シンとヤマトの神隠し ~鳴動の海鳴市~ 第01話

Last-modified: 2017-09-11 (月) 19:41:14

私は敗れた。
人の夢、人の未来、素晴らしき結果。キラ・ヤマトに…。
だが…、プロウィデンスと共に滅びたと思っていたこの命は、この身は、時を経て、世界を越えて再び蘇った。

ザフト艦エターナル内部。「なのはたち…どうしてるんですかね…。」
ザフトのトップガンの証し、赤い服を身にまとったシン・アスカは隣を歩くキラに聞いた。
キラは、今はザフトの隊長の証しとなる白い服に身を包んでいる。
「うん、気になるところだけどね…。でも、平和であってほしいと思うよ。」
「まぁ…そうですね。」
顔を見合わせ、笑う二人。「おや?ヤマト隊長にシン。」
「議ちょ…、デュランダルさん。それに、レイ。」デュランダルとレイ、その二人と、キラとシンは立ち話をする。
レイはレジェンドのパイロットしてエターナルに、デュランダルはレイの健康面でのサポートをするために乗船していた。
艦内警報がなり響いたのは、そんなときだった。
『キラ!おっと、失礼、今はヤマト隊長だったかな?』
「バルトフェルドさん、何ですか、この警報は…。」
『ふむ、それなんだがね。妙なものがあるんだ…。淀み…とでも言えばいいのかね、あれは…。』
キラは壁にあるキーを叩き、モニターを開く。
すると、陽炎の様に揺らめく空間が一部あり、中心は純白の光を放っている。
キラとシンはこの光景に見覚えがあった。
「キラさん!」
「うん、わかってる。バルトフェルドさん、エターナルを頼みます。」
『お、おいキラ!お前は隊長…』
バルトフェルドがいい終える前にキラとシンは駆け出していた。
レイも駆け出そうとする。と、デュランダルがレイの手を掴み、三つの薬の入った入れ物を手に握らせた。「持っていくといい。」
「ギル?こんなに…」
「未知の状況だ…。何かあってからでは遅い。」
暫しの沈黙が続いたあと、「ありがとうございます。」レイは格納庫へと向かった。

海鳴市海上。

「こ、こいつら!ヴィータは緑をやれ!私は青をやる!」
「わかった。グラーフアイゼン!!」
『シュワルベ・フリーゲン』
グラーフアイゼンを振りおろし、4つの赤い光弾を緑色のバリアジャケットに身を包んだ少年に向けて放った。
「へっ、冗談じゃねぇ。もっと力を見せてみろよ!カオス!」
『ファイヤーフライ』
少年は緑色の十字、そして両端に重りがついている杖を振るう。同じく緑色の光弾を4つ放ち、ヴィータの攻撃を撃墜した。

「紫電一閃!!」
カートリッジを一発消費し、炎渦巻く剣、レヴァンティンを縦一閃。
「あっはっはぁ、そんなんで僕をやろうって?」
男は魔力刃のランサーでシグナムの攻撃をうけ、
「いい加減、見飽きてんだよ!その攻撃!!アビス!!!」『カリドゥス』
青い環状魔法陣を展開した。轟音と共に、少年とシグナムは爆煙に包まれた。

海鳴市、街上空。
「そりゃぁあぁ!!瞬殺!!」
『ツォーン』
真っ黒な魔力の塊がなのはを襲う。
『ラウンドシールド』
桜色の環状魔法陣が漆黒の砲撃を退ける。
「ぐっ!!あなたは!何でこんなことするの!!」
『ディバインシューター』8つの光弾が赤い髪の少年を襲う。
『Ahura Mazda』
何やら魔力弾を連射し、相殺。魔力翼を展開し、なのはとすれ違いざまに言い放つ。
「そんなこと、僕はしらないね!やんなきゃ殺られる!そんだけだろぉうがぁあぁあ!!!」

『プラズマランサー』
「ファイア!!」
「誰だよ、俺を殺ろうってやつは!」
実体刃の鎌を振り回し、プラズマランサーをかいくぐっての縦一閃。フェイトもヴァルディッシュアサルトのサイズフォームで迎え撃つ。
「うぜぇよ、お前ら!!」
一斉砲撃がフェイト、そしてその相手を狙い撃ち、仲間同士で戦い始めた。
「そんな…仲間なのに…?」フェイトは相手の見境のなさに唖然とする。

「ふむ、私の情報ではこの辺りにいるはずなのだがね。」
仮面をつけた長い金髪の男は誰かを探していた。
「ラウ…探し物?」
ラウ・ル・クルーゼ。その男の隣には同じく金髪の少女、ステラ・ルーシェが飛んでいた。
「あぁ…だが、邪魔が入ったな。」
クルーゼとステラの前に漆黒の六枚の翼を纏った少女が現れた。手には剣十字の杖、シュベルトクロイツを握り、尖端をクルーゼにつきつける。
「私は管理局魔導士機動六課部隊長、八神はやて…。抵抗しなければあなたたちには弁護の機会がある。
武装を解除して、投降を…。」

「ほぅ、これはこれは…。君が八神はやて…なるほど…。」
「ラウ…知ってる?…あの人…。」
不適な笑みを浮かべるクルーゼにステラが聞いた。
「もっとも、知っているのは名前だけだがね…。私の知り合いが世話になったようだが…。」
疑問の表情を浮かべるはやて。だが、クルーゼの一言がはやてを驚愕させる。
「ちょうどいい。君には聞きたいことがあったのだよ…。君は、キラ・ヤマトを知っているかね?」
『マイスター!?』
「動揺したらあかんよ。リィンフォース。」
とは言いつつも、はやては驚きを隠せていなかった。何でキラを知っている?
だが、結論は一つしかなかった。
「あなたは…C.E.の…。」
「ご名答。では、そろそろ答えてもらえるかな?八神はやて…。キラ・ヤマトはどこにいる?」
「答えられません。おとなしく投降を…。」
ふぅっと息を吐くクルーゼ。
「では、ステラ・ルーシェ。ここは君にまかせて大丈夫かね?」
「…うん…大丈夫…。」

C.E.73、元ヤキンドゥーエ宙域。
「これって…やっぱり…。」『…だね。たぶん、僕もシンと同じことを考えてるよ。』
『隊長とシンは知ってるんですか?この淀みについて…。』
デスティニーのコックピット内の通信にキラとレイの顔が写っている。するともう一人。
『こちらはオーブ軍所属、アスラン・ザラだ。こんなところでお前たちは何をやってるんだ?』
現れたのはジャスティス。そしてパイロットのアスラン・ザラだ。
『私たちは、この淀みについて調査をしに来たんです。アスラン。』
『お前たちもか…。』
『てことはアスランも?』キラが聞いた。
『あぁ、代表をプラント、ラクスの元へ送る途中だったんだ。だが、途中でレーダーがこれを察知して…。危険がないか調べるためにここへきた。』
淀みが広がり始める。
「これは…、まずいぞキラ!」
「シン、この宙域から離脱するぞ!」
「アスランとレイは離脱を、僕とシンは…」
「ここに残ります。」
アスランとレイの忠告を聞かず、フリーダムとデスティニーはその場にとどまる。
「ちィっ!」
その場を去ろうとしたジャスティスとレジェンドはフリーダムとデスティニーの元へ戻り、光に包まれ、淀みに飲み込まれた。

『スーパースキュラ』
エクセリオンバスター並の威力をもつ四本の奔流がはやてを襲う。
「あかん、リィンフォース!翼を!」
『はい!マイスター。スレイプニール』
先程から何度も攻撃を加えてはいるのだが、ステラにダメージを与えることはおろか、傷をつけることすら出来ていない。
砲撃がきかず、ラグナロクブレイカーはあっさりと防がれた。
どうしよ…、砲撃が効かん。
『マイスター!』
深紅の光弾が無数に飛んできていた。
避けきれない…。
「リィンフォース、盾!」
数えきれないほどの光弾がはやての張る障壁に突き刺さる。
「さて、そろそろ教えてくれる気になったのではないかね?」
先程から黙って戦闘をみていた仮面の男、クルーゼがようやく口を開いた。

「これは…キラ・ヤマトの…。」
敵の攻撃、カリドゥスはかつてキラ・ヤマトが使っていた大砲撃魔法だ。
「ごめんねぇ!強くてさぁ!!」
笑う男、アウル・ニーダ。『フルバースト』
「くっ!!レヴァンティン!」
「クロノ君!海鳴市海上上空よりアンノウン接近!!」
「別動隊か!?エイミィ!アンノウンの確認急げ!!」

多数の奔流がアウルのフルバーストを相殺する。
「何ィッ!?」
「何だ!?」
シグナムは奔流が降ってきた空を見上げ、目を見開く。蒼い閃光が駆け抜け、ヴィータの元へ向かっていくのが見えた。

「このッ!!」
『ハーケン・セイバー』
「あぁ!!ウザイッ!!」
『フレスベルグ』
ハーケンセイバーをさけるようにし、深緑色の大砲撃がフェイトに向かっていく。予定よりも大きく回避距離をとり、フレスベルグを避ける。
「そんな…、あんな大砲撃が…まがる?」
「オラオラァ!!どこみてんだよ!お前はぁ!!」
『トーデスブロック』
二本の膨大な魔力を含んだ長距離射撃。
「くっ!!」
『ディフェンサープラス』何とか防ぎきる。しかし、「フェイトちゃん!危ない!!」
その言葉にはっとし振り向く。
「終わりィ!!」
『ツォーン』
漆黒の閃光が間近まで迫っていた。
『ケルベロス』
しかし、上空から降り注ぐ一撃がツォーンを撃墜する『フラッシュエッジ・アロンダイトシフト』
大剣が回転しながら黄色いバリアジャケットに身を包んだ赤髪の少年、クロト・ブエルに向かって飛んでいった。
クロトは上体を反らすことで回避。すぐに態勢を立て直す。
「何だお前はぁ!」
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