EVAcrossOO_寝腐◆PRhLx3NK8g氏_07話

Last-modified: 2014-04-12 (土) 20:46:53
 

第六話終篇「奇跡の声は」

 

―ああ、あいつが、あんな奴が、震えが止まらない
 故に私は、僕が、自分が、俺が、何故義務を果たせない

 

 ヒリング・ケアは泣いていた。
 舌を噛み切るというのは実は自殺としては迷信的で医学的根拠が無いという知識が
 ヴェーダから流れ込まれているがそんな些末事などどうでもよいのだ。
 まるで赤子の様に無力な子供の様にヒリングはそのエントリープラグという名のゆりかごで震えている。
 単純なことだ、自爆特攻、時間稼ぎ、命を散らして好機を導く。
 幾多の戦士がその死を覚悟して行ってきた当たり前の行為であり、犠牲でありそれ故に紡がれた未来。
 まして、自分が死んでもまた新しく体が生成される身であり、必要な覚悟とリスクは羽毛の様に軽い。
 その為の自分、その為の厚遇、その為の存在。そんなことは解っている故に道化を演じられる。

 

「全部、あのバカの所為よ」

 

 ヒリングの脳裏に浮かぶのは六番目が自ら作り設けた600秒の時間。
 再生される言葉と空気、其の一瞬の走馬灯は彼女が心象の理解を得るには十分であった。

 

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  第六話終篇「奇跡の声は」

 

―ヒリングの脳裏に思い返される出撃前の事

 

「あたしが正直者だったら世界中は聖人君子に溢れてるわよ」

 

 突然の言葉、予想も全く無かった訳でもないが、それでもヒリングは僅かな動揺を隠す様に
 大きなリアクションとため息から残念さを演出していく。
 また、お説教?と言わんばかりに腰に手を当てて睨みを聞かせる瞳はまっすぐに視線を注ぐのは
 相手に怖気づいていないというアピールにも等しいものであった。
 悪態とともに投げつけられる皮肉とともに苛つきを感じることに内心驚きを隠せていなかった。
 まさか、もっとロマンティックでセンチメンタルな展開を期待してたのか?と考えると
 バカバカしさからこの10分がとても長く感じてしまう気持ちが芽生えていく。

 

「ヒリング・ケア。死を恐れぬ事は不可能だ。怖がることは臆病なことではない」
「はぁ? 何言ってんの? ったく、辛気臭い面に辛気臭い話はごめんだわ」

 

 嘘と断言することも、そして自分の心象と経験から基づく言葉もそれが心理的に如何な意味を持つか。
 それはヒリングの感性は察知出来る。故に言葉と空気故に苛立ち感情を露わにする。
 彼女にとって立場は本来違う。気を遣われる事を求めている訳ではない。
 威嚇する猫の様な剣幕もいつもの刹那の鉄面皮が崩れるには及ばない。
 ヒリング自身も驚いていた。苛立っている自分に、指摘される事ではない。
 当然、自分に自覚が全く無かった訳ではないが、この場、このタイミングで
 使徒殲滅に対して一番ストイックだった刹那がこんな不利益な会話を振っている事は驚愕に値した。

 

「取り繕う必要はない」
「……っ、あんたに何がわかるってのよ! ちょっと遊んで上げたからって調子に!」
「俺にはお前の事は何も解らない……だが」

 

 睨みつける様に顔を近づける。刻まれた皺も怒気の孕んだ声とともに吐きつけられる唾液の飛沫も
 胸ぐらを掴んでくるその白く細い手も何もかも刹那の態度と声を変えることは叶わなかった。
 花を手折る様にその手を重ねながらも刹那の言葉は止まらない。
 まるでそれは遺言の様に泣き止まぬ赤子に捧ぐ歌の様に。それはヒリングにとっては別の恐怖であった。
 今まではただただ、自分の屁理屈でねじ伏せられるただの根暗で無口な少年。
 それが今、自らのふるさとの言葉で、まるで詩人の様に優しく語りかけてくる。
 同じ人間の様には思えないし、同じ人間だったとしてもここ迄動揺することは想定外だった。

 

「そういう顔を俺は何人も見ている。大義、覚悟、復讐心、殺意
 いかに壊れようとも強くあろうとも死は寂しく怖いモノだ」
「知った風な事言ってんじゃないわよ! 少年兵上がりの殺人マシーン気取り?
 戦場で色々見てきましたって言いたい訳? 経験者は語るって奴!?」
「俺が今、お前に話したいと思った。それだけだ」

 

 言葉の重みが胸へとのしかかってくる。否定の思いでなんとか意識をヒリングは保とうとする。
 自分と相手は違う。自分が何もかも知っていて、自分が何もかも優秀で
 そして、何よりも適任だということは解っている。だから、いいのだ。
 そう言い聞かせていたし、其の覚悟も疾うの昔についていた。
 恐怖。それはそんな当たり前に日々築き、塗り固めてきたモノを
 たかが数回あったこの少年に呆気無く、躊躇なく、遠慮なく、突き崩されていたとう現実だった。

 

「怖がる人間は死ぬべきではない。それは生きたいという意思の現れだ」
「っ! いい!? 六番目は色々と機密じゃ言えないんだけど私は平気なの!
 けど、使徒は倒さなきゃいけないのよ! そうしないと世界が終わるの!
 そんなのあんたも聞いてるで……しょ」
「俺は何も知らない。何も解らない。……ただ、仮にそれを知っていても死ぬのはお前ではない」

 

 叫ぶ声はその狭い部屋の二人だけの空間に響き渡っては本人の耳へと打ち戻ってくる。
 まくし立てる言葉は、相手に向けたのではない。自ら言い聞かせる様にそして、それで騙す様に
 言葉をかき消す様にしていくが、刹那の真っ直ぐな視線と顔に徐々にしぼみ枯れて逝く。
 聞きたくない。耳を両手で塞ぐ。見たくない。瞼を食いしばらんばかりに瞑る。
 それでも、刹那の手はヒリングの両の手をそっと添えてはその手を穂垂していく。
 ヒリングの抵抗は歳相応の少女のごとく弱く、恐る恐る開かれる眼は少し潤みを含ませていた。 

 

「死ぬな」
「……ダメ。勝たないといけないのよ。私が死んでもね?
 そして、アンタは代わりが見つかるまでは死ぬことは許されないの」
「……訂正する。死なせない」
「なら、使徒を倒す事。生きて帰ってくる事ね」
「それは命令か?」
「出来ない人間が人に説教垂れる資格が有ると思ってた訳?」

 

 刹那の言葉に目を見開いた後、唇を半月に曲げ其の顔を近づける。
 その瞳の潤いすらも恥ずかしいがそれでも瞼を再び伏せて、顔を寄せる。
 刹那は其の息遣いにも動揺することは出来なかったが、ソレに驚きがあったのか否か
 当人も気づかぬ合間にヒリングの大外刈が右方向から刹那の足を捉えては
 そのまま、刹那の姿勢のバランスを奪って、硬い床に叩き伏せられる。
 怪我人相手に容赦の無い投技と共に刹那の視界は流転をする。
 踵を返してまるで背中に口が生えたかの様に顔を合わせること無く
 ヒリングはいつもの調子をなんとか振り絞り、いつもの大口をひねり出す様に紡いでいく。

 

「……生きて帰ってきたら誤魔化さずに最後までしてあげるわ」
「それは――」
「命令よ」
「……了解した」
「そろそろ10分ね。折角生き残った後、万回殺されたらこの命令も無意味だわ」
「それもそうだな」

 

 時計など見ていない。正確な時間も解らない。ただ、ヒリングにはこの時間で十分だと
 いつもの様に、身勝手に、我儘に、独断で決めただけにすぎない。
 お互いの顔も見ず、お互いの根拠もなく、お互いの何もかも信じられなかった二人が
 最後に言葉を交わして、今この死地へと赴いていた事をヒリングは脳裏にまざまざと思い起こされた。

 

―現時刻、第三新東京市NERV本部直上

 

「ヒリング前に出ろ! あのバカを引き剥がせ!」

 

 四号機の自爆シークエンスが一時的に止まる。外部からの信号でその紅く刻まれた最期の時は
 コンマ一秒も動くことはなく、映しだされていた。そして、眼前に広がるのは参号機の特攻。
 四号機から、ヒリングから盾を、譲り受けた刹那はそのまま、ボロボロの参号機で突進する。
 自爆特攻するはずだった四号機の頭を掴んで後ろへと放り投げた後
 何の戦略も、勝算もない奇行であり、蛮行の選択に司令部から声が上がる。
 怒り狂ったサーシェスの言葉と命令がヒリングの意識をなんとかつないでいるが
 ヒリングは前へと出ることが出来ず、その心理を露わにする様に尻もちをついたまま機体共々動けない。
 参号機はそんな事態を尻目に前へと突き進む。浴びせられる加粒子砲はその大盾を焼き溶かしていく。

 

「おぃ! 現状どうなってやがる!」
「三号機応答不能! ……これは暴走状態です!」
「んだと!?」
「参号機のシンクロ率80%突破、外部の信号も拒絶しています!」
「四号機シンクロ率急低下! 20%を切りつつあります!」
「初号機は!」
「シンクロ率、意識はありますがパイロットの様子から応答出来る状態ではなさそうです!」
「ぅったくよぉ! なんでこんな肝心な時に命令が聞こえねぇもんしか使えねんだよ!」

 

 サーシェスがオペレーターのイスを怒りに任せて蹴り飛ばしたところで現実は変わらなかった。
 やけ溶けた盾が消えても参号機は止まる事はない。拘束具ははずれ、大口を開けて
 使徒に掴みかかろと手を伸ばしていく。其の指先の装甲はまるで日に炙られたビニールのごとく
 穴を開けてはその異色の肌を焼きこがしていく。取って付けられた包帯は燃え尽きて
 ベタベタと張られたガムテープの簡易装甲は爛れ剥がれ落ちていく。
 ぎょろぎょろとした眼球だけはひたすらに使徒を見つめては
 もはや、立つ事もままならぬ状態でも、それでも参号機は、刹那は使徒へと歩を進めていく。
 自らのその巨体で初号機と四号機を庇う様にその体は、意思は止まることはなかった。
 残りの命の焔を輝き示す様に参号機のGNドライヴは徐々に弱々しくなりながらも
 初号機の持つ折れた刀へとGN粒子を注ぎ続けていく。
 一度その砲撃を終えた使徒はまだ目の前で弱々しく立つ参号機を一瞥することもなく形状を変えて
 GNドライヴへと酷似した形状へと再構築されて、EVA三機まとめて葬る準備を進める。
 初号機が注ぎ切り続けていく粒子の刀などもはや眼中にないのだろうか?
 そもそも、視界という概念すらあるか怪しいただの砲台に等しい化け物は淡々最期を創りあげようとしている。

 

「……ムカつく。無敵の暴走モードでも勝てない奴なのこいつは? そんなの無理ゲーじゃない」

 

 通信すら届くことも叶わず、ただただでかい巨人の脊髄に埋め込まれたゆりかごで
 ヒリングの気持ちのギアは切り替わりつつあった。脳みそはぐつぐつと煮えたぎっている。
 何故、あんなガキの為に自分が恐怖せねばいけないのか。
 何故、あんなガキの為に自分があんな格好悪い最後の姿と口約束をしなければいけないのか。
 何故、あんなガキの為に今、何も出来ないことに苛立たなければいけないのか。
 これでは常日頃馬鹿にしていた二番目の子供より酷いではないか。
 細かいプライドに、下らない見栄に、我慢ならない現実にキャンキャンと怯えて吠える子犬の様な
 あの式波・アスカ・ラングレーの方がまだ戦果を上げているのではないか?
 そもそも、人間無勢の格好いいだの悪いだのという価値観に何故振り回される?
 その声は彼女にとって親しい人の声へと再生され、問いかけられる。
 想いと意識は練磨される。そして、ヒリングの瞳はまるで血潮の様に紅く、紅く輝き始めて声が紡がれる。

 

「私が戦わないと」
「そうでしょヒリング・ケア?」
「彼を死なせないで」
「倒さなきゃね、敵を」
「大事な人だから」
「奪わせないわ」
「失いたくない」
「「私が守るって決めたのよ」」

 

 わずかに通信に漏れるノイズの様な声に碇ゲンドウ司令と冬月コウゾウは顔を見合わせる様に驚愕を示し合わせる。
 しかし、その事実に司令部の誰もが視線を向けることはなく、現状への対処と報告に文字通り手一杯であった。
 そんな大人たちの喧騒と混乱を尻目に数値の乱高下を告げるオペレーターの声がモニターを釘付けにさせる。
 画面にでかでかと掲げられていくのは四号機のパラメーター。一部が欠損、再構築されていく。
 絶叫、劈かれる怒声、同時に白銀の四号機は雄叫びとともに背中を割り、GNドライヴを露出させる。 
 その形は変わらない。しかしてそれはなにか意味があり、その意味に司令部の全員が活目することになる。

 

「四号機! シンクロ率急上昇!」
「なんだ、こっちも暴走か!」
「違います……これは……量産型GNドライヴの性能が、通常のGNドライヴとほぼ同じ……いえ、ソレ以上です!」
「五番目ぇぇええええ!!!! 私が! 本気出して上げるから、確実に仕留めなさいよ!!!」
「ぇ!? へ、あっ……」
「後、終わったらアイツをすぐ助けんの! 解った!?」
「う、うん!」

 

 紅い血しぶきの様な粒子が徐々にそして確実に赤味を薄れていく。
 同時に沈黙寸前であった、参号機のGNドライヴもそれに応える様に息を吹き返していく。
 しかして、使徒も黙って眼前の起ころうとしている奇跡を見過ごしてくれている訳ではない。
 充填の終わったGN加粒子砲は光を溜めてそのまま解き放とうとする。
 その光を掴み、へし折ろうとする様に踊り出る四号機の手のひらを使徒は容赦なく焼き溶かす
 爛れていく装甲は白銀をまるで火に炙ったアルミの様に波打たせる中、其の光すら切り裂く一閃。
 赤と緑混じりだった光の螺旋は一本のただただ、碧く光り輝く一本の柱となって
 其の光を押し返していく。紅く輝く使徒の光の線は絆され、乱れ消えていく中、碧い光が飲み込み
 ある一点を超えると同時に羊羹を包丁を入れるが如く、真っ二つにその線が駆ける。
 山を溶け斬り熱の傷跡を残した後、まるでそうなることを忘れていたかの様に
 使徒は綺麗に切れ目を作っては紅い血を吹き出し出血とともに動きを止める。

 

「使徒、活動停止を確認! 参号機、四号機共に活動停止!」
「救助班出動要請! クリスティナ・シエラ、現場に向かいます!」
「……で、なんだったんだありゃ?」
「量産型GNドライヴが本来のGNドライヴに変化?
 いや、そんな……、四号機は一度搭載してはいるけど……それを覚えて創り直したって言うの?」

 

 終焉を迎えた後継の反対側、肩を抱き支える様に参号機を抱える四号機。
 初号機はまだ、光を噴き出している折れた刀を放り投げては、参号機の脊椎のパーツをつかみとる。
 焼けた肌、露出する骨と筋肉、そんな些細な事など気にすることもなく外される装甲とともに吹き出すLCL。
 エントリープラグを地面へとすべらせる様に置いた後、初号機も地面にひざまずく様にエントリープラグを排出する。

 

「死んじゃう! 早く、早くしないと!」

 

 フェルト・グレイスは熱の残る地面とEVAの装甲をプラグスーツの耐熱性で耐えしのぎつつも現場へと辿り着く。
 途中ずっこけて、あつあつのLCLが混ざったドロが髪と顔についてる事など気にする余裕も無く
 へと手を着けるが白煙上げるエントリープラグ。非常用の開封スイッチを探るが
 手に振れた際にその熱量を体の反射が教えてくれた。混乱とともに周囲へとなんとかする術を視界で探してる内に
 後方からつんざき響く声に振りけると同時、おそらく過去に似た様な経験があったのだろう。
 フェルトの体は正直にその経験に基づく反射行動を取っていた。

 

「五番目! 頭伏せる!」
「ひっ!」

 

 弾丸の様に視界へと飛び込んでくるのはヒリングの両足の靴底。
 頭を下げたフェルトを飛び越える様に非常用のスイッチへと蹴り込めば、熱に溶けかかっていた外装から
 二本のハンドルが頭をもたげて蒸気と共に目の前に現れる。
 ヒリングが何かを言いかけて大口を開け、向けていたフェルトへの視線を外せば、その熱のこもった
 ハンドルへと両手で掴みかかる。握った瞬間、思わず目を見開くが歯を食いしばり、歯茎をむき出しにしながらも
 そのハンドルを下げようとする。痛いとか熱いとか色々と感じ入るところがあれど
 それを感知できる余裕も作れないほどに脳は逼迫していた。中々動かない様子、呆然としていたフェルトも
 数秒遅れてハイドルを手にかけて、その熱に思わず飛び退き、そしてそれを行っているヒリング見る。
 まぶたを閉じて、決心を固めれば再びハンドルを掴む。泣きそうになりそう表情を飲み込む様をして
 女二人がかりでハンドルを回せば、ようやくそれは動き出しエントリープラグの扉を開ける。

 

「セイエイ君! 生きてる!?」
「気持ち良く寝てんじゃないわよ、ボケがぁ!」
「……ぐっ!」

 

 安否確認をしに体を乗り入れようとするフェルトの頬をかすめる様に
 ヒリングのYAKUZAキックが刹那の頬へと打ち込まれる。
 なんでこの人は一々こう、暴力的なんだろうと訝しげな視線を顔に向けようとすると
 ヒリングの頬から一筋の光がわずかに月光に反射しているのをフェルトは見てしまう。
 思わず声が漏れそうなのを飲み込んで、そして自分も泣いている事も確認が出来ない程に
 良かったと次の瞬間には色々な心の重みが開放されていた。
 頬の痛みとくらくらとする視界の中から注がれる女子二人の視線。
 生き残った実感すらよくわからないが二人の喜びだけがその表情豊かな表現から感じ取られる。
 思わず、目を伏せる様に視線を逸らしていく。

 

「俺は無事だ」
「見りゃ解るわよ」
「すまない。こういう時……俺はどういう顔をすればいいか解らない」
「えっと……そういう時h―」
「笑いなさいよ。生きている事に喜びなさい。これは命令」
「……解った」

 

 珍しく惑う様な言葉と共に迷いを吐露する刹那。
 どうしようもないわねっとヒリングが肩をすくめる中、フェルトが少し考えた後
 口を開いて言葉を紡ごうとした瞬間、ずいっとフェルトの頭を後ろから掴んで
 残ったLCLにわずかに顔を沈めさせられた後、乗り出して来たヒリングは言葉をぶつける。
 身勝手に、我儘に、独断で惑う刹那に命令の言の葉で踏みつける。
 一瞬、溺れそうになるって必死にタップをするフェルトだったが
 程なくして、これはこれで照れ隠しなのかなと自分の中に落とし所を作った後、ゆっくりと顔を上げる。
 視線を泳がせていた刹那もその言葉を聞き、理解して、表情に笑顔を刻む。
 3機のEVAはお互いボロボロで寄り添う形でその様子を眺めているかの様に佇み
 GNドライヴ二基によって吐出された粒子が街にOOの軌跡を描いていた。

 

以上で、一旦「もしも刹那がエヴァの主人公だったら」のお話は終了します
一応、プロットでは最終決戦まで組んでると言えば組んでるんですが
クオリティと製作ペースの維持が無理と判断してます
閑話窮題系の投下も良いモノが書けたらとは思っているのですが
なんとも、裏設定と時系列の説明の為のお話になってしまうので面白く作れておりません

 

では、以前の時は長い間から。復帰後、知った方は短い方ですが読んでいただいてありがとうございました