SEED-クレしん_12-146

Last-modified: 2009-06-18 (木) 20:09:52
 

 今日は日曜日。マユにエルにコニ―ルは大宮の駅前にお出かけしていた。

 

マユ 「さ~今日はおもいっきりあちこち見て、お買い物して、映画とか見るぞ~♪」
エル 「マユちゃん上機嫌だねー」
コニ 「そりゃあ、な」
マユ 「今日のマユはお年玉をい~っぱい貰ったからけっこうおカネ持ちなのだ~。
    エルちゃんとコニちゃんになんか奢ってあげるね~♪」
エル 「き、気前がいいね? なんかあったの?」
マユ 「ん~別に~?ただ今年はお兄ちゃんからすこーし多めにお年玉をもらっただけだよ~」

 

コニ 「お年玉……ねえ……」

 

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

 

~去る一月一日。野原家にて~

 

マユ 「おにーちゃん、あけましておめでとうございます♪」
シン 「ん。おめでとマユ」
マユ 「……」
シン 「……」
マユ 「……」
シン 「な、なんだよ! 俺の顔をじーっと見て……気持ち悪いな!」
ひろし「シン君も鈍感だなあ。正月に挨拶とくれば次にくるのは一つしかないだろうに」
シン 「一つ……? ああ、お年玉ですか?」
マユ 「そうそう♪ おにーちゃんお年玉ちょうだい!」

 

シン (ううむ……確かに親父達から俺に一万、マユに5千のお年玉を預かってはいるが。
    しかしただで渡すってのもなんか癪だな…
    よしここはひとつ金は楽に手に入るもんじゃないってとこをマユに教えるのを兼ねて、だ……)

 

シン 「いいぜマユ。俺からお年玉をくれてやる」
マユ 「わーい♪」
シン 「ただし! 俺とドンジャラして勝てたらの話だー!」
マユ 「………ふぇ?」
シン 「使うのはこの特製クレ種ドンジャラだ。レートは10点=100円で、持ち点は俺千点でマユ500点。
    先にハコテンになった方の負けな」
マユ 「ちょ、ちょっとお! なんでマユがお兄ちゃんとお年玉を賭けてドンジャラしなくちゃいけないの?!」
しん 「まあまあ。シンにいちゃんはこう見えてツンデレなとこがありますから」
フレイ「他の面子には私としんのすけが入るから。出来る限り援護するから頑張れマユちゃん!」
マユ 「ふえ~ん。いつの間にかお年玉貰うためにドンジャラしなきゃいけない状況になっちゃったよう~~!」

 

   ※   ※   ※

 

ジャラララ……

 

 ドンジャラ。それは9種9色の牌を揃え同じ絵もしくは同じ色の牌を3セット作り上げて上がるという単純極まりないゲームである。
 牌には1・5・10の数字が明記されており、上がったときこの数字の合計の点数を他の面子から受け取ることができる。
 今回のルールはポン・チーなし。カンなし。親の上がりで連荘あり。なおキャラの組み合わせによる役がいくつかある。

 

しん 「お、まずはオラの親だゾ」
マユ 「う~ん。どれを切ろうかなあ………(この浮いてる青イザ―ク5あたりなら大丈夫、かな?)えい!」
シン 「………悪いなあマユ。ドンジャラ~」
マユ 「ふぇええ!?」
シン 「イザ―ク・ディアッカ・ニコル牌3セットの役『貧乏人間』だ。さあ100点払ってもらおうかマユ?」
マユ 「う、ううう~~~~!」
フレイ「わずか3巡で上がるなんて。恐るべき強運ね……」

 

 だがその後も……

 

シン 「ドンジャラ! ムウ・議長・ひろし牌で『親父連合』80点!」
シン 「ド~ンジャラ~~。キラ・アスラン・シン牌で役『主人公』! 120てーん!」

 

マユ 「うう~~。あっというまにマユの持ち点が残り50点にい~~………」
シン 「ま、世の中そう甘くないってこった。さあしんちゃんトドメといこうぜ♪」
フレイ「しんちゃん?」
シン 「え? あ、い、いやこっちの話っす!」
しん 「そうそう!なんでもないゾ」
フレイ「………?」

 

 賢明なるクレしんスレ住人の方々ならもうお気づきであろう。そう、シンはイカサマをしていたのだ!
 四人でコタツに入ってドンジャラしてるその下で! しんちゃんとこっそり不要牌の交換をしていたのである!
 このままではマユの惨敗は自明の理。しかし次の局……

 

   ※   ※   ※

 

シン 「いっくぜえ……リーチ!」
マユ 「こ、今度こそ絶対にお兄ちゃんになんか振り込まないんだから!」
シン 「いいから早くツモれよマユ~♪」
マユ 「う~……えい!…………あれ?」
フレイ「どうしたの?」
マユ 「い、いやったあ!ツモにオールマイティーがきたあ! ドンジャラ――――っ!」
シン 「な、なにい!?」
しん 「えーと10、20…………おおすごいゾ。合計80てーん」
シン 「うぐ……」
マユ 「どうお兄ちゃん? まだまだマユにも運はあるんだから!」
シン 「い、一回ぐらいなんだ! 勝負はこれからさこれから。すぐに巻き返してやるさね……!」

 

 だがこの上がりを機に流れがガラっと変わった。
 シンに来る配牌はバラバラ、ツモも悪い。その反面マユには常に好配牌ばかり入りツモも好調である。
 相次ぐイカサマで無理に歪めた流れの反動か。いくら牌の交換をしても全然手が揃わないシンであった。

 

マユ 「ドンジャラ~♪ マリュ―・みさえ・タリア3セット役『主婦連』だよ~」
フレイ「すごいマユちゃん、これで八連続和了よ?」
シン 「うぐぐ……なんで?なんでいきなり牌がこなくなったんだ?なぜ……」
しん 「そりゃ簡単だゾ」
シン 「え? ど、どういうことさ」
しん 「んーだってさ、ドンジャラは運任せのゲームだもん」
シン 「……!」

 

 そう。
 麻雀のような戦略性を極力排除したドンジャラは、配牌もツモもほぼ完全な『運任せ』である。
 せいぜい出来るのは振り込まないように捨て牌で相手の待ちを予想するくらい。
 ポンやチーカンで自分から仕掛けることのできないドンジャラでは運を、ひいては流れを失うことは致命的であると言える。
 だがそれでもシンは最後の勝負にうって出た。

 

シン (赤キラ・黄マリュ―が3枚づつの青アスランが2枚の好形な3色イーシャンテン……
    マユの捨て牌は、と……)
マユ 「えい!」
シン (……赤キラの10か。惜しい……)
マユ 「へへ~」
シン (あの様子だともしかして……オールマイティー牌はすでにマユの手中か?く、なんたる強運……!
    俺のツモ番…こい!)

 

 シンが引いたのは黒みさえ1。切りたいのは山々だが他の面子の当たり牌の可能性もあり、どうにも始末に困った牌でもある。

 

シン (いや……ここはマユに振込みさえしなきゃいいんだ。
    点数は現在俺300にマユ1200。たとえ上がられても次は俺が親。充分巻き返しは可能。ならば!)

 

タン……!

 

マユ 「あ……」
シン 「………どうだ……?」
マユ 「やったあ~~~!それだよお兄ちゃん♪ どんじゃら~~~~~!」
シン 「え?……ええ!?」

 

しん 「おお~こ、これは……」
フレイ「オールマイティーを加え全ての牌を一枚づつ揃えてるじゃない!これは『全員集合』の役……300点ね」
シン 「さ……さんびゃく!?てことは……」
マユ 「お兄ちゃんハコテン決定~♪この勝負マユちゃんの勝ちぃ~~♪」
シン 「………(ぱくぱく)」
しん 「うんうん、やはりずるっこはいけないってことなんだゾ。ね、シン兄ちゃん♪」

 

マユ 「それじゃあ改めて……お兄ちゃん、マユにお年玉くださーい♪」
シン 「……はい」

 

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

 

コニ 「……と、こんな経緯でマユはシンの分のお年玉までせしめたらしい」
エル 「どうりでマユちゃんが妙に気前いいと思ったわよ」
コニ 「おかげでシンは正月中まっ白に燃え尽きた状態でぼーっと過ごしたんだと」
エル 「気の毒というか因果応報というか……言い方に困るね~」

 

マユ 「ねーねーエルちゃんコニちゃん、今度はアルシェにお洋服見にいこうよ~♪」
コニ 「マユが呼んでるようだし、行くか」
エル 「う、うん。じゃあその、シンさん元気出してくださいね……なむなむ~」
コニ 「いやまあ一応まだシンはその死んでないんだが、な」

 
 

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