パトリック・レポート◆ヴァンダムセンチネル氏 06

Last-modified: 2016-03-04 (金) 01:19:58

『その6』
 
 
YAMAD@電機で見て回っているとき、ディステニープランを提唱をしたニュースが飛び込んできた。

「デュランダル……何故だ!?」

私は、国民全員に遺伝子解析をして、あらためて職業を斡旋するということに疑問を持った。
プラントの危機的状況を乗り越える一時的な措置ならまだ考慮の余地はあるが…
このような状況でする必要など無いはずだ。
いままでの彼とは正反対のことを行っている……違和感を感じる。
だが、判断の材料が少ない……。
そう考えていた時、オーブの行政府の方向から爆音がした。

「…ザフト?いや、連合か!!?」

私は不安を感じて行政府へ跳んだ、予想以上の惨劇が待っていると知らずに…

跳んだ先に見たのはオーブのMSがユウナに攻撃を仕掛けていたところだった。

「馬鹿な…」

ユウナも同じ事を感じていたに違いない。

「クーデター!?しかし、代わりなど父親のウナトしかいないはず…連合の工作か?」

私は混乱していくばかりだ。

「そうか・・・・・。ラクス・クライン・・・・・いや、キラ・ヤマトだ・・・」

ユウナは答えを導き出せた…しかし、打開する術はなかった……
量産機でありながら脅威の性能と耐久力をもったMS、オーブ国民の裏切り、そしてストライクフリーダム。
捕らえたはずのラクス一味が抜け出し、このように反撃するとは予想もつかなかった。
今の状況では殺すことも得策でないとはいえ…このようになるとは…
うなだれるユウナをウナトが肩を叩く。
「お逃げください、代表」
「逃げる・・・・? 逃げるって?」
「我々の負けです」
「ま・・・・け・・・・・?」
「代表、お逃げください。戦況はすでに決定しております。
 それゆえ、 港に出航した、タケミカズチまでひとまず。
 それから、他国に亡命なさってください」
「亡命だって・・・・・? どうして・・・・・そんな・・・・・オーブを見捨てて・・・・・
  もうすぐ・・・・もうすぐアスランが来るのに・・・・」
「いいですか、代表。あなたがおられる限り、オーブはそこにあるのです
  あなたがいる限り、オーブはオーブでいられるのです」
「僕は・・・・・・」

私はウナトに瞳に悲しみと覚悟を感じた。

「なぁ・・・・・。大きくなって、立派になったなぁ、ユウナ」
「父上・・・・・」
「おまえの将来だけが、心配だったんだ。いつまでたっても甘ったれで、カガリと結婚するって言っても、
  へらへらとした性格が抜けなくて・・・・。でも、本当に立派になったなぁ・・・! なぁ、おい!
  ユウナ・・・・ユウナ・・・・」

私は胸を締め付けられるような痛みを感じた。

「父上・・・・・」
「ユウナ・・・・・。おまえの顔をよく見せてくれ。ああ、息子だ。おまえは、確かに私の・・・自慢の、息子だ」
「も・・・・申し訳ありません・・・・父上・・・・。僕は、僕は自慢の息子なんかじゃ・・・・・
  オーブを・・・・・オーブを戦火に巻き込んで・・・・民を殺して・・・・あ・・・・うっ・・・・うぐっ・・・・・」
「そんなことはない。ユウナ。おまえは、シーゲル・クラインや、パトリック・ザラ、
  あるいはウズミ・ナラ・アスハやギルバート・デュランダルなど比べ物にならぬほど、立派な政治家になれる」
「あ・・・・? うっ・・・・ひっく・・・・・そんな・・・・無理、無理です・・・・。僕には・・・・・」
「大丈夫だ。なぜなら、ユウナ。おまえは凡人だからだ。凡人だからこそ、おまえは誰よりも努力した
  この戦乱の世で、オーブは平和だった。それはユウナ、おまえがやったことだ
  おまえという天才でもなんでもない、ただのナチュラルが、平和を作ったのだ
  努力して努力して、誰よりも努力してな。それを誇れ、ユウナ。私の自慢の息子よ」

憎しみや悲しみで見るべきものを見なかった私や、理念のみで国民を見なかったウズミより立派な政治家だ。
たとえオーブ国民が解らなくとも、私は、私だからこそ解る。

「さぁ、もう行け、ユウナ」
「父上も一緒に・・・・・!」
「ならん! ラクス・クラインや、キラ・ヤマトがオーブを奪ったということを、私は民に教えねばならんのだ
  誰かが、この反乱を非難せねばならん。それは老人の役割だ・・・・」
「父上・・・・!」
「さらばだ、ユウナ。達者でな・・・・・。連れ出してくれ」

私は、親子の今生の別れを見て、悲しみとともに、意志を継いでくれる息子を持ったウナトへの嫉妬のようなものを少しだけ感じた。

「すまんな、おまえたち。付き合わせてしまって」
「いえ! オーブのために死ねるなら、さほど悪い死に様ではありません
  ユウナ様を我々も、信じております!」
「うむ・・・・・・」

『降伏してください! 降伏してください! タケミカズチ、退艦を!』

「聞け、キラ! オーブは負けぬ! オーブは屈せぬ!
  他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない!
  ただ一つ、それがオーブの道である!」
『すでに勝敗は決しました! オーブの閣僚も、国民も、僕のオーブ代表就任を認めています!
  これは代表命令です・・・・・降伏してください、トダカ一佐ッ!』
「キラ! 私にとっての代表は、ただユウナ・ロマ・アスハお一人のみだ!
  貴様のような偽者を、オーブは認めぬッ!」

『トダカ一佐ッ!』

「タケミカズチ、全砲門開けッ! 目標、ストライクフリーダムッ!」

「ユウナ様。後はよろしく、お頼みします。どうか、オーブの夜明けを・・・・」

「パトリック……」
「すまない、一人にしてくれ。」

撃沈したタケミカズチに黙祷を捧げたパトリックは呻くように言った。
彼らもまた私達と同じように見守っていくのだろうか?
私はそう思い、一人でタケミカズチへ向かっていた。
おそらく、『彼』も先にいっているのだろうという確信を持ちながら…

(続く)

パトリックレポートジャンク!(6個目)
俺の名前はムウ・ラ・フラガ。
ネオ・ロアノークとも呼ばれたことも合ったけな…
エンディミオンの鷹と呼ばれたが……俺には不似合いな呼び名だ。
大人としての役目を果たせず、何度も死にぞこない……惨めな俺には『堕ちた鷹』がお似合いだ。
俺は、子供を戦争の道具にした。
そして、子供の進むべき道を示せなかった……
そんな俺は地獄行きと覚悟はしていた。

だがなぁ!

こんな地獄なんて予想していませんでした。
神様、私は生意気言いました、ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ………

(時間は少し遡ってヤタガラス倉庫にて…)

「これより、エンディミオンの鷹で有名なムウ・ラ・フラガ氏の歓迎会を始める!!」
「ぃぃぃぃやったあぁああああ!!!」
「「「「ワー!」」」」
「スキヤキー!」
「ハラキリー!」

……ナニカキイテハナラナイコエガキコエマシタガ?
あれは幻想だ、そうに違いない…ははは。

「あのーパトリックさん?」
「なんだね?」
「皆テンションが高いんですけど…」
「騒ぐネタがなかったからな…それにシン・アスカやガロード・ランの活躍で、タカマガハラの風向きも良くなってきたからな。
 そのお祝いも兼ねているのだよ」
「は、はあ…」

なにから突っ込めばいいか解らねえ…畜生、覚悟を決めろ、ムウ!

(シーン1)
「ネオ!」
「スティング…!合わせる顔がないな…」
「ああ、俺は見てたよ…」
「そうか…偉そうに命令していたが、俺はダメだな…」
「そんな事言うなよ!!アンタは不可能を可能にするんじゃなかったのかよ!!」
「スティング…」
「アンタは自分の意地を通したじゃないか!!」
「…ありがとよ。」

俺は少し胸が暖かくなった。

「よかったぁあああああ!」

横に飲んだくれている商売人っぽいサムシングがいなければナ!

「これって…」

俺は目を背けたい思いでいっぱいになりながら聞いた。

「ああ、死んでから出来た友達だ。アズラエルって言うんだ。
 出不精だから外に誘ってみた。」
「はじめまして、エンディミオンの鷹の噂はかねがね……」
「…ハジメマシテ」

俺は友人が出来たのを喜ぶべきか親交を止めるべきか多いに迷ったことだけを言っておこう… 

(シーン2)
オーブのタケミカズチのクルー@トダカ付きの面々がパソコンに集まっていた(イアンからの差し入れらしい…)。
そこに金色に輝くMSとそのパイロットの特集をネットのニュースで流れていた。

「シン…立派になったなあ…」

カップ酒(OZEKI)片手で涙ぐむトダカ。

「あのさ…」
「なんですか?」
「『ソレ』どこから?」
「船(タケミカズチ)から」

なんでも、物質にも幽霊があり、幽霊が食べたり出来るものもあるらしい…

「よくあったなあ…」
「酒は兵士達へのバッテリーです。だからタケミカズチでは十分な備蓄(3〜5年分)をツマミ付きで蓄えられています!」
「……」

いやさ、もっと必要なもの積もうよ。
オーブが滅ぶのは必然だったのかもしれないナー(遠い目)。

「あの時生き残った少年がこんなに大きくなって」
「シン・・・・おまえは、不可能を可能に・・・・・」

俺は、聞いてはならないことを忘れて、ニュースを見ることに専念した。
(シーン3)
…今までで十分魂が磨り減ったの気のせいだろうか?
いよいよラスボスか…

パトリック・ザラ、シーゲル・クライン、ウズミ・ナラ・アスハ、ウナト・エマ・セイランが輪になって飲んでいた…ラウ・ル・クルーゼと遭遇したときよりも
恐ろしいモノを感じた。
正直勘弁して欲しい…だが、覚悟を決めるしかない・・・

とぼとぼと近づくとき、なにか踏んだみたいだが、俺にはどうでもいいことだ。
なんというかミラージュコロイドで隠れたナニカっぽいが、それどころじゃないし・・・。

「ヤア…ムウクン…」
「パトリックサン…」

お互い目の色が淀んできているようだ。
自棄だ!!死ぬほど飲んでやる!!(死んでいるが)

(現在)
「(で、今こうなっていると…)」

「レノア…アスランを導いてくれ…
 畜生!ジェネシスさえあれば…」
「オーブの未来は…」
「スミマセンスミマセンスミマセン……
 ウマレテゴメンナサイ…」
「ユウナ…」

生き残ったのは俺だけで、他は退避したか、酔いつぶれやがった…
そして皆『タガ』が外れてきて…

「アスランは昔は優しかったのにあの時から反抗期に入って……どこで育児を間違えてしまったのだろうか…
 昔はこんなに可愛かったのに!レノアに似ていると思っていたのに!!!」

解ったから、端末に取り込んだ画像を見せないでくれ!
それと、髪はアンタから受け継いでいるんだよ!

「カガリはお転婆だったが…可愛かった。だが!双子の愚弟は!!!同じ遺伝子とは思えん!!
 ほら、カガリはこんなに可愛いのに!」

オマエモカ!
つうか、端末の筆型のタッチペンってなによ!

「ユウナ…立派になって…。
 オーブを取り戻した暁には、イアンに代筆させてユウナの伝記を作らねば…
 タイトルは『オーブの蒼き嵐』とか・・・」

あーまだ終わっていないのに其処まで言うか…
イアン、イキロ。

「…スイマセンスミマセンスミマセンスミマセン……」

…土下座で床が凹んでいるな……被害者が一同に集まっていると合わせる顔ガないよなあ…

「私は育て方を間違えてしまった…こうなったら
 ラクスヲコロシテワタシモシヌ!!」
「俺はラクスジャナ…ツウか俺達死んでいるし!
 それに幽霊はヒトをコロセ・・・」
「辞めて下さいシーゲルさん!」
「ウナト聞くなっ! シーゲルは既に少し錯乱している!」
「目を覚ませ、シーゲル!!」

いつのまには歓迎会ではなく、政治家同士の乱闘と化している…

「……地獄だ」

俺は呆然とするしかなかった…。

(おまけ)
「ネオ!なぜ、コーディネーターを殺さない!というか踏みつけた挙句、私に腰掛けている!!
 というか、何故『誰も私に気がつかない』!!!!!」

先日までブルーコスモス盟主だったものが騒いでいるが誰も気がつくことはなかったそうな…