱心な学生ではなかったと記憶しているが。 | |
医師 | ははっ、 勘弁してくれよ。これでも今じゃ主治医なんだぜ? |
あー…その、少し厄介な患者を担当していてな。情報収集ってとこだ。 | |
そういうおまえは? あ、もしかして、ここでアイドルの営業を!? | |
桜庭 薫 | 君の冗談は相変わらずつまらないな。僕も同じく情報収集だ。 |
医療技術への関心がなくなったわけじゃない。 | |
医師 | はは、アイドルになっても、 その生真面目さは変わってないな。 |
桜庭 薫 | …君こそ、その軽口は昔から変わらないようだ。 |
第3話 一息 | |
何を読んでる? | |
桜庭 薫 | …君か。 以前の研究大会で、興味深い学術書の話を聞いてな。見てみるか? |
…… | |
桜庭 薫 | 黙り込んでいるな…これは熟読しているのか、途方に暮れているのか… |
少女 | ねえねえ、あなたはDRAMATIC STARSの桜庭薫さんでしょ? 何読んでるの? |
桜庭 薫 | …誰だ、君は? |
少女 | 難しそうな本だね。 何が書いてあるの?わ、英語… |
桜庭 薫 | おい、勝手に触るんじゃない。 |
少女 | あっ…何の絵が書いてあるのか見たかったのに。 |
桜庭 薫 | これは僕の大切な本だ。君にも大切なものがあるならわかるだろう。 |
少女 | 大切なもの…別にないな。欲しい物は全部 買ってもらえるし。 |
桜庭 薫 | フン、甘やかされた子どもか…ん? |
君…顔色が悪いようだな。 健康状態に異常があるように見える。 | |
第4話 病魔 | |
少女 | …なに言ってるの?私は元気よ。ほら、この通り… |
わっ、とと… | |
桜庭 薫 | 無理に動くな。元医者として、目の前で倒れそうな状態は見過ごせない。 |
手首も痩せているな。それにこの注射跡…ただの体調不良ではないな。 | |
少女 | …ちぇ、バレちゃったか。私そこの病院から抜け出してたの。 |
桜庭 薫 | …馬鹿なことを。君くらいの子どもは免疫力も低い。早く戻れ。 |
少女 | 子どもじゃない、私は高校生!…入学式にしか登校できなかったけど。 |
同級生のみんなは毎日学校に行って、寄り道したりしてるのに… | |
私は、病室で毎日検査と静養ばっかり…私だって自由になりたいのに。 | |
桜庭 薫 | (…高校生… そして、病気…… 姉さんも、このぐらいの年の頃に…) |
医師 | ふう…やっと見つけたぞ!今回はあまり遠くへ行っていなくて良かった! |
少女 | せ、先生… |
医師 | …おいおい桜庭じゃないか! おかしな偶然もあるもんだな。知り合いか? |
桜庭 薫 | いや、初対面だ。 その子は君の患者なのか? |
医師 | ああ。脱走の常習犯で手を焼かされてるよ。保護してくれてありがとな。 |
…この子は入院が長引いてることもあってか、退屈してるみたいでな… | |
あそこの病院にいるから、 また話し相手になってあげてくれないか。 | |
桜庭 薫 | …ふん。気が向いたら、顔を出してやってもいい。 |
第5話 相談 | |
桜庭 薫 | ……… |
何か考え事? | |
桜庭 薫 | …っ!君か。 |
すまない。単独ライブもあるというのに、集中力を欠いているようだ。 | |
あの女の子のこと? | |
桜庭 薫 | …君にはお見通しだな。 あの高校生…入院が長いと言っていた。 |
(年齢が同じだけだというのに…姉さんの姿を、思い出してしまう…) | |
どうやら僕は… 彼女のことが他人事と思えないようだ。 | |
今はライブに注力すべき時だ。僕は一体、何を考えているんだろうな。 | |
歌であの子を元気づけよう! | |
桜庭 薫 | …まさか、 単独ライブに招待すれば良いとでも言いたいのか? |
……何を馬鹿な…だが… | |
……やるにしても、主治医への確認が必要だ。 それに彼女の意志もある。 | |
直接確認に行くとするか。気が向いたら顔を出すと言ってしまったしな。 | |
第6話 再来 | |
医師 | 桜庭!まさか本当に来てくれるとは思っていなかったぞ。 |
桜庭 薫 | …君が僕のことをどのような人間であると思っているか、よくわかった。 |
医師 | すまん、冗談が過ぎた!ありがとな!あの子も喜んでくれると思う。 |
あー…ここが彼女の病室だが、患者の手前、あまりショックを顔に出すなよ。 | |
桜庭 薫 | ショック?なんのことだ… |
…!! | |
少女 | …あ。桜庭さん。わぁ…ホントに会いに来てくれたんだ。嘘みたい… |
桜庭 薫 | …ひどい顔色だな。 |
少女 | …ここ1週間くらいずっと、 検査の数値が悪くて。 |
おかげで脱走もできてないよ。先生は、安心してるかもね。あはは… | |
…先生に聞いたよ。DRAMATIC STARSの単独ライブがあるんだってね。 | |
あ…テレビでCMもやってたよ!歌ってる桜庭さんって別人みたい。 | |
短いCMだけじゃなくて…ライブ、観てみたかった… | |
…なーんてね!最初から行けるなんて思ってなかったし。 | |
私は行けないけど、ここで応援してるね。頑張ってね、桜庭さん! | |
桜庭 薫 | っ……ああ… |
第7話 追憶 | |
桜庭 薫 | (……姉さんも…病状が悪化した時、ああいう顔をしていた) |
(不安を覆い隠すような態度どうしても、思い出してしまう…) | |
また考え事? | |
桜庭 薫 | …いや、少し昔のことを思い出していただけだ。 |
…昔、入院していた姉に頼まれて、病室で歌を歌うことがよくあった。 | |
その時から、歌は僕にとって大切なものなんだ。それは今も変わらない。 | |
僕の歌でファンが励まされているのならば…それは僕にとっても喜びだ。 | |
…以前、歌で彼女を元気づけようと言ったな。あれから少し考えていた。 | |
彼女は、長期の入院に懐疑心を抱き、絶望している。 メンタルも弱っていた。 | |
彼女には、大病へ本気で立ち向かっていく覚悟、勇気が必要なのだろう。 | |
例えば、僕があの病院に行って歌う…それで目的は果たせるのだろうか。 | |
何度かシミュレートしてみたが…それでは何かが違うんだ。 | |
今の僕はアイドルだ。アイドルの本気とは、部屋で歌うアカペラではない。 | |
スタッフやメンバーと共に作り上げるステージこそがアイドルの本領だ。 | |
その姿を見せてこそ、真に彼女を勇気づける力となるのではないか。 | |
だが、あの容態では彼女をライブに呼ぶことは不可能…どうしたものか… | |
テレビのCMは病室に届いたけど… | |
桜庭 薫 | テレビのCM…待てよ?もしかすれば…後で、具体的な相談をさせてほしい。 |
第8話 開演 | |
数ヶ月後、単独ライブ当日… | |
天道 輝 | あのカメラに向かってアピールすれば、リアルタイムでライブ配信されるってわけか。 |
院内コンサートならぬ、 院内ライブ配信とは、とんでもない企画を通したもんだ。 | |
柏木 翼 | 業界的にも新しい試みで、メディアの注目も集まっているそうです。 |
薫さんとプロデューサーが頑張って通してくれた企画…すごいですね! | |
お医者さんのネットワークを使って、病院側に頼み込んでくれたんですよね。 | |
桜庭 薫 | …プロデューサー、 柏木に何か言ったな。 |
柏木 翼 | いいじゃないですか。 オレたちにも、薫さんに感謝させてください。 |
天道 輝 | アリが10匹でありがとうってな!! なんつって。 |
桜庭 薫 | …ファンのためにはもちろん、 配信を見ている病院の観客たちのため… |
このライブは絶対に失敗できない。 それはわかっているな。 | |
柏木 翼 | はい。 もちろんです! |
天道 輝 | 桜庭、『未来』 をテーマにしたメッセージも、ちゃんと考えてきたか? |
桜庭 薫 | 当然だ。言うべきことは既に決まっている。 |
…そろそろ開演だな。プロデューサー、 僕の全てを見届けてくれ。 | |
第9話 未来 | |
天道 輝 | 未来のことは誰にもわからない。もし、今と違った未来だったとしても… |
未来から見た現在が、かけがえのない輝き を放つものであるように… | |
『未来』 につながる現在を、精一杯生きて…楽しもうぜ! | |
柏木 翼 | オレにとっての『未来』…それは輝さんや薫さん、皆さんと飛ぶ空です。 |
皆さんがいるから、オレはより高みを目指すことができるんです。 | |
だから、ずっとずっとこの空を、一緒に飛んでいきたいです! | |
桜庭 薫 | (…最後は僕か。僕にとっての『未来』を…伝えよう) |
(客席に、カメラの向こうに、そして…あの空にも、届くように) | |
未来は不確かだ。 積み上げた努力が必ずしも報われるとは限らない。 | |
だが、それでも僕は歩みを止めるわけには いかない。 | |
…研鑽を積み重ね、進んでいく。僕の姿が、歌が誰かの標となれば本望だ。 | |
君たちの未来に、この歌を響かせることができるように。 | |
…僕はこれからも、この先の『未来』も、全力で歌い続ける。 | |
僕たちの歌を… 聞いて欲しい。 『DRIVE A LIVE』 | |
最終話 薫風 | |
手紙の束を渡す | |
桜庭 薫 | 何だ?…ああ、単独ライブ後に来たファンレターか。 |
柏木 翼 | わぁ…病院の患者さんからもこんなに!喜んでもらえてましたね! |
天道 輝 | ライブ配信も大成功だったな!プロデューサー! |
桜庭 薫 | (…これは。あの高校生からの手紙か) |
(「ライブ最高だった! けど、やっぱり会場に行けなかったのは悔しい』) | |
(『絶対に病気を治して、今度は生でライブを観に行く!』…か) | |
(…フッ) | |
柏木 翼 | あっ、薫さん。今、すごく優しい顔をしていましたね。 |
桜庭 薫 | …何でもない。気のせいだろう。 |
そんなことより、2人ともいつまで浮かれている気だ。反省会をするぞ。 | |
天道 輝 | 反省会って単独ライブのか?ライブの当日にもやったよな? |
桜庭 薫 | ファンからの反応を受け取ったことで、より改善点が明確になった。 |
…もちろん君も参加するんだ。プロデューサー。 | |
僕たちに立ち止まっている暇はない。より高みを目指していかなければ。 | |
…僕たちのプロデューサーとして、これからも手伝ってもらうぞ。 |
柏木 翼
第1話 行ってきます | |
---|---|
柏木 翼 | おはようございます。プロデューサー。 |
おはよう | |
柏木 翼 | ついに顔合わせの日が来ましたね…オレ、なんだか不思議な気分です。 |
TVの企画とはいえ、輝さんや薫さん以外の人とユニットを組むなんて。 | |
頑張ろうね | |
柏木 翼 | はい! |
今回のお仕事も、初めてのことだらけですけど… | |
オレ、たくさん活躍できるように頑張りますね! | |
柏木 翼 | 315プロダクションの柏木翼です!今回のユニットでは、リーダー兼センターを務めます。 |
短い間ですけど、今日からよろしくお願いします! | |
クールなアイドル | …………ッス。 |
フレンドリーなアイドル | お前、挨拶くらいちゃんとしろよな! |
…柏木さん、よろしくお願いします! | |
第2話 新米リーダー | |
柏木 翼 | 改めて、よろしくお願いします。 |
リーダーは初めてですが、頑張りますね! | |
フレンドリーなアイドル | こちらこそ!柏木さんと一緒にユニットが組めるなんてうれしいです。 |
クールなアイドル | …っス。 |
柏木 翼 | (な、なんか2人のテンションに温度差が…うまくやっていけるかな…) |
それじゃあ早速、練習をはじめていきましょうか。 | |
クールなアイドル | ヤバイと思ったからヤバイって言ってるだけだろ…話、もう済んだよな。 |
フレンドリーなアイドル | いや、終わってないだろ! |
内容より、君の態度が問題だって言ってるんだ! | |
柏木 翼 | あ、あの…2人とも、落ち着いて… |
柏木 翼 | プロデューサー、すみません…2人の言い争いを止められなくて。 |
励ましの言葉をかける | |
柏木 翼 | …ありがとうございます。 |
リーダーなら、もっと前に出ないとダメですよね! | |
第3話 怒りの矛先 | |
柏木 翼 | …えっと…2日目の練習はこれで終わりにしましょうか。 |
フレンドリーなアイドル | はいっ!今日もすごく勉強になりました。明日もよろしくお願いします。 |
クールなアイドル | や…全然ダメだったっスよね? |
俺ら…なんかダンスもバラバラだし… | |
柏木 翼 | ふふ、最初は誰でもそんな感じだと思います。心配しなくても… |
クールなアイドル | …なんで、そんなにニコニコしてるんスか? |
柏木 翼 | …え? |
クールなアイドル | 柏木さんはいつもヘラヘラしてて。意味わかんないッス。そんなに楽しいっスか? |
柏木 翼 | はい、楽しいです。アイドルとしてステージに立つときも、レッスンのときも… |
クールなアイドル | ふーん… |
DRAMATIC STARSってよっぽど楽な馴れ合いユニットなんスね。 | |
柏木 翼 | …!?それって、どういう意味ですか…? |
クールなアイドル | 別に。 |
どうせ、遊びでやってるユニットなんだろうなって思っただけッス。 | |
柏木 翼 | ……DRAMATIC STARSには、遊びでやってる人なんて1人もいません。 |
…そんな人は、1人もいないんです。 | |
あ… | |
ご…ごめんなさい… | |
ちょっと頭を冷やしてきます。 | |
第4話 温もりに囲まれて | |
柏木 翼 | はぁ… |
好きなものを頼んでいいよ | |
柏木 翼 | …ありがとうございます、プロデューサー。食事に誘ってくれて。 |
怒ってスタジオを出ていくなんて…大人げなかったですよね。 | |
でも、悔しくて… | |
すみません、お言葉に甘えて頂いちゃいますね。 | |
コレとコレとコレと… | |
あと、ここからここまで全部お願いします! | |
柏木 翼 | …うん…この厚切りステーキもいけますね。ごちそうさまでした。 |
じゃあ次はシメのお寿司… | |
ぱくっ… | |
うっ! | |
…サビ抜きで注文するの忘れてました…オレ、ワサビ食べられなくて… | |
あはは…ワサビが苦手なんて、やっぱりオレは子どものままですね。 | |
…でも、子どもっぽい自分を誰かに見せられる今は… | |
幸せです。 | |
昔ならきっと、こういう時… | |
1人になりたがったと思いますから。 | |
第5話 夢の航空路 | |
柏木 翼 | 昔というのは、パイロットを諦めた時のことです。 |
…それまでのオレは、自分で言うのも恥ずかしいですけど、 | |
大きな挫折なんて、したことがなかったんです。 | |
親からも周囲からも、「できる子」だって太鼓判を押されてました。 | |
そんな評価を、オレ自身も疑っていませんでした。 | |
でも、憧れの初フライトで… | |
…あの時はさすがに、いつもみたいな笑顔ではいられなくて。 | |
そんな自分を隠そうと、発着場なんかに逃げ込んで、1人で腐ってたのに。 | |
…アイドルになってからは、こんなふうに隠さなくなっちゃいました。 | |
どんなオレを見せても、あなたが…輝さんや、薫さんが。 | |
大丈夫だって背中を押してくれるから… | |
なんて、甘えてるんです。 | |
…これって、薫さんに言わせれば「堕落」になっちゃいますかね。ふふ。 | |
第6話 アイドルの証明 | |
柏木 翼 | プロデューサー。昨日は話を聞いてくれてありがとうございました。 |
たくさん食べたおかげで力が出ました… | |
今なら、ちゃんと言えそうです。 | |
柏木 翼 | おはようございます! |
今日は練習に入る前に、少し時間を貰ってもいいですか? | |
どうしても、あなたに、昨日の発言を撤回してほしいんです。 | |
クールなアイドル | 撤回…ったって、他の2人でも呼んでくるんスか? |
柏木 翼 | オレはアイドルだから、ステージで見せるパフォーマンスがすべてです。 |
だからこういう方法でしか証明できません。 | |
…スタッフさん、これを流してもらえますか? | |
聞いてください。 | |
『DRIVE A LIVE』 | |
第7話 氷解 | |
柏木 翼 | …はぁ…はぁ… |
フレンドリーなアイドル | す…すごい…!これがDRAMATIC STARSの柏木さん…! |
クールなアイドル | …… |
柏木 翼 | …はぁ、はぁ… |
認めてもらうにはまだ足りなかったでしょうか。 | |
クールなアイドル | いえ、失礼なことを言ってすみませんでした。 |
俺、DRAMATIC STARSはイロモノアイドルユニットなんだって思ってました。 | |
元パイロットに元弁護士、元医者って意味わかんねーし。 | |
だから真面目にやる気はないって決めつけて八つ当たりもしちまって… | |
一緒に仕事をする仲間なのに…すみません。 | |
柏木 翼 | オレが元パイロットであることは、いつまでも変わりません。 |
でも、そんなオレをアイドルにしてくれるのは、仲間やファンのみんななんです。 | |
第8話 笑顔の理由 | |
柏木 翼 | オレ、自分の歌やダンスで笑顔になってくれる人のことをよく考えるんです。 |
そうするとオレも笑顔になれて、絶対に叶えなきゃって気持ちになって… | |
だからオレ、いつも笑ってるんだと思います。 | |
そうだ! | |
2人とも、今から一緒にやってみませんか? | |
目を閉じて、キラキラの笑顔でいっぱいになった観客席を想像したら… | |
ほら、自然と笑顔になってきませんか? | |
フレンドリーなアイドル | …はい!なんというか、幸せな気持ちになりますね。 |
クールなアイドル | …絶対に実現したいって思ったッス。 |
柏木 翼 | ふふ、ようやく同じ気持ちになれましたね。 |
それじゃ改めて、これからよろしくお願いします! | |
第9話 柏木 翼 | |
柏木 翼 | いよいよ本番ですね。 |
オレたち3人で、夢を現実に変えましょう! | |
フレンドリーなアイドル | はい!行きましょう、リーダー。 |
クールなアイドル | 会場は満員ッス…全員、笑顔にしましょう。 |
柏木 翼 | プロデューサー、今回はたくさん、カッコわるい姿を見せちゃいましたね。 |
でもその分、ステージの上ではカッコイイオレを見せるつもりです。 | |
あなたがデビューさせたアイドル、柏木翼が最高にカッコいいアイドルだってこと、 | |
それをここで証明してきます。 | |
だから、絶対に目を離さないでください。 | |
期待してる | |
柏木 翼 | はい…! |
それじゃ、行ってきます! | |
柏木 翼 | みなさーん!こんにちはー!オレたちは… |
最終話 ただいま | |
柏木 翼 | ただいま戻りました! |
…はぁぁ、やっぱりここは落ち着きますねー。 | |
プロデューサー、今回は素敵な機会をありがとうございました。 | |
改めてになりますけど… | |
これからもよろしくお願いしますね! | |
もちろん! | |
天道 輝 | おかえり、翼!無事帰ってきたみたいだな。 |
柏木 翼 | 輝さん!それに薫さんも! |
わぁ…!ただいまです! | |
桜庭 薫 | その顔を見るに、ライブは成功だったようだな。 |
柏木 翼 | おかげさまで…いろいろとプロデューサーに助けてもらっちゃいましたけど。 |
天道 輝 | いろいろって…困ってたんなら俺も助けに行ってやったのに。 |
桜庭 薫 | やめておけ。君では場をいたずらに引っ掻き回すだけだろう。 |
天道 輝 | なんだとー!? |
柏木 翼 | ははは、2人とも、ケンカはダメですよー! |
(ふふ、これからも、みんなで一緒に頑張っていきましょうね!) |
Altessimo
都築 圭
第1話 突飛なイントロダクション | |
---|---|
神楽 麗 | 都築さんへ、密着取材の依頼が来ているんですか? |
なるほど、次にわたしたちが出演するバラエティ番組で使う、と… | |
都築 圭 | ふうん。僕の謎に包まれた私生活に迫る…ね。 |
包んだ覚えはないけど、別にいいんじゃないかな。 | |
神楽 麗 | 別にいいって。まるで他人事ですね… |
都築さんの私生活…放送事故にならなければいいですが。 | |
それ以前に、番組のスタッフに迷惑をかけてしまうのでは… | |
都築 圭 | そんなに心配しなくていいんじゃないかな。 |
プロデューサーさんが同行してくれるそうだから、なんとかなるよ。 | |
ね、プロデューサーさん。 | |
第2話 捉えどころのないワルツ | |
番組スタッフ | 本日はよろしくお願いします。早速、撮影についてですが… |
こちらから質問をすることもありますが、基本はいつもどおりで。 | |
素の表情がほしいので、カメラを気にせずリラックスして過ごしてください。 | |
都築 圭 | わかった。それならいつもどおり…そうだ、音を探しに行こうかな。 |
都築 圭 | このソファ、寝心地がよさそうだ。おやすみなさい… |
都築 圭 | へえ。電子ピアノのお試しコーナーか…少し弾いてみようかな。 |
(♪) | |
おや、人がたくさん集まって来たね…まあいいか。演奏を続けよう。 | |
数時間後… | |
都築 圭 | ふふ、プロデューサーさんと一緒だからか、いつもより色々できるみたいだよ。 |
番組スタッフ | じ、自由過ぎる…あの、都築さんって、いつもこうなんですか? |
いつも通りです | |
都築 圭 | おや、どこかから魅力的な音が聞こえる…あっちだ。 |
第3話 記憶に繋がるインテルメッツォ | |
都築 圭 | 素敵な祭囃子だ…そういえば、麗さんと聞きに来たこともあったな。 |
人の足音、鉄板が焼ける音、笑い声…ここは楽しい音で満ちている。 | |
番組スタッフ | 楽しい音ですか。あの、現在は作曲はされていないとのことですが… |
やはり、今も音へのこだわりは強いんですね。何か理由があるんですか? | |
都築 圭 | そうだね……Altessimoの活動のため…かな。 |
色々な音の表現を知っておくことは悪いことではないはずだから。 | |
…さて、僕はもう少し、このお祭りを見て回るとするよ。 | |
都築 圭 | あ、ここは……わたあめの出店か。 |
………… | |
…申し訳ないけど、今日の撮影はここまでにしてくれるかな…じゃあ。 | |
番組スタッフ | 都築さん、険しい顔をしていましたが…体調が悪くなったんですかね? |
スタッフに謝罪をして、急いで都築さんを追いかけた。 | |
第4話 思い出のプレリュード | |
都築 圭 | …さっきは、ごめん。嫌なものを見てしまったから、つい。 |
僕はわたあめが嫌いでね。機嫌が悪く見えたならそのせいだ。 | |
…もう暗くなってしまったけど…まだここにいていいかな? | |
まだ帰らない? | |
都築 圭 | うん。今は少し、ここで音楽を聞いていきたい気分なんだ。 |
…良かったら君も聞くかい?イヤホン、片側貸してあげるよ。 | |
聞かせてください | |
イヤホンからピアノの旋律が聞こえ始める。落ち着いた曲調のようだ… | |
都築 圭 | …この曲はグノーの「アヴェ・マリア」。幻想的な旋律だろう? |
わたあめなんて久しぶりに見たからか、この曲を聞きたくなったんだ。 | |
この曲はね…僕が音楽の道に入ったきっかけのひとつなんだよ。 | |
第5話 軽やかなバラッド | |
都築 圭 | 僕がまだベルリンに住んでいた頃、夜遅くのことだった。 |
住んでいたアパート裏のコンサートホール…そこからこの曲が聞こえてきたんだ。 | |
美しい旋律に導かれるままホールへ向かった僕は、「天使」と出会った。 | |
その人は音楽家を目指していてね…ピアノの練習をしていたそうだ。 | |
その日からは毎晩、2人で音楽に明け暮れたよ。 | |
あの人のピアノと僕の歌声。音楽で繋がる幸せな時間…僕の青春さ。 | |
ただ、日々音楽ばかりだった僕たちだけど、クリスマスは特別でね。 | |
ドイツのクリスマスは賑やかで、その日ばかりは2人で街に出かけたんだ。 | |
聖歌隊の歌を聞きに教会へ赴いたり、色々な催しを行うステージを観たり… | |
お金を出し合って買った食べ物を分けたり。貧乏なりに楽しんでいたよ。 | |
…実は、わたあめはその人の大好物だったんだ。いつも買っていたよ。 | |
…思えば、あの人もわたあめみたいに、フワフワした人だったな… | |
僕に音楽という世界を魅せてくれた、大切な人だった。けど… | |
幸せな時間って、どうして突然終わりを迎えるんだろうね。 | |
…ある日を境に、その人はコンサートホールに現れなくなったんだ。 | |
第6話 天へ消えたソナタ | |
都築 圭 | 風の噂で、その人は音楽家として成功を掴み、ベルリンを去ったと聞いた。 |
それを知ったのは、ずいぶん時間が経ってから。 | |
まるで糸が切れたかのように突然で。最初は夢を見ているのかと思った。 | |
その日から、ね…僕にとって、わたあめは特別な食べ物なんだ。 | |
大切な思い出と、大切な人との別れを、思い出してしまうから。 | |
ベルリンで出会った天使、曲を提供した1人のアイドル、果ては、母でさえも… | |
僕にとって大切な人たちは、いつもあっけなくいなくなってしまう。 | |
まるで、口に入れたらすぐに溶けて消えてしまう…わたあめのように。 | |
だから、わたあめを見ていると、たまらなく寂しい気持ちになる… | |
……君も、いつか突然いなくなってしまうのかな。 | |
そんなことはない、と力強く首を振った。 | |
都築 圭 | …ありがとう。プロデューサーさんにそう言ってもらえると嬉しいよ。 |
あの日、もしも君が僕を見つけてくれなかったとしたら… | |
僕は今でも1人で、雨の中をさまよい続けていたと思う。 | |
君がいるから、僕は今ここにいる。音を楽しみ、音を紡ぐことができる。 | |
僕をこの世界に繋ぎ留めてくれたのは、他の誰でもない…君だよ。 | |
第7話 暁光のシンフォニー | |
都築 圭 | ふふ、少し話し過ぎてしまったかな、ちょっと疲れてしまったよ。 |
君と出会ってから、たくさんの「初めて」を経験したけど。 | |
こんな話をしたのも、君が初めてかもしれない。 | |
君の不思議な魅力がそうさせるのかもしれないね。不思議な魅力…あ。 | |
動かないで。そのままで…君を見ていたら、音が浮かんだんだ。 | |
足音も立てないで…息遣いを聞かせて。君がここで生きていることを。 | |
恥ずかしい…?そこをなんとか頼むよ。 | |
わかった、少しなら動いてもいいよ。それも含めて、君の音だからさ。 | |
君のすべてを僕に聞かせてほしい…そう、そうだ。 | |
…うん、いいね。君のおかげでまたいい曲が作れそうだ。ふふ。 | |
明日も撮影なんだよね?今度は迷惑をかけないように気をつけるよ。 | |
あまり気負わないでください | |
都築 圭 | そうだね…色々とありがとう、プロデューサーさん。 |
第8話 Duett | |
司会者 | …以上、都築さんの謎に迫るのコーナーでした! |
いやー、謎は明らかになるどころか更に深まりましたねえ。しかし… | |
ピアノの即興演奏は流石でした。もう作曲をするおつもりはないんですか? | |
都築 圭 | …それは… |
神楽 麗 | 今は作曲はしていませんが、Altessimoとしての活動をしています。 |
歌を歌うことも、作曲も、音を生み出す点では同じです。 | |
都築 圭 | …そう。麗さんの言う通り、今の僕はアイドル…Altessimoの一員だから。 |
Altessimoとしての、僕たちの音を聞いてほしい。 | |
都築 圭 & 神楽 麗 | (♪) |
都築 圭 | (…また、麗さんに助けられてしまったな) |
(麗さんの歌声はかけがえのない、素晴らしい歌声だ) | |
(僕はこれまでに、たくさんの別れを経験してきたけれど…) | |
(今こうして、ここにいて…彼に出会えて、本当によかった) | |
第9話 青空に響かせるコンチェルト | |
神楽 麗 | バラエティ番組、無事放送されたようだ。評判も上々らしい、よかった… |
都築 圭 | 麗さん、少しいいかい。プロデューサーさんに内緒で手伝ってほしいことが… |
神楽 麗 | 内緒…?でしたら、場所を変えたほうがよさそうですね。行きましょう。 |
都築 圭 | …これを見てくれるかい。 |
神楽 麗 | (これは、都築さんの新曲…!珍しいな、何度も書き直した跡がある) |
穏やかで優しい曲ですね。しかし、ここまで書き直しがあるのも珍しい… | |
都築 圭 | ここ最近の出来事をきっかけに浮かんだインスピレーションを元に書いたんだ。 |
一緒に演奏してくれないかい?麗さんさえよければ、だけど。 | |
神楽 麗 | ここ最近の出来事で…プロデューサーさんには内緒だということは… |
もしかして、この曲を書いたのはプロデューサーさんのためですか? | |
都築 圭 | 言わなくてもわかるとは、さすがだね…この曲は、今の僕も表している。 |
Altessimoは麗さんと僕、2人いないと成立しない。だから… | |
神楽 麗 | もちろんです。都築さんの頼みであれば喜んで! |
都築 圭 | ありがとう…ふふ、麗さんと一緒ならきっといい音になるよ。 |
最終話 poco a poco | |
都築 圭 | やあ、プロデューサーさん。急に呼び出してごめんね。来てくれてありがとう。 |
実は…プロデューサーさんへの日頃の気持ちを込めた曲が完成してね。 | |
お礼になるかわからないけど。君に披露したくて、ここへ呼んだんだ。 | |
僕は君だけでなく、麗さんにもいつも助けられてばかりだけど… | |
プロデューサーさんがいなければ、そもそも麗さんと出会うこともなかった。 | |
Altessimoという新たな生きる意味を、君たちは僕に与えてくれたんだ。 | |
君たちに見捨てられてしまったら、僕は困ってしまうだろうなあ。 | |
だから、これからもよろしくお願いできるといいんだけど。どうかな? | |
当然です! | |
神楽 麗 | 言うまでもなくわたしもです。見捨てるなんて考えたこともありません。 |
都築 圭 | ありがとう…2人とも、最後まで僕の曲を楽しんでくれると嬉しいな。 |
…それじゃ、演奏を始めるとしよう。いくよ、麗さん。 | |
都築 圭 & 神楽 麗 | (♪) |
都築 圭 | (315プロダクションにはプロデューサーさんがいて、麗さんがいて、みんながいる) |
(そう。今は、1人じゃない…大切な人々がたくさんいる) | |
(poco a poco。これからもみんなと、ゆっくり歩めますように…) |
神楽 麗
第1話 新たな挑戦 | |
---|---|
神楽 麗 | バラエティ番組への出演オファーが、Altessimoではなくわたし1人に? |
都築 圭 | ドラマの主題歌を巡って、アイドルたちが課題に挑むリアリティーショー、だって。 |
神楽 麗 | この番組は公開オーディションの形式だが、バラエティ要素はだいぶ強いと聞く。 |
バラエティか…わたし1人で務まるだろうか。 | |
大丈夫そう? | |
神楽 麗 | 正直に言えば、不安に思う部分も多い。もう少し判断材料が欲しいな。 |
番組の企画書があるなら見せてもらえないだろうか? | |
少し不安そうな様子の麗に、オーディション番組の企画書を渡した。 | |
神楽 麗 | (…!このドラマの原作タイトル、見た覚えがあるな。確かあれは…) |
この作品の主題歌を担当するチャンスとなるなら、やってみたいと思う。 | |
都築 圭 | 迷いはなくなったようだね。麗さんがやりたいと思うなら、大丈夫だよ。 |
神楽 麗 | ふふ、ありがとうございます、都築さん。 |
さて、そうと決まればオーディションの対策を練らなくてはいけないな。 | |
第2話 何事にも真摯に | |
麗はドラマの原作漫画を熱心に読んでいるようだ。 | |
その漫画、好きだったの? | |
神楽 麗 | む、貴殿か。いいや、読んだのはこれが初めてだ。 |
実は以前、ファンレターでこの作品を勧めてもらったことがある。 | |
普段から漫画を読む習慣がないのもあり、今まで読めずにいたのだが、 | |
音楽を題材にした漫画だというので、気にはなっていたんだ。 | |
今回、この作品に携わる機会が巡ってきたのも何かの縁かもしれない。 | |
少女漫画なんだね | |
神楽 麗 | ああ。弦楽器に青春をかけた少女の恋愛模様をコミカルに描いている。 |
漫画的な誇張もあるが、この作品に出てくる登場人物たちの、 | |
音楽に対する真摯な姿勢には、同じ演奏家として共感を覚える。 | |
オーディションでは何がヒントになるかわからない。しっかり読み込もうと思う。 | |
第3話 挑戦の始まり | |
番組司会者 | 最後の挑戦者はこちら!315プロダクションから、Altessimoの神楽麗さん! |
神楽 麗 | はい、よろしくお願いします。 |
番組司会者 | この番組のオーディションは過酷ですよ。覚悟しててくださいね~! |
さて、最初の課題へ挑む前に、何か意気込みなどがあればどうぞ! | |
神楽 麗 | はい、このドラマの主題歌を歌えるように…必ず、勝利して見せます。 |
番組司会者 | おおっと出ました勝利宣言!これは楽しみです! |
では頑張っていただきましょう!早速、最初の課題です! | |
アイドルには基礎体力が欠かせません!『山あり谷あり!障害物競走』~!! | |
神楽 麗 | (障害物競走…最初の課題は体力勝負ということか) |
(過酷な戦いになるだろうが…必ず勝ち抜いてみせよう) | |
第4話 決戦に向けて | |
番組司会者 | 以上、『気持ちを込めて!演技テスト』でした!では続きましては… |
神楽 麗 | (…よし!手ごたえを感じる。審査員からの評価も上々のようだ) |
(これまで、アイドルとして様々な仕事を経験してきたおかげだな) | |
都築 圭 | 麗さん、お疲れさま。 |
神楽 麗 | 都築さん。応援に来てくれていたんですね。 |
都築 圭 | もちろんだよ。つぎはいよいよ最終選考だね。 |
神楽 麗 | はい。撮影は一週間後…ようやく歌唱試験です。 |
都築 圭 | これまで行ってきたのは体力テストに運、素早さ、演技、発想力… |
随分と、いろいろな課題に挑戦していたみたいだね。 | |
神楽 麗 | そうですね。何の意図があっての課題なのかわからなかったのですが… |
一見すると荒唐無稽に見えるそれぞれの課題を振り返ってみると、 | |
いずれもドラマの原作の主題となる部分に通じていたのかな…と。 | |
課題を突破できたのも、原作漫画を読み込んでいたからかもしれません。 | |
都築 圭 | そうだったんだ。麗さん、あの漫画を随分熱心に読んでいたものね。 |
神楽 麗 | はい。真剣に向き合って良かったと思っています。 |
ここまで来たからには、最後の歌唱試験も、必ず突破してみせます。 | |
都築 圭 | ふふ、僕もプロデューサーさんも協力は惜しまないよ。何でも相談してね。 |
第5話 忍び寄る闇 | |
神楽 麗 | 最終選考に備えて、ボイストレーニングの個人レッスンを申し込みました。 |
都築 圭 | ふふ、頑張っているね。演奏が必要な時は声をかけて。 |
??? | あー、神楽麗くんに都築圭さん。そして、そのプロデューサーさんかな。 |
麗たちが振り返ると、ガタイのいい男性と気の弱そうな少年が立っていた。 | |
都築 圭 | 麗さん、こちらは? |
神楽 麗 | オーディションの選考でわたしと最後まで一緒に残ったアイドルです。 |
気弱そうなアイドル | …こ、こんにちは。 |
別プロダクションの社長 | 最終選考進出おめでとう。まあ私は最初から君が残ると思っていたがね。 |
ところで…今日は315プロダクションさんにお願いがあってきたんだ。 | |
今回のオーディション、うちに譲ってくれませんか? | |
神楽 麗 | っ!な、なんだと…!? |
別プロダクションの社長 | ああ、もちろnタダでとは言わない。言い値を払いますよ。 |
この子を売り出すためのプロモーション費用と思えば安いもんだ。 | |
彼はうちの金の卵なんだよ。このチャンスをものにすれば大きな金が動く! | |
神楽麗 | (この男…口を開けば金、金と…金のことばかりを…) |
その提案は受け入れられませんと、毅然とした態度で対応した。 | |
別プロダクションの社長 | 悪い話じゃないと思うんだが…ま、出直させてもらうよ。ほら、行くぞ。 |
彼らが立ち去った後、麗の調子が悪そうに見える… | |
都築 圭 | 麗さん…大丈夫かい?顔色が悪いように見えるけれど。 |
事務所で休んでいくように促す | |
神楽 麗 | お2人とも…心配かけてすみません。そうさせてもらいます。 |
第6話 白き翼 | |
事務所でしばらく休んだ麗は調子を取り戻したようだ。 | |
神楽 麗 | 貴殿、すまない…都築さんにもご心配をおかけしました。 |
都築 圭 | 僕は構わないよ。でも、あまり無理はしないで。 |
神楽 麗 | はい…ありがとうございます。 |
(あの時と同じだ。多くの陰に囲まれて撮影をした時と) | |
(既に振り切ったはずだ。過去の陰など…しかし…) | |
(人の才を金儲けの道具としか考えていない言葉を聞いたことで、) | |
(わたしの思う以上に、堪えるものがあったようだな…) | |
都築 圭 | …?麗さん? |
無理はしないよう改めて伝える | |
神楽 麗 | ああ…ありがとう。もう大丈夫だ。 |
(わたしはもう1人ではない。心から信頼できる大切な人たちに囲まれて) | |
(Altessimoという純白の翼で、飛び立つことができるんだ) | |
第7話 覚えのある絶望 | |
神楽 麗 | いよいよ最終選考当日か。緊張がないと言えば、噓になるが、 |
集中的にボイストレーニングも行ったし、準備は万端…きっと、大丈夫だ。 | |
そばで支えてくれた貴殿と都築さんには、感謝してもしきれない。 | |
最終選考で結果を出すことで、その返礼としたい。見ていてくれ。 | |
気弱そうなアイドル | 神楽さん。あの…おはようございます。 |
神楽 麗 | っ…!貴殿は、先日の… |
わたしに、何の用だろうか。勝敗の件なら、何度来られても返答は… | |
気弱そうなアイドル | いえ…先日は、うちの社長が失礼なことを言ってすみませんでした。 |
社長がお金で仕事を取ろうとするのは、今回が初めてじゃないんです。 | |
神楽 麗 | …貴殿は、あの社長から相当期待されているように見えたが。 |
気弱そうなアイドル | 俺はこんなことはやめにしたい…罪悪感で押し潰されそうなんです! |
このまま人前で歌い続けることなんて、できそうにありません。 | |
神楽 麗 | (…そうか。彼も苦しんでいるのか…) |
気弱そうなアイドル | この勝負、辞退させてください。俺は…アイドルをやめようと思います。 |
その前に、神楽さんにはちゃんと謝っておきたくて。 | |
神楽 麗 | …すまないが、貴殿の提案は受け入れられないな。 |
第8話 信じてほしい | |
神楽 麗 | 自身の奏でる音や魅力ではなく、どれだけ金が稼げるかだけを |
考えて接してくる人物への不信感には、わたしにも覚えがある。 | |
…正直、今でも怖く思ってしまうことはあるからな。 | |
しかし、わたしは心から信じられる人たちと出会うことができた。 | |
不信感も恐怖も完全に消してしまうことはできないが、 | |
そばで支えてくれる人や、応援してくれるファンの期待に応えたい。 | |
今もステーージに立ち続けることができるのは、信じられる人たちがいるからだ。 | |
もし、今の貴殿に信じられる人がいないなら…わたしが1人目になろう。 | |
気弱そうなアイドル | 信じられる人に…神楽さんが? |
神楽 麗 | そうだ。そして貴殿の歌と、真っ向から向き合いたいんだ。 |
気弱そうなアイドル | 俺の歌と…はい、ありがとうございます。俺、本気で歌います! |
神楽 麗 | ああ。お互いに全力を尽くし、正々堂々と勝負をしよう。 |
いい激励だったね | |
神楽 麗 | 我ながら勢いに任せて偉そうなことを言ってしまったかもしれない… |
しかし彼に伝えたことに嘘偽りはない。 | |
ちゃんと勝負すると決めた以上は、わたしも勝ちにいかなくてはな。 | |
第9話 きっとまた、どこかで | |
数週間後。麗はドラマ主題歌の収録のため、スタジオを訪れていた。 | |
神楽 麗 | 機材の準備が整うまで待機だそうだ。貴殿も少し休んでいよう。 |
…それにしても驚いた。まさか彼がエンディングを歌うことになるとは。 | |
あれだけ審査員の票が見事に二分されてはな。 | |
この展開も、あの社長によって仕込まれていたことかもしれないな… | |
どこまで筋書き通りなのかは見当もつかないが、気にしても仕方がない。 | |
彼とわたしは間違いなく真剣に歌い、競い合うことができた。 | |
またどこかの現場で出会えることを、楽しみにしているよ。 | |
おや…準備ができたようだ。 | |
行ってくる。貴殿もそこで聴いていてくれ。 | |
最終話 神楽 麗 | |
神楽 麗 | 貴殿、待たせたな。 |
収録お疲れ様 | |
神楽 麗 | ああ。精一杯歌った。この歌が皆の元に届くのが今から楽しみだ。 |
神楽 麗 | 今回の仕事、アイドルになったばかりのわたしなら、もしかすると… |
引き受けることはなかったかもしれない。 | |
仮に受けていたとしても、おそらくどこかで躓いていただろう。 | |
自分を必要としてくれる都築さんや、心から信頼できる貴殿… | |
個性豊かな315プロダクションの仲間たち…多くの人との繋がりや、 | |
経験のひとつひとつが血肉となり、私を変えたのだろう。 | |
これからもまだ成長できる | |
神楽 麗 | ふふ、ありがとう。貴殿がそう言うならばそうなのだろうな。 |
これからも大切な人たちを支え、その手を引いていけるように | |
より成長し、Altessimoとしても、わたし個人としても高みを目指したい。 | |
この先も貴殿とともに歩むことができれば何よりも嬉しい。 | |
これからも、よろしく頼む。 |