Lnamaria-IF_赤髪のディアナ_第16話

Last-modified: 2013-10-28 (月) 02:00:17

虎狩り

数日後。あたしたちはとうとうここを突破するためにタルパディア工場区跡地へ向かうことになった。
補給もバナディーヤで充実したみたい。でも、よくザフトの正規品なんか手に入ったなぁ。
いよいよ砂漠の虎と全面衝突か~。ふぅ。

「なんだ遅いなぁ。早く食えよ。ほら、これも」
「え!あ…あの……」
「ん~。やっぱ、現地調達のもんは旨いねぇ」

昼食はドネルケバブだった。あの日を思い出すなぁ。

「フラガさん…まだ食べるんですか?腹撃たれたら腹膜炎起こしますよ」
「俺達はこれから戦いに行くんだぜ?食っとかなきゃ、力でないでしょ。拳銃で撃ち合うんじゃないんだ。戦闘機やられるような弾ぶち込まれたら終わりさ。ほら、ソースはヨーグルトのが旨いぞぉ」
「あー同じだ」
「ん?」
「いえ……バルトフェルドさんもそう言ってたんですよ。ヨーグルトのが旨いって」
「ぁ…んー!味の分かる男だな。ハムゥ。けど、敵のことなんか知らない方がいいんだ。早く忘れちまえ。これから、命のやり取りをしようって相手のことなんか、知ってたってやりにくいだけだろ」
「馴れ合えないもんですかねぇ」
「面白い事言うな、お穣ちゃん。お!」
「あ!」

爆音が響いた。
どうしたの?攻撃を受けたようじゃないみたいだけど。
後でわかったけど、レジスタンスの作った地雷原が一度に爆破された音だった。
砂漠の虎も、一気に勝負をかけてきたのだ。

あたしたちは格納庫へ駆けた。

『スカイグラスパー1号、フラガ機、発進位置へ。進路クリアー、フラガ機、どうぞ!APU起動。カタパルト、接続。ストライカーパックはエールを装備します。エールストライカー、スタンバイ』

レジスタンスは当てにならない。アークエンジェルも全戦力を出す。
あたしの番だ!

「ルナマリアホーク、レッドフレーム行きます!」

発進すると、いきなり目の前に戦闘ヘリが!とっさに盾でかばい、イーゲルシュテルンで反撃する!
……イーゲルシュテルンで破壊できる敵なんて初めてじゃないかしら。いてくれてありがとう!
そのままあたしたちは対空援護をし戦闘ヘリを落とす。

……!本命のバクゥだ!何機?5機か!

「バクゥが出てきたぞ!対空援護は十分だ!私たちはバクゥに当たる!いつも通りやれば大丈夫だ!」
「「はい!」」

補給のおかげで銃突撃銃の弾幕も遠慮なく張れる。今回のバクゥは口にビームサーベルのようなものがある。
あまり近づけたくない。
あたしたちが牽制の弾幕を張ると、ストライクが上からビームサーベルをバクゥに突き刺す!新しい攻撃方法も考えたようだ。
あ、向こうでフラガさんがレセップスにアグニを撃ってる。
……しまった弾幕を抜けて来た!相手の頭をトリケロスではたくと同時にビームライフル!また一機やった!
ストライクに向かおうとしたバクゥが高くジャンプする。そこ!下腹を打ち抜く!MSでの射撃の腕が上がるとビームライフル好きになれそう!
気が付いたらバクゥは全滅していた。

え!?アークエンジェルが思ってもいない方向から攻撃を受けた。伏兵?あたしたちがそれに気を取られた時、バクゥとは違う、獣のようなMSがあたしたちの横に駆け抜けて来た!
とっさに飛び退く!

「みんな、あれはたぶん砂漠の虎よ!」
「そうか。危険はあるが、アークエンジェルの方は艦の力を信じてみるか」
「ええ!バクゥを全部倒してます。余裕はあります。虎狩の!」
「お願いね!彼は戦争を終わらせるのに必要な人だと思うの!」

ストライクが飛んだ!虎のようなMSも飛ぶ!

「行くわよ!キラ」
「ああ!ルナ!」

あたしたちも左右から追いかけて飛び、ストライクが攻撃を受け止めている間に、下からビームサーベルで虎MSの翼を切り落とす!4機のMSがぶつかり嫌な音を立てる。

翼とスラスターを失った虎MSは機動力を大きく減じた。
あたしは地上から牽制する!ストライクが空中から頭を切り落とす!そこにブレーフレームがグレイプニールを放つ!見事に虎MSの足に絡まり、虎MSは横倒しになった!空中からストライクが虎MSの足を切り裂く!
勝負は付いた。


あたしは虎MSの近くまで行くとMSを降り、虎MSのハッチを開けた。

「大丈夫ですか?バルトフェルドさん、アイシャさん」
「う…見事だ、ルナマリア君。だが、降伏などはせん!止めを刺せ!」
「降伏しろ、なんて言いませんよ」

同じように降りて来たアスカさんが言った。

「まぁ私たち、まともな軍人じゃありませんし」
「なんだって!?」
「申し遅れました。私はルナマリア君の上司、本来の身分はモルゲンレーテ社のMS開発部主任のノブザネ・アスカです」
「……ようするに、会社員か」
「ええ。ただの単身赴任のサラリーマンですよ」
「くっははは!こいつは愉快だ!俺たちは正規の軍人でないものにしてやられたわけだ」
「同じ人間ですからね。軍人だろうがなんだろうが銃弾が当たれば死ぬし、ナイフで刺されれば血が出ます。血が出るなら殺せる……と、話がそれましたね。実はルナマリア君がバナディーヤから帰った後相談を受けましてね。貴方が使える人材だと判断したんですよ」
「ほう。俺をなんに使う気かね」
「オーブは、貿易立国でしてね。貿易立国には戦争とは悪夢なんですよ。たとえ自国が戦争をしていなくても。で、あなたがプラント側から戦争を止める役に立つと判断しました」
「……しかし、連合側はどうなんだ?つい先日もルナマリア君もいたがブルーコスモスの連中に襲われた。そんな連中が牛耳っている連合はどうする」
「あたしたち、ブルーコスモスの盟主と話したことがあるの」
「なんだって!?」
「彼は、コーディネイターが作られるのを止めたいとは言ってたけど、今生きているコーディネイターをどうこうしようとは思っていないと言ってたわ。世界をコーディネイターに住みよいものにしたければ、頑張って活躍しろ。宣伝はしてやるとも」
「……ふーむ。全面的に信じられる話じゃないが。まあ俺にどう動いて欲しいんだ」
「この場は隠れて逃げてください。そして出世してください。力を持ってください。なんならクーデターを成功できるくらいの。そして戦争を止める方向にプラントを誘導してくれればありがたいですな」
「……いいだろう!話に乗ってやる!」

あたしたちは虎MS(ラゴゥと言うらしい)の頭を持ってそこを後にした。アークエンジェルは見事にあたしたちの期待に答えて陸上戦艦と駆逐艦を撃退していた。

次にバルトフェルドさんたちと会う時は、敵味方じゃなく会いたいな。そして、コーヒー談義でもしよう。

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