第2話『初陣』
「はあぁぁーーー!」
右手のビームソードはカオスのビームサーベルを受け止めたまま、左腕のスレイヤーウィップを解き放つ! 高周波パルスを発生して赤く発色しながらカオスへ向かう! たとえカオスがVPS装甲だとしても! 高周波パルスによってパイロットにダメージを与えることが出来る!
ちっ、カオスは機動兵装ポッドに付いた大型ブースターに物を言わせ、一気に距離を取る。
困った! あたしの距離じゃない!
カオスは建物の瓦礫に隠れながらビームライフルを撃ってくる。あたしもドラウプニル4連装ビームガンで牽制する!
ガイアの方は!?――ザクが押されてる!
ええい! シールドを構えカオスに突撃する! またカオスに距離を取られるけど! すぐに反転し一気にガイアに突撃する!
「ええぃ!」
ザクとやり合っているガイアを狙いビームソードを振り下ろす! ガイアはとっさにシールドで受け止めたけどビームソード"テンペスト"はシールドを切り裂いた! ガイアは盾を捨てると空中に飛び上がる! ビームガンで牽制!
「お待たせ! ルナ! カオスは任せろ!」
「任せた!」
シンが来た!これでガイアに集中できる! まだアビスもいるはずだけど、その位は他のMS隊に期待してもいいはず!
『ルナ!命令は捕獲だぞ!解ってるんだろうな!あれは我が軍の……』
副長がうるさい!
「可能なら捕獲します! 努力はしてます!」
ガイアはMS形態になり建物の瓦礫で跳躍してビームを撃ちながら上から襲ってくる!
ビームをテンペストで切り払いながらあたしもダッシュ! ガイアはMS形態に変わってビームサーベルを打ち付けてくる! テンペストとぶつかり合い空気がスパーク!
コロニーの大地に衝撃が走る。何? まさか外からの攻撃!?
ガイアはMA形態での一撃離脱に専念したようだ。巧みにあたしが振り下ろすテンペストに背中のウイング前面に展開されるグリフォン2ビームブレイドを当ててくる。
――でも、いいかげん慣れるわよ!
「もらった!」
あたしはジャンプしながら地上のガイアのウイングを切り裂く! ――! 空中からようやく現れたアビスが胸部のカリドゥス複相ビーム砲を放ってくる! あたしは危うく避ける!
「くそう! 邪魔を!」
ディンが何機か来たけど、すぐにアビスの過剰と思える程のビーム兵器で落とされて行く。
今度はあたしが劣勢になった。アビスのビーム砲を避けながらガイアに対処しなければいけない! あたしは懸命にガイアに密着しようとする!
「待たせたな、ルナ」
この冷静な声は――レイ!
白く塗られたザクファントムに乗ってレイが現れた!レイがアビスを牽制射撃してくれる!
レイが現れた事で戦場は空中に移った! ガイアは一層激しくビームを放ちながら攻撃してくるけど地上ほど翻弄されはしないわ!
――! 突然ガイアが空中で棒立ちになった! なんだかわからないけどチャーンス!
あたしはガイアに突撃し、スレイヤーウィップを放った! ガイアは地上へ落ちていった!
それを見るとカオスとアビスはビームで牽制しながら撤退を図る!
距離を取られるとだめだ。あたしはシンとレイがビールライフルで攻撃する合間にも必死でカオスとアビスに近づこうとするのだけど、カオスが巧みに機動兵装ポッドを操って牽制してくる。
――アビスに追いついた!
「覚悟しなさい!」
アビスはビームランスを繰り出す! あたしもテンペストを取り出す!
「槍なんて取り回しにくい武器なんか!」
テンペストは見事にビームランスの柄を叩き切った! ――! また! ビーム砲を一斉射撃され距離が開く。
アビスは反転してコロニー外壁へ集中射撃!
「あ、壁に穴が!」
カオスとアビスは吸い出されるようにコロニーの外へ出て行ってしまった。
シンが追って外へ出る!
「シン、一旦引くんだ!」
あたしとレイも外へ出る。
カオスとアビスは!? 周囲を探ってみても見つからない。
――シンが攻撃を受けてる! まるで全方位からのような。そんな莫迦な!
レイがいきなりビームライフルを発砲する!
「何をしている! ボーっとしていたらただの的だ! この敵は普通とは違う!」
あたしにもようやく見えた! 小さな、カオスの機動兵装ポッドのような物がいくつかシンの周囲を動いている。
近くにMSはいないと言うことは、前大戦時の初期、ザフトのMSにまがりなりにも対抗して見せたと言うメビウスゼロのガンバレルの新型?
遠距離には非力だけど、あたしだって! ドラウプニル4連装ビームガンを両手から撃つ!
やった! ビームガンを避けたガンバレル一基を、レイが見事に撃ち落した!
――! 帰還信号が上がる! ミネルバが出てきたの!?
「帰還信号!? なんで!」
「命令だ」
「命令よ、シン。一旦帰りましょう」