(おまけ)ガチャ確率の話

Last-modified: 2023-11-07 (火) 10:14:39

小難しそうな話をするページ。いちおう小学校高学年~中学生で理解できる。

おそらく小学校の高学年の算数あたりで「組み合わせ」について学び、中学校の数学で確率の知識と応用力を身に着けてくると次の内容が誤りだということがわかってくるだろう。

神聖契約
SSR排出率 2% → 50回で100%になり確実に手に入る 誤り
 

この点をなんとなくわかっていても、論理的にしっかり理解していないという人もいると思うのでこのページで説明する。

 

 

わかりやすいのは極端な例を出すことである。

ガチャ排出確率とは1回の抽選で排出される確率を示したものであり、1回の抽選で2%の幸運で星夢を引いたならその次の抽選でまた2%の幸運で星夢を引くことはありうる。それこそ、理屈のうえでは50回のガチャ抽選の結果が50体の星夢となることも考えることができる
    そう、考えることができるだけである。そんなミラクルが、どれほどミラクルなのかを実際に計算してみよう。

 

2%というのはそれ自体が小さな数字である。パーセント(%)というのはそもそも100で割った数字を表しており、2%とは0.02という数字に直される。100%で1である。

ガチャ抽選は「復元抽出」と呼ばれる分類に属し、対する概念は「非復元抽出」である。福引きで回す抽選会では抽選器の中に実際に入っている当たりの玉が出てくるので、1度出た玉は消費され減っていく。これがいわゆる非復元抽出で、読んで字のごとく出玉を戻さない(=非復元)ことで抽選器の中の当たり玉の割合によって都度確率が変動する性質を持っている。一方でアカクロ含めてソシャゲガチャでは常に1回あたりの確率が変動せず、それはあたかも抽選器から出た当たり玉およびハズレ玉を毎回抽選器の中に戻して(=復元)抽選器の中の当たり玉の割合が常に保たれているように見える。つまりアカクロのガチャは基本的に復元抽出である。

復元抽出である場合にはじめに宣言しておくと、「何回引いたら確実に当たるか」という指標は無いということになる。
100回引いた後に1回引いたとしても、その1回が当たる確率は変わらず2%だからである。そのためまとまった数を引いた後の状態について、それがどれほどの確率で現れるのかを考えることになる。2%で出る星夢に注目するのではなく、ガチャを複数回引いたその人に注目するのである。

まず2回連続で引く幸運を計算しよう。
復元抽出である場合に2%の当たりを引いた後にまた2%の当たりを引く確率は掛け算で表される。ここで2%は0.02という数字に直して計算する必要がある。

0.02 × 0.02 = 0.0004

これだとよくわからないのでパーセントに戻す(100を掛ける)。

0.0004 × 100 = 0.04%

2回連続で2%の星夢を引くことは、より過酷な0.04%となることがわかった。
3回連続ではどうなるか。同様に0.02を掛ければ良い。

0.0004 × 0.02 = 0.000008
0.000008 × 100 = 0.0008%

ますます過酷な0.0008%という数字が出てきた。
ここで 0.0004 は 0.02 × 0.02 であったことに注目すると 0.02 を回数分掛け合わせればいいことが分かる。中学校の数学ではこれを「べき乗」とよぶ。

0.02 × 0.02 × 0.02 × ~ (50回掛け合わせる) ~ × 0.02 × 0.02 = 0.02の50乗
= 0.00000 ~ (0が85個) ~ 00001259

とても画面に書く気にならず省略したが、0が85個続き大変小さな数字になる。パーセントに直すために100倍すると0が2個減って83個になるが、もはや誤差の範囲だろう。
これはもはや天文学的数字という表現の範疇を超えており、こんな幸運が存在するなら地球人に似た宇宙人くらい余裕でいると仮定していいレベルである*1
以上は50回のガチャ抽選がすべて星夢が当たったとする場合の確率の計算。

 

さて、星夢が2%で排出されるということは逆に言えば98%の確率で望んだ結果とはならないということである。
星夢が手に入るのならば1体だけでもいいという謙虚な心があれば、ここで求めるべきは1回あたり98%の望まない結果をどれほど遠ざけるかということになる。
そこで、さきほどとは真逆に50回すべてハズレてしまった場合の確率を考えてみる。98%は0.98と直して50回のべき乗を計算する。1未満の数を掛けると小さくなるのはご存知だろう。このハズレが続くという望ましくない結果は回数を重ねると小さくなる。

0.98 × 0.98 × ~ (50回掛け合わせる) ~ × 0.98 × 0.98 = 0.98の50乗
= 0.36417

パーセントに直せば 36.417% である。3人いたら1人くらいは50回全部ハズれるということである。ツイてない!
ここでまた逆の見方をしてみよう。100%のうち36.417%はハズれるのだとして残りの確率は少なくとも1体は星夢が当たっている確率であるということである。

100% - 36.417% = 63.583%

およそ3人に2人は50回引くことで星夢を少なくとも1体引けていることになる。オメデトウ!
この中にはごくわずかながら2体や3体引けた幸運な人も含まれる。当然50体引ける人も宇宙の塵未満の割合で含まれる。

以上がガチャで狙った当たりを引ける確率の計算方法である。この考え方は一生使えるので覚えておくと良い。

 
 

 

さらにおまけ
Excelで計算するなら以下の式でやると良い。
ガチャ確率 X = 2% ←「2」と記載されたセルをB列99行セルとする。
抽選回数 N = 50 ←「50」と記載されたセルをB列100行セルとする。
任意のセルに次の式を記述
=(1-(1-$B99/100)^B100)*100

上記で抽選回数の記載されたB列100行セルに隣接してたとえばC列100行セルに「60」と記載し、数式の記載されたセルを右隣にオートフィル機能でドラッグすると60回抽選時の確率が計算される。
いろいろなゲームでいろいろな確率計算を試してみるといいだろう。

 

*1 宇宙に存在する陽子の数が10^79の規模らしいので、これらの陽子すべてにアカクロがインストールされたスマホを持たせて50回神聖召喚してもなお100万分の1である。あほらし。