注意:このSSは作者が解禁前のガンプラ情報から妄想によって作り上げたものです。実際の商品とは内容が異なります。
『暗黒との遭遇』
ZEXISの一員としてアイム・ライアードによって引き起こされたインサラウムとの戦いを終えたソレスタル・ビーイング(以下CB)は
黒の英知に記されたバアルの襲来に備え、元の技術を同じくするコロニー側のガンダムとともに機体の改修作業にあたっていた。
「イアン、エクシアの改修プランが仕上がったと言うのは本当か?」
CBとしてはぐれ次元獣やテロリストの鎮圧に当たっていた刹那はイアン・ヴァスティからの連絡を受け、トレミーの
格納庫へと足を運んでいた。
「これは……ガン……ダム……?」
そこにあったものは今までとはかけ離れたエクシアの姿。
エクシアと言うにはあまりに尖り過ぎ、ゴテゴテとして重くそして痛々しすぎる、まさに厨二病デザインであった。
エクシアの設計コンセプトは人間に限りなく近づけた柔軟な動作での近接格闘戦機体であり、動きを阻害しないように
装甲自体は薄めに設定されている。が目の前のエクシアは紅と蒼で塗装された天使の翼を模した肩アーマーを付け、
胴体部分に神話の戦乙女のような板金鎧、左腕に十字型の盾、腰には紅と蒼に染められた二本の実体剣を装備して
エクシアと言えるのはあまり変更が加えられていない顔の部分だけなのである。
「来たか、刹那」
気づくとエクシアの肩の高さまで上げられた作業用タラップにイアンが立っていた。照明のせいか彼がかけているメガネだけが
光り、妙にうさんくさいオーラを出している。
「イアン、このエクシアは……エクシアに一体何をした……?」
刹那はいつもと雰囲気の違う彼をいぶかしみながら訊ねる。
「こいつはエクシアダークマター、ワシの最高傑作だ」
「ワシはコロニーのガンダムを改修するためにそれらを作った五人の博士達の過去の研究データを閲覧し、考察を重ねたが
どうにも煮詰まってしまってな。そんな時にふとユニオンの技術者である彼がした事を思い出した」
ユニオンの技術者というと刹那にも覚えがあった。スメラギの学生時代の同期であり、一時期、彼女が一緒に暮らしていた男
ビリー・カタギリ。彼はウイングゼロの調査中にゼロシステムによってスメラギへの疑念が拡大し、アロウズに参加していた
のだった。ヴェーダ奪還ミッション中に刹那が起こしたライザーバーストによる意識共有でスメラギと和解した後は宇宙船CB号
の管理・調査を任されていたと記憶している。CB見習い隊員であったクロウに声が似ていたのもあってよく覚えている。
「まさか……」
「そうワシはゼロシステムによってヒントを得て、このエクシアダークマターを作り上げた。
GNミストアーマーはシングルドライブの状態でも量子化を可能にする特殊追加装甲。
GNパワーシールドは大型GNコンデンサを内蔵し、従来のエクシアの二倍の粒子貯蔵を可能にする。
一対の実体剣であるプロミネンスブレイド、プライニクルブレイドは炎と氷が合わさり相手は死ぬ」
エクシアダークマターの機体説明をして悦に入っているイアンは正気ではない。そう悟った刹那は鍛え上げた肉体を使って
タラップを駆け上り、イアンを当身で気絶させるのだった。
後日、医療ポッドを使用した部分的な記憶消去治療によってイアンは正気を取り戻したのだが診断結果からノイローゼ気味
であった事が分かり、特に処分はされずエクシアダークマターはパーツごとに解体されて凍結保管されたのであった。