サンタ 氏_‐さようなら、デスティニー‐

Last-modified: 2009-12-27 (日) 01:35:06

‐さようなら、デスティニー‐

 

クーリスマスが今年もやーってくる♪……………………はあ、何をやってるんだ俺は……」

 

四畳半の部屋で一人寂しくケーキを食べている俺。
もう悲しすぎて涙が出てくるよ全く。
クリスマスとか……クルシミマスの間違いだろ?
ルナ?ああ……半年前に別れたよ。
今はプラントの金持ちと付き合ってるらしい。
ヨウランが言ってたな。
ホント……ホント、リア充乙。
「はあ……ん?何だよ、もう酒ないじゃん……くそ余分に買っときゃ良かった……」
適当に身支度をして、住んでいる軍の寮から出てコンビニへ。
適当に酒を数本買って帰る。
途中すれ違うカップルは眼中に入れない。
むしろ俺に近づくな。霜焼けするぜ。
って……何言ってんだよ俺。
余計悲しいじゃん……。

 
 

「わーい!お母さんありがとう!」
「こらこら、走らないの」
前を歩いてる親子の声が耳に入った。
俺も小さい時はあんなんだったっけ……。
マユと母さん……父さんは仕事で遅かったから、三人でプレゼントを買いに……あ、やべ。涙出てきた。
「でも残ってて良かった!ハイネ専用デスティニー!!」

 
 

「…………………………………………………………………………………………………………え?」

 
 

思わず手からコンビニの袋を落ちた。
デスティニーとは言わずもがな、俺の専用機だ。
あの凸にボコボコにされて今は月でお釈迦になっているが、
プラモデルの人気ならストフリやインジャスよりも高い。
けど……。

 
 

ハ イ ネ 専 用 デ ス テ ィ ニ ー だ と ! ?

 
 

俺は真相を確かめるべく、商店街へ向かった。
そのだらしない格好で?
気にするな。俺は気にしない。

 

すぐに商店街へ着いた俺はおもちゃ屋に向かった。
プラントでもMSのプラモデルは男の子に人気が高い。
確か副長も集めてたような気がした。
……と、そんなことはどうでもいい。
俺は店員に訊いてみた。
「すいません。ハイネ専用デスティニーは……」
「このキョシヌケェェェェェ!!!男ならこいつを買え!!!」
「え、あ、いやその……」
銀髪の店員が出してきたのはゴッドガンダムと言うMFのプラモデルだった。

 

「また来いよ!キョシヌケ!」
「はあ……」
店員の気迫に負けて買ってしまった。
しょうがない。副長に作り方教えてもらおう。
結局ハイネ専用デスティニーは分からずじまいだな……。
ま、いっか。
と言うか何でハイネなんだ?
あの人、まあいい人だったけど登場してすぐ……あれ?また涙が……。

 

「そこのお兄さん!今ならこのT.●.R●v●l●t●o●のCDを買うと、
 もれなくハイネ専用デスティニーが貰えるよ!どうだい!?」

 

「………………………………なん、だと……!?」

 

なんと言うことだ。
ハイネ専用デスティニーは中の人のCDを買うとついてくる附属品だったのだ。
「ちょっと見せてくれ!」
「え、ああ、これだが……」
「これは!!!」

 

ハイネ専用のオレンジカラーのデスティニー。
背中の翼も俺のデスティニーと一緒だ。

 

「何でだよ……」
「ど、どうしたんだい?」
俺はその場に崩れ落ちた。
ちくしょう……中の人が……中の人が有名だからって……!

 

「うわアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 
 
 

『ン……シン……!』
「ん……?」
気が付くと、俺はまたあの不思議空間にいた。
そして目の前には……。
「ステラ!」
『シン、また会えたね……』

 

そこには素っ裸のステラ。
おっぱ……くそ!見えない!何でだよ!!

 

『シン……?』
「え、ああ……何でもないよ。それよりどうして……?」
『ステラね、これ見せたかったの』
ステラが後ろから取り出したのは、ハ イ ネ 専 用 デ ス テ ィ ニ ー 。

 

「やっぱりステラもハイネのデスティニーのほうが……orz」
『違うよ、シン』
「え?」
そう言うとステラはハイネ専用デスティニーをジーッと見つめる。
『これ、翼はデスティニーだけど、色合いが電池っぽいよね』
「電池?」
『オレンジと白。それに電池でググってみれば分かるよ』
「ググ……?」
『じゃあね、シン……』
「待ってくれ!ステラ!ステラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 
 
 

「はっ……!」
気が付くと、俺は自分の部屋にいた。
どうやら酔って眠ってたみたいだ。
「なんだ、夢か……」
そう言ってグーッと背筋を伸ばすと、視界にプラモデルの箱。

 

昨日買ったゴッドガンダムだ。

 

「え?え?え?」
混乱している俺をよそに、ピンポーンと呼び鈴の音。
「あ、はい……どちらさ」
「俺だシン」
「……アンタか」

 

やって来たのはリア充の凸。
何しに来た。
自慢か?昨日はメイリンと燃えたんだぜ!とか言いに来たのか?
そうなんだろ?そうなんだろ!?

 

「シン、目が怖いんだが……」
「気のせいですよ。で、何の用ですか?」
「あ、ああ……少し遅れたがお前に渡したいモノがあってな。これだ」
もう分かるよな。
もうここまでくれば分かるよな。
そうだよ。

 

ハ イ ネ 専 用 デ ス テ ィ ニ ー だ よ !

 

「この凸がアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「ちょ、何を、やめ、ギャアアアアアアアアアア!!!!!」

 
 
 

俺の名前はシン・アスカ。
ガンダム種死の主人公だが、また俺は主人公から遠ざかる。
何故だ……何故俺は……

 

「そうだ、負債に会いに行こう」

 

京都に行こうみたいなノリ?それがどうした!
フフフ……ハハハハハ!最高のクリスマスプレゼントをあの二人に……!
「待て……シン……!」
ツルっ禿になった凸の言うことなんて聞くもんか。
そうさ、俺はこのスレの……

 
 

「主人公だァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 
 

END.