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Last-modified: 2012-08-23 (木) 09:38:10

=プロローグ・白い悪魔の胎動=

 
 

1.アルテミス周辺宙域で発見された、MSの残骸について
CE70.7月24日、モルゲンレーテからヘリオポリスへの物資の輸送中、連合の要塞アルテミス周辺で異常な磁場の乱れを感知、本国へ支援要請
同月27日、本国からの支援部隊と合流、調査を開始
磁場の乱れが観測されたポイントに向かうと、肉眼でのみ連なった虹のような光を観測
その中心点で、明らかにMSと思われる物体の残骸を発見
磁場の乱れ、及び虹のような光は残骸と接触時に消滅
この現象から以後、アンノウンをA.R(アルテミス・レインボウ)と呼称する
残骸からパイロットは発見できず。また、破損状況も酷く四肢は砕け散り、頭部も左半分が融解していた
武装らしきものは頭部に備えられていた機関砲らしきもののみ、他は発見できず
現場の位置、状況からしてザフトの新型の可能性は無いものと思われる
回収してヘリオポリスに輸送する物資とともに積んだものの、未知の素材が使用されていたため修復は実質不可能と判断
本国への報告の後、輸送中に解体と解析を開始
結果は後記
8月2日、ヘリオポリスに物資とともに搬入

 

2.A.Rの調査結果
装甲、関節部、コックピットの構造まで完全に未知の技術が利用されており、異星からの訪問者である可能性あり
だが、各パーツ類に刻まれていた文字が地球のものと同じものであったため、異星のものである可能性は低いと思われる
内部に動力らしきものは発見できず、おそらく動力源があったであろう部位は大破した際に破壊された模様
間接部の構造のみ、解析、応用可能と判断
ただしシミュレートの結果、現在のいかなる金属、合金をもってしてもこれを再現するには強度が足りず、不可能と判断された
なお、メインのコンピューターらしきものはまだ使える模様
ヘリオポリス到着後、さらなる調査を行う

 

3.Gへの応用
大部分が失われていたとはいえ、やはり高レベルで完成されていた機体であることがよくわかる
G、ならびに極秘開発中のP01、P02、P03へと即座に転用可能な機構はやはり頭部のカメラアイ構造だろう
ザフト製のジンと違い、頭部にカメラアイを二つ用いることで、より空間に奥行きを見出すことができる
格闘戦、射撃戦どちらにも対応可能な優れた構造であると言える
すぐに全G、及び各アストレイの仕様をデュアルカメラに変更
また、大半の機体に頭部機関砲も採用
対人、近接戦闘時の牽制に効果を発揮することが見込める
なお、件のコンピューターユニットは学習型コンピューターであることが判明、データの吸出しに成功
構造把握の後、オリジナルは性能把握とデータ取りのために連合側には秘密裏にストライクに組み込むことが決定
これがどのような効果をもたらすかは不明だが、戦場に出れば多くのデータ収集も可能だと思われる
なお、ユニットにはパイロット情報の登録を採用、最初に起動したパイロット以外の使用を不可能にすることで情報流出を制限
モルゲンレーテでのみ、データの抽出と登録解除をできるように書き換え
また、関節や機体のフレームの一部にA.Rの素材を一部流用
他のGと違い、装備の換装を頻繁に行うことによる金属疲労が軽減されることを願う

 

4.A.Rの処遇
なお、一通りのデータの収集が終わり次第、A.Rはモルゲンレーテへと移送します
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「以上が、ヘリオポリスからオーブへの報告です」

 

目の前の若い士官はそう締めると、データをハックし、コピーした報告書を私のデスクへと置いた
そうか、と答える自分の声が僅かに掠れていたが、気にしてはいられない

 

「いかがなされますか?ハルバートン准将」

 

そう問われるも、すでにGの完成は目前に迫っている
いまさら、どうしろと言うのか

 

「放置すればよい、実害はないのだろう?何よりも、Gの完成度が高まるのは喜ばしいことだ」

 

果たして、うまく笑えていたかどうか
自信は無かったが、今はそう言うしか私には術が無かった
時にCE71年1月20日
白い悪魔が、この世界でも産声を上げていた

 
 

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