SEED-クレしん_18-302_01

Last-modified: 2012-06-20 (水) 12:37:51
 

劇場版 機動戦士0ガンダム

 
 

……僕は誰だ?
……ここはどこだ?
……僕は……生きている……のか?

 

……僕は。眠りから目覚めた。

 

ずいぶん長いこと眠っていたような気がする。
目覚めは悪くない。だが……妙に記憶がおぼろげなのが気になる。眠る前のこと……それにここがどこなのかが思い出せない
寝起きによくあるド忘れという奴だろうか?

 

僕はべッドから起きてあたりを見回した。ここはどこだ……見たこともない部屋……そうここは部屋のようだ。
よく見てみるとあたりの壁一面にアニメのポスターが貼ってあり、フィギュアやプラモデルがところ狭しと並べられている。
これは……ノーマルスーツを着た少年少女のパイロットにガンダム……か?
僕の記憶にあるものとはずいぶん形が違うようだが……これは…

「ようやくお目覚めかね」
「よく眠れたかしら。こっちの時間で丸二年も眠ってたのよあなた……向こうなら5年かな?
 ま、いいわ。のんびり休んだぶんこれからきっちり働いてもらうわよ」

 

……そのときドアが開いて中年の男女が現れた。
ちょうどいい情報源が向こうから来てくれるとは。とりあえず情報がなけれなければなにも始まらないだろう
誰だ君たちは?僕はどうしてここにいる?

 

「同時に2つも質問してもいっぺんに答えられないが……とりあえずそうだな私のことはフクダと呼んでもらおう」
「ヨメチアキーと呼んでちょうだい」

 

変な名前だな。

 

「で、なんであなたがここにってのはね……今まで死んでたの。あんた」

 

しっ…………なんだって?死んだというのはどういうことだ。

 

「よく思い出してみるといい。2年前の今頃…お前がなにをしていたか、そしてその結果、自分の身になにが起きたのかを……」

 

僕が……なにを……して………………ッ!?お、思い……出した!僕は彼と戦い……そして…!

 

「敗れた……そのとき死んだのよ君は。いえ、私たちが死んだということにしたというのが正しいかしら」

 

どういう……ことだ?

 

「我々が秘密裏に君を回収したのだ。公式に君は交戦の末に戦死したことになっている。死体が発見されないままにな」
「回収した遺体一歩手前のボロであるあんたを私たちが長い治療の末にかろうじて命をとりとめさせたってわけ。
 死人を生き返らせるなんてこの世界じゃあお手の物よ~。それにあんたは私たちの計画に必要だしね……」

 

計画?どういうことだ…その為に僕を生き返らせたと……?

 

「聞かせてあげるわ。そう私たちの恐るべき目的……」

 
 

くだらないな。

 
 

負債とやらの話を聞いた正直な感想はどう言葉を選んでもそれしかなかった。

 

「どぼじてぞんなこというのおおおおお!?」
「……ま、まあくだらんと思うかもしれん。我々には切実な問題なんだッ連中ががいないといつまでたっても種劇場版が作れんのだ!」

 

えーとだな、その……種キャラとかいう連中を連れ戻すために、
君らはカスカベという町に何度も攻撃を仕掛けてことごとく失敗してるというわけか?
そして今度もそ必勝を期するために僕の力が必要だと?
わざわざ僕を蘇らせてまで望むものがそれなのかい?

 

「そうだ!」
「協力しなさいね!嫌とは言わせないわよ!?」

 

……嫌だときっぱり断わりたくて仕方がないのだが

 

「そう呆れた顔をするな……私たちとて出来る限りのバックアップはするつもりだ。それに……
 我々の目論見どおりにいけば君ひとりで春日部を、いやあの世界すべてを充分に制圧可能だ。その為の戦力もこちらで用意した」
「来なさい。見せてあげるあなたの力を、ね」

 

ほう?ひとりで世界を制圧可能という言葉に興味がわいた。
その理由を見せると言われて僕は負債に連れられて悪趣味な部屋を出て格納庫へとやってきた。
そこにあった一機のMS。この機体は……へえアレもちゃんと付いているではないか、ふ~ん・………ここでこれをもってくるか。
ふふっ面白そうだな。話くらいは聞いてやってもよさそうだ。

 

「顔つきが変わったな?やってくれるか」
「もともと拒否権なんてないけどね!」

 
 

いいだろう……聞かせてもらおうか。世界を僕の意のままに統一するというその計画を、ね。

 
 

もうすぐ桜が満開になる季節。寒い季節が終わり春日部ももう春である。
とはいえここの住人はいつも頭の中が春まっさかりなのが大勢いる。
たとえばここ、あ~くえんじぇる☆にも……

 

「か、勘違いしないでね!別にあんたの為にコーヒー運んできたわけじゃないんだから!」
「えーと、あの……セットで頼んだ俺のシフォンケーキは?見当たらないんだけど……」
「あ、それ美味しかった♪」
「こらあネーナ!また勝手につまみ食い……つーか全部ぺろりかよ!?いくらなんでも給料減らすぞッ」
「やれるもんならやってみなさいよー。へへーんだ!」
「おお~ずうずうしくも開き直るその態度にしびれるあこがれるぅ~~!」
「そこがたまらなくフリーダ――――ムッッ!」

 

とまあ、いつもの連中がいつものごとくバカやって、そして今日も過ぎて行く……はずであった。
いまこの時までは……

 

ガシャ―――――ンッ!

 

「おおおおいっ!ネ―ナまた食器割ったな今度という今度は…………ネーナ?」
「う……ううっ……!」
「ネーナおねいさん?どしたの~?」
「あああっ!な、なにこれ……あ、頭が割れそう!」

 

見るとネーナだけではない。留美とともにお茶しにきたアニューもまた頭を抱えて苦しみだしたではないか!

「どうしたのアニュー!」
「こ、これは……うっ……の、脳量子波?それもとてつもなく強力で……すべてを惹きつけようとする……!」
「頭がし、締め付けられそう…!な、なんなのこれえ……!」
「脳量子……?ど、どうすればいいんだキラさん?」
「いや僕に聞かれても困るなあ。コーディ関連ならアドバイスできるんだけど」

 

とまあ、まるで役に立たないシンとキラであった。
そのときネネちゃんがなにかもってきて……2人に差し出した。

 

「はーい2人ともこれどうぞー」
「な、なに……これ?」
「ふっふっふ~これはねー普段はイスのざぶとん!しかーしいざというときはあっというまに……防災頭巾にはや変わり~!」
「……え?」
「こういうときはあれでしょ?防災頭巾をかぶって机の下にもぐるといいって幼稚園で習ったわ」
「い、いやネネちゃん。それは火災や地震のときの対処法であって脳量子とやらには……」

 

それでもダメもとで頭巾を被ってテーブルの下にのそのそと移動するネーナとアニュー。そして

 

「……………あ、頭痛がきれいさっぱり消えた」
「私も………防災頭巾ってすごい」
「マジで!?」

 

ご家庭でもできる脳量子波遮断法が確立された瞬間であった。

 

とはいえ非常事態である。シンとしんのすけはあ~くえんじぇる☆を飛び出して
ロックオン達に携帯で連絡をとろうとしたが……

 

「なんだあれ!」
「おお~巨大ロボですなあ」

 

だいぶ前にミネルバ屋上のヒーローショーでよく見た記憶のあるMSが五体合体しているまっ最中だった。

 

「イノベイドメガソード!テンカトウイーツ!」
「あら。なんか妙に英語なまりね?」
「そういやイノベイドの連中、ご当地戦隊の実積を買われてパワー○ンジャーのスタントマンにスカウトされたとと前に聞いたような」
「ほーある意味、本場仕込みというわけですなあ」
「カッコいいねえー……でもさ、あれ僕たちの街を破壊しようとしてるようだけどいいの?」

 

いいわけない。しかしどうしてリヴァイヴたちが春日部の街を破壊しようとするのか?

 

「どうやらリジェネとアニューは参加しないようだ」
「人間って不便よね。私らみたいに意思が通じ合わないんだから」
「同胞を討つのは忍びないが我らにはやらねばならぬ使命がある!」
「私は怒りに震えている」

 

どうにも言っていることが支離滅裂であり仲間内で会話が成り立っていない。
どうも謎の脳量子波で完全に操られているようだ。彼らの脳裏にあるのは誰かから植え付けられた破壊衝動のみといえる。
そうこうしている内にもイノベイドメガソードは剣を振り上げてすぐ近くのビルを破壊しようとする。

 

「……まずい!ガンダー――ムッ(パチッ)……あれ?ガ、ガンダ――ム!ガンダム―――――ッッ!?」
「指パチって言っただけですぐに僕たちの愛機が空飛んできたら苦労はないよねー」
「キラさんなんであんたはそう落ち着いてるんだあ!」
「いやーオラたちピンチですなあ~♪」
「しんちゃんもかあ――――!?」

 

とかまあバカやってる内に今にもメガソードに踏み潰されそうな僕らの主人公ズであったが。

 

「うぇーい!」
「なにっ!?」

 

見よ!いつのまに近づいたのか、後ろからメガソードを羽交い絞めにするデストロイの雄姿!
あわれパワーに劣り、背中に武器がない戦隊ロボは反撃もロクにできずに
そのまま地面に押さえつけられて完全に動きを封じ込められたのであった。

 

「くっ!こいつ……離せ!離せよっ」
「ステラ!?」
『うえーい。シンこれはステラが取り押さえとくよー』

 

「うわー頼りになるなあ。しかしいつMSを発進させてたのさ。いくらなんでも対応早すぎない?」
『えーちょっと前から空間の歪みの異常がどうとか脳量子がどうとかで議長さんがみんなにミネルバにこいって集合かけてたよ?』
「え」
「知らないのはここでのんきにお茶してたシン兄ちゃんたちだけみたいですな」
「う…」
「そういえばフリーダムタイムの邪魔をされたくなくて携帯の電源切ってたっけ……」
「……ともあれミネルバへ行きましょうキラさん。議長から状況を聞きださないと」
「そうだね……いこう!」
「ほーいオラもいくゾ~」

 

こうしてステラにイノベイドどもの事は任せてWしんにキラはミネルバへと向かったのであった。

 

その頃……トレミーでは突如起こった異常事態の緊急対策会議が行われていた。
出席者は二ール、スメラギ、クリス、ミレイナ、フェルト、リヒティにラッセにイアンのおやっさん、あとラクスとカガリである。

 

「こ、この脳量子のレベルはELSなみですう!」
「一体なにが起きたというの?……いえ誰がこの事態を起こしたのというべきかしら?」
「高い脳量子波を発する者ほどまっ先にやられているようです」
「イノベイドの連中がいい例というわけか。自我を奪われ完全に操られていやがる」
「脳量子波に強い指向性をもたせているのかもしれません。
 より強く脳量子を扱えるイノベイドや超兵ほど容易く支配下に収められるように」

 

フェルトの推測に軽く驚くラクス。脳量子波にそんなことが可能なんて聞いたことがない

 

「そのようなことが意図的にできるのですか?」
「ただの推測ですけれど……その証拠…といえるかわかりませんが、
 十数分前からヴェーダの一部機能が何者かにハッキングされたとティエリアさんから連絡がありました。
 現在リジェネ・レジェッタとともに調査中だということです」
「なるほどティエリアがいないのはそういうわけ?ということは……」

 

「あー、なあ…スメラギ……」
「なに?カガリ」
「いや、その……大した問題じゃないんだが……」
「どうした?聞きたいことがあるならはっきり言った方がいいぜ?」
「ならお聞きしますが。どうしてみなさん、防災頭巾を被って机の下にいらっしゃるのですか?」

 

まあ事実そのとおりで00キャラは全員、防災頭巾に机の下にもぐって端末で状況を分析していた。
はっきり言って異様な光景である。下手くそなコントみたいだ

 

「まあその……脳量子を使えなくても00キャラならみんな少なからず影響があるみたでね…で、アニューから対処法の連絡を受けて」
「脳量子波使えない俺たちでも頭痛が酷くてな。仕方がない」
「え、じゃあアレか?00キャラは現在どいつもこいつも動けないってことなのか?」
「たぶんな」
「そうですか……どうにも思った以上に深刻な状況のようですね」

 

「しかし誰がこんなことを……?正直こんな非常識なことができる心当たりはELSぐらいなもんだが」
「でもこの世界ではELSの存在は確認されていません」
「なら誰の仕業だと……」
「み、みなさん!ちょっとまってくださいですっ」
「どうしたミレイナ」
「いまミネルバのホークさん(妹)から転送された映像が……メインモニター(店のテレビ)に写しますです!」

 

あたふたと端末とテレビをケーブル繋げて操作するミレイナ。
ほどなく映像がテレビに映る。そこには春日部の街と……その上空に。あるモノが浮かんでいた

 

「おいスメラギさん……あれはまさか!」
「5年前……刹那に敗れて跡形も残らずに爆散したと思ってたわ。アレの姿をもう一度見ることになるなんて、ね……」
「あれが原因なのでしょうか?あの……ガンダムが」

 

そこに背中からまるで翼のように粒子を放出するMSの姿があった。それは始まりを告げるMS……

 
 

その名は0ガンダム……!

 
 

「……これですべてがはっきりしたと思いますスメラギさん」
「そうねクリス。この脳量子波はあの0ガンダムからヴェーダの回線の一部を経由して確実に私たち00勢のみを狙い撃ちにしているわ」
「つまり……0ガンダムのパイロットが私たちに攻撃を仕掛けた張本人!」
「こんな大それたことをする0ガンのパイロットつッたら1人しか思い浮かばないな」
「そのとおりですね店長。この事件の犯人はずばり……!」

 
 

「「「「「「「「ラッセかッッ!」」」」」」」」

 
 

「え……はああああああああああっ!?な、なんでだよッ!俺ここにいるだろッ!?」
「くそッラッセめ!なんて恐ろしいことを!」
「見損ないました」
「信じていたのに……ですう」
「やはりあの人はノンケでも食べちゃう人だったのね」
「ひいっ!?こ、怖いよクリス!俺食われるたくないっス!」
「まあ♪そうなったらそうなったでちょっと面白そうですわあ♪」
「……お前ら好きだなあそういう話。腐ってるんじゃないかいろいろと」

 

「だから俺はお前らの後ろにいるだろ!無視すんなよ……おーい!?」

 
 

この非常事態でもトレミーの連中がどことなく余裕なのは春日部の空気になじんできたからなのか。
あまり緊迫感を感じさせないまま次回へ続くのであった~

 

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