SEED DESTINY × ΖGUNDAM ~コズミック・イラの三人~ ◆1do3.D6Y/Bsc氏_第04話

Last-modified: 2013-10-25 (金) 02:28:06

 地球圏に硝煙が立ち昇り始めた。デュランダルは、それを必然と受け止めていた。コー
ディネイターの排斥を強弁する過激派組織ブルーコスモス。一度は枯れたかに見えたそ
の花は、二年というインターバルを経て再び花を開こうとしていた。
 そのブルーコスモスに、資金という水を与えている組合がある。デュランダルは、それ
を叩かない限り、コーディネイターとナチュラルの間に横たわる問題を解決することはで
きないと考えていた。
 地球圏の緊張感は高まり、ザフトと地球連合軍は戦力の再編を急いだ。その最中、ミネ
ルバとファントムペインの衝突を口実に、地球連合は二年前に結んだ休戦協定がプラント
によって破られたと主張し、戦争の再開を宣言した。一方、プラントはアーモリー・ワン
の襲撃・モビルスーツ強奪事件を持ち出し、それが地球連合軍の仕業であるとして、地球
側にプラントを非難する資格無しと厳しく糾弾。結果、双方はなし崩し的に戦争状態へと
突入していった。
 そこからの地球連合軍の行動は素早かった。地球連合軍は宇宙攻撃艦隊を集結させて、
プラント本国への直接攻撃を敢行し、早期の決着を図ったのである。
 だが、それはデュランダルの想定の範囲内だった。アーモリー・ワンの襲撃事件直後か
らザフト宇宙軍の編成を有事シフトへと優先的に進めていたプラントは、押し寄せる連合
宇宙軍を態勢十分で迎え撃ち、これを退けたのである。そして、その勝利によって宇宙で
の勢力を盛り返し、こう着状態へと持ち込んだ。
 しかし、一方で地球では圧倒的に劣勢だった。そこでザフトは局面打開のために大規模
な降下作戦を実行し、そして、それを阻止しようと迎撃する連合軍との衝突が地球の各地
で続発した。
 こうして、ものの数日で紛争は各地に拡散していった。
 デュランダルは、こうした事態を予期していた。大西洋連邦国の大統領に、ジョゼフ・コー
プランドが就任した際、その当選の裏にきな臭さを嗅ぎ取ったのである。
 「やはり、彼らの圧力に耐えられなかったか……」
 デュランダルは画面の中で演説を続けるジョゼフ・コープランドを鼻で笑いながら、目線
を手元の報告書へと落とした。それは、ミネルバより送られてきたものである。
 デュランダルは報告書を捲り、隅々まで目を通した。戦闘中の各種データや言動、その
他、報告書の作成者の個人的論評に至るまで熟読し、思わず口角を上げた。
 「……やはり、興味深いな……」
 デュランダルの耳には、もうジョゼフの演説の声は聞こえていなかった。
 報告書には、音声データも添付されていた。デュランダルはイヤホンを装着し、それを
再生した。
 「……フッ……フフッ!」
 デュランダルは肩を揺らして笑った。失笑が堪え切れなかった。何せ、耳に聞こえてく
るのは自分の声そのものだったのだから。
 「これが作り物じゃないというのだから、恐れ入る。まったく、世の中は面白いね。研究
させて欲しいくらいだ」
 つい、研究者時代の血が騒いだ。
 デュランダルは秘書を呼び、ミネルバへの指示書を送信するように告げた。
 「近い内に、是非、会ってみたいものだ……」
 シャア・アズナブルの出現に、デュランダルは奇縁を感じていた。

 
 「――私をザフトに?」
 カーペンタリア基地に入港して数日経ったある日、艦長室に呼び出されたシャアは、タ
リアから告げられた内容に驚きの声を上げた。
 「議長の強い意向でもあるの」

 タリアはデスクの下から、デュランダルから送られてきた指令を記憶したディスクを取
り出し、シャアに見せ付けた。
 「クワトロ殿の素性や所属に関しても、偽装も含めて元々プラント市民だったというこ
とになるわけだけど、いかがかしら?」
 タリアに「悪い条件じゃないはずよ」と言われて、シャアは肩をすくめた。
 オーブ沖での戦闘で、シャアとハマーンは信頼を得ていた。そこでタリアは、報告と同
時に二人の待遇の改善を本国に上訴していたのだが、その了承と同時にシャアをザフト
に引き込めとの指令も送られてきたのである。
 シャアは暫時、黙考した。身元不明ではなくなるという条件は、確かにおいしかった。
 申し出を受諾するのに、やぶさかではない。しかし、懸念はある。
 「よろしいのですか? 私はあなた方の言うところのナチュラルですが」
 「プラントに忠誠を誓ってくれるのなら、問題ありません」
 念を押すシャアに対し、タリアはそう答えた。
 そう来たか、とシャアは思った。この機会に、完全にシャアを取り込んでしまおうとい
うタリアの、延いてはデュランダルの魂胆が見えたのだ。
 そして、シャアが靡けば自然とハマーンも同調してくれるだろうという期待もあったは
ずである。しかし、それは甘い見通しという奴だった。彼女はシャアが右へ行くとなれば、
その逆を行くような女性だ。平たく言えば、捻くれているのである。
 (地球側に寝返るようなことは無いだろうが……)
 かと言って、プラントに靡くとも考えにくかった。
 「……了解しました」
 シャアはタリアからの申し出を承服した。
 シャアにはセイバーが与えられ、特別戦闘補助員という名目で戦闘部隊に加わることと
なった。これにより、シャアはミネルバ艦内の自由な移動が可能となったのだった。
 
 
 オーブ沖でミネルバとファントムペインの交戦があった後、連日伝えられる地球連合と
プラントの情勢や紛争のニュースを、キラ・ヤマトは複雑な心境で見つめていた。既に大
西洋連邦やユーラシア連邦などの連合主要国が、地球上のザフトに対する徹底抗戦を
表明し、それに呼応するように連合各国にも動きが見られていた。一方、プラントはあくま
でも連合国側の姿勢を不服とし、対決の姿勢をより強く鮮明にしていた。戦争は、日増し
に激しさを増していく様相を呈していた。
 そんな、ある日のことである。意外な人物が、キラたちの下を訪れた。
 キラの双子の姉であるカガリ、そして、その護衛の仕事をしている親友のアスランまで
は普段のことで、理解できた。だが、その背後から姿を見せたユウナの登場には驚かさ
れた。
 キラはユウナが苦手だった。調子が軽く不遜な、いかにも成金の息子といった言動が、
時に酷く不快に思えることがあった。それに、彼がカガリの許婚であるということもネック
になっていた。キラの心情的に、唯一の肉親であるカガリには、親友のアスランと上手
く行って欲しいと思う願望があったからだ。
 しかし、その日のユウナは違っていた。不遜な態度は相変わらずだが、何か隠し持った
ナイフを抜いたような鋭さがあった。
 カガリもカガリで、そわそわして普段よりも落ち着きの無い、思い詰めた表情をしていた。
 (何かあったんだ……)
 キラが察するに十分だった。

 三人を中に入れると、ユウナは慇懃無礼な態度でソファに腰掛け、長い脚を誇張するよ
うに組んで見せた。
 「クーラー効いてないの? このクソ暑いのに、よくやるねえ。何か飲み物ちょうだいよ。
このままじゃ、干上がってしまいそうだ」
 図々しくユウナが要求すると、ラクスがてきぱきと用意した。
 「一体、何なの?」
 キラはそれとなくアスランに近づいて、そっと耳打ちをした。しかし、キラが聞いても、
「すまない、俺も事情は知らないんだ」という答えしか返ってこなかった。
 「アイスコーヒーかあ……」
 ユウナは出されたコーヒーを口に含むと、「それにしたって、もっと上等なの無いの?」
とクレームをつけた。
 「申し訳ありませんが、今はそれしか」
 ラクスが平謝りすると、しょうがないといった感じで渋々と飲み干した。
 (嫌なら飲まなきゃいいのに……)
 傲慢な態度のユウナに、キラは心の中で強く反発していた。
 「……さて、あんまり長居するつもりは無いから手短に話すよ」
 キラの反発を知ってか知らずか、ユウナは一息つくと、徐に語り始めた。キラは戻って
きたロボット鳥のトリィを肩に止まらせて、その話に耳を傾けた。
 「先日のオーブ沖でのザフトと連合軍の衝突が口実となって、休戦協定が破棄されたの
は知っての通りだ。これから、世界は再び大戦に突入していくことだろう」
 (やっぱり、そうなのか……)
 世界情勢に通じているであろうユウナに改めて突きつけられると、嫌でも現実を認めざ
るを得なかった。
 二年前の大戦に関わった当事者として、複雑な心境だった。多くの犠牲と引き換えに、
ようやく得た平和を、どうしてこんな簡単に無駄にしてしまえるのだろう――キラが抱い
たのは、そんな無念の思いだった。
 目の前で炎の中に命を散らした少女がいた。野望を道連れにして自ら討たれた女がいた。
愛する人を守って星となった男がいた。戦争が再開された現実が、彼らの死を無意味なも
のに変えてしまうような気がして、キラは悔しかった。
 「それで――」
 ユウナの声に、キラは我を取り戻した。
 「そうなると、当然オーブにも軍事同盟締結の打診が来るわけだ。でも、こっちとして
は戦争なんて真っ平ゴメンだから受けたくなんてないんだけど、困ったことにオーブに
はそれを突っぱねるだけの力は無いんだよね。つまり、そこで君たちに凶悪犯になって
もらおうっていう、僕の素晴らしいアイデアの登場なのさ」
 話が飛躍しすぎていて、その場の誰もが閉口してしまった。「手短にしすぎだ、バカ」
と青筋を立てるカガリの言は、もっともであった。
 「鈍いなあ」
 ユウナはキラたちを小ばかにするように肩を竦めた。
 「連合から軍事同盟締結の打診を受ければ、オーブは拒否することが出来ない。拒めば
武力介入を招くことは、先日の連中の態度で明らかだからね。ザフトの新造艦を入国させ
たことで、連合側にオーブがプラント寄りであると疑いを持たれてしまっている。当然、二
年前と同じ轍を踏むわけにはいかないから、国防軍の出撃は止むを得ない。そこで――」
 「ちょっと待った」
 その時、異議を挟んでキッチンから男が姿を現した。顔の左側に縦に大きな傷跡のある、
隻眼の男である。かつて“砂漠の虎”という二つ名で活躍したアンドリュー・バルトフェルド
だった。

 「何だい君は?」とユウナは話を遮られて不機嫌そうに口を尖らせた。
 「俺のスペシャルブレンドが口に合わなかったようで?」
 ユウナは片眉を上げて、「これ、アンタかい?」と汗をかいたグラスを指で抓んで持ち
上げた。
 「懲り過ぎだね。味が迷走してる」
 「やっぱり、そう思うかい?」
 「一流の人間は、一流の味を知っているものさ。――で、言いたいことはそれだけ?」
 「いやあ……」
 バルトフェルドは、「そういうことじゃなくてな……」と続けて、話し合いの輪に加わった。
 「連合がオーブに同盟締結を打診してくると、どうして思うんだ? ユニウス条約によ
る軍縮で、大西洋とユーラシアの戦力だけでも十分ザフトには対抗できるはずだろう? 
こう言っちゃなんだが、オーブは色々と面倒な国だ。いくらプラント寄りの疑いを持たれ
てるからって、そんな国をわざわざ戦場に引っ張り出そうと思うものかね?」
 バルトフェルドが指摘すると、ユウナはフン、と鼻を鳴らした。
 「父がロゴスと通じているからさ」
 「ロゴス?」
 聞き慣れない単語に、一同が首をかしげた。その様子を眺めて、「これだから素人は困
る」とユウナは呆れながらも、解説を始めた。
 「いわゆる軍産複合体って奴だ。秘密結社みたいな連中でね、ブルーコスモスの資金
源も、そいつらが出どころさ。そして、現在のブルーコスモスの盟主はロゴスのメンバー
の一人だ。父はそのロゴスと通じて、融通してもらってたのさ」
 一同が顔色を変えた。それを見てユウナは、「勘違いしないでくれよ」と付け加えた。
 「私腹を肥やすためじゃない」
 「じゃあ、どういう理由で……」
 ユウナは眉を顰めるアスランを一瞥すると、意味深長に一同を見回した。
 「――ところで君たちは、オーブが連合軍の侵攻による被害から二年でここまで復興で
きたのは、どうしてだと思う?」
 「……? それは――」
 「まさか、オーブの底力とか言わないでおくれよ」
 その時、一部の者が気付いて、顔をハッとさせた。
 「……そうさ」
 その反応を楽しむように、ユウナは顔を綻ばせつつ続けた。
 「オーブの復興には、ロゴスの資金が一枚噛んでいる。戦後のモルゲンレーテの兵器開
発にも、ロゴスの金が絡んでいる。今のオーブには、ロゴスの金の血が流れているんだよ」
 それは、カガリにとっては認めたくない事実だった。あたかも、オーブが汚されてしまっ
たかのように思えたからだ。民の安寧のためとはいえ、カガリはそれが悔しかった。それ
は即ち、元首としての自分の無能さを突きつけられたことでもあるのだから。
 「ロゴスはオーブだけじゃなく、連合各国にもパイプを持っている。そして、ジョゼフ・コー
プランドが就任して以降の大西洋連邦には、とりわけ強い影響力があるんだ。彼の当選
の裏にロゴスの金が絡んでるっていうのは、僕らの間じゃ有名な話でね」
 「なるほど、今の大西洋連邦の大統領は、そのロゴスとやらの傀儡って訳か。だから、
その筋を通じて見返りを求めてくると?」
 バルトフェルドの問い掛けに、ユウナは「そうだ」と頷いた。

 「ブルーコスモスに入れ込んでいるだけあって、コーディネイターの排斥に熱心なメン
バーも多い。戦争を煽って、火はなるべく大きく――業突く張りな連中だから、戦争特需
と思想目的の二兎を追いたがるのは目に見えてると思うよ」
 「オーブの早期復興は彼らの計画の内……そのための投資か。――その内、地球に俺
たちコーディネイターの居場所は無くなっちまうのかねえ」
 バルトフェルドの嘆息は、キラにとって他人事ではなかった。しかし、そんな巨大な組織
を相手に、個人の力で対抗できるわけが無かった。キラは、組織と組織が角を突き合わ
せる戦争における個人の限界というものを痛感していた。世界が一度動き出してしまえば、
もうそれを止める術は無いのだから。
 それは、カガリも同じ気持ちなのかもしれなかった。先ほどから硬い姿勢でソファに座
っているカガリの、膝に添えた両拳がぷるぷると震えていた。それに気付いたアスランが、
そっと慰めるようにカガリの肩を擦った。
 「――ここまでは、理解してくれたかな?」
 ユウナが聞く。一同は沈黙したままだったが、ユウナはそれを肯定と受け取った。
 「ま、君たちが暗くなるのは分かるよ」
 ユウナはまるで他人事のように一同を見渡した。
 「……で、そこで本題だ」
 そして、ユウナはそう切り出すと、身を前に乗り出して、一通りの説明を行った。
 いつもは穏やかな邸宅が、まるで世界を変えてしまったかのような深刻な空気に包まれ
た。皆、複雑な表情をしていた。キラはその時になって、カガリの浮かない表情の意味を
知った。
 「このキーが封印の鍵だ」
 そう言って、ユウナはポケットから取り出したキーをアスランに手渡した。
 「この島の地下ドックに隠してある。それを使ってくれ。必要なクルーも、既にこちらで
用意してある。マリア・ベルネスだっけ、今は? 艦長はモルゲンレーテの彼女でいい
よね。――ああ、そうだ。モビルスーツも一機だけじゃ心もとないだろうから、ムラサメ
を何機かおまけしてあげるよ。それと、スカンジナビアには信頼できるルートで事情を説
明しておく。補給のことで困ったら、彼らを頼るといい」
 ユウナは立て板に水を流すと、「それじゃ、これで失礼するよ」とソファを立ち上がった。
 「どうしてこんなことを……?」
 アスランは去り際のユウナを呼び止め、訊ねた。ユウナのイメージではない――比較的
ユウナと接する機会の多いアスランは、単純に今の彼に違和感を持った。
 立ち止まったユウナは、徐にアスランに振り向いた。その眼差しがいやに神妙だったの
が、いまいち信じられなかった。
 「……君、先日の連合軍とザフトの衝突が、偶発的な事故だったとでも思ってやいない
かい?」
 「い、いえ……」
 アスランにも察しはついていた。ミネルバとファントムペインの衝突は、仕組まれたも
のだった。裏には、ユウナが今しがた解説したロゴスの影があると、今なら分かる。
 「事の始まりは、アーモリー・ワンからだ。あの挑発がデュランダルをその気にさせて、
オーブを巻き込んだんだ」
 ユウナの眼光は、怒りだった。
 「そういった意味じゃ、プラントも大概だ。デュランダルはアーモリー・ワンの時点で、
既にこうなることを分かっていたはずだ。彼は、その上でミネルバでオーブに接触して
きた。けど、もっと許せないのは、そう仕向けたロゴスだよ」
 「あなたは、純粋にオーブを守るために……」
 「僕はね、利用するのは大好きだけど、利用されるのは死ぬほど嫌いなんだ」

 ユウナを見直そうと思っていたアスランは、その一言を聞いて、それはもう少し待って
からにしようと思った。
 「理屈は分かりますけど、それはどうかと……」
 「ロゴスを利用したは良いけど、そのためにオーブの安保を犠牲にするようでは駄目だ。
そういう父のやり方が、僕は気に食わないんだ。こんなことになるなら、最初から利用し
ない方がいい。……ま、平たく言えば、政治をやるには僕はまだまだ青いってことだよ」
 ユウナは自嘲気味に言った。まだ好きになれそうに無いが、ユウナの言葉は信じられる、
とアスランは感じた。
 キラもそんなユウナを不思議な心持で見ていた。ボンクラとばかり思っていたユウナが、
今は何故かとても頼もしく、立派に見えた。
 「……何?」
 キラの視線に気付いたユウナが、不機嫌そうに顔を顰めた。
 「いえ、そういう顔も出来るんですね」
 「嫌味かい? 普段の僕は、父のマークを外すための演技だ。君たちには隠す必要も、
意味も、価値も無いから素を見せているだけだ。思い上がるんじゃないよ」
 ユウナはそうキラに釘を刺すと、「いいかい、くれぐれも言っておくけどね」と続けた。
 「君たちには使い道があると思って、今日まで大目に見てきてやったんだ。だから、く
れぐれも期待を裏切るような真似だけはしないでくれたまえ」
 突き放すように言うと、ユウナは足早に帰っていった。
 
 後日、オーブに激震が走った。突如として出現した戦艦――アークエンジュエルにより、
国家元首であるカガリ・ユラ・アスハが拉致されるという事件が起こったのだ。
 アークエンジェルは、そのままオーブ艦船の一部を破壊し、逃走を図った。そして、その
阻止に出撃したオーブ軍を撃退したのは、たった一機のモビルスーツだった。自由の翼
の復活が、高らかに宣言された瞬間だった。
 「凶悪犯は凶悪犯らしく。多少の時間稼ぎにはなるだろうし、まあ、滑り出しとしては
上々かな」
 損害は出たものの人的被害は一切無し。国家元首の拉致による混乱は見られるものの、
市民生活に大きな支障なし――報告を聞いたユウナは、一人笑みを浮かべるのであった。
 
 
 カガリ拉致のニュースが飛び込んできたのは、カーペンタリア基地を出立する直前にな
ってからだった。
 その少し前には、オーブと地球連合軍の軍事同盟締結のニュースも報じられており、ミ
ネルバ去りし後のオーブは一体どうなっているんだ、と艦内はその話題で持ちきりだった。
中でも、シンの憤りようは尋常ではなかった。
 オーブが中立国であるということは、シャアも知っていた。しかし、前大戦の最終決戦
となった第二次ヤキン・ドゥーエ戦役では、オーブの戦力が介入していたという記録もあ
る。付け加えて、オーブ解放作戦の記録も含めて鑑みるに、オーブの中立はなまじ形骸
化しつつあるのではないかと思っているシャアにとって、その対応はある意味で当然なの
ではないかと思った。
 「アスハの奴は何やってんだ! そんなことだから、死ななくていい人が死んじゃうん
じゃないか!」
 シンの癇癪は治まる気配を見せず、顔を赤くして乱暴にコンテナを蹴っ飛ばしていた。
シンの友人であり、担当メカニックでもあるヨウランがとばっちりを受けて、「何すんだ
よ!」と血相を変えた。

 「……くそっ!」
 悪びれるでもなく、シンはハンガーを後にした。「まったく……」と呟いて、同僚のヴィー
ノが片づけを手伝った。ヨウランも、仕方ないと割り切っているのか、愚痴を零しながらも
片づけをした。
 シンの激しい気性に、シャアは思い出す人物があった。ニュータイプとして、誰よりも可
能性を秘めていた少年。最初こそ癇の強さが目立ったが、次第に角が取れていったよう
に思う。彼はあの後どうなったのだろうか、とシャアは今さらになって気になった。
 甲板に出たシンは、前のめりになって柵に身を預けていた。潮風が絶えず吹いて、乱れ
た黒髪がその表情を隠していた。
 シャアはまず、他に人が居ないことを確認してから歩み寄った。
 「説教なら、聞きませんよ」
 振り返りもせず、シャアが来たことをシンは言い当ててみせた。「凄いな」と、シャアは
おだてるように感嘆した。
 「バカなアスハが悪いんですから。奇麗事ばかりほざいて、結局あいつ自身は何一つ
できやしないんだから。何が理念だ。守れないとなったら、自分だけとんずらかよ」
 シンはカガリの拉致を事件だとは信じていなかった。シャアは、それも一つの見方だろ
うと思う。
 「憎みたければ、憎めばいい」
 シャアは、そう言いながらシンの横に立った。
 「その先に、君の納得するものが見えているのならな」
 潮風を全身で感じて、シンとは違う方向を見つめる。
 「聞かないって、言ってるでしょ」
 シンは苛立ちを見せた。だが、シャアは構わず続けた。
 「私には見えなかった。だから、気を紛らわすように色々と手を付けたのだが、どれも
長続きしなかった」
 脳裏に、ララァ・スンの面影が過ぎった。
 「飽き性なのだろうな。そんなことだから、何か一つだけでもやり遂げてみせたいと思
うんだ。この年になって、余計にな」
 シンは黙っていた。正直、シャアが何を言っているのか分からなかった。しかし、何故
かその語りに引き込まれた。
 シャアは一寸、サングラスを上げ、太陽を見上げた。強烈な光に、目が眩んだ。「やは
り、何も見えないな」と、諦めたようにサングラスを下ろす。
 「何一つ成し得ない自分は、情けなく思えるものさ」
 「だから、いつもそんなもの付けてんですか」
 「察しがいいな」
 シンにサングラスを指摘されて、シャアは苦笑を浮かべた。
 「だが、こんなものを必要とするような人間には、ならない方がいい。それが年寄りの、
若者へ向けたアドバイスだよ」
 シャアはそう言い残すと、踵を返し、甲板を後にした。
 「……まだ酔っ払ってんじゃないのか、あの人?」
 シンは、扉の奥に消えていくシャアの後姿を見送って、そう呟いた。
 
 (二人の関係が噂になってるけど……その線で攻められるかしら……?)
 食堂の入り口で中の様子を窺うルナマリアは、現在、ミネルバの女性クルーの間で話題
になっている噂を頭に思い浮かべながら、どのように話し掛けるかのシミュレーションを
繰り返していた。

 視線の先にはハマーン・カーンの姿がある。ルナマリアには、タリアからの直々のミッ
ションを言い渡されていた。即ち、ハマーンをザフトに引き入れるミッションである。
 オーブで付添い人だったから指名されただけの、単純な理由であった。しかし、ハマー
ンの気難しさを知っているルナマリアにとって、このミッションは罰ゲームに等しかった。
 (貧乏くじ、引かされちゃったのよねえ……)
 運命とは、かくも残酷なものなのか。ルナマリアは、我が身を呪いたい気分だった。
 (ああ、もう! 悩んでたってしょうがないじゃない! どうせ失敗するんだったら、当た
って砕けてやるわよ!)
 ルナマリアは意を決し、配膳カウンターで食事を受け取ると、ハマーンが座っている隅
のテーブルへと一直線に向かった。
 ハマーンは、接近しても目線さえ向けようとしなかった。それだけで、ルナマリアはこれ
から味わうであろう精神的ストレスの大きさを想像できてしまった。
 (うわあ……やだなあ……)
 偽らざる本音である。思わず尻込みして、生唾を飲み込んだ。
 「あ、あの……相席、いいですか?」
 ルナマリアは恐る恐る伺いを立てた。そうやって声を掛けて、ハマーンはようやくルナマ
リアを見た。何を考えているのか分からない、氷のような青い瞳がルナマリアを睨み上げ
ていた。
 (ゾッとするのよ、この目が……)
 内心で怯えながら、ルナマリアは表面的には笑みを絶やさなかった。
 ハマーンはそんなルナマリアを一瞥しながら、食堂内を見渡して、「席は他にもあるが」
と指摘した。ルナマリアはハッとして振り返り、人がまばらな食堂の風景に、今はピーク
を過ぎた時間帯であることを思い出した。
 「あっ、しまった……!」
 思わず臍を噛んだルナマリアの失態は、ハマーンの失笑を買った。
 「くくっ……楽しませてはくれるがな」
 「そんなの……!」
 「私に用があって来たのだろう? 好きにするがいい」
 ルナマリアは顔を赤くしながら、ハマーンの対面に座った。
 「それで、どういった用向きなのだ?」
 ハマーンは上品にスープを啜りながらルナマリアに訊ねた。落ち着いた物腰の中に、決
して他人を許容しない妙な迫力がある。ルナマリアは、その雰囲気が、シャアとの痴情の
もつれによるものではないかと推測した。女の勘である。
 ルナマリアは気合負けしないようにと、牛乳を一気に飲み干し、勢いをつけて切り出した。
 「率直に言います。ハマーン・カーンさん。私たちと一緒に戦ってください」
 「断わる」
 鋭いカウンターのような即答をされ、危うく心をへし折られそうになったが、カウントナイ
ンで辛うじて踏み止まった。
 ルナマリアは気を取り直し、両手でテーブルを叩いて、「どうしてですか!」と更に強い
口調で迫った。虚勢であることは、言うまでもない。
 「クワトロさんは戦うって決めたんですよ! なのにあなたは!」
 「シャアが戦うというのなら、それで十分だ。あのガンダムのパイロットもいる」
 「けど、連合軍は強大なんです! 戦力は少しでも多い方がいいんです!」
 ルナマリアは身を乗り出し、真っ直ぐにハマーンを見据えた。ハマーンはその暑苦しい
眼差しに対し、煩わしそうに少し顎を引いた。
 「……上から命令されてきたのだろう?」

 「それを分かってくださるなら!」
 「だが、私が乗るモビルスーツが無ければな」
 「キュベレイってモビルスーツがあるじゃないですか!」
 「あれはパーツの代えも利かない。どうして使える?」
 ハマーンの切り返しに、ルナマリアは「あっ……」と声を一瞬詰まらせたが、負けじと
「だったら!」と声を張り上げた。
 「ザクがあります! クワトロさんが使った!」
 「それこそ論外だ。私はシャアみたいにお前たちのモビルスーツに合わせてやるつもり
は無い」
 「うぐっ……!」
 きっぱりと言われ、ルナマリアは二度目のダウンを喫した。硬直し、頭の中であれこれ
と反撃の一手を懸命に見出そうとしたが、しかし、まともな反論は思いつかなかった。
 パッと思いつける限りの攻め手は、ほぼ出し尽くした。残された手段は、挑発まがいの
ゴシップのみである。
 (これで駄目なら、諦めよう……)
 ルナマリアはそう心に決め、「でも、クワトロさんが戦うってことは……」と改めて切り出
した。
 「つまり、ハマーンさんがクワトロさんに守ってもらうってことですよね?」
 大して効果を期待していたわけではなかった。ハマーンとシャアが険悪な仲であること
は分かりきっていたし、プライドが高い上にガードも固そうなハマーンがそれで考えを改
めるとは、到底思えなかった。
 しかし、ハマーンはその時、初めてルナマリアの言葉に即答できなかった。それはつま
り、シャアを攻め手に使うことが効果的であるということの証左だった。
 「それは、クワトロさんに借りを作ることになるんじゃないでしょうか?」
 ルナマリアは、一気呵成とばかりに続けた。
 「私がシャアに借りだと……?」
 答えたものの、ハマーンの歯切れは悪い。ルナマリアは、効果を確信した。
 「ハマーンさんはクワトロさんのことを“シャア”と呼びますよね? ――この際だから
ハッキリ言っちゃいますけど、お二人はただならぬ関係にあるように見えます。この間、
少しハマーンさんについてお話しさせてもらったんですけど、クワトロさんはハマーンさ
んのことを色々と知っているようでした。今は随分と険悪でいらっしゃるようですけど、
そういう相手に借りを作って置いて本当によろしいんですか? あたし、ハマーンさんの
ような方が、そういうことを許して置ける人だとは思えないんですけど」
 ハマーンの目が鋭くなった。その視線にルナマリアは急に尿意を催したが、しかし、そ
れは説得が通じていることの裏返しでもあるとも思った。
 だが、それは勘違いであった。ルナマリアは、火のついた炭に風を送っているに過ぎな
いことに、まだ気付いていなかった。
 「……冗談ではないな」
 抑制された声でありながら、鳩尾にずしっと来るような一言に、ルナマリアは怯んだ。
 「奴の方が私に借りがあるのだ。なら、奴が私のために働くのは当然のこと」
 「でも、クワトロさんは、ハマーンさんは基本的に優しい人だって! だったら――」
 雲行きが怪しくなったのを感じて、藁にも縋る思いで持ち出したシャアの言葉だった。
しかし、それが決定打となってしまった。刹那、ハマーンは急に目の色を変えたのである。
無論、悪い方向に。
 「シャアが……か?」

 ハマーンの引き攣ったような微笑と共に、ザワッとした瘴気のようなものが辺りに立ち
込めたように感じた。悪寒が走った。ルナマリアは、反射的に背筋が震えた。本物の殺気
というものを知ったような気がしたのだ。
 (ああ……この人は絶対にクワトロさんの言葉を信じたりはしないんだろうな……)
 根拠は無い。しかし、ルナマリアは、何故かその自分の直感に絶対的な自信があった。
同姓だから分かる、オカルト染みた共感とでも言えばいいだろうか。
 「……付き合ってられんな」
 (そうでしょうね……)
 トレイを持って立ち上がるハマーンに、ルナマリアは呼び止めもせず、心の中で呟いて
いた。ハマーンとシャアの関係が、既に修復が不可能なまでに壊れてしまっていることを、
ルナマリアは密かに察していた。
 
 
 艦内に警報が鳴り響いた。シャアは急いで自室を飛び出した。
 コンディションレッド。敵部隊と遭遇したのだ。それは、カーペンタリア基地を出撃して、
インド洋に差し掛かってすぐの出来事だった。
 「セイバーでの実戦は初めてなんだから、無茶だけはするんじゃないぞ」
 パイロットスーツに着替え、ハンガーに降りてセイバーのコックピットシートに身を収
めたシャアに、クレーンに乗ったマッド・エイブスが最終点検をしながら、苦言を呈する
ように言う。シャアは、「分かっているよ」と出撃準備を進めながら答えた。
 「カーペンタリアで慣らしは済ませてある。君たちの仕事を増やしたりはしないつもりだ」
 「本当だろうな? 頼むぜ」
 マッドは懐疑的な言葉を投げかけると、下に合図を送ってクレーン車ごとセイバーから
離れていった。
 「舐められたものだ……」
 シャアはコックピットハッチを閉じると、起動の最終チェックに入った。
 「赤いガンダムか……しかも変形する……」
 各画面に表示されるデータを確認しながら、シャアは自嘲するように呟いた。
 「これでは、誰のモビルスーツなのか分からんな」
 すべてのチェックが完了すると、シャアは苦笑しながら操縦桿を握り、セイバーをカタ
パルトデッキへと移動させた。
 バッテリー動力にヴァリアブルフェイズシフト装甲と未知の技術の塊であるが、カーペ
ンタリア基地で慣熟飛行を行った際に感動したのは、その存外な性能の高さだった。ザク・
ウォーリアの性能から粗方の性能を予測していたのだが、それが良い意味で裏切られた。
それでも百式に見劣りする部分もあったが、流石はガンダムの形をしているだけのことは
あると感心させられた。モビルアーマー形態での加速性は、すこぶるご機嫌だったのだか
ら。

 「システム、オールグリーン――」
 エレベーターでカタパルトに迫り上がってくると、無線からオペレーターのメイリンの
声が聞こえてきた。シャアはその声を聞きながら、声が幼過ぎるなと感じていた。戦争
をする人間に似つかわしくない声だと思えたのだ。
 つまり、シャアにはそういうことを考えていられる余裕があった。セイバーの性能と、
自身のパイロットとしての腕前に疑いの余地を持っていなかったのだ。
 しかし、それは油断だった。そのことを、シャアは出撃後、間もなく思い知ることになる。
 両足がカタパルトに固定された。暗いトンネルの向こうに開いたハッチから見える、抜け
るような青空と強い日差しが、バイザー越しでもシャアの目を細めさせた。
 「――進路クリア。クワトロ機、セイバー、発進どうぞ!」
 「クワトロ・バジーナ、セイバー、出るぞ!」
 機体が加速し、シャアの身体にも加重が掛かった。そうしてミネルバを飛び出すと、セイ
バーはフェイズシフト装甲を展開して深紅に染まった。
 シャアが最後の出撃で、既に他の三人は展開を終えていた。レイとルナマリアは前回同
様、ミネルバの甲板に陣取り、空戦仕様のフォースシルエットにて出撃したインパルスは、
シャアのセイバーが追いついて来るのを待っていた。
 「ちゃんとついて来て下さいよ。遊びじゃないんですから」
 「足を引っ張ったりしないよう、努力しよう」
 シンの棘のある言葉に柔らかく返しながらも、生意気な少年だなとシャアは思っていた。
 そうこうしている内に、CICからデータが送られてくる。識別から、オーブ沖で遭遇した
部隊と同じであると伝えられたが、どうにも敵方の戦力の展開が鈍いらしいとの情報も
送られてきていた。
 「――なら、この付近に何かあると見ておいでで?」
 シャアは、ふと通信相手のタリアに訊ねた。
 「地図のデータは三ヶ月以上も前のものなのよ。当てになるかしら?」
 「おっしゃるとおりで」
 シャアとタリアの見解は一致していた。
 「オーブ沖でぶつかった相手と同じであるなら、タンホイザーで沈めた分の数が戻って
いるのは不自然よ。この辺りで補給を行っていたと見て、ほぼ間違いないわね」
 「カーペンタリアからインド洋に抜けるルートは、いくつかあります。この接触が偶然で
あったなら、敵の展開が鈍いのも頷けます」
 シャアが言うと、「そういうことよ」とタリアは頷いた。

 「先制攻撃を掛けます。シン、クワトロの両名は付近の島嶼を探索。何らかの発見があり
次第、ミネルバに連絡よ。いいわね?」
 「了解」
 その通信を終えたのを皮切りに、敵の迎撃部隊が姿を現した。同時に後方のミネルバか
ら支援砲撃が行われ、敵の火力を分散した。インパルスとセイバーはその高機動力を武器
に、敵陣を切り裂いていった。
 新米のパイロットであるシン・アスカは、既に数度の実戦を経験しているだけあって、シャ
アの目から見ても十分に優れたパイロットだった。しかし、ゲルズゲーを一瞬にして葬った
時のような、目を見張るような動きからはまだ程遠い。
 (いつでもあの力を発揮できるというわけではないということか……)
 シャアはウインダム部隊の攻勢を切り抜けながら、一方でインパルスの動きにも気を配
っていた。シン・アスカの秘めたる力というものに、シャアは興味があったのだ。
 だが、それも余裕があればこそ。索敵システムが告げる新手の存在が、シャアからその
余裕を奪った。
 その時、警告音と同時に、スクリーンに新たなモビルスーツの情報が表示された。
 「これは……シン・アスカ君! 分かるか!」
 シャアはシンに呼び掛けた。立て続けにデータで表示されたのは、例のアーモリー・ワ
ンで強奪された三体のモビルスーツであった。
 空中戦を得意とする深緑色のカオス、水中戦で絶対的な力を発揮するブルーのアビス。
そして、大地を高速で疾駆する黒のガイア。全て、インパルスと同じ、ザフトのセカンド
ステージシリーズのモビルスーツだった。
 「ガンダムだらけだな……!」
 シャアは、思わずそんな感想を漏らした。だが――
 「気付いているな、シン君! ――ミネルバ、ガンダムタイプの奪還任務について、どう
なっているか確認を……ンッ!?」
 それを見つけてしまった時、シャアは思わず言葉を切っていた。
 新手は、三機だけではなかった。最後の一機、四機目の新手は、モビルスーツの形をし
ていなかった。しかも、カメラがキャッチしたその機体は、最新であるはずのセイバーの
データベースにも存在しない機種であった。
 その機体は、航空機のようなシルエットを持っていた。シャアは、その派手なトリコロー
ルカラーの機体を知っていた。