やがみけ_00話

Last-modified: 2008-03-27 (木) 17:45:17

シン「なぁ」
レイ「シン、主を前にして失礼だぞ」
シン「いや、レイその主がよぉ」
アスラン「そうだ、シン用件は紹介がすんでからだ」
キラ「慌てちゃ駄目だよ」
シン「気絶してんだけど……」

 

八神はやてが目を覚ますと自分の顔を覗き込む四人の男の顔が視界に飛込んできた。
一人は茶髪にパールブルーの双眸、優しそうな雰囲気を纏った少年。もう一人は藍色がかったやや長めの髪を持つ整った顔立ちの少年。三人目は黒髪に赤目が印象的な色白の少年。最後は長髪のブロンドが一目を引く中性的な少年だった。
「け、警察……」
はやては体を起こそうとするが
「駄目だよ、まだ寝てないと」
茶髪の少年がはやての両肩を捕まえてベッドに寝かしつける。
微笑む少年に対してはやては不安だった。
男四人に囲まれているのである。ロリコンでなければ安全かもしれないが、この四人のうちもしかしたら一人ぐらい、いや、二人、最悪四人ともロリコンの可能性がある。
さらにはやての不安を煽るのは彼等のいでたちだ。
赤いピチピチのフィット感満載の服を来ている。
とにかく、傍から見ても怪しかったのだ。
「あのぉ~、貴方たちは?」
このままではらちがあかないと思ったので、はやては恐怖と不安でからからになった喉から無理矢理に声を絞り出した。
顔を見合わせる四人の男たち。
一時の間。
刹那
突然四人の男たちが膝まづき、はやてに頭を下げた。
はやては呆気にとられたままその様を見守る。
「蒼天の剣、キラ」
声音低く、茶髪の少年が
「正義の盾、アスラン」
藍を帯た髪の少年が
「不屈の刃、シン」
黒髪の少年が
「伝説の槍、レイ」
金髪の少年が名を告げ、そして
「「「「我等、闇の書の主をお守りする騎士、ヴォルケンリッターなり」」」」 声を揃えてそう言った。
「ヴォ……ヴォルケンリッター……?」
はやては理解できず、言葉を反芻するだけだった。

 

「早い話がボディーガードです」
レイが言った。
「な、なんでなん?」
「だから、あんたが闇の書の主だからだろ?」
「シン、口を慎め、主様の前だぞ」
アスランはシンをたしなめ、一呼吸おいてからはやてが今置かれている状況を説明した。
年のわりに理解力の高いはやてにアスランは労せず話を進めることができた。
「魔法かぁ~」
けれども魔法についてだけは一筋縄ではいかないようだった。
だが、アスランもキラもシンもレイもそんなことには慣れているのか、焦った様子は見られなかった。
「こればっかりは実演が必要だよね」
そう言ってキラはじっとはやてを見つめる。
「(聞こえますか? 主)」「うわっ!? なんなん、これ?」
「念話っていうんだ。相手の波長が判れば、こうして脳内で話が出来るんだよ。
簡単だからやってみてごらん」
キラに促され、はやては目を閉じ
「(えと、キラ……聞こえる?)」
「(うん、聞こえるよ)あとは戦ったりする魔法があるけど、室内でやるわけにはいかないから、またの機会に」
「た、戦うって何と?」
「闇の書の主のあんたは」
シンっ!!
とアスランとレイ二人から同時に注意を受けるがシンは無視して続けた。
「俺たちに指示することができる。闇の書の完成を……。闇の書が完成すれば叶えたい願いを叶えられるんだ。例えばそう、あんたの足を治したり」
「せやけど、完成させるにはシンたちが戦わんといかんのやろ?」
「そりゃ……まぁそうだけど」
「何かに傷つけて何かに傷つけられるんやろ?」
先程まで状況を飲み込めず、目をパチクリさせていたはやてが真剣な眼差しでシンを見据えていた。
「主、我々は元々そのためにつくられたプログラムですから、そんな心配は……」
「心配とかそんなんやないよ。今までの主がどうやったかは知らんけど、うちが主でいる間は戦いとか、そんな物騒なんはなしや」
主が言うのであればとそれ以上アスランは何も言わなかった。
「なら、主に叶えたい願いはないのですか?」
今まで黙っていたレイが口を開いた。
「あるよ~」
「ならば尚更闇の書の完成を……」
「皆がうちの家族になってくれる……それだけでえぇ」
すでに両親は亡く、ひとりぼっちのはやてを引き取ってくれる身内もなかった。
最近まで独り暮らしをしていたがどうやら今日からは静かな八神家が賑やかになりそうな予感がはやてはしていた。