ダブルキラ(ハイネとの出会い)
キラがデュランダルの下で生活を始め、2ヶ月が経とうとしていた。
キラはシミュレータを使い己の操縦技術を磨いていた。
「また腕を上げたな」
シミュレータの外からイザークの声が聞こえる。
「まだ君には及ばんよ」
キラがシミュレータからでてきた。
「あと数ヶ月すればイザークよりも技術面では超えるかもな」
「そうですね」
ディアッカとの言葉にシホが頷く。イザークの目つきが鋭くなり二人を睨んだ。
「二人とも、後からシミュレータに付き合え」
「2対1ならさすがにイザークでも俺達に勝てないんじゃな」
ディアッカはイザークを挑発するような言葉を吐く。
「そうだな2対1なら厳しいだろうな」
イザークはそう言うとキラのほうを向く。
「私も加われと?」
キラの言葉にイザークは頷く。
「ルールはお前達二人が、俺達を落とすまで終わらないからな!」
イザークの言葉にディアッカ、シホ二人の表情が変化していく。
「ちょっと待てよ。俺達二人ではさすがにイザーク達を落とすのは厳しいって」
シホがディアッカの後ろで首を何度も縦に振る。
「なら時間をやる!その間にあと一人ぐらい増やしてもかまわない。探して来い」
「イザーク、私に何か用があったのではないのか」
一人で暴走していくイザークを静止させ、キラは聞いた。
「先程・・・」
「議長が呼んでいたぜ」
ディアッカはイザークの言葉を遮った。
「分かった」
シミュレータルームからでキラは議長の所に向かった。
「イザーク・・・」
「なんだ、ディアッカ」
「なんかあいつクルーゼ隊長みたいだな?」
二人はキラが醸し出す雰囲気が昔の上司みたいに感じていた。
「同じ仮面を付けているからですか?」
シホの質問に二人は先程の真面目な雰囲気から打って変わって笑い出した。
キラは目の間にある扉をノックした。
「入りたまえ」
扉の向こうからデュランダルの声が聞こえた。
「失礼します」
キラは扉を開け部屋に入っていった。
机で書類を見ていたデュランダルは、その作業を止めキラを見上げた。
「急に呼びだしてすまないね」
「別にかまいませんが」
デュランダルは机に置いてある書類をキラに手渡した。
「これは?」
「新たなるMSを製作案だよ」
キラは書類を何枚かめくった。
「私に何をしろと?」
「君にはテストパイロットをやってもらおうと思っているのだが?」
「しかし私はMSの操縦はシミュレータしかやってないのですが」
「ふむ、そうらしいな。」
議長が笑みを浮かべた。
「君はMSが完成するまで、ある部隊に入ってもらう。」
扉のノックされ、秘書が入ってきた。
「議長、ハイネ・ヴェステンフルスをお連れしました」
「通してくれ」
ハイネが部屋に入ってきた。
「私に何か用ですが議長」
「君の部隊に入る新人の紹介だよ。」
議長はキラをハイネに紹介した。
「サイ・アーガイルだ。よろしく」
「こちらこそ」
「議長」
ハイネが議長を呼ぶ。
「何だね?」
「明日から作業に彼を加えたいので、私の隊に連れて行ってもかまいませんか」
「かまわんよ」
二人は議長の部屋から退出した。
「ハイネ隊といえば、今はプラントの廻りを漂っているデブリの回収作業でしたよね?」
帰路でキラはハイネに質問した。
「そうだ。MSでデブリを回収する。たまにジャンク屋や所属不明の組織が強奪するのでな。
その邪魔をするんだ。サイ……」
ハイネの口調が厳しくなる。
「何ですか?」
「期待していいんだよな?」
ハイネの言っている意味がキラは分らなかった。
「議長が仰っていたんだよ。お前は特別だってな」
「私にも分りません」
(議長は彼に一体何を言ったんだ?)
「実力は現場で見せてもらうぞ」
ハイネはキラの背中を叩いた。
「努力します」
二人は他愛もない会話をしながら、隊に合流するため足を速めた。
キラとサイ名前は統一したほうがよろしいでしょうか?
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