蒼き自由と青き厄災_10話

Last-modified: 2009-03-22 (日) 23:39:46

 アスランは静かに問いかける
「キラ・ヤマトだな?
悪いが俺の相手をしてもらう。」
「き、君は・・・?」
 キラは問いかけようとする自分を知っているのかと、
「答えたところで今は意味はない。
行くぞ、ジャスティス。」
『ラケルタ・アンビテクスハルバート』
 ジャスティスが赤いラインの入ったライフルから両刃のハルバートとなりそれを構えてアスランは突撃する。
「クッ!フリーダム!!」
『ラケルタ、セット』
「遅い!!」
 アスランはキラが構える前にキラの懐に入り強烈な蹴りを叩き込んで吹っ飛ばす。
「早い!ならこれで!!」
『クスフィアス、ファイア』
 キラは吹っ飛ばされながらも自身の射撃魔法で最も弾速の速いクスフィアスを放つが
「ジャスティス!!」
『ファトゥム・ブーストダッシュ。』
 カートリッジを消費すると背中のファトゥムが爆発的な加速を与えクスフィアスを回避した。
「そんなクスフィアスでも捉えきれない!?」
「そんな砲撃が当たるものか」
『バッセル』
 アスランが真紅の魔力刃を展開したブーメランを投げつけキラのバリアジャケットを切り裂く。
「うあっ、き、君は・・・」
「キラ・・・すまない。」

 

 アスランは更にキラの懐に入りラケルタを振るってキラを廃ビルに叩き落とした。

 

 地下の方ではオルガの出現によって混乱状態になっていた。
「オルガさん、どうして?」
 いきなり敵として現れたオルガにスバルはつい動きを止めてしまった。
「「スバル!!」」
 ティアナとギンガが叫び声に気付いて前方を見るとガリューが腕の刃を構えて突っ込んで来ていた。
「ちっ、やらせるかよ。」
『アルムフォイヤー、ファイア。』
 シャニの放った魔力弾がそれを遮り大鎌でガリューと弾き飛ばす。
「お前の相手はオレだよ虫野郎。」
シャニは不気味な笑みを浮かべてガリューに斬りかかった。
「おい、無事か虫っ娘?」
 オルガがルーテシアに問い掛けるとルーテシアは無表情に頷いた。
それを確認するとオルガはエリオの方に振り返って叫んだ。
「それじゃ行くぜぇチビ助ぇ!?」
『シュラーク』
「くっ、ストラーダ!」
『ソニックムーブ』
 エリオはオルガの放った砲撃をジグザグに回避しながらオルガへと突き進んで行く。
「ハッ!近づいたって無駄だぜ?カラミティ!!」
『ソードフォルム、セットアップ』
 しかし、オルガもソードへと切り替えシュベルトゲペールの二刀流でエリオを迎え撃つ。

 

「何であなたが敵になるんですか!?
おかしいですよオルガさん!!」
 エリオにとってオルガとの付き合いは決して長くはなかったが叫ばずにはいられなかった。
「そんなに聞きたかったらオレをぶちのめして聞き出して見せな!!」
『シュベルトゲペール、ドッキングモード』
 オルガは叫び返すとシュベルトゲペールの刃を合わせて突撃する。
「オルガさん!!」
『スピーアアングリフ』
 エリオもストラーダのカートリッジを消費して閃光となって突撃する。
「「うおおぉぉー!!」」
「うあッ!」
「オレの勝ちだなチビ助。」
 エリオのストラーダは少し離れたところに突き刺さっている。
「まだ勝負はついてないですよオルガさん。」
 エリオがストライクを使用しようとするが、オルガは大剣を振り上げて冷たく言い放つ。
「悪いがこっちも色々と忙しいんでな、さっさと寝てろチビ助」
 オルガは冷静に戦局を見てこのままだとこっちが負けると考えていた。
 ガリューはスバルと緑の奴に押され始めているし、ブリッツとかいう人形はギンガ相手に防戦一方あげく虫っ娘はチビとチビ龍を相手している。
そこまで考えて思い出した。
「ティアの奴がいない?」
オルガが不審に思った瞬間、

 

「動かないで少しでも動いたら撃つわよ。」
 ティアナがオルガの後頭部にクロスミラージュの銃口を押し当てて冷たく警告していた。
 一方、上空ではフェイトとクアットロが対峙していた。
「スカリエッティからの贈り物だと?」
 フェイトが手渡されたディスクを持ちながらクアットロを見る
「そんな怖い顔してたらせっかくの綺麗なお顔が台無しですわよ?フェイトお嬢様。」
「あの男はどこに居るか答えなさい。」
 フェイトが静かに問い詰めるがクアットロは更に茶化す。
「あらあら、本当にデータで見たプレシア・テスタロッサにそっくりねぇ。」
「黙りなさい!」
「これ以上イジメたりしたらお嬢様がかわいそうですからこれで失礼致しますね。」
「逃がすと思っているのか?あの男の居場所を答えてもらう。」
「私を捕まえる?・・フフフフ」
「何がおかしい。」
「だって、私はもう此処にはいないんですよ?」
 次の瞬間クアットロの姿が陽炎のように揺らいで消滅した。
「なっ・・・!?」
「驚きましたぁ?これが私のIS"シルバーカーテン"あなたは途中から私の幻惑の虜になっていたんですよ。」
 悔しそうなフェイトを嘲笑うようにクアットロの声が響く。

 

「それじゃあご機嫌ようフェイトお嬢様。
そのデータを見たらきっとドクターに会いたくなりますよぉ。」

 

 クアットロはフェイトから少し離れると待機させていたディエチに連絡を取っていた。
「ディエチちゃん聞こえるかしらぁ?」
(うん、聞こえてるよクアットロ。)
「一応、目的の一つは完了したからディエチちゃんはクロトちゃんの手伝いに向かって頂戴。」
(いいの?クロトきっと怒るよ?)
「ええ、むしろ急がないとクロトちゃんが返り討ちに合っちゃうんじゃないかしら。」
(まさか・・・だってクロトは空戦ならトーレ姉と互角なんだよ?)
「確かにそうねぇ。
けど、ディエチちゃん世の中には規格外の化け物って居るものなのよ?」

 

「武装を解除して大人しく投降しなさい。」
「はあ?何バカなこと言ってんのさ。」
 クロトがそう言うと防盾砲から弾丸が吐き出されなのはを襲う。
「レイジングハート!」
『アクセルシューター』
なのはは弾丸を回避してシューターを放つが、
「遅いよヴァーカ。」
 すでにクロトはなのはの懐に入ってその手に握った破砕球で殴りつけようとする。
「そう何度も・・・!」
『バリアバースト』

 

 しかし、なのはもバリアバーストでクロトを弾き飛ばすことで自身も間合いを取り再び睨み合いの状態に戻した。
『マスター我々は連戦であまり長時間の戦闘は出来ないぞ。』
「クソ!あんのやろ~。」
 クロトにとってなのはの防御力は脅威的でどれだけ攻めても防がれるか回避される為苦戦している。
『マスター』
「うん、あの子のスピード私じゃちょっとキツいかな。」
 なのはにとってもクロトのスピードはかなりの脅威で砲撃を撃とうとするとすぐに間合いを詰めてくる為強力な一撃を撃てずに膠着状態になっていた。
「もう一度・・・!」
(クロト聞こえる?)
(何の用だよディエチ。)
(クアットロからの指示で援軍に来た。)
(ふざけんな!増援なんか不要だよ。)
(クアットロが"お祭り"の前にゲームオーバーになってもいいのだって。)
(ちっ、了・解)
 クロトはディエチとの連絡を切るとなのはに向かって再び突撃して行った。
「大人しく武器を捨てて投降しなさい。」
「やってくれるじゃねぇかティア。」
「黙って武器を捨てなさい。」
(おい聞こえてっか?触角野郎)
(アギトか見てねえでさっさと助けろ)
(どうすっかな~)
(てめぇ・・・)
(アギト、オルガを助けてあげて。)

 

(ルールーがそう言うなら助けてやるよ。
みんな目瞑ってろよ。)
「オルガ、武器を捨てなさい!」
 ティアナの口調が厳しいものに変わるが次の瞬間、激しい閃光と爆音が地下を包み込んだ。

 

 叩き落とされたキラは朦朧とする意識と視界の中でアスランを見上げて呟く。
「僕は・・・君を・・・?」
「キラ、少しの間眠っていてくれ。」
 アスランはつらそうに目を伏せるとラケルタを振り上げる。
(僕は・・・終わるのかな)
(大丈夫デスヨ。)
キラの脳裏に美しい桃色の髪の少女が映る。
(き、君は・・・だれ?)
(ワタシハ・・・デスワ・・・SEEDヲモツモノ)
(SEED?)
 キラは意識を失っていくがフリーダムは再び再起動しようとしている。
『システム再起動。
――ハイマットモード稼働率50%・・・起動。
――"ミーティア"稼働率45%・・・起動。
――リンカーンコアへの負荷は完全に無視。』
「何だ?」
 アスランが起動音に気付いても次々とシステムが起動されていく。
『――SEED強制発動・・・完了。
戦闘可能限界時間・・・300秒。
"バーサークシステム"・・・起動。
全システムオールグリーン・・・再起動。』
 フリーダムが不気味なほど静かに再起動を完了させた。
そしてキラ・ヤマトも再び動き出す。