第一話

Last-modified: 2011-12-18 (日) 20:51:14

 第一話

 「はぁ・・・。」

 ヤマトの第一艦橋でマリューとアークエンジェル副艦長ナタル・バジルールは顔を見合わせる。
 
 「はぁ・・・。」

 同じく古代と島も顔を見合わせる。
 マリューたちは、そのわーぷだかはどうえんじんだかがみらすだかの意味がわからず、
 古代たちはなちゅらるだかこーでぃねーたーだかぷらんとだかがわからなかった。
 マリューたちにとっては、外宇宙どころか、木星に行くのがやっとなのに、目の前の古代たちの話が本当なら
 この艦はワープというオーバーテクノロジーでこの銀河を出て大マゼラン星雲まで行ってきたのだ。
 自分たち艦では、たどり着くのに、百京年ぐらいかかりそうなところを。
 しかも一年で往復したのだ。にわかに信じられる話ではない。
 古代たちにとっては、人間同士が戦争をするなど、考えられず、異星人の侵略の防衛が戦いの原因だった。
 しかも人間同士が争う理由が、「遺伝子をいじくったかどうか」の問題。
 そして、ナチュラルがコーディネーターを妬み、コーディネーターがナチュラルを見下している。
 それに、モビルスーツという人型兵器の存在。
 以前の地球では考えられない。

 「とりあえず・・・。」

 古代が口を開く。

 「我々は別の世界から来た、と考えてよさそうですね。」

 「ええ。それ以外に考えられませんから。」

 ナタルが応じる。

 「それじゃあ、しばらくアークエンジェルとともに行動してみます。よろしいですか?」

 「はい。かまいません。それと、一度第八艦隊のハルバートン提督とお会いになってはいかかでしょう?」

 「ハルバートン?」

 「はい。本艦はこれと合流するつもりです。」

 マリューの代わりにナタルが答える。
 古代はしばらく考え込んでから、わかりました、と返した。

 「「ありがとうございます。」」

 マリューと古代が同時に礼をして、あたりに和やかな空気が流れる。
 
 「古代艦長!」
 
 ヤマトの通信士、相原が古代を呼んだ。

 「なんだ。」

 「アークエンジェルから緊急通信です!前方の連合艦隊が攻撃をうけていると!」

 その言葉で一気に空気が緊迫したものになる。

 「・・・どうやらアークエンジェルに補充要員を送りに来た先遣艦隊のようです。」

 「なんですって!」

 マリューが絶句する。

 「相原さん、アークエンジェルに出撃準備をと返してください!」

 ナタルが即座に判断を下す。

 「わかりました。」

 「古代艦長、緊急事態なので戻らせていただきます。」

 とマリューはいい残し、ナタルと一緒にアークエンジェルへ帰還した。
 古代は相原に、通信回路を開け、と命令した。

 「ラミアス艦長、我々も援護します!」

 古代はマリューに同行を申し出た。

 「しかし・・・!」

 渋るマリューに古代は付け加えた。

 「ハルバートン提督に会う時のため、恩を売っておきたいのです。」

 「艦長、私も彼らに助力を乞うべきだと思います。」

 ナタルがさらに追い打ちをかける。

 「・・・わかりました。援護をお願いします。」

 そういうと通信を切り、ダリダ・ローラハ・チャンドラ二世にザフトの戦艦とモビルスーツの情報を送るよう
 指示した。

 

 ザフト軍 ナスカ級戦艦 ヴェサリウス艦橋

 クルーゼ隊隊長であるラウ・ル・クルーゼが

 「足つきめ、今頃来ても」

 遅いのだよと言おうとした瞬間、突然隣のローラシア級MS母艦、ガモフが青い光に貫かれ、爆沈した。

 「どうした!何があった!」

 ヴェサリウス艦長フレドリック・アデスが怒号を飛ばす。

 「ほ、本艦の下に巨大エネルギー反応!か、形は水上艦です!」

 オペレーターが泣きそうな顔で報告する。

 「水上艦だと!」

 アデスも信じられないといった顔だ。

 「アンノウン、砲撃してきます!」

 おびえた声でオペレーターが報告する。
 先ほどのガモフのことを思い出しているのだ。

 ヤマトの火線はヴェサリウスの横を通った。
 
 「あ・・・・アンノウンから通信です!」

 少し安堵したオペレーターが報告する。

 「通信・・・?」

 「かまわん。開け。」

 驚くアデスに、通信を開くように指示するクルーゼ。

 「こちら、宇宙戦艦ヤマト。ただちに戦闘を中止せよ。」

 古代の声がヴェサリウスに響いた。

 

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