SEED-クレしん_14-018

Last-modified: 2009-05-30 (土) 21:43:22
 

しん 「ほ~いシンにいちゃ~ん♪」
シン 「なんだい?しんちゃん」
しん 「ルナおねいさんから借りてきたんだゾ。ミゲル兄ちゃんの漫画♪」
シン 「ああこれかあ……そういや俺まだ読んでないや」
しん 「オラもだゾ。んじゃはい」
シン 「ん?」
しん 「オラ、かんじ読めないから読んで」
シン 「ああ、そういう事か。じゃあ適当に要点だけ走り読みしますかね」
しん 「はじまりはじまり~♪」

 

 

―MUMUの奇妙な冒険 ファントム・ペイン―

 
 

 その昔、ソロモン諸島沖に強大で勇猛な国家があった!
 国家的規模のすさまじい生贄と人肉喰いの儀式を伴うこの文化!

 

 その名をオーブ連合首長国!

 

 そしてその中にこの『クルーゼ仮面』の力で世界に君臨しようとする部族があった!
 『クルーゼ仮面』は彼らに伝わる奇跡!永遠の生命と真の支配者の力をもたらす!
 しかし! ある時その部族は目的を遂げず忽然と歴史から姿を消す! 無人の廃墟を残して!
 何故なのか!? どこへ行ったのか! 謎の全てはこの『クルーゼ仮面』にある!

 

 この物語はオノゴロ島から発掘された謎の『クルーゼ仮面』にまつわる、2人の数奇な運命を追う冒険談である!

 

   ※   ※   ※

 

~遺伝子工学者、ユーレン・ヒビキの家~

 

ユーレン「ラウ……ここへ来い…ゴホッゴホッ……」
ラウ  「……なんだい父さん、薬かい?」
ユーレン「い、いいかよく聞け。俺はもう長くねえ……わかるんだ。じき死ぬ……
     死んだあとの気がかりは1人息子のおめえだけだ……ゴホッ!
     俺が死んだらこの手紙を出して宛名の人物の所へ行け!
     こいつは俺に恩がある……きっとお前の生活の面倒を見てくれる、学校にも行かせてくれるだろう!」
ラウ  「……」

 

(そうあれは数年前のことだ……こんな事ラウには言えねえがよ。当時俺は金に困ってた貧乏研究者だった。
 そこへアル・ダ・フラガとかいう貴族から、『自分のクローンを作ってくれ』って依頼が舞い込んできやがったんだ。
 俺は苦労してクローンを完成させたものの、奴は『子供が産まれた』とかいって依頼を取り消しやがった……ラウはそのクローンよ。
 俺の子として引き取る代わりに多額の謝礼金をもらったが、結局落ちぶれてこのざまだ……チクショウ!)

 

ユーレン「ラウ!俺が死んだらフラガ家へいけ!
     お前は頭がいいッ!誰にも負けねえ一番の金持ちになれよ!」

 

~数日後、ユーレン墓の前にて~

 

ラウ  「醜くてズル賢くて最低の父親だったぜ!
     一番の金持ちになれだと? ああなってやるとも!お前の『遺産』受け取るぜ!
     俺1人でも生きられるが……利用できるものはなんでも利用してやる!
     だからそのフラガとかいう貴族を利用して誰にも負けない男になるッ!………クズめ!」

 

~フラガ家~

 

ムウ 「君がラウ・ル・クルーゼだね?」
ラウ 「そういう君はムウ・ラ・フラガ」
ムウ 「紹介するよ。僕の愛犬でスカイグラスパーってんだ。
    決して人を噛まないからすぐに仲良しになれるさ!」
ラウ 「……フン!」

 

ボギャアアッ! (犬に膝蹴り)

 

ムウ 「なっ! なにをするだァ――――ッゆるさんッ!」
ラウ (こいつがフラガ家の後継ぎのムウか!
    こいつを精神的にとことん追い詰め、このラウがフラガ家の財産を乗っとってやる!)

 

   ※   ※   ※

 

マリュ―「……!」
ラウ  「やあ君……マリュ―って名なのかい? ムウと泳ぎにいったろう!
     あいつ最近浮かれてると思ったら、こういうわけだったのか……」

 

ズッキュウウウン! (マリュ―の唇を奪った!)

 

イザ―ク 「さすが隊長! 俺達にできないことを平然とやってのける! そこにシビれる!あこがれるゥ!」
ラウ   「君は……もうムウとキスはしたのかい? まだだよなァ……
      初めての相手はムウではないッ! このラウだァ―――!」
マリュー 「…………」
ディアッカ「ああッ見ろ! こ、こいつ一体!? ドロで口を洗ってるぞ?」
イザ―ク 「こいつ頭おかしいんじゃねえか?
      いくら隊長にキスされたのが嫌だったとしてもなんでわざわざドロで……」
ラウ   「こ、この女ッ! わざとドロで洗って自分の意思を示すのか!
      そんなのはつまらんプライドだァ!」

 

   ※   ※   ※

 

オオオオオオ…………!

 

ムウ 「クゥルゥゥゥゼェェェェ!」
ラウ 「人の名を!随分気安く呼んでくれるじゃあないか。それにその握り締めた拳!それでどうしようと?」
ムウ 「彼女に対する侮辱が許せない!」
ラウ 「見苦しいぞ?嫉妬に狂った姿は!?」

 

ムウ 「君が! 泣くまで! 殴るのをやめないッ!」

 

   ※   ※   ※

 

??? 「フラガさん……気をつけろ! 信じるなよそいつの言葉を!」
ラウ  「ムヌ!?」
ノイマン「俺はおせっかい焼きのアーノルド・ノイマン!
     ヘリオポリスの貧民街からフラガさんが心配なんでくっついてきた!
     フラガさん! 甘ちゃんのあんたが好きだからひとつ教えてやるぜ!
     俺は生まれてからずっと操舵手として戦場で生き、いろんな悪党を見てきた。
     だから悪い人間といい人間の区別は『におい』でわかる!」
ラウ  「ぐ……!」
ノイマン「こいつはくせェ―! ゲロ以下の臭いがプンプンするぜ―――!
     こんな悪には出会ったことがねェなァ――――!?
     環境で悪人になっただと?ちがうね!
     こいつは生まれついての悪党だ!はええとこ警察に突き出しちまいな~~~!」

 

   ※   ※   ※

 

ラウ 「ムウ……人間の能力ってのは限界があるなあ。
    俺が短い人生で学んだことは……人間、策を弄すれば弄するほど予期せぬ事態で策が崩れ去るということだ……
    人間を超えるものにならなくてはな……」
ムウ 「なんのことだ? なにを言っている!」
ラウ 「俺は人間をやめるぞムウゥゥゥゥゥ! 俺は人間を超越する! このクルーゼ仮面の力でなァ―――!」
ムウ 「なッ!?」

 
 

ラウ 「ムウ!俺はこんなに素晴らしい力を手に入れたぞ! クルーゼ仮面から! アル・ダ・フラガの血から!
    UUURRYYYYY!
ムウ (あ、頭が混乱している……「ナイフ」……「父の死」……「ラウ」……「クルーゼ仮面」……「未知の力」?
    ま、まさか!)

 

   ※   ※   ※

 

ハルバートン「貴様……いったい何人の生命をその傷のために吸い取った!?」
クルーゼ  「……おまえは今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」
ハルバートン「こ、こいつ……!」

 

クルーゼ  「波紋?呼吸法だと?
       フーフー吹くなら……この俺のために! ファンファーレでも吹いてるのが似合ってるぞ!」
ノイマン  「な、なんだ……? 岩盤がさっきから」
クルーゼ  「キラカス! ヅラフォード! もはや俺の出るまでもない!
       出てきてこいつ等にファンファーレという悲鳴を吹かせてみろ!」
キラカス  「UREEYYY! 我等はクルーゼ様に忠誠を誓った!」
ヅラフォード「この世を滅亡させてやるぞどいつもこいつも皆殺しだ――――!」
ノイマン  「なんだ? この怨念の固まりは―――!?」
クルーゼ  「地球征服を企て!斬首の刑に処された悲運の歌姫ラクス・クラインに使えた男たちよ!
       このラウ・ル・クルーゼ様がふたりを悪魔もブっとぶ復讐鬼につくりあげたぜ!」

 

マサオ君「あ、あいちゃん……」
あい  「マサオ……またやられっぱなしなのね。呆れるわ。なぜいつも黙っててやり返さないのよ」
マサオ君「あ、明日やるさ!」
あい  「あしたっていつのあしたよ?」
マサオ君「あ……あした…さ……」

 

パシィ!

 

あい  「一番怖いのは痛いことなの? 痛いって怖い? あんたいつまでも……
     大人になっても1人じゃなんにも出来ない方がもっと怖いとは思わないの?」
マサオ君「うう……ボク…・・ボク……!」

 

ノイマン「お、おいまさか! 小僧いくんじゃねえ危険だ!」
マサオ君(も、亡者どもが街に行ったことを考えるんだ!
     あのでかいお兄さんがやられたら街が襲われる……あいちゃんが襲われる!
     あいちゃん、明日って今さ!)
ムウ  「なっ! 来るな危ない!」
キラカス「UYYYURRY! 決闘の邪魔は許さん!」

 

バキィ!

 

マサオ君  「こ…怖いのは……痛みじゃあ……ないぜ……へ、へへ………」
ハルバートン「マサオ君!」
マサオ君  「や、やった………ぜ」

 
 C.E.70年12月4日付け 「アラスカ・プレス紙よりー小さな事件抜粋」
 12月1日、春日部市郊外で73名が行方不明―――
 警察が目下捜査中であるが、原因は街の人にも全く見当がつかないという。
 またその晩、帰宅途中だった会社員・野原ひろし氏は、
 無人の館で男性の服を拾い集め、火で焼き捨てている四人のよそ者を目撃したという。
 また四人のよそ者のうち1人が奇怪な仮面を持ち出して……ハンマーで粉々に砕いたという。
 
 翌71年2月2日 「アラスカプレス社交欄」
 フラガ家の継承者ムウ・ラ・フラガとラミアス家のひとり娘マリュ―・ラミアスと結婚!
 新婚旅行は翌2月3日プラントへ!
 

   ※   ※   ※

 

クルーゼ「ボディ……来たか」
ムウ  「ク、クルーゼ!?」
クルーゼ「ムウ……お前がいなかったら俺にクルーゼ仮面の力は手に入らなかったろう……
     しかし……お前がいたから未だに世界は俺のものになっていない!
     そう……俺達はこの世において2人で1人!
     つまり……俺はこの世でただひとり尊敬する人間のボディを手に入れ永遠を生きる!
     それがこのラウ・ル・クルーゼの運命なのだ!」
ムウ  「ううっ!あの目はまずい!」

 

マリュ―「おお……ムウこんなこと! こんなまさか……なぜ!?」
ムウ  「逃げ…る…んだ……マリュ―……この船を…爆破させる……!」
マリュ―「……私にはどんな事態になっているのかわかりません……でも言える事はただひとつ……
     マリュ―・ラミアス・フラガは、あなたと共に死にます」

 

 ムウは震える腕で指差した。その先には赤子が……

 

ムウ  「泣いてくれても……いい……でも…君は生き…なくて……は……ならない……」
ひまわり「おぎゃー!おぎゃ~~!」
マリュ―「ああ!う…美しすぎます! 見ず知らずの女性の赤ちゃんを救って避難しろとおっしゃるの? うう……
     私にとってそれは残酷なる勇気! 私の最後の希望はあなたと共に死ぬることなのに……!」
ムウ  「幸せ……に……マリュ―……」

 
 

クルーゼ「離せムウ……考え直せ! おまえにも永遠の生命をやろうではないか! その傷も直す……ム……
     こ、こいつ……死んでる…!」

 

 ――C.E.71年2月7日 ムウ・ラ・フラガ死亡――

 

 2日後、マリュ―・ラミアス・フラガは救助された。
 そしてここにひとまずクルーゼ仮面を巡る物語は幕を閉じる……

 

 

シン 「ふう、かなりはしょって読んだけどまあ大体こんな感じ」
しん 「結講おもしろかったゾ♪ ミゲル兄ちゃんはあいからわずですなあ」
シン 「でもまたこんなん描いちまってさあ。やっぱり今でもあの人逃亡生活してんのかな?」
しん 「だと思うゾ」
シン 「漫画道は修羅の道、か……大変だな」
しん 「第2部はまだかな~♪」

 
 

 戻る