作戦が開始された。
目標は地上基地周辺に展開している敵MS部隊の殲滅である……
セイバーに乗ったアスランとデスティニーに搭乗したシンは、敵機を捕捉できる位置まで移動していた。
『いいかシン、今回の相手は危険な奴だ。くれぐれも……』
「わかってますよ、油断するなってんでしょ? 敵機確認……まずは敵戦力を確実に削る!」
デスティニーがビームライフルを撃ちながらフルスピードでつっ込む!
不意を突かれたのか、敵MSはたいした抵抗も回避もできずに撃墜されていった……が。
『……おかしい。あまりにも脆すぎる……それに肝心の奴がどこにもいないとはどういう』
その瞬間、セイバーは後ろから撃たれた! ビームがコクピットに直撃する……
「アスラン!?」
『がッ? 馬鹿な……後ろから、だと……? 味方をお、囮に………ぐああッ!』
「アスラーンッ!」
ドゴオオオンッ!
セイバーは脆くも爆散した……アスラン・ザラ戦死。
「そ、そんな……あっけなさすぎる……」
『ひゃーはははは! たいした事ァねえなあッ! この世界のガンダムさんはよォ!』
「あ、あんたは……! サーシェスゥゥゥ!」
そこに現われたのは……黒いガンダムエクシア!
パイロットは史上最悪の傭兵アリー・アル・サーシェス……!
『これがモノホンの太陽炉の力かよ?たまんねえなあ…… こいつに比べたら、アルケーなんざカスもいいとこだア!』
「よくも……よくもアスランをッ! アロンダイトでブッた斬ってやるッッ! うおおおおおお!」
『来いよ小僧! 殺しがいがありそうだなァ! ええ?』
デスティニーがアロンダイトを構え、エクシアに向かって突進する。
対するエクシアは、GNソードでダスティニーの斬撃をなんなく受け止めた……しかし!
「うおおおおおおッ!」
『……ッ! チッ! 押されていやがるだと!? 確かに……こいつほどの突進力はちとお目にかかった事ねえぜ。だが……』
「俺に鍔迫り合いで勝てると思うなよッ! このまま押し切ってやるッ」
『へ……ッ。俺を斬るのもいいけどな? ちと上を見てみろよ……何が見える?』
「なにィ……!」
手は緩めずに上を見たシン。
そこに見えたのは……自分達に向かって落ちてくる巨大な……
「コ……コロニー……?」
『そういうこった。お前は見事に俺にハメられちまったんだよ! 相棒の死を餌に、この地点に誘き出されたんだア!』
「あんた………こ、ここまでやるかァァァッ!」
『もう遅いんだよッ脱出不可能だ! URYYYYYYYYYYッ! ブッ潰れろよォォォァァァ!』
「ち、ちくしょう……ちくしょう!アスランごめ………」
あまりにも巨大なコロニーの質量をまともに受けては……いくらシンといえど押し返すことなど出来なかった。
――デスティニー大破、シン・アスカ……戦死――
▽ ▽ ▽
「う……ぐ……」
「俺の勝ちだ坊主……悪ィな♪」
ここは春日部商店街の一角にある、最近出来たばかりのゲームセンター。
ここではこの頃、ガンダムVSガンダムやってると必ず乱入してくる、タチの悪いおっさんゲーマーがいた。
「ま、毎度毎度やり方が汚いんだよ! 自分のアシスト機体をわざと見殺しにするかフツー!?」
「それが俺のやり方なんでな」
「ぐう……だが……しかし強え。対戦で未だに一度もこのおっさんに勝てないなんて……」
「俺はなあ……CPU相手に必死こいてプレイしている奴を潰すのが好きで好きでたまらない……人間のプリミティブな衝動に殉じて生きる、最低最悪の人間なんだよ……分かったか坊主」
「わかんねーよそんなの! ちきしょう、もう一度!もう一度勝負だ! 今度こそ勝ってやる………! おっちゃん両替ッ」
二人のやりとりを見ていた店主……アレハンドロ・コーナーがほくそえむ。
「はい毎度あり。いやーサーシェス君がいると、儲かっていいねえ~」
ライルに撃たれたときのショックなのか、それとも春日部に来たときになにかあったのか。
どこか少し頭のネジが飛んだアリーとアレハンドロは、春日部で上手くやってるみたいだった。