戦士の軌跡
俺はジェス・リブル フリーのジャーナリストだ
これは俺があの5年前のベルカ戦争を戦い抜き次元世界を崩壊の危機から救ったある一人の戦士を追った取材の話だ。
ベルカ戦争ーー
旧暦の時代の遙か昔に滅んだと言われた。
帝国の末裔達によって引き起こされた戦争は次元世界を混乱の渦に巻き込んだ。
戦争は半年にも及び時空管理局は、戦争の勝利と代償に再建が不能な事態にまで陥った。
あの戦争は、我々に様々の物を失わせた。
愛する人 守るべき物 帰る場所 数え上げたら切りがない。
そんななか、俺はある一人の男を知った シン・アスカ 通称『赤い翼の鬼神』
ベルカ戦争を駆け抜け戦争終結への原動力となった彼を知る人は少ない
私は嘗て、プラントで彼にあった事がある。
ザフトの新型デバイス セカンドシリーズの開発の取材の折りに彼に出会った。
彼は戦争末期にザフトから離反したと言われており、戦争終結と同時に人知れず歴史の表舞台から忽然と姿を消した。
俺は、彼の事がしりたかった戦後の資料や文書には記されていない彼の本当の姿をーー
取材したくていてもたってもいられず、気付いたら既に彼に関しての調査をしていた。
畏怖と敬意の狭間で戦った彼の真実を
interview 1
元時空管理局 機動6課 ライトニング分隊副隊長 シグナム
古代ベルカ式魔法を使う 数少ない騎士
人は彼女を『烈火の将』と呼んだ
現在は時空管理局を除隊しミッドチルダで子供達に剣術を教える道場のインストラクターを勤めてる。
「初めまして先日、取材をお願いしたジャーナリストのジェス・リブルです」
彼女が取材場所にして来たのは、彼女の職場でもある剣術道場だった。
今は、昼休みなのか胴着を来た子供達が楽しそうに庭ではしゃでいるのを見て平和な景色だ。
俺は、カメラを取り出すと遊んでいる子供達をカメラを向けて一枚撮る。
このミッドチルダがあの戦争の激戦地だったと言う事を忘れてしまいそうになる穏やかな景色だった。
「すまんが此処で良いか?」
「ええ、構いませんよ」
道場の裏側に案内された俺は、縁側に腰を下ろした。
「それで聞きたい事は、『赤い翼の鬼神』だったな?」
「そうです、あのベルカ戦争を終結へ導きそして人知れずみんなの前から消えてしまった彼を知りたいんです」
彼女は軽く頷くと
「良いだろ……しかし其処まで詳しくは話せない」
彼女も彼の戦友として戦った仲間だ、思う所もあるのだろう。
「構いせん」
「分かった…彼奴と出会ったのはベルカ戦争が開戦するずっと前だ」
俺は、一語一句聞き逃さないように耳を傾けてメモを取る
「そうだな最初はまだまだ『赤い翼の鬼神』と呼ばれるには程遠い新米魔導師だ」
「技はまだまだ荒く不安定な物だ……しかし彼奴には何かある感じがした、主はやてや、テスタロッサ、高町には無い何かが」
彼女の口から時空管理局では知らない筈が無い3人の魔導師の名が上がる
意外に思いながらも事前調査で彼と彼女等との接点があったのを知っていた。
「彼奴は会う度にメキメキと腕も魔力も上がっていた、最後は私でも手も足も…出なかった」
「では彼は、僅か2~3年の間でそこまでの成長を?」
「そうだ、彼奴は常に強さを求めていた………しかしその姿には危うさも見えた」
「危うさ?」
私は思わず聞き返した、彼女の顔が急に曇ったからだ。
「彼奴が強さは発揮する時は必ず決まっていた。
仲間を失った時そして力無き者が力ある者に弾圧された時だ」
「憎しみが彼奴を強くしたんだ、彼奴の家族は故郷で戦争に巻き込まれて亡くなったのを知っているか?」
それは彼の足跡を知る上で何故、まだ当時14歳だった少年が軍人になろうとしたのか知るべき一番のポイントだ。
「知ってます、記録では彼の産まれ故郷であるオーブ首長国連合と地球連合の戦争に巻き込まれたと……」
「そうだこれは、私の考えだが憎しみが彼奴を駆り立てた…そう思う…開戦当初の撤退戦は彼奴の独壇場だった」
その話を聞き、恐らくベルカ戦争で付いた『赤い翼の鬼神』はその頃に付いたのだろう
「戦争初期の彼はどんな様子でした?」
「戦争何だからと言えばそうだが、此方に着任しJS事件以降では、常に怒りが彼奴の中にあった気がする」
シグナムは其処で一旦口を噤み 辺りは静かになりセミが鳴く音が辺りを響かせる。
「しかしとある任務以降に彼奴は変わった」
「変わった?」
「とある任務で数日だが、彼奴は行方不明になったんだフェイト・T・ハラオウンと共に」
フェイト・T・ハラオウン シン・アスカと八神はやてと共に現在行方不明の人物だ
「それで…彼はどう変わったんです?」
「戦いに自分のルールが出来始めていたんだ、そこからかも知れんな『赤い翼の鬼神』と呼ばれたのは」
出された麦茶を一口飲むと
「彼奴は戦況を見極めるのが不得手だったが、それが出来る頃には戦場では次々とスコアを稼いでいたな」
それから幾つか質問を繰り返しながら彼の人間性・軌跡を聞き彼女の言う一言一言が、彼の歩んだ真実を俺はメモを取り録音した。
昼休みは終了なのか子供達は道場に戻って来るのを見て頃合いだなと思い
「有難うございますシグナムさん おかげで彼に付いて少し真実を知る事が出来ました」
「なに此方こそ詳しく話せなくてすまないな」
して頂き有難う御座います」
「そうか……私も久しぶりに昔を思い出せた」
シグナムは、あの戦争以降 自ら剣を置き後進を育てて行く道を選んだ。
「私はもう二度と空を駆け戦う事は無いだろそれは次の世代に託した……私は此処で見守り続けている事にする」
『烈火の将』シグナム ベルカ戦争を戦い抜いた彼女は、今までの戦いの疲れを癒すかのようにその場に佇んでいた。
俺は彼女から元同僚にして彼女の戦友でもあり大事な家族でもある『鉄槌の騎士』
ヴィータの居場所を聞くと次の取材先であるプラントへと向かった。