MMGSLNSDSCVG_第03話

Last-modified: 2007-11-18 (日) 15:49:09

「少々優秀な奴もいるみたいだな」
風に長い金髪を揺らして少年は、呟き、デバイスを起動させた。
「クロノ・ハラオウン」
こちらに向かっている男の名を口にして、その少年、レイ・ザ・バレルは飛んだ。
「そこのお前、っ!」
レイに呼び掛けたクロノだったが、応答しないどころが、いきなり射撃を放たれ、唇を噛む。
「君達は、先にあれを!」
クロノは、引き連れていた魔導師達数名に、高い魔力のあった物体に向かうように指示した。
しかし、レイは背中に背負うデバイス、レジェンドの上部にある2つの突起をパージ。
その突起、ドラグーンから魔力刃が形成され、魔導師達に襲い掛かる。
ドラグーンは、変幻自在の動きで魔導師達を翻弄する。
他の魔導師は大したことないようだな。
レイは残りのドラグーンを前方に倒し、魔力を放った。
クロノは回避しつつも、レイへの注意を怠りはしない。
〔120秒前〕
あと、60秒、それだけ稼げば発射を、レクイエムの発射を止められないだろう。
相手は、クロノ・ハラオウン、管理局でも指折りの魔導師にして提督。
この男から60秒をなんとしても守り切る。

「あいつ、攻撃する気ねぇかよ」
ファトゥムの乗って飛行するアスランを忌ま忌ましそうに見るヴィータ。
速度、旋回力が半端ではなく、なかなか攻撃が当たらないのである。
〔120秒前〕
充分だな
アスランは、ジャスティスをシグナムに向け、射出。
同時に、落下し、落下と相俟った猛スピードでヴィータにサーベルを向ける。

シグナムは、構えるが突撃する前に魔力を放つファトゥム。
そういうのも当然ありか。
シグナムは慌てることなく回避する。
ヴィータは刃に合わせて、グラーフアイゼンを当てようとしたが、アスランは刃を消し、落下していく。
ヴィータは気を抜かれ下にいるアスランを見遣る。
ファトゥムがアスランの元へ戻ると再び、上に乗る。
そして、カートリッジを使用し、先程よりも速いスピードで逃亡を開始した。
とりあえずは俺達の勝ちだ。
キラは、カートリッジを4発使用。
ライフル、両肩上部、両腰横、そして腹部から魔力を一気に撃ち出した。

7本の魔力は、3人の元へ向かう。
フェイトとなのはは、なんとかシールドで防御するが、態勢を崩される。
シンは、元々そういう風に撃たれのもあってほんの少し動くだけで回避した。
なのはは、態勢を立て直すが、フェイトはシンの蹴りのダメージのせいで飛翔魔法が弱まり、落下していく。
後姿を攻撃されれば、致命的。
そのまま、落下してもバルディシュが護るだろう。
しかし、なのはは考える間もなくフェイトの元へ翔けた。
シンは光の失われた瞳でキラを睨みつけるが、キラは動じず、首を明後日の方向に向け、シンに逃走を促す。
少し沈黙の後、シンの瞳に光が戻り、なのはとフェイトを1回だけ見る。
フェイトを受け止めたなのはと眼が合ったが、シンは視線を反らすと、キラと共に逃走を開始した。

『全員今すぐに退避しぃ!!』
念話とスピーカー両方を用いたはやての叫びが響き渡った。

〔60秒前〕
頃合いだ。
手の内を見せないように戦っていたレイは、作戦の成功を確信し、離脱を謀る。

魔導師達を翻弄していたドラグーンをこちらに戻しつつ、クロノに向ける。
感づいたクロノは回避するが、レイとの距離が開き、レイの元へと戻るドラグーンを見るしかなった。
追おうとしたクロノだったが、こちらが先、とばかりにレクイエムに向かう。
ある程度近付くと、デュランダルを奮う。
レクイエムを絶対零度の氷結が包み込む。
「どうだ!?」
レクイエムは少し出力を落とし、クロノは「やったか?」と顔を緩めたが、再び出力は上昇する。
「くっ、ダメか」
クロノもなんとか離脱を謀ろうとする。

氷結は破られ、レクイエムは爆発。
そして、一筋の閃光が発射された。

その閃光は、管理局へ向かう。
その途中にあるもの全てを薙ぎ払って。
やがてクラナガンへ到達した閃光は、管理局の建物を薙ぎ払い、逃げ遅れた魔導師を飲み込む。
緩やかに射軸を変え、更に被害を拡大させていく。

なんとか離脱した機動六課の面々は、絶望の光が奏でる鎮魂歌にただ、呆然とすることしか出来ない。
その光が状況に合わず、鮮やかな輝きを放っていたのは皮肉なのか。
やがて、閃光は散っていった。