Lnamaria-IF_赤き月の鷹_第10話

Last-modified: 2022-06-16 (木) 17:41:34

第9話『インド洋の激闘』

敵機は約三十機!

「ええい!数ばかりゴチャゴチャと!」
「オーブ沖を思えばたいしたことはないわ! 飲まれずに行くわよ!」
「ルナマリアの言う通りだ! 言う必要はないと思うが飲まれるな!」

敵機の中にカオスが混じっていた。奴はセイバーを相手と決めたようだった。他には……

「色が違う赤紫のウィンダムが一機! 指揮官機と思われる! 注意!」
「わかった!」
「シン! オーブ沖のように!」
「よし! 左側に追い込む!」

シンの射撃で敵機は次々と数を減らして行く!
あたしもシンに追い込まれる敵機をドラウプニルとスレイヤーウィップで仕留めて行く!
カオスやアビスと戦ってきたあたしには、敵機のビームライフルの取り回しがもたついて見えるくらいだ。

インパルスが目をつけられた!? インパルスが赤紫のウィンダムに翻弄され、他のウィンダムのいきなり統制の取れた射撃に襲われている!

「させるもんですか! あたしを忘れないでよね! 横合いから思い切り! 殴りつける!」

密集してインパルスに射撃を集中している敵機に飛び込むとドラウプニルを連射しながらスレイヤーウィップを叩きつける!
密集なんかする方が悪いのよ! 一撃で数機が落ちる! 二撃でまた数機!

「助かる! ルナ!」
「お互い様!」

――! 海中から爆発が!

「ミネルバ!今のは!?」
「アビスです。ニーラゴンゴのグーンと交戦中」
「え!」
「でも一機よ。レイ、ショーンとゲイルで対応します。それより敵の拠点は?そちらで何か見える?」
「いえ、こちらでも何も。しかし……」

「シン、後はカオスと指揮官機よ! カオスはアスランが抑えてる!指揮官機をなんとかこっちに追い込めない? 加速性能じゃ負けてるの!」
「やってみるけど、こいつ、早い!」

戦闘に参加できないことが口惜しい。ふと下を見ると、あれは――基地!? 画面を拡大する。

「こんなところに……建設中? あ! 逃げようとしてる人が撃たれてる!まさかここの民間人を……」

許せない! あたしは基地に降下して行った!

対空砲が撃ってくるけどシールドで十分!まっすぐ降りてドラウプニルで対空陣地を叩き潰す!

――! 通信の会話が入ってきた! ニーラゴンゴが沈んだ!? せっかくできた僚艦を!

あたしは無言で基地内をドラウプニルとスレイヤーウィップで壊しまくった。

「ルナマリア!何をやってるんだ!やめろ!もう彼等に戦闘力はない!」

民間人が、柵で隔てられてる。一緒になりたいのね? 柵を壊して隙間を作ると、民間人は歓声を上げて抱き合った。よかった。

あたしは暖かい気持ちでミネルバへ帰艦した。


パシィン!

あたしは、MSから降りるなりアスランから頬をぶたれた!

「殴りたいのなら別に構いやしませんけどね! けど! 私は間違ったことはしてませんよ! 降伏しない限り、降伏の意思表示ができなくなる状況にならない限り敵は敵です!」

パシィン!

また、頬をぶたれた!

「その事じゃない! 一人で戦争をしている気になるな! 自分だけで勝手な判断をするな!」

そう言うとアスランはモビルスーツデッキから出て行った。


その夜。あたしは甲板に出て星空を眺めていた。

「ここにいたのか、ルナマリア」
「あ、アスラン!?」
「いや、きちんと話しとかなきゃと思ってな」
「……」
「敵への攻撃については、君の言う通りかもしれない。しかし、君を殴った訳は違うんだ」
「……」
「言ったろう、自分だけで勝手な判断をするなと。あの時は、基地の場所の報告だけをして、戦闘を続けるべきだった。もしかしたら君のところにカオスか指揮官機を追い込められていたかもしれないんだから。君はカオスを撃破した経験がある。そうなったら、また撃破できた可能性は高い。自分の力を自覚しろ。君は勝手に抜けられていい存在じゃない」
「……はい」
「それに、勝手に基地を攻撃した。基地の防備が薄かったからよかったものの、もし、厚かったらどうするんだ。きちんと偵察して、それから攻撃するべきだ。つまらないことで仲間を失いたくない。わかるな?」
「……はい……ごめん、なさい……」
「な、泣くな。……困ったな」

ふわりとあたしの体がアスランの腕に包まれた。

「もう、泣くな。怒ってやしないから」

アスランの手が優しく頭をなでる。

「……はい、ありがとう。アスラン……」


「その、大丈夫かよ、ルナ」
「なにがー?」
「ほら、昨日ザラ隊長にぶたれたろ。ほんとひどいよな。いきなり出戻ってきてフェイスだ上官だって……」
「私は気にしてないわ。叩かれた理由が納得できたから」
「そ、そうか?」
「シンこそ、前は、ザラ隊長に、貴方がいる場所はザフトだって言ってたじゃない」
「あ、あの時は……」
「結構影響されたのかもよ? シンの言葉に!」
「そ、そうかなぁ」
「ザラ隊長、いい上官だと思うわ。あんたも素直になりなさいよ。憧れのアスランがザフトに復隊してくれて嬉しいんでしょう?」
「そりゃ、嬉しくないことも無いさ」
「なら、いいじゃない」
「ま、ルナがいいならいいんだ。俺は別に」
「あ、噂をしてたら! ザラ隊長! おはようございます!」
「やあ、おはよう。ルナ、シン。いい天気になりそうだな。……朝飯はまだか? よかったら一緒に食べるかい?」
「いいですよ」
「喜んで!」

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