S・DESTINY・StrikerS_01話

Last-modified: 2009-01-01 (木) 07:33:47

「うっ……!」
紅き瞳が特徴的な少年。シン・アスカが目を覚ました。
目が開けて最初に視界に移ったのは白い天井だった。
自分の背中がやけに柔らかい。
ああ、ベッドで寝てたのか。
え…?ちょっと待て。なんでベッド?俺って死んだはずじゃあ…。
とりあえず体を起こすと全身に激痛が走る。
腕を見ると包帯でぐるぐる巻きになっていた。
他にも体や頭も包帯が巻かれていた。
うわぁ…。結構怪我してたんだな俺。
心の中でそう呟やくとドアが開く音がした。
シンはその音のする方を見た。
そこにいたのは……、シンの目の前で撃墜された少女、ルナマリア・ホークだった。

 

「え…?ル…ナ…?」
「シン……気がついたのね」
とにかくわけがわからない。なぜルナが……?どうして生きてるんだ……?
「ルナ…だよな?ルナマリア・ホークだよな?」
「そうよ。ザフト軍ミネルバ隊所属のルナマリア・ホークよ」
「ルナ……。ルナ!!」
シンはルナマリアのところに駆け寄ろうとした。
しかし、あまりの激痛で動けなかった。
逆にルナマリアがこっちに駆け寄ってきた。
そして俺を強く抱き締めてくれた。
「ルナ……ルナ……!」
「シン……!!」
しかし、あまりにも強く抱き締めすぎてちょっと痛かった。
でもここにいる。俺の大切な人が。守りたかった奴が。この腕の中に。

 

2分ぐらい経った後、ルナマリアは近くの椅子に座っていた。
「ところでルナ。ここは一体…?」
「実は私も分からないのよ。気がついたらベッドに寝てたのよ」
「……結構怪我してるんだな」
「シンもね」
ルナマリアはクスッと笑いながらそう言った。
……そういえばこうやって二人きりで話すのって久しぶりだったな。
そう思っていると、
「二人とも。ちょっといいかな?」
近くで声がした。二人が声のする方に振り向いた。
そこには茶色の髪にサイドテールをした少女がいた。
……少女と言ってもシンたちよりは年上だが。
「あの~……。あなたは?」
「あ、まだ自己紹介してなかったね。私は高町なのは。二人にお話があるんだけど……お邪魔だったかな?」
二人の頬が少し赤くなった。
「……大丈夫ですよ……」
ルナマリアが先に口を開いた。いつもより少し声が小さくなったと思ったのは気のせいだろうか?
「じゃあ早速。まずは二人の名前を教えて」
「俺はシン……。シン・アスカです」
「ルナマリア・ホークです」
「シン君にルナマリアちゃんね。どうしてここにいるかは知ってる?」
二人は無言で首を横に振った。
「あの……。一体ここはどこなんですか?私達は一体どうしてここに来たんですか?」
「ここはミッドチルダって言う世界なの」
「「ミッドチルダ?」」
その後はこの世界についてとどうして二人に何があったかと言うのを話してくれた。
時空管理局やミッドチルダのこと。
二人が機動六課の隊舎の近くでたおれていたところをなのはともう一人、なのはの親友によって発見されたこと。
さらに魔法や魔導師の事について語られた。
「魔法だって……?そんなもの……」
「じゃあ実際に見てみる?」
そういうとなのははバインドでシンの髪を引っ張った。
「痛てててて!!ちょ、なのはさん!やめろ!」
「あ、痛かった?ごめんね?でもこれで信じてくれたでしょ。あと、私を呼ぶときはさん付けじゃなくてもいいからね」
「じゃあなのは。空を飛んだり、ビーム砲を撃てたりできるのか?」
「うん。でも空を飛んだりするのはちゃんと許可されてないと駄目だけどね」
「(……変なところで現実的なのね)」
ルナマリアはそう心の中で呟いた。
「ところで俺の怪我はいつ治るんだ?」
「う~ん、明日ぐらいには治ってるかな?」
「明日?!この大けがが?!」
シンは驚きを隠せなかった。
このぐらいの大けがをルナマリアもしたことがあるが、治るまで何ヶ月ぐらいかかかっていた。
「じゃあ何か質問はないかな?」
「あの……。私達は元の世界に戻れるんですか?」
「……言いにくい事だけど、恐らくゼロに近いと思うんだ」
「「!!!」」
「シン君たちの世界は私達の知らない世界だから……。管理局でも一生懸命探してるんだけど……」
「……」
「……」
「でも絶対帰れないという訳じゃないよ。もしかしたら見つかるかもしれないし……」
「……わかりました」
「シン君は何か質問はある?」
「俺たちに……」
「?」
「魔法が……使えるか?」

 

次の日、シンの怪我はきれいさっぱり治っていた。
そしてシンは包帯を外してもらい、顔の頬のところにばんそうこうを貼ってもらい医務室から出た。
医務室からでるとルナマリアが壁に寄りかかって待っていた。
そして二人で訓練場の入口に来た。そこにはなのはがいた。
「……本当にいいんだよね?」
「ああ。もう決めた。後戻りはしない」
「私もです」
なのはは余程の決意があるんだなと思った。
じゃないとあんな事を言うはずがない。そう思ったからだ。
その言葉を聞いたのは昨日だった。

 

「魔法が……使えるか?」
「う~ん……それってつまり時空管理局の局員になるってことだよね?」
「ああ」
「シ……シン!C.Eに戻らないの?!」
「いろいろ考えたんだけど……そうする」
「どうして?!」
「もしかしたら……こっちの世界に俺の探しているものがるのかもしれない」
「それって……、力?」
「それもあるけど……俺にも分らない……、なにかが……ここにあるような気がするんだ」
「……」
「ルナには悪いけど、俺はここに残ってそれを探す」
「シン……」
「ごめんなルナ。いつも迷惑かけてばっかりで」
「わかった……私も残る」
「え?」
シンは驚いた。まさかルナまで残るとは思わなかったのだ。
「シンがそれを探すのなら、私も一緒に探してあげる」
「ルナ……」
「だって……、一緒に探した方が見つかりやすいでしょ」
「……。わかった。一緒に探そう。ありがとうなルナ」
「どうしたしまして」

 

そして今に至る。
「(でもどうして普通に人にリンカーコアがあるんだろう?)」
でも私も一般の人だったけどリンカーコアがあったからなぁ・・・。そんな事を思っていると、
「あの~、なのはさん?」
ルナマリアが声をかけた。
「え……?あ、ごめんね。じゃあ行ってみようか」
3人は訓練場の中に入った。
ここからシンとルナマリアの新たなる扉が開かれる。