CCA-Seed_590 ◆4BazVYzDuE 氏_あるジャンク屋の憂鬱

Last-modified: 2011-09-09 (金) 00:21:28
 

あるジャンク屋の憂鬱

 

ジャンク屋と言ってもいろいろとある。
有名なところではロウ・ギュールだが奴は別格で普通のジャンク屋なんぞ
日々の生活に追われている奴らが大半だ。
そのせいで海賊に身を落とす者も多いがな

 

船の維持費、ミストラルのメンテナンス、空気、水、食料等々・・
宇宙に居るだけで貯金通帳(コズミックイラにそんなもんあるのかって?あるんだよw)の
数字が減っていく。
出来れば個人的には地上に降りたいがハーフコーディネーターの自分としては
ブルーコスモスに命を狙われるのなんてまっぴらだ。
(それに仲間達も多少なり脛に傷ある身が多いしね。)

 

だがプラントはもっと嫌でもある。一度地上からプラントへ避難した時にひどいイジメにあったからだ。

 

「ハーフなんぞコーディネーターじゃねえ!」

「え!ハーフなんてナチュラルと同じじゃないwていうか~ゴキ○リ?キャハハ」

「コーディネートするお金もない癖にプラントに居るんじゃないわよ!」

 

その後コーディネーターだった父はプラントに残り、ナチュラルだった母と自分は
ツテを頼りヘリオポリスに移ることになった。

父は金を送金すると言っていたそうだが母の口座に入金がされることは結局なかった。

その後ヘリオポリスで専門学校で学びながらモルゲンレーテの下請けでアルバイトを始めた矢先に
あの事件だ。

母は行方不明、自分は何とか生き延びたものの蓄えも何も吹っ飛んでしまった。

そんな悲惨な目にあっている所に脳天気な声が掛かってきた。

 

「アンちゃんコーディだべ?MS乗れる?だったらいい仕事があんだけどよ~。」

 

そんな事から自分のジャンク屋ライフは始まった。

 
 

開戦当初はジンを載せた輸送船を丸ごと拾ってジンをオーブやら連合に売って利益もかなりあった。

プラントと地球の通商ルートも事実上断絶したせいでプラントで嗜好品が品薄だというので
連合の主計局員を抱き込んで嗜好品をプラントに売りつけて荒稼ぎをしたこともあった。

(その嗜好品の出所は地球軍のエンデュミオン基地だったらしいがそんなの知った事じゃない。)

しかし競争相手も増えてくればそういうオイシイ話は少なくなってきて、
ジンやダガーの無事なパーツを集めてリビルド品としてネットで売るのが最近の仕事だった。

 

そんなとき数日前戦闘があったばかりの宙域でパーツ漁りをしていると
船の残骸の中に隠れるように何かがあるのに気がついた。

ミストラルを移動させて確認するとオーブで闘っていた戦闘集団(確かロンドベルといったか)の
マークが目に入った。

汚れは有るもののシールドの形はしっかり維持されており、何より保持していた手首がそのまま残っていた。

 

シールドを何とか引き出して船に戻って改めてロンドベルのシールドに驚く。
コイツにはビームコーティングが無いのにビームを受けてこの塗装の焼けだけなのだ。
先日の戦闘では傭兵にもビーム兵器を大西洋連邦傘下の企業が提供していたという。
(ロンドベルとの戦闘の後無事だったビーム兵器はサーペントテイルが回収して破壊したらしい。
 こちとらの飯の種を・・)

 

ロンドベルのMSの名前は何種類かは判明しており「ジェガン」というMSが使っていたと即分かった。
見た目こそ連合のダガーと似ているものの地上での戦闘でも宙間戦闘でも
映像で見ると全くもたつきがない。
こちらの世界のMSに共通する悪癖として「ポージング」がある。
機体が攻撃の際に固着してしまうものでこれは旧ジン以来延々と直っていない。
一部のエースがフルマニュアルで戦闘する場合には起こっていないようだが、
それはコーディネーターでも相当に荷が重い。
ましてやロンドベルは全てナチュラルで構成されているという。
MSのみならずロンドベルにも興味は沸くがあまり好奇心を出すと
この船の前で浮かんでいるジャンクの仲間になりかねない。
他の仲間達のパーツも集めてメンテナンスを施し、ジャンク屋公認のオークションサイトにUPした。

 

ジンやダガーのパーツを買うのは通常小規模なジャンク屋か海賊と相場が決まっている。
(純正品は高くて手に入りにくい為)

ましてやジャンク屋公認のオークションサイトに普通はプラントや大西洋連邦のアカウントで
買い手が入ることはまず無い、筈だった。

 

シールドとジェガンの手首を巡って熱い戦いが画面の上で行われていた。

 

分かっているだけでもプラント、大西洋連邦、拡大ユーラシア、日本、
何故か旧オーブのアカウントでも入札が行われている。

当初上がっていく数字ににやけていた自分たちだったがさすがにMS1機分を超えた頃から
段々とテンションが下がっていく。

最終的には大西洋連邦のアカウント?が勝ったが
ダガーなら10機分も使って何をしているのだと仲間達と話していた。

その後入金が確認された後メールで指定された通りに発送し、自分たちの仕事は終わった。

 

だがその後も

 

「もしロンドベル関連の出物があったら真っ先にうちに売ってくれ。
 何なら船のメンテナンスとか補給とか相談に乗るよ。」

 

という各所のメールは減らないのであった。

 

 
 

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