機動戦士ガンダムSEED  閃光のハサウェイ 第04話

Last-modified: 2007-11-29 (木) 21:04:03

『ここは君がいた世界ではないのだよ「マフティー」』

俺は思わず、

『なっ……正気ですか? そんな旧時代のSFのような話! ナンセンスだよ!』

『本当のことだよマフティー。ここは君のU・C世界では無い……戦乱の真っ最中のC・E の世界だ。ようこそ別世界の戦士よ。
 私は君を心から歓迎するよ』

『僕が別の世界……の人間だと……貴方に何故わかる?!」

『君のMS「Ξガンダム」勝手ながら調べさせてもらった……正直なところ我々の持つ技術では理解できないものばかりだ
 これだけで君は最早この世界に属するものではない。私だけではなく13歳の少年にも理解できた』

『……それで?』

『私はMSの専門家ではないが私の友人にMSのパイロットがいる。彼にも見てもらったのだが……彼もお手上げだった
 で専門のチームを組んで解析にあたっているところだよ。その事について君に事後承諾を得たくてね』

『これだからインテリは!!』

『僕を……「ガンダム」を……どうしようというのですか? 僕らに何を望んでいるんだ貴方は?」

『どうだろう? 人は予(あらかじ)め自分の“運命”を知る事ができればどれだけ心安らかでいられるだろうか…その為の“鍵”が必要だ
 そう、そして……君は今、まさにこの世界の“運命”の変革の“鍵”となる者なのだよマフティー』

「397……398……399」
(ナチュラル……コーディネイターに地球連合それにプラントか……)

腕立て伏せをしながら考えを張り巡らす。体が訛り切っている。
4日も意識不明だったのだ。ヘレナに見つかれば大目玉だな。

ギルバート・デュランダルと名乗る男に出会ってから2日が過ぎていた。
昨夜から見続けたVTRが記憶に蘇る。

『君にこの世界の姿を見せよう』

入院中は暇だろう? とギルバートが嬉々とわざわざ自分の声のナレーションを入れて編集してくれたらしい。
近代歴史のVTRだ。

再構築戦争から始まり~ジョージ・グレンの告白~S2インフルエンザ流行~コペルニクスの悲劇

そして血のバレンタイン……
地球連合軍が農業プラントユニウスセブンを核攻撃した事件。
CE70年2月14日の聖バレンタインデーに起こったため、血のバレンタイン事件と呼ばれているらしい。

地球連合軍、大西洋連邦所属のアガメムノン級宇宙母艦「ルーズベルト」を母艦とするMAの一機が、
ブルーコスモスと呼ばれるあの“ティターンズ”よりたちの悪い組織に属する将校の独断で持ち込まれた核弾頭ミサイルを装備し、ユニウスセブンへの核攻撃を敢行。
この事件で24万5000人が犠牲となったのだ。30パンチ事件と同じ事がこの世界でも起きたのだ。

(核なんかをコロニー撃ちこみやがって……ブルーコスモスと言ったか? ……殺す)

まとめて始末してやろうか? 連邦の閣僚を殺るより遣り甲斐があるかもな。
最初にやる事は組織の実態規模を調べる事だ……本拠地を調べ、ブルーコスモスの中心にいる奴らを粛清する……
……これこそ“マフティー”の使命……ったく何を考えているんだ俺は……。

絶望を感じてしまう……“C・E世界(ここ)”でも宇宙に住む人々を地球政府は弾圧を繰り返しているのかと

U・Cの時代も宇宙に住む人々スペースノイドとアースノイドの争いは絶えなかったが
ここでは更に争いの原因として明確な生誕種差別がある。
コーディネイターとナチュラルだ。

自分の世界でもオールドタイプの人間がニュータイプを恐れていた。
その才を持たない者は持つものを妬む……人類の業なのだろうか?

「415……416……417」

ウィィーン

火傷で多少引きつる様な感覚で腕立て伏せを続けていると病室の扉が開いた。
20代前半の美人の看護婦が入ってくる。

「まぁ!! 何をやっているんですかハサ?! 安静にしないといけないとあれだけ言い聞かせたのに……貴方と言う人は」

「1週間近くベットにいると体が訛っちまうんだよ ヘレナ。俺の怪我が直ったらデートする約束を忘れてないよな?
 怪我が直っても少しは体を動かさないと、君とのデートの時に思うように動けないだろ?」

「まったくしょうがない人ね、そういう約束だけはしっかりと覚えてるんだからぁ」

「ヘレナがチャーミングだからさ……」

全く男はどうしようもないよな。セックスも欲の一部のしちまうのが人間だしな……。
長い間の禁欲生活が祟ったんだろうよ。と誤魔化しながら俺はギルバートの提案について思案していた。

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