午後8時……スーパーミネルバは今日だけ少し早い閉店。
なぜなら、今夜は食品売り場にテーブルやイスを持ち込んで毎年恒例の『クレ種忘年会』が行なわれる日だからだ。
しん 「やっほーシン兄ちゃん♪」
ひろし 「来たぜ。8時前だが少し早かったか?」
シン 「お、みんな……いや、もうほとんど来てますよ。
ちょっと待っててください、もう少しで片付け終わりますから」
みさえ 「ご苦労様。それにしても……今回は風変わりな忘年会ねえ。ミネルバでやるなんて」
しん 「オラ、てっきりいつもどおり虎のおじさんとこか『あ~くえんじぇる☆』だと思ってたゾ」
シン 「……まあ、一応どっちでやるか麻雀で決めようとしてたらしいですよ」
ひろし 「麻雀?」
シン 「副店長が親で四暗刻大三元字一色のトリプルを決めて、東一局で全員トんで。
で結果忘年会はうちに決まったらしいです」
ひろし 「九れ……ッお、おいそれって」
シン 「おかげで店長、期待していたエロゲのショックと重なって現在病院で生死不明の重態だとか」
ひろし 「……」
みさえ 「……」
しん 「ま、気にしてもしょうがないけど……」
一同 「無茶しやがって………」
※ ※ ※
……で、シンに野原一家は忘年会が行なわれる食品売り場に来たのだが……
ナタル 「ふええええ~~~! 今年はカガリ巡査が酷かったんですよォお姉さま~~~!」
マリュ―「ちょ、わ、わかったから離れなさいよ!……もう、ナタルったら泣き上戸が直ってないじゃない!」
ギル 「どうかね? 埼玉の地酒だが、なかなかイケるだろう?」
ムウ 「いいですねえ~んじゃ俺の番だな。秘蔵のブランデー飲んでみてくださいよ」
ひろし 「なんだ。もう始まってるじゃねえか」
タリア 「あらいらっしゃい。ごめんなさいね~いつのまにかなし崩しに始まっちゃって……
まあみんなも好きなようにやってね♪」
みさえ 「そう? じゃあ私とひまわりはマリュ―さんとこ行くわ」
ひろし 「んじゃ俺はムウ君のところにまざりにいくかな」
みさえ 「じゃあね~シン君しんのすけ♪」
シン 「残ったのは俺としんちゃんだけか……どうする?」
しん 「んー……」
ステラ 「あ、シンだ。やっほ~」
マサオ君「しんちゃんもいる~」
しん 「お、ステラおねいさんに風間君たちだゾ」
シン 「ルナに……なんだアスランたちも一諸か。なにやってんの?」
アスラン「ご挨拶だな。そこらへんのショーケースから肉野菜もってきてガスコンロで鍋やってるんだよ。
ちなみに鍋奉行は俺だ、味付けに文句は言わせないぞ」
風間君 「変な所で仕切りたがるんですね」
ルナ 「アスランはね、へっぽこ隊長やってた頃の癖が抜けてないのよ」
キラ 「んじゃあこっちはこっちで……フライパンに薄く油ひいて、ステーキ肉をじゅ―――!」
シン 「あ―――! それ1パック2千5百はする国産霜降り和牛ッ!?
な、なにやってんだあんたは~~~!?」
レイ 「いいんだシン。どうせ今日売れ残ったら明日の朝一で生ゴミ行きの賞味期限寸前の肉だから」
ネネ 「あ、なるほど。売れ残り品なら霜降り和牛でもマグロの大トロでも食べちゃってかまわないってことなんだ。
どうせもう売り物にならないわけだしね」
ボー 「これで、参加費ひとり、三千円は……」
シン 「……安いな。確かに」
アウル 「ステラーこっちにゃ昨日の売れ残りクリスマスケーキが大量にあるぜ。食うか?」
ステラ 「たべる~♪」
ラクス 「ジュースどうぞ~」
しん 「こりゃどうも♪」
シン 「……いいのかなあ。明日も営業あんのにこんなに滅茶苦茶して」
ルナ 「ま、後の事は後になってから考えりゃいいじゃない♪ 今を楽しみなさいな」
シン 「…………それもそうだな。心配するだけ損、か」
しん 「そうそう~~♪」
※ ※ ※
とまあそんなわけで。飲めや歌えの大騒ぎ忘年会は翌朝まで続き……
大人組は二日酔い、未成年組は食べ過ぎの胃もたれ抱えて死にそうな思いで仕事にいきましたとさ。
しん 「明日お休みの週末にやっとけばよかったね」
シン 「い、いまさらそういう事いうなよ……うぷっい、胃薬胃薬……」
タリア 「意外とギルもお甘いようで……」
ギル 「うッ!……うえええええええ~~~」
タリア 「ぎゃあああ! ち、ちょっと私のお店で吐かないでよ!」