【SS】新生・サークルの黎明

Last-modified: 2024-05-18 (土) 13:28:20

プロローグ

(ナレーター)今から80年前。当時、アズキニア王国に占領されていたサークル帝国にある男がいた。
その名はマルノ=リュウ。28歳ながら陸軍の中将であり、前線で戦い状況を把握しながら指揮を執る。その独特な戦術でアズキニア軍を数々の勝利へと導いた軍人であり、サークル人の中でも優遇される「名誉人」となっていた。しかし彼はとある野望を考えていたのだ。

マルノ「うーむ...もうそろそろ、アズキニアからサークルを取り返さねば...。」

そう。彼はアズキニアを丸々島から追い出し、新たにサークル帝国を復活させるという野望を抱いていたのだ!彼の野望が、今、動き始める!!

登場キャラ

注:年齢は1947年時点の年齢である。

サークル帝国側

  • マルノ=リュウ
    イメージCV:鈴置洋孝
    28歳の陸軍中将で本作の主人公的存在。マール家は先祖代々サークル帝国に仕えてきたが、アレッサンドロ=リュウの代からアズキニアに寝返った。しかし、マルノの代でアズキニアの悪政に耐えられなくなった民の声を聞き、アズキニアに反旗を翻すことを決意する。
  • ワッカ=リュウ
    イメージCV:若本規夫
    マルノ=リュウの父。57歳の退役軍人であり、マルノにアドバイスをすることが多い。最終階級は大佐。
  • アシュリー=リュウ
    イメージCV:池田昌子
    マルノ=リュウの母で51歳。マルノをいつも優しく見守っている。
  • アラン=リュウ
    イメージCV:玄田哲章
    マルノ=リュウの弟で25歳。シュワちゃんにそっくりである。その屈強な肉体を利用した近接格闘が得意。
  • ジョン・ハローズ
    イメージCV:高木渉
    サークル・フリースラントの副リーダーであり、マルノが西オメガへ渡った時の代理リーダーを務めた男。24歳で、独立戦争時には副将として戦った。
  • ケネス・"ケン"・ハミルトン
    イメージCV:速水奨
    策士として有名なアズキニア反乱討伐軍の参謀で27歳。マルノとは旧友であり、「名誉人」でもある。独立戦争時には軍師として活躍した。
    実はダン・ハミルトンの祖父である。
  • レオナルド・シルバ
    イメージCV:田中秀幸
    真面目で忠義に篤いアズキニア反乱討伐軍の将軍の一人で32歳。マルノの手腕を非常に評価している。ナグロ総督暗殺の際にサークル帝国側へと寝返った。
  • ヴァルター・ミュラー
    イメージCV:塩沢兼人
    人前では常にクールに徹しているアズキニア反乱討伐軍の将軍の一人で29歳。当初は総督暗殺計画に反対するもマルノの熱意に屈した。
  • ケゾ=サン
    イメージCV:屋良有作
    サークル帝国皇帝の座に代々就いていたサン家の嫡男で34歳。マルノに絶大な信頼を寄せている。

アズキニア王国

  • ナグロ・ロヴァンス
    イメージCV:戸谷公次
    亜領サークル帝国の総督で49歳。「名誉人」以外のサークル人を全員奴隷だと思い込んでおり、役人に収奪を命じたり、サークル人に対して過度な徴兵を行わせたりする、利益や効率のためなら犠牲を厭わない人間である。
  • ミエン・シンラン
    イメージCV:江原正士
    亜領サークル帝国の内務提督で45歳。マルノの主張を無視することをナグロ総督に提案した。
  • ガバスカ・クサイコ
    イメージCV:サーフ系ボディビルダー拓也
    久保大帝の子孫であり、アズキニア正規軍の将軍の一人で自称29歳(ガバスカさん40歳ぐらいに見えるのだが...)。上半身の割に下半身が貧弱で滑舌が悪い。
  • ツァオ・ツァオ
    イメージCV:松本保典
    アズキニア王国の陸軍大臣で42歳。どんな軍を送り込んでも勝てないマルノを若干恐れている。
  • シャーホウ・ドゥン
    イメージCV:目黒裕一
    アズキニア正規軍の大将で43歳。気性の激しさと武勇で知られる猛将で、マール親子も一目置いていた。しかし、頭の悪さが目立つところが玉に瑕。
  • チャン・リャオ
    イメージCV:西村知道
    文武に長けた将軍で51歳。30万の軍を率いて独立軍を攻める。
    実はマルノの父、ワッカの友人である。

その他

  • 刀鍛冶
    イメージCV:緒方賢一
    名刀「翔龍」の生みの親。偉業を成し遂げるであろうマルノの素質を見抜いた。
  • メリア
    イメージCV:市之瀬加那
    空腹で倒れていたマルノを助けた少女で16歳。マルノの大ファンである。

ナレーター

  • ナレーター
    イメージCV:銀河万丈
    「なんでも鑑定団」のナレーションを思い浮かべよう。

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第一話「落ちていく信頼」

(ナレーター)1798年。当時大泉洋にあったアズキニア王国が、サークル帝国への侵攻を開始した。
時の皇帝、カネ=サンの暴政に耐えかねた人々はアズキニアに呼応して反乱を起こした。その中でも最大勢力だったのが、アレッサンドロ=リュウ率いる「国民の怒り軍」であった。

アレッサンドロ「突っ込めーっ!!今日の敵は明日も敵!全員殺せぇぇぇぇぇ!!!!」

アレッサンドロはサークル帝国軍の大尉であったが、国民の苦しむ様子を見て「国民の怒り軍」を組織。その大将として、サークル帝国正規軍を各地で破り、結果的にアズキニア側を勝利へと導いたのだった。サークル人は新たな主としてアズキニア人を受け入れた。しかし...
(場面が農村に切り替わる)

農民*1「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!ドサッな、何をする!オラの丹精込めて育てた作物を返せぇぇぇぇぇぇっ!!」
役人*2「へっ、お前らのような奴隷なんか、メシの材料を生み出すだけの役立たずだい!!」

民の予想とは大違いだった。アズキニアがサークルを攻めたのは豊富な石炭や農産物のため。多くの人民が生活に必要なものを奪われていくような事態となっていたのだ。
そんな中、1921年に秘密結社「サークル・フリースラント」が組織された。そのリーダーは、あのアレッサンドロ=リュウの玄孫でサークル人の中でも優遇されている「名誉人」の一人、ワッカ=リュウであった。

ワッカ「私の高祖父はサークルを悪政から解き放ったかに見えた。しかぁぁし!今はご覧の有様だぁぁ!いくらサン6世の頃よりマシだと言えど、一般市民の生活が脅かされていることに変わりはない!再びサークル帝国を復活させようと思う諸君、今こそ立ち上がるときだぁぁぁぁ!!!!」
構成員「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

サークル・フリースラントはサークル人の扇動やレジスタンスを積極的に行い、植民地政府を苦しめた。それでもアズキニアはサークル人からの搾取をやめようとしなかった。
サークル・フリースラントの結成から、およそ20年が経った頃...

(タイトルコール)「落ちていく信頼」

(馬で走る若者が登場)
パカラッパカラッパカラッパカラッパカラッ...
(再び農村の場面へ)

少年*3「うわぁああぁぁぁ!!ドサッ何すんだよぉ!」
役人*4「お前の持ってるジャガイモ、よ・こ・せ!」
少年「やだよぉ!俺たちが必死で作ったジャガイモなんだ、家族みんなで食べるんだよ!」
役人「このクソガキぃ!(少年の首をつかむ)」
少年「だ、誰か助けてぇぇぇぇぇ!!」
ダカッダカッダカッダカッ...
役人「な、なんだ?(音のする方を向く)」
謎の青年「おい貴様!泥棒はヤメロォ!!」
シュォォォォォォトタッ...
青年「やめろと言ったらやめやがれこのくせ者!(役人を殴る)」
役人「うぇぁぁぁぁ!!ドサッき、貴様ァ...覚えてろよ!(逃走)」
少年「お兄さん、ありがとうございます!」
青年「なんのことはない。俺はただ、物を奪おうとするあいつらが許せんだけだ。」
少年「お兄さんは優しいんですね。名前は何て言うんですか?」
青年「マルノ=リュウってんだ。陸軍の軍人でもあるが、とあーる組織のリーダーでもあるんだ。ああいう悪い役人をやっつけるのが仕事さ。」
少年「へーぇ。お兄さんはいろいろお仕事があるんですね!」
マルノ「まぁそんなところだい。で、君、怪我はないかい?」
少年「ないです。ありがとう、お兄さん!」
マルノ「んじゃ、またどこかで会えたらいいな。ッハハハハハハ!」
パカラッパカラッパカラッパカラッパカラッ...

この青年こそが、マルノ=リュウ。アズキニア領サークル帝国の軍人でありながら父の結成したサークル・フリースラントの構成員でもあった。入隊直後からめきめきと頭角を現し、2年目にして階級は中尉であった。彼はその人格から仲間が多く、軍の中でも人気者として気に入られていた。
(場面がマルノの家に切り替わる)

ワッカ「なーるほどぉ。悪代官が増えてきたというわけかぁ。戦争が始まってから搾取が激しくなってきてるなぁ。まったく、少しは民に楽をさせることを思いつかないのかなぁ...。」
マルノ「父上、もうアズキニアに見切りをつけるしかありません。私たちは間違っていたのでしょう...。クゥゥッ!(歯を食いしばる)」
ワッカ「まーぁそーう早まるなぁ。今できるわけねーぇだろぉ...。様子見だよ、様子見。」
マルノ「その通りですお父上、若気の至りとは嫌なものです...。」
ワッカ「そーんなに落ち込まなくていいじゃないかぁ。わしも若い時はそうだったんだからな!ハハハハハハハハ...」
マルノ「やっぱり...ッハハハハハハハハ!」

このころ、アズキニア王国は様々な国と戦争を行っていた。そのため、サークル帝国はアークシーロ山脈にある炭鉱で産出する大量の石炭にアズキニアは目をつけた。1945年、アズキニア領サークル帝国で石炭法が制定。石炭法はサークル領内の石炭鉱山を全てアズキニア政府の管理下に置き、産出量、市場への流通量などを全てアズキニア政府が決定するというものである。石炭鉱山の保有企業との間では、引き換えとして今後のアズキニアの公共事業において、優先的に仕事を発注することが約束された。石炭法が施行されるなり、アズキニア政府は産出する石炭のほとんどをアズキニア本国への輸出に回し、石炭を政府の専売品とした。また、産出量を少しでも増やすために鉱夫に過酷なノルマを要求し、危険で劣悪な状況下で長時間低賃金で労働させた。
当然、豊富な石炭をウリにしていたサークル帝国内では石炭が手に入らなくなり、冬季には凍死するものまで現れた。
(場面がサークル・フリースラントのアジトに切り替わる)

構成員A*5「クッソォ!アズキニアのヤツ、俺たちを完全に奴隷だと思い込んでやがる!」
構成員B*6「全くその通り。他の国からブーイングが相次ぐだろうね。」
マルノ「私もそう思う。しかし今行動を起こせば返り討ちに遭う。今は状況を見ておくしかない。」

石炭法制定により、前々から落ちていたサークル領内におけるアズキニアの信頼はさらに落ちた。それに追い打ちをかけるように、大きなできごとが起ころうとしていた...。
~つづく~

第二話「決起」

(ナレーター)1945年。サークル帝国を支配するアズキニア王国が、石炭を本国へ流出させるべく「石炭法」を制定した。この法はアズキニアと炭鉱を所有する業者しか得しない悪法であり、サークル帝国国民の中には凍死する者まで現れた。サークル国民のアズキニアに対する信頼は、既に地に落ちようとしていた...。

(タイトルコール)「決起」

1946年、マルノ=リュウはこれまでの功績が認められアズキニア領サークル帝国陸軍の中将となっていた。アズキニア人は真面目で実直であり、優しいマルノを完全に信頼していた。彼が、大いなる野望を抱いているとは知らずに...。
(場面が軍の練兵場に切り替わる)

マルノ「撃てぇぇぇ!!」
ダァァァーン!
マルノ「うむ!上出来だ!やればできるじゃないか!(的を見る)」
一般兵A*7「ならマルノ殿、あなたもやってみてくだされ!中将になられてからずっと命令しているだけじゃ腕も鈍りますよ?」
マルノ「ほう。なら腕試しといくか...誰か、的を持てい!(弓矢の準備をする)」
(的が準備される)
マルノ「我が弓の腕は鈍っているか鈍っていないか...?(矢を弓につがえる)」
グググググググ...シュピュン!
シュオオオオオオオオ...ドスン!
一般兵B*8「な...なにぃ!真ん中を射抜いてる!」
一般兵A「さすがはマルノ殿。腕は鈍っていないようですね。」
マルノ「まぁな。毎日夜中に練習をしてるから尚更だよ。フハハハハハハハ!」

マルノは戦闘に加わりつつ戦地の状況を把握し、自身にとって的確な指示を出すという戦法をとっていた。そのため、マルノは数々の勝利をアズキニアに捧げていたのだ。
だがこの年、マルノがアズキニアを裏切る決め手となったあるできごとが起こったのだ!
(場面がフラストブール鉱山に切り替わる)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...(地響きが起こる)
鉱夫A*9「んん?なーんか揺れてる気がするなぁ...」
鉱夫B*10「あれ?もしかして...ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドガガガガガガガガ!!!!

(場面が総督府に切り替わる)

部下*11「申し上げます!フラストブール炭鉱で落盤事故がありましたァ!」
ナグロ「ん何ぃ!?落盤事故だと?火災の危険があるだろう。もう注水してしまえ。」
部下「総督!それでは鉱夫の命g...」
ナグロ「構わん注水しろ!奴隷の命など気にすれば効率が犠牲になるのだ!また新しく鉱夫を雇えばいい!今すぐ注水するのだ!」
部下「は、ははっ!(敬礼して立ち去る)」

1946年9月4日。サークル帝国南西部のフラストブール炭鉱で大規模落盤事故が発生。地下で採掘に当たっていた749人が生きたまま坑道に閉じ込められてしまった。しかも、落盤に伴うガス漏れと電気系統の故障により坑道内で火災が発生。これに対し、鉱山側は石炭生産の停止と坑道内の石炭の燃焼による損失を恐れて坑道への注水を断行した。これにより全員の死亡が確定。この暴挙にサークル人は当然のように激怒。各地で「アズキニアは出て行け運動」が勃発し一部の『名誉人』にもこの運動は広がった。これによりアズキニアに対する信頼は地に落ちたのであった。
(場面がサークル・フリースラントのアジトに切り替わる)

構成員C*12「許せねぇ!鉱夫の命をなんだと思ってるんだ!」
構成員A「俺も許せん!マルノさん、早く運動を起こしましょうよ!」
アラン「その通りです兄上、アイツらは痛い目を見せなければ...。」
マルノ「そうだな。来年あたりには...サークルを取り返そう。」

同年11月27日。フラストブール炭鉱の鉱夫たちが大規模なストライキを起こした。これにより、アズキニアは12月3日にサークル帝国全土の港を一方的に封鎖した。
アズキニアから輸入している生活必需品の流入を阻止し、サークル人の戦意を削ぐことを試みたのだ。それでも出入港を試みるものは逮捕して厳しい罰を与えたという。翌1947年1月5日、市民はアズキニアに捕まった政治犯や貿易商人の解放を求めて当時最大の監獄があった東部のヤルババーグに集結し、監獄前でハンガーストライキを行った。これにより緊張は一気に高まった。
(場面が監獄前に切り替わる)

市民A*13「監獄を開放しろぉーッ!」
市民B*14「そうだーッ!お前らなんか信用ならねぇ!」

当初は平和的なデモに過ぎなかったが、過激独立派の市民といつまでも退こうとしない市民に苛立っていた兵士の間で9日の13時ごろに煽り合いが勃発。次第にそれは周囲の市民を巻き込んだ乱闘になり、監獄の責任者にもデモの指導者にも止められなくなってしまったのだ。そして14時頃、ついに一発の銃弾が放たれる。銃声を聞いた市民とアズキニア兵はお互いにこれを相手側からの発砲だと思い込み、武装市民と兵の間で銃撃戦が発生したのだ。銃撃戦の末、市民は130人ほどが犠牲になりながらも、監獄内の囚人とアズキニアに雇われていたサークル人の手助けにより5時間後には監獄を占領。これにより市民たちは大量の銃や大砲を手に入れるとともに、アズキニアに対し独立を宣言し、サークル独立戦争が開戦した。1月10日の出来事であった。
(場面が再びサークル・フリースラントのアジトに)

マルノ「そうか!監獄が占領できたのか!」
構成員D*15「マルノ殿、これを機に本格的に活動を開始しましょう!」
マルノ「よし、皆の者、我らのサークル帝国を取り返す機会がめぐってきた!この機を逃す手はないぞ!出陣じゃぁぁぁぁぁぁ!!!!
構成員たち「うぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

こうして、同年1月11日より、サークル・フリースラントの活動はさらに本格化した。特に東部での活動が盛んに行われ、植民地政府や植民地軍は大きく苦しめられた。
それもそのはず、サークル・フリースラントの構成員はマルノの私兵でもあり、実際の軍と同じような訓練を受けていたともいわれている。
アズキニアが勢力を失うことを暗示するかのように、その日は新月であったという。
~つづく~

第三話「西オメガへ」

1946年、マルノ=リュウはこれまでの功績が認められ、陸軍中将となった。だが、喜んでいる暇はなかった。同年9月4日...
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ドスンドガガガガガガガガガガ...
サークル帝国南西部にあったフラストブール炭鉱で大規模な落盤事故が発生した。火災の発生を恐れたナグロ・ロヴァンス総督は内部への注水を指示。坑内にいた749人の鉱夫は全員が死亡した。翌1947年1月5日には監獄前でデモが戦闘へと発展し、やがて独立戦争へとつながっていったのであった。この年、マルノは緊張が高まっていたある国へと送り込まれることとなった。

(タイトルコール)「西オメガへ」
(場面がサークル・フリースラントのアジトへと切り替わる)

マルノ「ここで君たちに、悲しいお知らせをしないといけない。」
構成員B「マルノ殿、一体どうされたのです?」
マルノ「私は治安維持のために西オメガへと送り込まれることとなった。」
構成員たち「何だって!?」「おいおいマルノ殿まで...」「ふざけるなぁ!!」
マルノ「仕方のないことだ...。私が立派な将軍だってことだろう...。ところで、私がいない間の代理のリーダーを決めたいと思うが、誰か自信のある者は?」
構成員D「私がやります!」
マルノ「おお、ジョンか!よし、君に決めた!誰か異議のあるものはいないか?」
構成員たち「彼が適任だ!」「そうだよ!」「いいね!」「頑張れジョン!」
マルノ「この様子では異議のある者はいないようだ。ジョン、頼んだぞ。」
ジョン「ありがとうございます!(おじぎをする)」

マルノは緊張が高まり、反乱が起こるのも待ったなしとなっていた西オメガへと渡ることとなった。しかし、マルノは西オメガへ渡る1ヶ月前に、前々から行きたいと思っていた美華殿帝国へと渡った。
(場面が刀鍛冶の店に変わる)

マルノ「すみません。突然のお願いで申し訳ないのですが、刀を作ってほしいのです!」
刀鍛冶*16「見ねぇ顔だな。オメー、名前はなんて言うんだ。」
マルノ「はっ、某の名前はマルノ=リュウと申します。アズキニア領サークル帝国の陸軍中将を務めております。」
刀鍛冶「なるほど。それだけ偉い方であったか。なら、今までわしが作った中の最高傑作を作ってやろう。」
マルノ「本当ですか?ありがとうございます!」
刀鍛冶「なんのことはないさ。君には、凄いパワーを感じるよ。」
マルノ「いやーそんなことはないですよ...」

マルノが美華殿帝国へと渡ったのは、西オメガや独立戦争で使う具足や刀を揃えたいという目的があった。
(数日後、刀鍛冶の店にて)

刀鍛冶「マルノくんかね、出来たぞ、わしの最高傑作「翔龍」が。」
マルノ「いやー...見るからに綺麗な刀だ...。」
刀鍛冶「普通の刀に見えるかな?実は凄いパワーを宿しているんだ。突然だが、石を斬ってみろ。(と言うと、店の近くにある川に案内して、大きな石の目の前にマルノを立たせた。)」
マルノ「き、斬れますかね...ちょっと心配です...。」
刀鍛冶「やってみなきゃわからん。やってみろ。」
マルノ「それでは...でやあぁぁぁぁぁぁ!!!!
スパッ!
マルノ「な...なにぃ!あんなにデカい石がいとも簡単に...。」
刀鍛冶「この刀はおまえさんと血が繋がっている者が握れば非常に強くなるようになっている。わしが握ればただのなまくらになるだけだよ。」
マルノ「わざわざ私のためにこのような刀を...ありがとうございます!この通り...金はたくさん準備しております!(箱を開けて大金を見せる)」
刀鍛冶「お代は頂かんよ。」
マルノ「ははっ!ありがとう...ございます!(土下座)」
刀鍛冶「そんなにお礼をしなくてもいい。この刀を...大事に使ってくれよ。」
マルノ「大切に使わせていただきます。本当に...本当にありがとうこざいました。(礼をして店を去る)」
刀鍛冶「(マルノ君よ...お主の力を...信じておるぞ!その刀にはもっと素晴らしい力が秘められている。お主なら引き出せるであろう...!)」

こうして、マルノは天下の名刀「翔龍」を手に入れた。この刀は後に、多くの伝説を生むことになるのである!
3週間の美華殿旅行の後、マルノは西オメガへと渡った。マルノにとって、これがアズキニアへ尽くす最後の任務であった。
(場面が西オメガの練兵場に切り替わる)

案内役*17「皆の者、整列!今日より新たな将軍を迎えることになった。アズキニア領サークル帝国出身の、マルノ=リュウ中将だ!」
一般兵たち「どんな人だろう?」「植民地出身の将軍か、そーんなヤツの命令には従いたくないね。」「しーっ、そんなこと言っちゃダメだろぉ!」「噂に名高い将軍だから楽しみだ!」
マルノ「(甲冑姿で現れて)某はマルノ=リュウと申す。短い間だが君たちに世話になる。よろしく頼むぞ。」
一般兵たち「なんだありゃ!」「甲冑!?なぜそんな重いものを...!」「筋トレだよ筋トレ、戦場でも筋トレをするボディビルダーの鑑に決まってんだろ。」「うわダッサぁ...」
案内役「(耳元で)マルノ殿...アイツら甲冑を着ているからってよからぬ事を...!」
マルノ「構わん。好きに言わせておけ。後できっと、見返すだろうよ。クククッ」

西オメガに派遣されたマルノは素晴らしい采配で、西オメガの恐ろしく強い反乱軍を寄せ付けなかった。具足を着ているからといって馬鹿にしてきた兵たちも、この頃になるとマルノの実力を認め、従うようになっていた。しかし、またしてもマルノは別の任務を任されることとなった。
その内容は、マルノを反乱へと駆り立てる最大の原因となったのだった。
~つづく~

第四話「総督からの挑戦状」

1947年、陸軍中将となったマルノはアズキニア王国領西オメガへ派遣されることとなった。その前に、マルノは美華殿帝国を訪れ、刀と具足一式を入手してから西オメガへと向かった。西オメガで素晴らしい才能を発揮し、反乱軍を寄せ付けない彼であったが、ナグロ総督から思いもよらぬ挑戦状を叩きつけられることとなった。
その内容とは...

(タイトルコール)「総督からの挑戦状」

(場面が西オメガの練兵場に切り替わる)

一般兵C*18「マルノ殿、サークルから手紙が届きました!」
マルノ「ほう、どれどれ......な、なにっ!」
一般兵C「マルノ殿、どうなされたのでs」
マルノ「クッソぉぉぉ...ナグロめ...!」

マルノに届いた手紙の内容は「故郷サークルの反乱を鎮圧せよ」という内容だった。自らの悪政に民が苦しんでいると知らずこのような内容の手紙を送ってくる。そのことに対してマルノは怒りを抱くにほかならなかった。
マルノは4つの理由をつけて返答した。

  1. 民意に逆らう事ができない
  2. 冬に大軍を動員するのはかえって危険
  3. 内戦をすれば、他国がその虚に乗じてくる
  4. 寒くて雪の多い時に当たり、兵糧が不足し、大軍が疫疾にかかりやすい、もしくは大多数が凍死する

これらを根拠にに鎮圧に反対した。しかし...
(場面が総督府内部に切り替わる)

ナグロ「ほう、ヤツにしてはしっかりしたことを言うではないか。だが反乱を鎮圧せねばこの国はさらに乱れる!こんなことなど聞き入れるわけがないわぁ!!ビリッ(手紙を破り捨てる)」
ミエン「その通りです。彼の主張を聞き入れては、反乱がさらに激しさを増します。今すぐ反乱を鎮圧すべきです。」

結局、マルノの主張は聞き入れられなかった。ナグロ総督はミエン・シンラン内務提督の意見に従い、反対論を無視して鎮圧を開始した。実はこの出兵には反乱鎮圧以外にも新興商人勢力やマルノ=リュウら武人の勢力を削るという目的があった。1947年4月23日、マルノは生まれ故郷であるサークル帝国東部の町、オストヴァルドの港で再びサークルの土を踏んだ。
(場面がオストヴァルドの港に切り替わる)

マルノ「ああ、懐かしき故郷だ...」
ジョン「マルノ殿!」
マルノ「おお、ジョン!久しぶりだな!」
ジョン「マルノ殿、ご存知だとは思いますが反乱の鎮圧が始まっています!」
マルノ「その話はナグロ総督からの手紙で知った。それで、サークル・フリースラントはどのくらいn」
ジョン「構成員114人が死傷しております!」
マルノ「それは早く行動せねばならぬ!」

マルノは反乱軍と正規軍の板挟みになってしまった。しかしマルノはこの時すでに身の振り方を考えていた。
反乱軍として戦い、故郷サークルを再びサークル人の手に取り戻すという考えであった。
(5月の出征の日。場面はオストヴァルドの中央広場に切り替わる)

民衆「あ、あれはマルノ将軍だ!」「勇ましいわねぇ。」「マルノ様もアズキニアの言いなりになっちまったか...」「そんなこたぁねぇだろ!マルノ様はきっと俺たちの味方になってくれるさ!」
ワッカ「マルノよ、しっかり戦って来い。」
アシュリー「マルノ、チャンスというものは大事なもの。あなたならきっとできるはずよ。」
マルノ「父上、母上...行ってまいります。」
(マルノが馬に跨る)
マルノ「皆の者、出陣じゃぁぁぁぁぁぁ!!」
一般兵たち「おおおおおおおおおおおお!!!!」

5月14日、マルノはその数4万といわれる兵を率いてオストヴァルドを出発した。
出征に際し、ロヴァンスは軍の勝利に興味がないと公言したうえ、出征の日に激励の言葉を一つもかけなかった。そのため、アズキニア正規軍の士気は下がりに下がった。また、突然の反乱に備えて、遠征する将軍らの家族は総督府に来させて人質とした。総大将となったマルノは5月に進軍を開始。その際にマールバーグで装備の補充と兵站の補給を行うことを決定した。マールバーグへ立ち寄る事を聞いた市民はリュウを歓迎し、リュウを讃える歌が流行したという。
6月5日、マルノはマールバーグに到着した。マールバーグには、総勢10万を超える軍勢が集まった!
(大軍がマールバーグへと入っていく)

民衆「すんげぇ大軍だなぁ!」「マルノ様を見かけた時、手を振ったら振り返してくれたよ、なんて優しいんだ!」「マルノ様は本当に反乱を鎮圧するのかなぁ。」「それはわからんな...」

マールバーグ到着の後、マルノたち将軍はナグロ総督の謁見を受けることになっていた。マルノは反乱討伐軍を率いる将軍であるケン・ハミルトン、レオナルド・シルバ、ヴァルター・ミュラーに自分の計画を話した。
ケン「やってしまいましょう。国民を悪政から解放する絶好の機会です!」
レオナルド「何ですと!?総督を殺れば国民は救われるが...本当にお前ができるのか?」
マルノ「できるだけ手早く殺る。安心してくれ。」
ヴァルター「私は反対する。総督を暗殺すれば私たちの家族はどうなるとお思いか?」
マルノ「ヴァルター殿、安心したまえ。我らが総督府に入る際、合図を送って兵を送り込んで救出させる。一度下見に行ったが、あそこの兵は油断し放題。人質を救出しろと言っているようなもんなんだ。失敗した場合は、私の死を持って詫びるつもりだ。ヴァルター殿、ここは私を信じてくだされ...!」
ヴァルター「マルノ殿がそこまで言うなら信じよう。」
マルノ「これで全会一致だ。さあ、謁見の時は近い。行くぞ。(不敵な笑み)」
将軍たち「はっ!」

マルノたち将軍4人は意気揚々と総督府へ入っていった。ナグロ総督は知る由もなかった。この4人が、反乱軍の味方であるとは...。
~つづく~

第五話「ナグロ、斃れる」

1947年春、マルノは西オメガですばらしい采配で反乱軍を寄せ付けなかったにもかかわらず、サークルへと呼び戻された。ナグロ総督に言い渡された次なる任務は、「サークルの反乱勢力を鎮圧せよ」という命令であった。自らの悪政を棚に上げて民衆をさらに苦しめようとするアズキニアに対し、マルノは激怒。民意に逆らえないことや冬に大軍を動かすことは危険であるとして反対するも、ナグロ総督はミエン内務提督の意見に従い却下した。結局、雪解けを待ってから反乱討伐軍は進軍を開始。総勢10万ともいわれる軍勢がマールバーグに集結した。総大将となったマルノは他の将軍たちと話し合い、総督府を占領することを計画。
果たしてこの計画は、成功するのであろうか?

(タイトルコール)「ナグロ、斃れる」

1947年6月5日、マルノたち4人の将軍はマールバーグにあるサークル総督府にいた。反乱討伐軍の出陣のため、ナグロ総督の謁見を受けるためであった。
(場面がサークル総督府の謁見の間に切り替わる)

(全員が膝立ちで挨拶)
マルノ「アズキニア反乱討伐軍総大将、マルノ=リュウにございます。」
ケン「アズキニア反乱討伐軍参謀、ケネス・ハミルトンにございます。」
レオナルド「アズキニア反乱討伐軍将軍、レオナルド・シルバにございます。」
ヴァルター「同じく、ヴァルター・ミュラーにございます。」
ナグロ「ほう、全員そろったようだな。私は、お前たちの勝利に興味などない。せいぜい、反乱を起こしている連中どもを軽くあしらっておけばよいのだ。ハハハハハハハ!」
ケン「......!!(総督を睨む)」
ヴァルター「ひ、ひどい...(ボソッ)」
レオナルド「クッウウウウウウウ...(歯を食いしばる)」
マルノ「総督、私がいるからには、反乱討伐軍を絶対負けさせるようなことはしません。」
ナグロ「黙れ若造、総大将になったからといって偉そうな口を利くな!もう一回言わせてもらうが、馬鹿な連中どもなど軽くあしらっておけ、なぁ!総大将!なぁ!ハハハハハハハハハハ!!(マルノに近寄り、兜ごと頭を鷲掴みにし、揺さぶる)」
マルノ「ほざくな...(ボソッ)」
ナグロ「言いたいことがあるならデカい声で言え!」
マルノ「貴様のような悪の権化が偉そうな口をほざくなって言ってんだよ!!(勢いよく抜刀)」
ナグロ「裏切る気か貴様!今すぐひっ捕らえてもらu(不意に背中を見せる)」
マルノ「隙ありィィ!!(総督の背中を斬る)」
ナグロ「ぐああぁぁぁぁ!!!!(倒れる)」
マルノ「総督、背中を見せたほうが負けってことを...ご存じでしたか?」
ナグロ「今はそれどころではないぃぃぃ!」
マルノ「なら質問を変えましょう。総督、今ここで首を刎ねられるか、はたまた拷問されるか、どちらをお望みですか?」
ナグロ「そんなことはどうでもいい!早く助けてくれぇぇぇ!!」
マルノ「なら今すぐ楽にして差し上げましょう。覚悟!(刀を振り下ろす)」
ナグロ「グッ!?(斬首)」
マルノ「苦しめられた国民たちよりかは、楽に死ねましたね、総督。(不気味な笑みを浮かべる)」
ヴァルター「マルノ殿、たった今ミエン内務提督を捕らえました。」
マルノ「よし、今すぐ連れてこい。私が首を刎ねる。」
部下たち「はっ!(敬礼)」

(捕縛されたミエンが連れてこられる)

ミエン「おい逆賊ども、私の首を刎ねれば...末代まで呪われるだろう。」
マルノ「そんなこと知るか!黙れこの大逆賊!(刀を振る)」
ミエン「ン゛ッ!?(斬首)」

(別の場所では)

職員*19「まずい...今のうちに本国へ知らせなければ...!(廊下を走る)」
マック*20「とんでもねぇ、待ってたんだ。(笑うと同時にマシンガンで職員をハチの巣にする)」
職員「うわぁぁぁぁぁぁ!!パ、パワーが、違いすぎる...(死亡)」
ヴァルター「マック、でかしたぞ、よくやったな!」
マック「フフッ、礼には及びません。」

サークル総督府ではあらゆる場所で戦闘が行われ、アズキニア側の死者は合計337人に上ったが、反乱討伐軍の将軍4人の家族は全員無事に救出された。こうして、サークル総督府はわずか6時間足らずで占領されたのだった。
マルノは血しぶきだらけの謁見の間に民衆や兵たちを招じ入れ、演説を行った。

マルノ「1798年、サン6世の独裁政治により苦しめられたサークル帝国を救うため、私の高祖父は『国民の怒り軍』という軍を組織し、サークル帝国正規軍をアズキニア軍と共闘して壊滅させた。アズキニアを救世主だと思って当時の国民たちは接した。もちろん、私もアズキニアのために働くことが祖国のためだと一応信じていた。私の高祖父から父上まではは少なくともそうしただろう。しかし、それは間違っていた!アズキニアは我々から多くのものを奪っていった。資源と領土ではない。彼らが奪ったのは我々の尊厳と誇りだ!さぁ、今こそ我々は尊厳と誇りを取り戻す時だ!」
聴衆「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

マルノはマールバーグ市民と反乱討伐軍全員を味方につけると、独立の上で邪魔になるとし、前々から調査を行っていた「アズキニア方についている名誉人」の追放や暗殺を開始。特に政治家に至っては、そのほとんどが暗殺や斬首となり、斬首された者の首はさらし首になったといわれている。
また、サークル帝国西部にあるタークヤー城に幽閉されているサン6世の来孫、ケゾ=サンを救出するため、反乱討伐軍改め独立軍16万のうち半分にあたる8万人を動員した。残り半分は、マールバーグ守備を任された。
(場面が行軍中に切り替わる)

マルノ「なぁケン、タークヤー城にいるガバスカ・クサイコはかなりの強情者らしいな。」
ケン「その通りです。きっと皇族の方々を人質に抵抗するでしょう。」
マルノ「やはりそうか。いい策を考えなければ...。」
ケン「マルノ殿、大丈夫です。すでに策は考えてあります。」
マルノ「なるほど、次の休憩の時にじっくり聞かせてくれ。」
ケン「かしこまりました。」

(休憩場所にて)

マルノ「さぁて、ケネスよ、どのような策を考えているのだ?」
ケン「まず、タークヤーの町へ入って城の前まで行軍するというのはマルノ殿でも思いつくはずです。」
マルノ「うむ。素人でも思いつくだろう。でも、そこからどう攻めるかが問題だ。」
ケン「恐らくガバスカは城壁の上から我らを見て『動くな、動いたら皇族の方々のお命がなくなるぞ』と脅してくるはずでしょう。ここで飛び道具を使うのです。」
マルノ「ああ、弓矢がちょうどいいかもな。」
ケン「弓矢は放つ際にそれほど音を発しません。これは銃器との根本的な違いです。マルノ殿、見事な武器の選択ですね。」
マルノ「そうかなぁ...ハハハ(恥ずかしそうに頭をかく)」
ケン「マルノ殿、ここからが重要です。先に城内に味方を数人入れておくのです。皇族の方々のお世話係として突入させるのがベストでしょう。」
マルノ「その通りだな。まさか、ガバスカを背後から狙わせるのか?」
ケン「そうです。ガバスカが城の前にいる兵たちに気を取られておるうちに討ち取るのです。」
マルノ「さすがはケネスだ!ハハハハハハハハハハ!!」
ケン「今度の作戦も成功させましょう。これでまた、独立に一歩近づけるはずです!」
マルノ「だな!」

かくして、サークル総督府は独立軍により占領。逆賊ナグロ総督やミエン内務提督もあえない最期を遂げた。
マルノたち独立軍は新たな敵に出会おうとしていた。それは、アズキニア軍屈指の剛の者、ガバスカ・クサイコであった。
果たして、ケンの考えた策略はうまく行くのだろうか。
~つづく~

第六話「タークヤー城の戦い」

1947年6月5日、反乱討伐軍の総大将となったマルノはケン・ハミルトン参謀、レオナルド・シルバ将軍、ヴァルター・ミュラー将軍と共にサークル総督府へ赴き、ナグロ総督からの謁見を受けていた。その態度に怒ったマルノは前々から計画していた通り、ナグロ総督の首を刎ねたのである。同時に反乱討伐軍改め独立軍の兵士たちが総督府に突入、人質を救出するかわりにアズキニア側の役人を皆殺しにした。わずか6時間で総督府は占領され、アズキニアの支配からマールバーグ市民を開放した。しかし、まだまだ多くの相手が待ち構えていたのだ...。

(タイトルコール)「タークヤー城の戦い」

(場面が行軍中に変わる)
ガチャガチャパカパカ...ヒヒーン!
マルノ「なるほど。ここがタークヤーの町か...。」

タークヤーの町は、マールバーグの北西569kmにある、アークシーロ山脈の麓にある町である。独立軍が総督府を襲撃したとの情報が何者かによってもたらされており、関所の門は固く閉ざされていた。6月12日にマールバーグを出発したマルノたち一行は、6月19日にタークヤーの町にたどり着いた。

ケン「そのようですね。開門するように呼び掛けてみましょう。」
マルノ「誰か、声の通るものはおらぬか!」
ジョン「仰せとあらば、私めがやって差し上げましょう。」
マルノ「おお、ジョンか。頼むぞ。」
ジョン「我々はサークル帝国独立軍である、しばらくこの町に留まらせていただきたい。ご開門を!!」
シーン...
マルノ「むむむ...反応がないぞ?」
ケン「このまま無視して我らの戦意を削ぐという魂胆が見え見えですね。このまま攻めるしかありますまい。関所の門は木製です。やろうと思えば大砲で穴をあけることができます。」
マルノ「よしわかった。大砲隊、前へ!」
ゴロゴロゴロ...
マルノ「狙いは門の真ん中だ。撃てぇぇぇぇぇぇぇぇ!
ドドォォォォン!!
バキガシャァァッ!!!!
門の守護兵*21「ぐわぁぁっ!!(吹き飛ばされる)」
マルノ「おお、馬が通れるぐらいのすき間ができたぞ。今だ、突っ込め━━━っ!!」
兵たち「うぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
ダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッ!!
ススッ...
守護兵たち*22「貴様らを止める!!」
マルノ「そんだけで止められると思うな!?潔く死ねぇっ!ズバッ、ザシュッ(守護兵に斬りかかる)」
守護兵たち「(悉く倒されていく)」
マルノ「城の前まで突っ走れ━━━っ!!」
住民*23「うへぇっ!なんじゃこりゃぁ!」
マルノ「どう、どう。(城門の数百メートル前で馬を止める)」
ケン「ここからは変装させた兵を突入させましょう。マルノ殿はケゾ様にお会いになりますか?」
マルノ「そうしよう。影武者は私の弟にやらせる。」
アラン「お呼びですか、兄上。」
マルノ「ちょうどいいところに来た。ちょっと申し訳ないが、俺の影武者をやってもらえないか。俺は今から城に入って皇族の方々と面会をする。その間、私の鎧を着てもらえぬか。」
アラン「承知いたしました。」

(2人が着替えてそれぞれ違う服装に。マルノはお世話係のような服装に、アランはマルノの鎧にチェンジした。)

マルノ「アラン、頼んだぞ。」
アラン「ははっ!」

お世話係に扮装したマルノたち重数名は、城の検問を突破してケゾ=サンが幽閉されている部屋の前にたどり着いた。

マルノ「世話係のリュウです。ケゾ様のお部屋へ入ってもよろしいでしょうか?」
守備兵*24「入ってもよいぞ。」
マルノ「普通に入ると思うな!(首に手を回す)」
守備兵「ム゛ッ!ゴキッ(首を折られて即死)」
マルノ「(ドアをノックして)ケゾ陛下、お部屋にいらっしゃいますか?」
ケゾ「その声は...マルノではないか!久しぶりだなぁ!」
マルノ「失礼します...。ガチャッ(ドアを開けて入る)」
ケゾ「マルノ...よく来てくれたな...。(目に涙を浮かべる)」
マルノ「陛下、私もお会いしとうございました...。」
ケゾ「ところで、なぜここへやってきたんだ?」
マルノ「陛下を再びサークル帝国の皇帝として迎えるためでございます。」
ケゾ「そうであったか、マルノ、私はそなたを信じておったぞ。」
マルノ「ははっ、ありがとう...ございます!」

こうして、マルノと、後に皇帝となるケゾ=サンは再開を果たした。一方その頃、外ではアランとケン率いる独立軍とガバスカ・クサイコが対峙していた。

ガバスカ「おい貴s...貴様(きしゃま)ら、これ以上城に近じゅ...近ず...寄るな!さもないとケゾ一家の命がなくなるぜ!?」
アラン「噂通り滑舌が悪いですね、ケネス殿。」
ケン「その通りですね。聞いているだけで笑いをこらえるのが大変です(笑)。」
ジョン「笑っちゃうぜ!ガバスカさんはどう見ても40歳過ぎてますよぉ...。(ボソッ)」
アラン「ジョン、それ以上口を挟めばヤツは怒るかもしれん。気をつけろよ。」
ジョン「アッハイスンマセン...。(後退する)」
アラン「さてケネス殿、いかがなされます?」
ケン「弓矢はお持ちでしょうか?」
アラン「弓も矢も持っています。(腰の矢筒を指差す)」
ケン「ほう、よろしい。それでは、矢を弓につがえてガバスカめがけて構えてください。」
アラン「こうですかな?(指示通りにする)」
ケン「そうです。そのまま構えておきましょう。」
ガバスカ「おい貴様(きしゃま)、俺に向かってなにしゅ...する気だ!?」
アラン「特に意味はありません(大嘘)。」

その頃、マルノたち一行はケゾ陛下とそのご家族を連れて城から脱出する真っ最中であった。
(場面が城を脱出するマルノたち一行に変わる)
ケゾ「マルノ殿、そなたはやはり頼りになるなぁ。」
マルノ「いやーハハハ、礼には及びません。」

(場面が城門前と城の屋上の定点カメラ風画角に変わる)

一般兵たち「(音もなく屋上に侵入)」
ガバスカ「ったくよぉ、この頃の若ぇやつはなってねーよなぁ...(独り言)」
弓矢を持った一般兵「(音もなくガバスカを射る)」
ガバスカ「オ゛ア゛ッ!オイ!?いってぇ!オイ!」
ケン「アラン殿、今です!」
アラン「ガバスカ...貴様の命もこれで...終わりだ!(ガバスカを射る)」
(屋上のガバスカがふらつき始める)
ガバスカ「アー逝くアッ、ア゛ア゛オ゛ウ゛ッ、オ゛ア゛ッ、アーッ!ドサッ(転落死)」
アラン「なんとも...バカバカしい最期だったな。」
ケン「本当に下らなさすぎて、失笑しそうになりましたよ(笑)。」
マルノ「おーい!アラーン!」
アラン「兄上ーっ!」
マルノ「って...ガバスカが落ちてんじゃねぇか!くさい子。」
ケン「フフフフフフフフフ...マルノ殿はジョークがお上手ですね。」
マルノ「そんなことないさ!ハハハッ」
ケゾ「あの者どもが、私たちを救いにきて下さったのか...(感動)」
マルノ「そうです。陛下がいなければ国がまとまらないと思い、救出に参ったのです。」
ケゾ「そこまで私のことを...ありがとう、マルノ=リュウ。」
マルノ「礼には...及びませんよ。」

こうして、独立軍にとって最初の戦いであるタークヤー城の戦いは終わった。ケゾ=サンとその家族を救出したことによって、マルノに対するサークル人の信頼度は大きく向上した。しかし、アズキニアから勇猛果敢さで知られるとある猛将が送り込まれることとなっていた。マルノとケンが率いる独立軍8万はタークヤー城を本拠地と定め、西部の守りを固めていくこととなった。果たして、猛将はどれほどの軍勢で、どういった戦法でサークルに襲いかかるのであろうか?
~つづく~

第七話「アズキニアからの刺客」

1947年6月19日、タークヤーの町にたどり着いたマルノ=リュウたち一行はガバスカ・クサイコが立てこもるタークヤー城を制圧し、皇族であるケゾ=サンたちを救出することに成功した。これによりマルノ=リュウに対するサークル人からの信頼度は大きく向上した。マルノとケンが率いる独立軍8万はタークヤー城を本拠地とし、サークル帝国西部の守りを固めていくこととなった。しかし、この状況をよしとしないアズキニア本国は彼らを成敗すべく、勇猛果敢さで知られるとある猛将に、十数万の大軍を与えてサークルへ送り込むこととなった。
マルノたちは迎撃戦で勝つことができるのだろうか?

(タイトルコール)「アズキニアからの刺客」

マルノたち一行はタークヤー城を本拠地としたが、地方の城であるタークヤー城に8万の兵が入るわけなどなかった。マルノは一般兵たちに寝起きする部屋を与えたが、その代わりにどこかの家に下宿するしか方法がなかった。マルノはこんな札を掲げて町を彷徨った。「私は独立軍の総大将です。誰か私を泊めてくれませんか?」
(場面がタークヤーの町に切り替わる)

マルノ「グゥー...嗚呼、腹が減ったよ...誰か...飯を、く...れ...ドタッ」
(画面が暗転)

マルノ「カッ!(開眼)うーん、ここは...どこなんだ?」
少女「あら、気がついたの?マルノ将軍♡」
マルノ「い、今俺の名前を呼んだ.....俺の名前を知ってんのか!?」
少女「もちろん。私はあなたの大ファンですもの。」
マルノ「ほーう。ファンがいたなんて、知らなかったよ...。」
少女「それより、せっかくお目覚めになったんだから、何か食べる?」
マルノ「うん、あったかいものが食べたいね。」
少女「りょーうかいっ♡(部屋を出ていく)」
マルノ「(いや、あの少女は何者なんだ?これは夢じゃないよな?夢じゃなかったらいいなぁ...!)」
少女「ガチャッ...はい将軍、コンソメスープだよ。熱いから気をつけてね。」
マルノ「ところで君、名前はなんていうんだ。(キリッ)」
少女「私の名前はメリア。」
マルノ「なるほど、メリアか...よろしくな。」
メリア「よろしく。」
マルノ「さて、いただきますかね。フーッ、フーッ、ズルズルうあっつ!」
メリア「もう、気をつけてって言ったでしょ?」
マルノ「いや、君の思いが詰まってるんだなって思ったよ。それで、君には親御さんがいらっしゃるのかい?」
メリア「うん、お父さんとお母さんがいるの。(それよりさっきのあれ、どういう意味なんだろう?)」
マルノ「なーるほど。なんかちょっと、俺みたいなのが居候をして申し訳ないな...ハハハ」
メリア「そんなこと言わないで。さぁ、早く食べないと冷めちゃうよ!」
マルノ「だな。ズルズルズル...プハァ、美味いなぁ!(ニコニコ微笑む)」
メリア「そう?ありがとう♡」
マルノ「いや、お世辞じゃなくてホントに美味いよ!ズルズルズル...プハァ、美味い美味い美味い...。」
メリア「うふふっ♡」

なんやかんやあってマルノは下宿先を見つけることに成功した。しかし、サークルにはアズキニア本国から大規模な反乱討伐正規軍が送り込まれることになっていたのだ!
(場面がメクトフォールの行政府に切り替わる)

ツァオ・ツァオ「シャーホウ・ドゥンよ、サークルの状況についてはどう思うか?」
シャーホウ・ドゥン「あれは放っておけません!今すぐにでも私がマルノたち4人の首を取って参りましょう!」
ツァオ・ツァオ「よし、その意気買った!シャーホウ・ドゥン、そなたに19万の兵を与える。サークルの独立軍を思う存分叩き潰してこい!」
シャーホウ・ドゥン「ははっ!必ずや叩き潰してご覧に入れましょう。」

この反乱討伐正規軍の総大将として選ばれたのは、アズキニア軍で最強といわれる軍人であるシャーホウ・ドゥン元帥であった。元帥もまた戦地で戦いながら指揮を執るタイプであったが、知力のなさが玉に瑕といった感じであった。6月23日にシャーホウ・ドゥン率いる反乱討伐正規軍が19万の軍勢で進軍を開始。船で一週間ほどかけて海を渡り、7月1日にサークル南西部の都市、ヤジュセンの港に到着していた。
(場面がタークヤーの町の中央広場に切り替わる)

マルノ「ほう、19万とな...。」
ケン「マルノ殿、1万の騎兵を連れてヤジュセンの港に向かって下さい。」
マルノ「了解!(敬礼)」

その前日にはマルノが1万の騎兵とともにヤジュセンへと向かい、迎撃態勢を整えていた。19万の軍勢に対して1万はあまりにも少なすぎたが、ここにもケンの策略が隠されていたのだ!
(場面がヤジュセンの港に停泊する輸送船に切り替わる)

シャーホウ・ドゥン「へっ!マルノのヤツ、たかだか1万程度で俺たちに立ち向かえると思ってやがる。基地が五(キチ〇イ)も甚だしいわぁ!」
部下*25「将軍、サークル側にはケネス・ハミルトンという名軍師がついているそうですが...。」
シャーホウ・ドゥン「そんなの関係ないわぁ!ケネスなどただの野人に過ぎぬわ!明後日には兵を出す!全員に伝えておけ!」
部下「はっ!(敬礼)」

7月3日の午前6時、正規軍は岸壁に船を寄せ、怒涛の勢いでヤジュセン市街へ攻め込んだ!

シャーホウ・ドゥン「それーっ!かかれぇぇぇ!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド(怒涛の進軍で町が揺れる)
マルノ「フッ、あんな大軍もただの烏合の衆に過ぎん。ライフル隊構え、撃てぇぇぇぇぇ!!
正規軍一般兵たち*26「ぐわぁっ!」「撃たれたっ!」「殺られちまうっ!」「ム゛ッ!」「うわぁぁぁぁ!」
マルノ「よし、その調子だ、攻撃を緩めるな!」

マルノはただの騎兵と見せかけて、ライフルを持った「近代化騎兵」なる兵を投入した。数時間経つと、敵の兵は19万から13万程まで削れていた。

マルノ「ここらで一旦兵を引く!引け!引けぇーっ!」
シャーホウ・ドゥン「追え!逃がすなぁーっ!」
ダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッ

マルノは一旦兵を引いて、今度はアークシーロ山脈の山の一つ、ターニローカ山に向かった。騎兵で出陣したのは、撤退の速度を圧倒的に速めるためであった。ターニローカ山にはマルノの弟アランと、天才軍師ケンが率いる兵6万が既に布陣していた。残りの1万の兵は、万が一の攻撃に備えてタークヤーの警備を任されていた。
(場面がターニローカ山に切り替わる)

ダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッダカッ...
ケン「アラン殿、マルノ殿がもうそろそろ到着されますよ。」
アラン「そのようでございますな。」
マルノ「アラーン!」
アラン「兄さん!」
マルノ「ケネス、相手の兵を13万ぐらいまで削ったぞ。」
ケン「いい具合に削れましたね。さて、ここで相手の進軍を待ちましょう。」
アラン「我らに気づく可能性は...ないでしょうな。」
ケン「旗などを隠しておけば、敵兵が気づく可能性ももっと少なくなるでしょう。」
マルノ「そうですなぁ。よし、全軍旗を片付けておけ!」
ゴソゴソガチャガチャ...(旗をしまっていく)

一方、ターニローカ山の山道を進軍中の正規軍は...

シャーホウ・ドゥン「ほれ見たことか!わしらの軍勢にビビッて逃げおったわ!ハハハハハハハ!」
部下「そうでしたな、天才軍師ケネス、実は嘘なのでは?(笑)」
シャーホウ・ドゥン「あんなの嘘に決まってるだろ!」

楽しそうに談笑している彼らは気づいていなかった。この先に天才軍師が待ち構えていると。

監視兵*27「おっ...?あれは敵だ!大軍勢だ!」
ササササササ...
監視兵「申し上げまーす!敵がこちらへ向かっております!」
マルノ「そうか!」
ケン「マルノ殿、今すぐ出陣の用意を。」
マルノ「よし。皆の者、出陣じゃぁぁぁぁぁぁ!!
一般兵たち「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

シャーホウ・ドゥン「むむ?看板があるぞ?『タークヤーまであと6km』。あと少しだな。」
部下「そうですな。敵はタークヤーで迎撃してくる感じですかね?」
シャーホウ・ドゥン「そうに決まってるだろ。あんな馬鹿どもらなど、迎撃するしか能がないわい。」
部下「マルノたちの鼻を明かしてやりましょう!」
正規軍「ハハハハハハハハハハ!!!!」

マルノ「(軍を見つけ、銃を打てと味方に合図をする)」
ダァン!ダダーン!
正規軍「ぐわぁぁっ!!」「ガハッ!!」「ン゛ッ!?」「どはぁっ!!」
シャーホウ・ドゥン「敵襲だぁ!」
ケン「(岩を落とせと味方に合図をする)」
ゴロゴロゴロ...
正規軍「んぎぃ!」「ぴぎゃぁ!」「ひでぶ!」「あべし!」「どはっ!」
マルノ「シャーホウ・ドゥン、貴様はただでは帰らさんぞ...パシュン!(シャーホウ・ドゥンを射る)」
シャーホウ・ドゥン「ぐわぁっ!目が、目がぁぁぁっ!!」
部下「将軍!」
シャーホウ・ドゥン「ブチュン!(眼球ごと矢を引き抜く)親から与えられしこの眼、ただでは捨てられん...パクッ(眼球を食べる)」
マルノ「(遠くから見て)ええ...(困惑)」
部下「ええっ!?しょしょっ、将軍、何をなされるのです、とにかく、ここはひとまず引くしかありません!」
シャーホウ・ドゥン「そうするしかあるまい。引けぇぇぇっ!!グッ、目がぁ...ウウウ」

こうして、マルノたち独立軍は19万のアズキニア正規軍を撃退した。撤退時、アズキニア正規軍はわずか2000人ほどまで削られたといわれている。この戦いは、後に「ターニローカの戦い」と呼ばれるようになった。
(場面がタークヤーの町に切り替わる)

住民「おっ、マルノ様が帰ってきた!」「とんでもない大勝利だったそうだ。」「天才軍師ケネス様も大活躍だったねぇ!」
メリア「マルノ様ーっ!」
マルノ「メリア!」
メリア「マルノ様、帰ってきてくれて、嬉しい...(涙を流す)」
マルノ「そ、そりゃあ帰ってくるだろ...。」
ケン「マルノd、おっと失礼。」
アラン「兄上、そこのお嬢様とはどのような関係で?」
マルノ「え?俺の下宿先の娘さんってだけだよ。どうしたんだい?」
アラン「まさか兄上にそういうお方(彼女)ができたのかと思って...。」
マルノ「そ、そういうわけねぇだろ!」
メリア「あたしはマルノさんの大ファンなんです♡」
アラン「ズコーッ!」
住民&兵士たち「ハハハハハハハハハハ!!!!!!」
マルノ「な、何がおかしいんだよぉ!!」

マルノたち独立軍はアズキニア正規軍を撃退し、シャーホウ・ドゥンの左目も失わせた。すっかり嘗めてかかっていたことをやっと自覚したアズキニアは、今度は文武に長けた天才、チャン・リャオに兵30万をつけて送り込むことにした。父ワッカの友人であるチャン・リャオの噂を知っていたマルノは、今度こそ負けると覚悟を決めた。しかし、思わぬ展開が待っていたのだ!
~つづく~

第八話「災い転じて福となす」

1947年7月、マルノたち独立軍は19万の軍勢で攻めてきたシャーホウ・ドゥン率いるアズキニア正規軍を、半分以下の7万の軍勢で撃退した。しかし、これで嘗めてかかっていたと気づいたアズキニア陸軍大臣のツァオ・ツァオは、サークルに知将として知られるチャン・リャオを送り込むことに決めたのだ。それはマルノ率いる独立軍の敗北を予感させた。
果たして、マルノたち独立軍の運命はどうなるのであろうか?

(タイトルコール)「災い転じて福となす」

マルノ「うーむ...うーむ...(部屋をぐるぐる歩き回る)」
ケン「マルノ殿、どうされたのです?ここ数日落ち着きがないと見えるのですが...」
マルノ「ケネス、アズキニアから知将チャン・リャオ率いる30万の軍勢が攻めてくるという話は聞いたか?」
ケン「はい、存じております。」
マルノ「俺はこの一戦に全てを賭ける!負けたら自刎するつもりだ!」
ケン「ま、マルノ殿、ということは...」
マルノ「マールバーグとタークヤーにそれぞれ5000の兵を置く以外は全軍を出撃させる!」
ケン「それでも半分以下。もう負けを覚悟するしかないでしょう。」
マルノ「ううっ...クソォ...」

アズキニア正規軍を率いるチャン・リャオはマルノの父ワッカの友人である。そのため、チャンの強さを知っていたマルノは途方に暮れた。勝ち目などないと思ったからである。7月21日、アズキニア正規軍はデリテーヌを出港。シャーホウ・ドゥンの時と同じように1週間ほどかけて海を渡り、ヤジュセンには7月28日に到着した。

チャン・リャオ「なるほど...ここがヤジュセンの港。しかし独立軍の姿がないぞ?シャーホウ・ドゥンは1万の軍勢がいたと言っているが...?」
部下「今度は30万の軍勢ですから、恐れをなして尻尾を巻いて逃げ出したに違いありません。しかし策士のケネス・ハミルトンの力は侮ることはできませんね。」
チャン・リャオ「それは私も同感だ。どんな策を使ってくるかわからんな。とりあえず3日後に行軍を始める。兵たちに伝えてくれ。」
部下「はっ!」

それに先立ち7月27日には独立軍の作戦会議が、マールバーグの総督府跡で行われた。

ケン「まずはマルノ殿、レオナルド殿、ヴァルター殿は鶴翼の陣で正規軍に真正面から立ち向かってもらいます。鶴翼の陣には軍勢を多く見せる効果があります。」
レオナルド「確かに。横に広がれば多く見えます。」
ヴァルター「私も同感。多く見せるというのは、野生動物も使う技ですな。」
ケン「それと、ジョン殿とアラン殿はそれぞれ1万の兵を率いて近くの山に待機してもらいます。」
アラン「挟み撃ちですかな?」
ケン「その通り。彼らの裏をかくしか勝ち目はないでしょう。あと、アズキニア兵に扮装してもらいます。」
ジョン「了解!」
マルノ「皆の者、ケネス軍師の指示にできるだけ従って行動するように!想定と違うことが起きれば、臨機応変に行動してくれ!」
全軍「ははっ!」

7月31日、チャン・リャオ将軍率いる30万の軍勢がヤジュセンを出発し、マールバーグへと向かった。その途中にはホイホイ峠という峠があり、古くから難所として知られていた。チャン・リャオは挟撃を恐れながらもホイホイ峠を通ったが何も起こらなかった。そして峠を下ったあと...

チャン・リャオ「うむ。向こうに独立軍の軍勢が見える。16万では我らに太刀打ち出来んだろう...」
部下「そうですね。ここは一気に突撃しましょう。」
チャン・リャオ「よし、全軍突撃だ!」
一般兵「おおおおおおおお!!!!」
ドドドドドドドドドドドドド!!!!!!

マルノ「よし、向こうからアズキニアの連中が迫ってくる!行くぞ!」
一般兵「おおおおおおおおおお!!!!」
アラン「ふっ、俺らが後ろにいるとは思わんだろう。そりゃ!」
一般兵「(無言でアランに続く)」


*1 イメージCV:杉田智和
*2 イメージCV:千葉繁
*3 イメージCV:田中真弓
*4 引き続きイメージCVは千葉繁
*5 イメージCV:田中亮一
*6 イメージCV:石田彰
*7 イメージCV:古川登志夫
*8 イメージCV:関智一
*9 イメージCV:富田耕生
*10 イメージCV:難波圭一
*11 イメージCV:神奈延年
*12 イメージCV:藤原啓治
*13 イメージCV:野田圭一
*14 イメージCV:掛川裕彦
*15 イメージCV:高木渉
*16 イメージCV:緒方賢一
*17 イメージCV:田原アルノ(というより横山三国志の魯粛)
*18 イメージCV:橋本晃一
*19 イメージCV:島田敏
*20 イメージCV:坂口芳貞
*21 イメージCV:島田敏
*22 約300人ほど
*23 イメージCV:杉田智和
*24 イメージCV:田原アルノ(というよりコマンドーのエンリケス)
*25 イメージCV:掛川裕彦
*26 イメージCV:島田敏
*27 イメージCV:杉田智和