【ドラゴンクエスト 天空物語】

Last-modified: 2024-05-05 (日) 13:06:29

概要

【ドラゴンクエストV 天空の花嫁】がモチーフの漫画作品。
作者は【ドラゴンクエスト4コママンガ劇場】で活躍した【幸宮チノ】
【月刊少年ギャグ王】、Gファンタジー増刊ステンシル、【月刊ステンシル】と月刊季刊のガンガン系列の雑誌を次々と歩き回り、1997年の連載開始から実に7年の時を経て最終的に【月刊Gファンタジー】にて完結した。単行本全11巻。
 
舞台は【主人公(DQ5)】が石化されている間の世界。
DQ5の主人公の子供の双子で「天空」を意味する遠い国の言葉から命名されたグランバニア王子「テン」と、同王女「ソラ」が石像にされ行方不明となった父・グランバニア王を探して冒険を繰り広げるというDQ5のゲーム本編では描かれていない、あの “空白の8年間” の物語が描かれている。
 
DQ5ではおなじみの【仲間モンスター】達(【スラリン】【ゲレゲレ】【ミニモン】【ホイミン】【ダニー】【ドラきち】【コドラン】が登場する)をはじめ、召使い【サンチョ】や、双子たちの父のいとこである【ドリス】【ストロスのつえ】の伝説に関わるオリキャラの「カデシュ」が冒険のパーティメンバーに加わって活躍。にぎやかな旅が展開される。
なお、ドリスに関しては単行本の一部の巻では「テンとソラのいとこ」と誤った説明がされているが、正しくは親のいとこ(従叔母)である。
ちなみに、DQ5の仲間モンスターの顔とも言うべき【ピエール】は本作では未登場となっている。理由はこちらを参照。
 
基本的にポップでかわいらしい作風だが、時にはシリアスな展開を見せる事も。
作者が4コマ劇場の作家なだけあって、ギャグシーンも頻繁に挿入されており、ドリスとオリジナルキャラクターの男性との恋愛要素もある等、見る人を飽きさせない工夫がなされている。
ちなみに掲載誌移籍のタイミングに伴い、それまで鼻が省略されていた主人公達も、途中から鼻が描かれるなどのリニューアルがされたこともあるが、単行本などで続けて見ると若干違和感を覚えるはず。
 
主役である双子たちだが……原作の方ではPS2版リメイクまではただ双子というだけで、兄や妹など明確な描写はなかったが、この作品では双子の「兄妹」であると明言されている。
 
子供目線の物語という事もあってか、敵モンスターは大きく、凶暴に見せている場合が多い。
原作に出た呪文や技がちゃんと使われているが【メラ】【ギラ】といった王女が本来は習得しない呪文を使ったりする。 
ゲーム本編には登場しないオリジナルの城・町・キャラクター・アイテムなども多数登場。
ロトの紋章やトルネコ一家の冒険記と同様に正史には入らないパラレルと言える。
 
また、本作では原作キャラやオリジナルキャラの服装が頻繁に衣替えされているが、その中にはタートルネックとジーンズなどという中世ヨーロッパ的なファンタジー感のあるドラクエ世界から見ると非常に珍しい現代的(特に平成中期)なファッションセンスも多々見られる。
それ以外にも、小物や演出など所々にファンタジーと現代的なものを掛け合わされたようなものもあるため一見の価値あり。
 
父である主人公と再会したところ、つまりゲームでいう青年時代後半スタートで物語は終わり、母の救出シーンやラスボスを倒すシーンなどは省略されている。
石化を解除して本当の戦いはこれからだ的な終わり方は無く、巻末にエピローグが掲載されている。
単行本のオマケ「ゆきみやのうらばなし」によると、この件に関しては「ゲームの内容をどこまでやってくれるんですか?」など読者からの手紙でも質問されたようだが、主人公を助けて終わりと連載開始時から決まっていたとのことで、幸宮自身も「親子揃って冒険しているところを描けなくて残念」と書いている。
 
数々のDQシリーズの漫画作品が電子書籍化・新装版化されたり、音沙汰もなく埋もれたりしているが、この作品については幸宮自身が「天空物語の復刊は不可能っぽい」と悟っている。読みたい方はお早めに。