やがみけ_番外5

Last-modified: 2008-04-17 (木) 08:48:56

命名編

 

「姓と名?」
「そうや」
コタツに足を突っ込み、五人で正方形の机を囲む。
ちなみに、はやてはアスランの膝の上なので丁度四人分の席で事足りた。
「なるほど、姓と名が決まってれば確に紹介とか楽かもね」
籠の中に入った蜜柑をひとつ手に取り、それをはやてに渡す。
「そうそう、例えばキラやったら八神キラでええやんか?
髪の毛も茶色やし」
はやては慣れた手付きで蜜柑の皮を剥き、白い筋をとって半分に割った。
「次はシン、シンも八神シンでええやん」
「おぉ、悪くないな」
蜜柑を一粒剥がすと、アスランの口へ。
アスランはされるがまま口を開くと蜜柑を食べた。
「おいしいか? アスラン」
「あぁ、うまい」
そんなやりとりをしつつ、はやては続ける。
「次はレイ、レイも八神レイでええやんか?」
「はい、確に問題ありませんね」
「髪の色とか、目の色とか染めたぁとか、カラーコンタクトいれたぁとかあるよね?」
はやては蜜柑を全てアスランにたべさせ、もう一つ蜜柑を手に取る。
先程と同じようにしてから蜜柑を再びアスランの口へ
「問題はアスランやん。
八神アスラン、さすがにこれはあかんやろ?」
確にとアスラン以外の三人。
アスランも頷きたいのだが、はやてが蜜柑を口に放り込むので頷けない。
しかも飲み込むのが追い付かなくなってきたのか、まだ口の中に残っているにも関わらず口を開けるので、先ほどからキラが顔をしかめていた。
「皆どう思う?」
「いいんじゃないですか? 八神アスランで」
とレイ。
「ンが邪魔なんだよ。八神アスラだったら?」
とキラ。
その間にも詰め込まれて行く蜜柑。
心なしかアスランの顔が青ざめている。
「ん~八神、アス、アス、アス、アス……八神アスカでどうだ?」
「おぉ、それええな、なアスラン」
はやてが動いたことで髪が鼻孔を擽り、これは不味いと考えたアスランははやてを抱き締めた。
ひきつったキラの顔が、むずがゆくて細めたアスランの視界に映る。
「ばっくしょい」
テーブルに飛び散った蜜柑汁と蜜柑。
キラは顔面でそれらを受け止めていた。
はやては目を丸くしてしばらくキラを見つめていたが、なるほどと納得した。
力強く抱き締められたのはあぁならないように自分を蒲ってくれたのだと言うことに。
「アスラン、食べ物粗末にしたらいかんよ? めっ!」
「すみません」
「よしよし、ほんなら顔を拭こうなぁ。
折角のハンサムさんが台無しや」
とアスランの顔を拭くはやて。
そんな二人をよそにシンとレイによってキラは風呂場へと連れていかれた。