スーパーチャージャー

Last-modified: 2022-06-06 (月) 21:49:30

機械式過給器のこと。ターボチャージャーがタービン式過給器に対してこちらはタービンだったりトロコイドだったりする。
本来は過給器そのものの意味であるが、ターボと混同するため自動車業界では過給器の一種として扱われている。*1

湾岸マキシに登場する車の中ではスバル・R2 (RC2)とシボレー・CORVETTE ZR1 (C6)と5DX+まで登場したRUF・RK coupeが採用車種であるが、R2はパワーチューニングStep1でいきなりエンジンが換装されてしまいC6コルベットとRK coupeもターボ化される為実質的に使える車は存在しない。
本作登場外だとメルセデス・ベンツSLRマクラーレンやAE92と101のレビトレ、ロータス・エキシージ辺りがこれにあたる。また、日産・マーチスーパーターボやフォルクスワーゲン・ゴルフVIのようにターボとスーパーチャージャーを併用する車種が存在した。
2022年時点の現行車種に絞ると、マツダ3のスカイアクティブX搭載車程度と、ターボに比べ数は圧倒的に少ない。

 

ターボとの決定的な違いは、ターボは排気ガスを利用してコンプレッサ(圧縮機*2)を駆動させ、吸気側に強制的に圧縮空気を送り込むのに対し、スーパーチャージャーはクランクシャフトから伝わる力…つまりエンジンの力をベルト等を利用してコンプレッサを作動させ、圧縮空気を吸気側に送り込む。
このためスーパーチャージャーはターボとは違い、ラグがほぼない状態で高密度の圧縮空気を吸気側に送り込むことが可能。

 

…要はどういうことか?

ターボの工程は…

  1. 排気ガスでタービンが回る
  2. シャフトを介してコンプレッサ側の羽(インペラ)が回る
  3. コンプレッサが作動することにより外気から空気を取り込む
  4. コンプレッサは圧縮空気としてエンジンの吸気側に空気を送る
  5. 4ストローク工程が終わり排気ガスができる→1に戻る

これに対しスーパーチャージャーは…

  1. エンジンが駆動する
  2. プーリーやベルトを介してスーパーチャージャーのコンプレッサが作動する
  3. 外気から空気を取り込む
  4. コンプレッサが圧縮空気としてエンジンの吸気側に空気を送る

…といった感じ。
このため、始動から排気ガスができるまで動かないターボチャージャーとは違い、始動した時点で動くためターボラグのない新鮮な圧縮空気を放り込むことが可能。

 

ここまで聞くとターボの利点もありつつ、ラグがないため夢のような過給器に思えるが実際はそうもいかない。

まずこのスーパーチャージャー自身にも複数の種類があり、遠心・ルーツブロア・スクロール・リショルムetc.……。とその種類も豊富。
就業・起業した湾岸マキシプレイヤーの中で工場勤務を行ったことのあるものならだいたい知ってるもの…。そう、工業用空気圧縮機もようはこれ。
大きな空気を送るためにはその分大きくないといけないが、ターボとは違い複数の種類がある挙句基本元々から大きい。このため場所をとるから設置したところで補機類が干渉するというのはザラ。
更にはベルトで駆動する都合上、クランクプーリーと同軸上に設置する必要がある。同じくクランクプーリーで駆動させるエアコンやウォーターポンプとのスペース競合があり、最悪エンジンの上にしか置けない→ボンネットに当たる→ボンネットごと交換というコンボを食らうことも。
挙句、排気ガスを使うためエンジン本体は影響を受けにくいターボと違い、エンジン本体の力を利用するためエンジン自身にも負荷がかかる。燃費悪化、最悪対応年数が早まることも…。
部品点数は少ないにもかかわらず、取り回し等で頭を悩ませられるのがスーパーチャージャー。

また、スーパーチャージャーの場合回転数がエンジンの回転に比例する都合上、どうしても高馬力化には向かない。
ターボであればブースト圧2kg/cmといった超高ブーストも可能だが、スーパーチャージャーではMaxで1kg/cm程度。
そのため低回転傾向のエンジンや、ターボ化しようとするとどうしてもツインターボにせざるをえないV型エンジンに相性がいいとされる。
V型エンジンの場合、Vバンクの谷間にコンプレッサを設置しやすいので、安価に済ませられるというのも相性のいい理由。
これらが複合してアメ車の大排気量V8には、アフターメーカーから様々なスーパーチャージャーキットが存在したのである。

超脱線ネタだが、スーパーチャージャーが決してハイパワーが出せないというわけではない。
ドラッグレースで使われるトップフューエルドラッグスター/ファニーカーに搭載されているエンジンはまさかのスーパーチャージャー仕様である。
8.2LV8にニトロメタン燃料を吹き込み、スーパーチャージャーで加給された空気がブチこまれるエンジン出力はなんと8500馬力!
ただ燃費は5m/Lという、わずか1000feet(304m)に全てをかける一発屋である。


*1 このため過給器の事をイギリス英語ではスーパーチャージャー、自動車に搭載する機械式過給器の事をメカニカル・スーパーチャージャーとも言う。まぁニュアンスは向こうでも伝わるからスーパーチャージャー=ターボとは違う過給器のニュアンスで覚えておいて良い。またアメリカ英語だと送風機という意味で「ブロアー」と呼ばれる事が多い。
*2 以下コンプレッサとする