(・・・・負けた?・・・・)
シンは呆然となり、前にいる正義と名のついたMSを見つめている。
オーブを攻めている最中、かつての仲間であり、裏切り、自分が止めをさしたはずの人物が乗るMSが割り込んできた。
殺したはずの相手が生きていて動揺したシンは半ばやけくそになって、その人物、アスラン・ザラの乗る正義という名のMS、インフィニットジャスティスに立ち向かい敗北した。
それも相手は以前の闘いの傷が癒えておらず、万全じゃない状態であったにも関わらずである。
その中でシンはその戦闘でアスランが言っていたことを繰り返す。
(オーブを討つ。それが本当に、お前が望んだことか!?)
(思い出せシン! お前は本当は、何が欲しかったんだ!?)
本当に自分が欲しかったもの。それは戦争などなく、皆が笑って暮らせる世界。
そしてそれを実現するために欲したすべてを守れる力。
(俺は間違っていたのか?)
それにオーブのことだってそうだ。確かにオーブは憎い。俺の家族を奪った国。しかし、それと同時に家族と一緒に暮らした思い出の残る国でもある。
この二つの要素が絡み合ってシンの頭を狂わせる。
シンの異変を察知しレイの乗るレジェンドはデスティニーを回収するためデスティニーに近づこうとしたそのときだった。2機の間に前にいきなり雷が降り注いだ。
シンは慌てて上を見る。
上は紛れもない青空。雷が落ちるなどありえない。
しかしその直後、デスティニーの上に雷が直撃した。
雷に包まれるデスティニー。
雷がきえた後、眼前にあるはずのデスティニーはシンごと姿を消した。
そして、その後もシンと同じような現象で消息を絶つものが地球、プラントで発生することになる。
その原因は、コズミック・イラとは別の世界、一部の世界で「魔法」という概念が存在する世界のとある事件が始まりであった。
機動戦士ガンダムし~どD´s 第1話 新たな出会い
「これからあなたたちは小学4年生になります。これから1年間がんばりましょう。」
ここは日本の海鳴市にある私立聖祥代付属小学校。
今日は、ここで新年度の始業式が行われています。
今は式自体は終了し、各自教室に戻って新しい担任の先生の話を聞いています。
このクラスの新しい先生はまだ若い男性で、真面目で優しそうな先生です。
「さて、今日はここまでにしようか。じゃあまた来週。」
生徒の号令で授業が終わり、各自自宅に帰ろうとしていた。
「なのは~~」
後ろから名前を呼ばれ振り向いた私、高町なのはは見慣れた二人組みに手を振った。
「アリサちゃん!すずかちゃん!」
二人はなのはの大親友で、青い髪をしているのが月村すずかちゃんで、オレンジがかった髪をしているのはアリサ・バニングスちゃん。
「今日暇だったらうちに来ない?ちょうど昨日新しいゲーム手に入ったし。」
アリサちゃんの誘いに迷ったけど、「管理局から呼び出しがなければ」ということで帰ってから遊びにいこうとした、携帯電話から着信がなりました。
「何だろう?」
なのはは携帯を取り出しメールの確認をすると、私はため息をついた。遊ぶのは、また今度になるみたいだから。
「ごめん、お仕事がはいっちゃった。」
そういい私は駆け出し、学校を後にしました。
このあと、私は衝撃的な出会いを果たすことになるのです。
「浮遊型傀儡兵多数確認!」
艦橋に響くサイレン。ここは時空航行艦「アースラ」。この船のブリッジは騒然としている。
「至急なのはさんたちを向かわせて。」
慣れた手つきで指示を出している女性はこの船の艦長、リンディ・ハラオウン。
ここしばらく傀儡兵が各地で出没している事件が多発している。
最初は何かの偶然だと思ったがそれにしては異常である。
「これですでに5回目か・・・」
リンディの横でつぶやくのは執務官でありリンディの息子でもあるクロノ・ハラオウンである。
「地球には傀儡兵を呼ぶ何かがあるのか?」
これほど頻繁に傀儡兵が来るということはおかしい。
だが何かがあるにしても、現在では何があるのかさっぱり分からない。よほど強い結界で守られているのだろうか。
「本局にも依頼してるけど、以前捜査は難航してるみたいだし・・・こっちでもやってるんだけど・・・」
もうお手上げ、という感じで前方に座っている執務官補佐のエイミィ・リミエッタは応えた。
「まあ、今はそこまでおもてだったことはないし、とにかくしばらくは現状維持ね。」
そういいリンディは腰を下ろした。
艦橋は少し重たい雰囲気が漂っていた。
その空気を破ったのはエイミィであった。
「そういえば、はやてちゃんって今月から嘱託魔術師ってことになったのよね?」
話題がそのハヤテという人物の話になり、ブリッジは和やかな雰囲気になった。
「ああ、だから今回の出撃で参加してるんじゃないかな?」
「まだ足が本調子じゃないから無理はしないでって言ってるけど、大丈夫なのかなあ?」
「まあヴォルケンの皆がいるから大丈夫でしょ?」
など話をしているとエイミィが異変に気付き、急ぎコンピューターを動かす。
「艦長。傀儡兵がいるポイントの近くで高出力の魔力が。」
エイミィがすぐさま現場をモニターに写した。
そこには暗雲が渦巻き、雷が落ちている。
かなりの高魔力で何が出てくるか分からない。
「傀儡兵の相手はフェイトさんとなのはさんに任せて、はやてさんたちに調査をするように伝えておいて。」
この現状で戦力を二つに裂くのは痛いが今はしたかがない。
「僕がフェイト達の援護に行くよ。」
おねがいね、とリンディが返しクロノはすぐさま現場に急行しようとしたときだった。
「魔力が更に向上。何か現れます。」
今までよりも激しい雷が落ち、その直後膨大な光が辺りを包む。
そして光が消え、その中心にそれはあった。
「なんだあれは?」
そのにあったのは大型の傀儡兵に匹敵するかそれ以上の大きさのSF物に出てきそうロボットであった。
背中にある羽が特徴的で、どこか悪魔やピエロのようなシルエットをしている。
だがここで少しおかしいことに気付く。
先ほどの魔力とは打って変わって、このアンノウンからは一向に魔力が感知できないことであった。
「どこなんだ・・・ここは?・・・」
シンは呆然としていた。
先ほどまで彼はオーブで戦っていたはずだった。
「こちらシン。ミネルバ、応答しろ!ミネルバ!!」
しかし今見えるのはただ広がる青い海のみ。そこにはMSや戦艦どころかオーブさえ見当たらない。
「やっぱりさっきの・・・・」
そこでシンは先ほどのことを思い出す。晴天の中、デスティニーに降り注いだ雷を。
もしかしたらそれが原因でどこに別の場所、もしくは世界に飛ばされて・・・・
(いや、そんなはずがない!)
シンはその考えを捨てた。
異世界?ファンタジーや童話の話じゃあるまいし、と一瞬でもそう考えた自分を馬鹿馬鹿しく思い状況を確認すべくキーボードを叩く。
ここであることに気付く。
「あれ?バッテリーが・・・」
バッテリーの残量が最大までチャージされている。
先ほどあれだけの戦闘をしているから最大までたまっているのはおかしかった。
おかしかったのはそれだけではない。
アスランとの戦闘で確かに破壊されたはずの右腕とアロンダイトがちゃんと存在している。
「何がどうなっているんだよ・・・・」
シンにとっては分からないことばかりだった。
そして、レーダーに反応があることに気付いた
「味方?・・・それとも・・・」
反応しているところを確認すると、そこにはどう見てもMSには見えない様々なサイズの機体が集団で集まっていた。
しかもデスティニーの存在に気付き向こうは戦闘体制にはいる。
「やるっきゃないのかよ!」
シンはマウントしてあるライフルを構え、所属が分からない敵に向かっていった。
そしてこの後、人類史上初、魔法使い対MSとの戦いが始まる。
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