『一般兵の転生』

Last-modified: 2014-03-06 (木) 19:49:37

『一般兵の転生』

 

…そこは激しく空気の震える戦場だった、上空を飛び交う機体と海上に舞い上る炎

 

彼はそこにいた

 

たった一隻の戦艦を撃沈する為の共同作戦…その艦載機パイロットとして

 

「敵艦を撃沈すれば故郷に帰れる!必ず生還するぞ!!」

 

彼の機体…ムラサメ、可変機構を有し航空戦を制するには十分な機体である
戦局は彼の所属するオーブと地球連合の合同艦隊が優勢であった…しかし

 

突然の横槍で混乱に陥り、その中ザフトの機体が艦隊に斬り込み…陣容は崩れてゆく

 

「三尉!敵機が空母に向かってます!」
僚機からの通信に彼は機体を反転させ迎撃に向かう、仲間達が戻る場所を失う訳にはいかない

 

「そこのザフト所属機、止まれぇ!!」
可変形態のまま急速接近、誘導弾を発射!しかし敵機は乗機を巧みに操りことごとく回避する

 

そして…彼の機体が側方を抜けた刹那、凄まじい衝撃が機体と彼を襲った
警報が激しく鳴り響き視界は赤く染まり、空と海が回り続け…やがて海が包んだ
満たされてゆく海水、意識は視界と共に消えてゆく…深い暗闇へと

 

『(私は艦(ふね)にも故郷にも…帰れず、ここで)』

 

「…夫ですか!大丈夫ですか!小隊長!」
彼を再び痛みが襲う、それと共に暗闇が明ける…視界には白い天井、ここは寝台の上

 

「随分うなされてたみたいですが…良かった、浅瀬に突っ込んだ時は正直焦りましたよ」
『……?ここは何処だ??』
彼は辺りを見回した、どうやら病院の様だが…確認の後直ぐ横に居る青年に尋ねた

 

「どこって…沖縄ですよ?お・き・な・わ!沖縄の病院」
彼は頭の中を整理してみた…確か場所はクレタ沖で其処で会敵、出撃命令が下って

 

『…タケミカズチは、仲間達は?他の機体はどうなった!』
「建御雷?何寝ぼけた事を…夢の中で空想戦記浸って撃墜でもされたんですか?」
話が合わない、それどころが夢?空想戦記?…彼の顔が著しく歪んだ

 

横に居る青年は近くにあった丸椅子に座り一つずつ説明を始めた
「小隊長は近々行われる合同演習に備えた訓練の最中にリアルドで…」
青年の話によると、彼が沖縄で飛行訓練の最中、機体トラブルが発生
彼の乗機リアルドは低高度で市街地を通過、ユニオン在日米軍の基地を横に逸れ
機首から勢い良く浅瀬に突入、激しい衝撃で意識を失った…らしい

 

『リアルド…そうだ!私のリアルド』
彼の中でその時のイメージが浮かんできた、彼はまた頭の中を整理を始める

 

「いくら合同演習が凄いものになるからといって張り切って無茶な機動するからです!」
『本当にすまない…迷惑をかけた』
青年は少し呆れ顔で彼を注意した、もっとも…心配した上での注意である

 

それから時は流れ…彼は国防軍に復帰した、流石に完治とは言い難いが
国防軍のトップ達による叱咤激励と長話の後、彼は共にする隊員達と出発した

 

その途上…彼は思った
『(本当に夢なのか?あれは夢には鮮明過ぎる…いや、今は目先の事に集中しよう)』

 

国防軍のリアルド達が日差しに照らされ穏やかな海を飛んでゆく…遥かなる地へ向けて

 

そして…彼は再び相対する事になるだろう
記憶の片隅に…遠い記憶にあるガンダムという強力無比な存在に

 

上官に演習の真の目的を告げられ、彼は改めて僚機に呼び掛ける、あの日の様に
『少しのミスが命に関わる、故郷に…必ず生還するぞ』

 

眼下は海から陸地に…大気が震える時は近い
そう、戦死を遂げたあの日の海と同じ様に

 

 
 
  • SEED世界から00世界に転生ですか。面白そう! -- 2014-01-28 (火) 09:36:59