Z-Seed_ ◆1ITb1290kc氏_第01話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 13:04:03

CE73
ここ、アーモリーワンでは新造艦ミネルバの進水式とセカンドステージMSの披露を控えているため慌しかった。
そんな中、新型MS「カオス」「アビス」「ガイア」の三機が強奪されたとの連絡が入り、
コンディションレッドが発令されミネルバのクルーも戦闘態勢に入る。
ザフトのパイロットである、シン・アスカもミネルバ着任早々に出撃を命じられた。
コアスプレンダーは発進準備を完了し、まもなく発進しようとしていた。

「マユ・・父さん・・・母さん・・・見ててくれ。俺、頑張るから・・!!」

シンは、コックピットの中で呟き操縦桿を握る。
と、突然誰かに呼ばれたような気がした。

「?・・・呼んでる・・?誰が・・?」

だが、そんな疑問も考える時間もなくすぐに消される。

『進路クリアー、発進どうぞ。シン、頑張ってね!』
「りょ、了解!シン・アスカ、コアスプレンダー、行きます!!」

第一話「宇宙(そら)からの声」

ミネルバから発進したコアスプレンダーは空中で変形し、後続のパーツ群とドッキングし一体のMSへと姿を変えた。
パーツも搬入の途中で揃っておらず、時間もないため、近接型のソードでの出撃だった。
視界には三機に追われるザクがいた。すでに、片腕を破壊されている。

「聞こえるかザク?援護するから後退してくれ!!」
「すまない。感謝する。」

シンはインパルスを降下させつつ、ライフルによるけん制を行った。
三機はけん制のビームでこちらに気付き、機体をこちらに向ける。ザクはその隙に後退する。

「このぉぉ!!」

接近してきたガイアにフラッシュエッジを投げつけるも容易く回避される。
カオスの兵装ポッドから射出されるミサイルを回避しながらインパルスはライフルで弾幕を張る。
すかさずエクスカリバーを構えカオスに振りかざす。カオスもそれに対応するようにビームサーベルを抜く。

『甘いんだよ!』

鍔迫り合いになるも間合いを空け、アビスにフラッシュエッジを投げつける。
三機との位置にを気をつけながら接近戦に持ち込もうとしては距離を離すの繰り返しだった。
しかし、シンは不利な状況ながらも敵をけん制する状態は保った。

『アウル、ステラ、そろそろ時間だ。撤退するぞ。』
「逃げるのか!?させるか!」
『行っけぇえ!!』

その直後、三機を追おうとするインパルスをアビスのフルバーストが襲う。
一瞬、背筋が凍った。回避行動をとるもインパルスの右腕と脚部を打ち抜かれる。
バランスを崩し体制を立て直す隙に三機は隔壁を破壊して、逃げてしまった。
そして、それを追う余力もインパルスには残ってなかった。
シンは自分の弱さを嘆きコンソールを思い切り叩いた。

「ちくしょう!!」

すると、また声が聞こえてくる。
さっきよりもはっきりと聞こえる。男の声だ。

「・・・!?誰なんだ・・・?一体・・・?」

しかし、シンの問いかけに誰も反応することはなかった。
インパルスはミネルバに回収され、ミネルバは三機のMSを強奪した部隊の追撃を命じられ、アーモリーワンを後にする。
その途中、救難信号を発したままの所属不明機を発見し、これを回収せよとの命令でシンは回収作業に向かった。
レーダーで信号を確認しつつ、その方向へ機体を進める。
そこでまた、あの声が響いてくる。その声は少しずつだが、はっきりとしてくる。
そして、トリコロールの機体が視界に入ってきた。
呼びかけてくる声もなぜだか分からないがその機体からくるものだとシンに確信を持たせた。
響いている声は繊細で、澄んだ少年の声だ。
シンにはその機体が淡く光を放っているようにも見えた。

そして、運命はシンだけでなく世界を巻き込み静かに動き出していた。