キラ様第12話

Last-modified: 2009-10-31 (土) 16:23:24

アークエンジェルへ敵艦からミサイルの雨が降り注ぐ、Nジャマーの影響で精密な
射撃は無理にしても、それが一発でも艦首へ命中すれば終わりだ。そういう意味では
戦艦クルーというのもまんざら楽では無いかもしれない。もっともこちらには補正が
あるので間違っても攻撃が艦首へ当たるなどという事は無いのだが。
「第一波、ミサイル攻撃6発!イーゲルシュテルンにて迎撃!」
「砂丘の影からの攻撃で、発射位置、特定できません!」
と言った感じでクルー全員が全く状況に対応出来ていない状況だった。ナタルは腕立て
伏せを中断し、戦闘へ参加しようとしていたが俺が制止した。
「おい、まだ20回くらいしかしてないだろ?80回に増やされたいのか?」
「し、しかし、今はそれどころでは!」
「黙れ、これは命令だ」
「・・・・・・!!!」
ナタルは再び腕立て伏せを開始した、俺はバテ気味になりながらも必死に腕立て伏せを
がんばるナタルを横目に少し考え事にふけっていた。今頃なら俺はフレイとHしてた
はずだ、しかし現状はどうだ?何だこれは?肉便器は死にストライクは無くなり散々だ
本編のキラの方がよほどいい思いをしている。では何故そうなった?と俺が思考していると
横でトノムラが叫ぶ。
「5時の方向に敵影3、ザフト戦闘ヘリと確認!ミサイル接近!」
「うるせーバカ!ミサイルごときでうろたえるな!少し黙ってろ!」
俺が怒鳴りつけるとトノムラは静かになった。トノムラだけで無くブリッジクルー全員が
静かになり、ナタルの腕立て伏せによる荒い呼吸と敵の攻撃の爆音だけがブリッジ内に
静かに鳴り響く。俺は思考を再開させた。つまりどうやら嫁のデリケートさ皆無の脚本にも
修正不可能点は確かに存在する様だ、今回のこれが正にそう。つまりストーリーの核となる
キーポイントでそれは起こり易い。物語のアキレス腱・・・・、やはり慎重に事を選ばねば
俺も少なからず割を喰らう事は実証された、今後こういった選択肢はますます増えるだろう。
それでも補正があるので死ぬ事は無いだろうが・・・。俺はフト思った、先ほどから艦の揺れが
激しくなっている、俺はトノムラに問いただした。
「おい、どうした?さっきから何か揺れ激しくなってねぇか?」
「現在TMF/A-802バクゥ五機による攻撃をうけております」
「ああ!?MS出て来てるなら早く言えよバカ!落されんぞ!」
「しかし黙っていろと・・・・」

 

俺は広域レーダーでバクゥの位置と動きを確認してみた。どうやらバクゥはイーゲルンシュテルンの
射程ギリギリまで接近し攻撃、離脱のヒットアンドアウェイ戦法を取っている様だった。
自動迎撃のスレッジハマーもゴットフリートも軽々と回避されている、このままでは落ちるのは
時間の問題だ、やはり俺が出るしか無いか・・・。俺は艦長席へ備え付けてある受話器を取ると
格納庫へ通信を入れた。
「ジンをすぐ出れるようにしておけ!今そっちに行くから」
受話器を置き、今度はブリッジクルーへ命令を出した。
「ジンのコクピットから命令を出す、バジ子がサボらない様に見張ってろよ」
俺はそう言い放ちブリッジを後にした。格納庫へ付くとジンがいつでも出れますとばかりに
コクピットの蓋を開いて待機していた、本当に整備班連中の仕事は確かで助かる。
良く見るとスカイグラスパーは二機とも待機状態のままだった。俺はマードックに問いただした。
「兄貴はもう出たんじゃ無かったのか?」
「え?えぇ・・・それが・・・」
マードックが格納庫の奥を指差した、その先にはあの例のトイレ、ムウからすれば忌まわしき
はずのあのトイレがある。・・・・何をしている、いや、何故今している・・・?
俺達がトイレを見つめていると、突然トイレのドアが開き中からムウが独り言を言いながら出てきた。
「ちくしょう、何だってこんなに揺れるんだよ・・・、全然集中出来無いじゃないの・・・」
「またオナニーかよ・・・・お前も懲りないな」
俺が声をかけるとムウは一瞬反応したが、また何事も無かったかの様な振る舞いを見せた。
都合の悪い事はシカトかよ・・・。俺はスカイグラスパーに乗りこもうとするムウの腕を掴んだ。
「何だよボウズ?俺にその気は無いぞ?」
「俺もねーよ!お前は俺と一緒に来い」
「だから俺にその気は・・・」
「うるせー!いいから来いやカス!!」
俺はムウの腕をひっぱりジンの複座へ押し込み、自分もジンに乗り込んだ。
「キラヤマトだ、出るぞ」
カタパルトハッチが開かれる、しかしカタパルトからの機体打ち出しはしない、そんな事を
すればバクゥのいい的になりに行くだけだ。開かれたハッチから外の様子を見てみた、バクゥが
一機居る、まずはあいつを殺るか。俺はムウに言った。
「おい、今から奴を狙撃するからお前は奴の動きを読んで俺に知らせろ」
「はぁ~?そんな事、出来るわけ無いじゃないの」
「・・・・何の為にお前を連れてきたと思ってるんだよ?キュピ~ンやれよ」
「出来無い」
「何だと?お前は不可能を可能にするんじゃねーのかよ?」
「せめて艦長がフェラしてくれたら出来るかもしれないけどな~」
・・・・・お前は俺か?人間一度堕ちるととことん腐っていくな、種キャラでもそれは例外では無い

 

まぁすぐに嫁に性格を矯正されるだろうが、しかしムウが使えないとなるとどうするか・・・。まぁいい
適当に撃ってみるか・・。ジンのスナイパーライフルの照準をバクゥに合わせた。バクゥの移動速度と
ライフルの弾速を考えるとこの辺か?引き金を引いて見る、発射されたライフル弾はバクゥの左足を
撃ち抜き、高速で移動していたバクゥはバランスを崩し、砂煙を上げながら地面を転がっている。
腹を空へ向け倒れているバクゥのコクピットへ追い討ちをかける様にもう2発撃ちこむとバクゥは爆発した。
「うっひょ~、やるじゃないの!」
後ろのムウが喜んでいる、そういえば居たなこいつ。
「よ~し、それじゃ俺もがんばらないとなぁ!!」
急にやる気が出てきたのか、ムウはそう言うとレーダーの装置を弄り出した。しかし使い方が
分からないのか、意味の無い、動きをしている。俺はムウに言った。
「おい、あんまり変な所触んな、壊すぞ」
「大丈夫♪大丈夫♪なんてったって俺は不可能を可能に・・・・ん?何だこれ?」
ムウが何かのレバーを引っ張った、何となく見覚えのある赤いレバー、それってもしかして・・。
コクピット内に突然アラートが鳴り響く、敵にロックされた時とは異なる独特のアラート音。
メインの画面に時間表示が出ている、残り2分58秒と。こいつ、よりによって最悪な事を・・・・・・。

○つづく