電力入札動向

Last-modified: 2012-05-12 (土) 12:39:20

平成23年度自治体等電力入札結果動向

平成22年度に比べ、kWhあたりの平均単価が10~30%(2円~4円)上昇する傾向
(5/11電気新聞http://www.shimbun.denki.or.jp/news/energy/20120511_01.html)。

官公庁や自治体が所有施設の電力入札を実施しても、応札する企業が現れず、現れても前年度よりも
高額入札(予定価格オーバー)となり入札不成立となる案件が増加した(平成24年1月~3月の実施
案件のうち約半数が不成立で再入札か随意契約)。自治体や官公庁は競争入札による価格低下に期待を
寄せたものの、全国的な電力供給不足で思うようにはいかなかった。この状況は短期的には原子力等の
停止発電所の稼働で需給不足が改善されないかぎりは続くと思われる。

理由として

・東日本大震災の影響もあり東京電力をはじめとした電力各社が入札への参加を控えたこと(競争減退)
・自治体の予算策定が過去の実績を元に算定したため?(電気代上昇分を見込んでいない)
・元々PPS(新電力)の供給力が多くないこと(IPPも震災以後電力各社等へ売電済)
・PPSの調達電力価格の上昇

このうち調達電力料金の上昇については、平成23年度に秋田市が実施したゴミ焼却施設での発電電力
売却が参考になる。最終的には12.81円でオリックスが落札。これは市側の予定売却価格8.93円より3.88円高い。

このような調達コスト上昇分や需給不足、今年の入札結果へ反映しているものと思われる。
また東電の家庭用10%値上げが取りざたされているが、現在の電力の需給不足の状況で家庭部門まで
自由化した場合、自由化されている特別高圧・高圧部門同様に電気料金は上昇する可能性が高い

秋田市電力売却状況

DSC_1628b.jpg

(参考)

  • 平均単価の説明と電気代の増加について
    平均単価とは落札価格を予定使用電力量で割ったもの。

    落札価格/予定使用電力量=111,321,456[円]/7,245,690[kWh]=15.36[円/kWh]

    仮に20%上昇した場合、15.36×1.2で18.43円/kWhと3.07円の増となる。

    よって(18.43円-15.35円)×7,245,690kWhで22,244,268円と年間約2千万円の電気代増加となる。

JEPX(日本卸電力取引所)電力卸売価格動向

いわゆる電気の東京証券取引所。当日のスポット取引や24時間後等の先渡し取引を実施している。
東日本大震災の時に東京エリアについて取引を停止していた。
総合資源エネルギー調査会電気事業分科会報告答申「今後の望ましい電気事業制度の骨格について」
(平成15年2月18日)の主旨に基づき,現物の電気のスポット取引並びに先渡し取引を仲介する
卸電力取引所として開設。

需要が不足したときにはスポット取引価格が上昇する(通常15円~20円/kWhで取引されているものが
30円/kWhとか)。30円/kWhはPPSが需給停止したときに、電力会社が補完送電するインバランス料金と
ほぼ同等の価格で、これは赤字価格。
インバランス料金を簡単にいうと、尻ぬぐい料金(悪い言葉ですが)。

日本卸電力取引所