エファンタジー/第十二話「やれやれぜー」

Last-modified: 2023-03-17 (金) 07:13:11

第十二話「やれやれぜー」



暗く哀しき過去を持つアルカー!
前回、彼は屈強な騎士団の鉄の布陣と対峙して、熾烈な戦いの果て、爆炎の中に消えた!
たった一人の男の意地に騎士団を打ち砕かれたEselin!
アルカーの身を案ずるふえうとVieli!
混沌極まる熊の山にまた何かが起ころうとしていた!〆(・ω・´)


「あ・・・、あああ・・・、アルカーが・・・。('д';)」
硝煙に阻まれてアルカーの姿はよく見えない。
しかし、それは幸いなのかも知れない。無惨な死体を隠してくれているのかも知れないからだ。
「な、なんという奴だっ・・・!その身を犠牲に騎士達を屠るとは!!」
一般のそれより戦い慣れした騎士団相手に一人でここまで立ち回って見せる。
そして、同時に誰かを護る為の戦いに準じ殉じる彼の姿は真の騎士では無かったか?
そんな彼は差し詰め、炎の刃を操る騎士だ。
爆炎の吹き起こす硝煙が頬と鼻を翳める中、Eselinはそんな事を思い、
同じ炎の刃を操る騎士は自身と爆炎の消えた騎士を比較して暗い表情を覗かせた。


「こちらの驕りがあったのやも知れんが騎士団を相手にここまでやってみせるとは、
見事としか言いようがあるまい。身を焦がしてまで戦ったあの男には素直に敬意を表する。
しかし・・・、しかし、あの男に免じて、貴様を見逃すという訳には行かん。」
Eselinは言葉の向き先を指し示すように剣を構える。向き先はVieli。
ここまでの犠牲を払ったのだから目的を果たさなければ騎士達の戦いも報われない、そう思っての言葉だった。
「うぅっ・・・!('Д';)」
向けられた切っ先の鋭さにVieliが後ずさる。
「どうした?恐れ震えるばかりか?
お前を護る為に散った意地を汲み取って抵抗の一つもしてやらねば、あの勇敢な男も浮かばれまい。」
EselinはVieliの反応に不満気にしてみせるが、
「いいえです~。アルカーさんは貴女の思うより、もう少しだけ姑息な人なのですよ~♪」
片目を瞑り、そのふとましい腕を後ろ手に何かを隠したふえうがチャーミングに微笑みながら言う。


「どういう意味だ?」
意外な言葉に振り向くEselinに見せ付けるかのように、
天高く、後ろ手に隠していたものを掲げるふえう。
それは如何にも特別と言わんばかりの装飾のされた瓶。
「えいっ!リザレクトポーションです~!」
ふえうは叫ぶと同時にアルカーにリザレクトポーションを使用する。
「なん・・・だと・・・!?(・д・;)」
キュィィィン!ふえうのリザレクトポーションが未だ硝煙吹き止まぬ爆心地に命の光を迸らせる。
そして・・・、
「姑息とか超心外だしっ!><」
「体張って戦ってたしっ!><」
「後、レゾナンスハーモニーとかも絶賛受付中だからっ!><」
神聖なる光に包まれ、鬱陶しい口調で立ち上がるのは、
「ま、リザポでの復活を期待してなきゃ出来ねぇ事だったがよ?(っ゚Д゚)┳」
その身すら焦がし兼ねない炎の騎士、アルカーだ。


「迂闊・・・!そんな物を隠し持っていたのか!(・д・;)」
勝利を確信していたEselinだけに流石に焦りを隠し切れない。
「さぁて、如何に腕の立つ女騎士様とて、
イーストウッドのイケメン、性悪暴力音楽女、破壊死魔女、
三人を同時に相手には出来ねぇんじゃねぇか?(っ゚ω゚)っ旦」
ポーションをぶっきらぼうに飲みながら万全の態勢を整えるアルカー。
「ぬぅ・・・!(・д・;)」
「姑息には姑息で返す俺だが姑息を貫く程に落ちぶれたくはねぇぜ?(っ゚ω゚)┳」
アルカーは銃を構える。しかし、そこに戦意は最早感じられない。
「っ・・・!貴様の勇気と姑息さに免じて、ここは一旦退こう。
騎士達も復活させねばならんしな・・・。」
3対1なんかで戦わせてくれるなよ、というアルカーの意思はEselinにも伝わったようだ。
剣を鞘に納めると彼女は三人に背を向けて歩き出した。
「・・・。( ゚ω゚(・∀・('д' )」
とりあえず難を逃れる事は出来たようだと三人は安堵する。


「我が騎士団を破った男。名を聞かせて貰おうか。」
溜息を漏らすアルカー達にEselinは突然振り返り尋ねる。
既に三人の会話から男の名を察してはいるが、それでもこの男の口からその名を聞きたくなったのだ。
「うぉっ!?俺か?俺の名は・・・。Σ(゚ω゚;)」
そして、突然の事にどぎまぎとしながらも、
「【正義の味方アルカー】だ。+(b*'ω'*)b+」
彼は実に鬱陶しい爽やか気な笑顔で答えた。
「ふん・・・、柄に合ったふざけた名前だな。覚えておくぞ。」
最初の印象とは異なり、呆れたような声をあげながらEselinは立ち去って行った。
再びアルカー達に背を向けた時、少しだけ笑っていたようにも見えたが、
アルカー達にその意味を知る術はない。


危機を回避した彼等は次なる危機を待つ事も無いと考え、
一旦アルカーの家に戻る事にする。
とりあえず、Vieliを如何するかを落ち着いて話し合う場所が必要であるし、
逃がすとしても準備に、匿うにしても隠れ蓑として、やはり家が必要だったからだ。


「ふぅ、やっと着いたか。(ヽ´ω`)」
やっとの思いで帰り着いたアルカー。彼は肉体的にも精神的にも限界を迎えていた。
「なんですか?この小汚ぇほったて小屋は?('д';)」
Vieliがどんな物を想像していたか安易に推測出来る上に酷い事この上ない発言をする。
「アルカーさんのお家ですよ~?(・∀・ )」
「こんな豚小屋みたいな所に私みたいな可憐な女の子を入れるでやがるですか!?('Д';;;)」
野生児かのように思われたVieliだが案外育ちの良い人間なのかも知れない。
「ぅるせぇっ!雨と風を凌げるだけ有難いと思いやがれ!(゚ω゚♯)」
失礼な発言の数々に憤慨したアルカーが荒々しく縄を引きVieliを引き摺る。
「この人でなしぃぃぃぃぃっ!(>Д<;)」
縄で縛られたVieliに豚小屋を脱する術は無かった。


「あっ・・・!(゚ω゚;)」
ドアノブに手を掛けたアルカーがピタリと固まる。
「どうしましたです?(・∀・ )」
「あ、いや、その・・・、ちょっと散らかってるから片付けタイムを所望するお!(^ω^;)」
そう、彼も元気な男の子。
女の子を家に招くとすれば失礼になるような本の一冊や二冊も転がっているわけだ。
「へぇ~?(・∀・ )」
悪戯な笑みを浮かべ、アルカーの顔を覗き込むふえう。
「アンタならどういう事か大体分かるだろ?!
もう、これ以上ボクを苦しめるな!/(^0^ )\」
脅しのネタをこれ以上増やされては敵わない。アルカーは必死に懇願した。
「はいはいです~♪じゃあ、早く片付けて来て下さいです~♪(σ・∀・)σ)ω;)」
アルカーの不様さ哀れに思ったのか、ふえうは珍しく彼の意思を尊重する。
人を脅したり弄んだりで楽しむ彼女だが案外と温情ある人間なのかも知れない。


「もうボク疲れたよママン。(ヽ´ω`)」
ふえうとVieliを軒先に待たせ、いかがわしい本の処理に急ぐアルカー。
精根尽き掛けた彼に更なる災いの影が・・・。
ガサゴソ!ガサゴソ!
「ちっ!シケてやがるのぜ。(・ω・♯)」
部屋に戻って来たアルカーに気付きもせず、
せっせとタンスを荒らすエルモニーが居た。
「セクハラ本ばっかりぜー。とんだスケベ野郎ぜー。(・ω・♯)」
恐らくアルカーの留守を狙った空き巣だ。
「目的の物は手に入ったけれども、
他にももう少し泥棒し甲斐のある物も置いておいて欲しいものぜー。
おもてなしの心ってのが足りねぇ家ぜー。(・ω・ )」
エルモニーから放たれるものは盗人猛々しいという言葉のそのままだ。
タンスのみならず物が入れられそうな場所は須らく物色されて荒らされている。
「コラァァァァァッ!!誰だテメェは!?何してやがる!?ヽ(゚Д゚♯)ノ」
突然の出来事に暫く固まっていたアルカーが遅れて叫び出す。
「うひっ!?ゲェーッ!?やべぇのぜ!Σ(・ω・ノ;)ノ」
アルカーの叫びにビクッと体を跳ね上げて驚く泥棒エルモニー。
焦りに焦った声を上げつつも、その行動は手馴れたもので、
パリーンッ!!アクション映画さながらに窓を割りながら家を出る。
「窓を割るなぁぁぁぁぁっ!!ヽ(゚Д゚♯)ノ」
「弁償はしねぇぜ!?三音三速三┏(-ω・*)┛」
怒り心頭のアルカーに泥棒エルモニーは可愛くウィンクを飛ばす。
「待ちやがれ!このコソドロがあああああ!(♯゚Д゚)┳* 三 ●」
彼の怒りのボルテージは最大だ。礼を払わぬ客人には鉛玉をお出しするのがアルカー家の流儀。


「バンディットガード!●ミ☆┣o(・ω・´)」
アルカーのお出した鉛玉を丁重にお断り。腕に装着したバックラーで弾く。
「なにぃっ!?(♯゚Д゚)┳」
「やれやれぜー。撃って来るとか恐ろしい奴ぜー。
ま、この弾はプレゼントとして貰っておくのぜー?('ω'*)」
勢いを失って宙に舞った弾をパシッと掴み、したり顔で言う。
絶対の自信を乗せた鉛玉を軽くいなされ弄ばれるアルカー。
「うぜぇぇぇぇぇっ!!(゚Д゚♯)」
この上なく悔しがる彼に、
「アルカー、矢張り記憶が・・・。
まぁ、仕方が無いぜー・・・。(・ω・ )」
突然としてコソドロエルモニーは訳の分からない事をのたまう。
「あんっ!?何言ってんだ?(゚ω゚ )」
面食らったアルカーの動きが止まる。
「・・・とかなんとか言って油断させてテレポートぜー!ヽ('ω'*)ノ」
「てめっ!(♯゚ω゚)┳」
まんまと時間稼ぎにはまったアルカーの隙を突いての瞬間移動。
「かかったな!アホが!ヽ('ω'*)ノ」※http://matome.naver.jp/odai/2133543713637171001/2133551659544372203
再びアルカーが銃を構えた頃にはコソドロエルモニーの姿は無かった。
「ふざけやがってぇぇぇぇぇっ!!ヽ(゚盆゚♯)ノ」
アルカーの怒りの叫びが辺りに虚しく響き渡る・・・。



面倒なイベントの数々を乗り越えてやっとお家に帰れたアルカー!
しかし!そんな彼の家には空き巣の魔の手が!
アルカーは一体何を盗まれてしまったのか!?
そして、最悪の登場をしたコソドロエルモニー!その正体とは!?次回!乞う、御期待!〆(・ω・´)