コードギアスDESTINY
番外編その2 ステラのクリスマス
食堂にて、カレンやC.C.たちと食事をするシン、ルナマリア、メイリン、ステラ。
相変わらずの大食いであるシンに負けず劣らずのカレンを見てルナマリアとメイリンは呆れ顔。
ステラは尊敬の目で見つつ、C.C.は我関せずと言わんばかりに見てみぬふりである。
「そういえば、そろそろクリスマスだな」
シンは食べながらふと思いついたように言う。
「もう、シンったらご飯食べながら喋らないでよ~」
メイリンがシンを見て軽く怒る。
「こう戦いばかりだと、時間とかわからなくなっちゃうわね」
ルナマリアはそれだけ自分たちが戦い続けていることを改めて知る。
「そうよね、私達だって普通なら学校とか行ってなきゃおかしい年齢なのに」
カレンもルナマリアの意見に賛同し頷く。
「…戦争をやっている国は、だいたいこうだ」
そんなみんなの意見をC.C.が一気に潰す。
カレンがC.C.のほうを睨んで空気を読めという視線を送るが、C.C.は知るかと逆に視線で答えを返す。
「クリスマス!サンタさんが…プレゼントをくれる」
「アハハハ、サンタ、サンタなんて…ぶはっ!!」
シンが笑って否定しようとしたところをルナマリアの裏拳が飛んでイスから転げ落ちるシン。
ステラが不思議そうな表情を浮かべるがルナマリアが笑って
「なんでもないのよ、なんでも…気にしないで」
ステラは笑顔で話を続ける。
「ステラ、ネオに教えてもらったの。いい子にしてたら、クリスマスにはなんでも欲しいものをプレゼントしてもらえるって…」
そんなステラの笑顔を誰も否定は出来ない。
だが、ステラは少しうつむいて
「…でも、戦争してたら、やっぱり…もらえないのかな」
「そ、そんなことないわよ!ね?お、お姉ちゃん」
すぐにフォローにはいるメイリンはかなりの空気が読める子である。
「そうよ!諦めないで信じなきゃサンタさんこないわよ!」
カレンとC.C.も、少し間を置いてフォローする。
なぜ2人に間があったかというと、
このままいくと…自分たちがサンタ役をやらされるのではないかという不安があったからである。
「どうした?」
これはゼロだ。
C.C.にラクスの《ギアス》について話をしようとやってきたのだが…。
「ゼロ!ステラ、サンタに会えるかな?」
「サンタ?あぁ、サンタなら…」
そういうゼロの顔を睨みつけるC.C.とカレン、そしてルナマリアたち…。
ゼロが一息ついて
「サンタは、上空をトナカイで飛んでいる。これは空気があるからであり、宇宙には空気が無い、よって宇宙空間では運ぶのは難しく…」
理論で語りだしたゼロをカレンとルナマリアの強烈なWパンチでダウンさせる。
「…まぁ、クリスマスを待っていればわかることだ」
お茶を飲み食事を終えたC.C.がまとめる。
▽ ▲ ▽
食事後…案の定、そうなってしまったのだが。
ルナマリアの部屋…。
「はぁ…どうするのよ?こんなときに、ステラの欲しいものを見つけるのって並大抵のことじゃないわよ?」
カレンは腕を組んで考える。
「だいたい、あいつの欲しいものが分からない」
C.C.もお手上げだなといわんばかりに、他人事のように告げる。
「シン!あなたが話題振ったんだから、あなたがステラに聞きなさいよ」
「なんで俺が!?ルナたちが話を大きくしたんだろう?」
シンは自分のせいではないと、必死にアピールする。
「シン、ステラを傷つけてもいいの?」
メイリンがシンを見て言う。
さすがにこれはシンの心に深く突き刺さる。
「わ、わかった…聞くよ、聞けばいいんだろう?」
シンは溜息をつきながら聞くことになる。
残ったルナマリアやメイリンたちは、ステラのために買い物をする係りとなった。
「えぇぇ!?聞けなかった?」
ルナマリアとメイリン、カレンが驚く中でシンは頷く。
「普通に聞いたんだけど、そしたらステラの奴……『願い事は人に言っちゃいけないって…ネオがいってた』……って言って……」
「ここは私がギアスで聞きだそうか?」
「「いつの間に…」」
ゼロがお茶を飲もうとして仮面にぶつけている姿を見てカレンとC.C.は声を重ねる。
「仕方が無いです。ステラが欲しそうなものを買って、それで我慢してもらいましょう」
「お金はみんなの自腹よ」
「……」
逃げ出そうとしたシンを捕まえるゼロ。
「こういうときこそ、男を見せなくてはいけないぞ、シン!」
「そうは言うけど、俺、ミネルバから逃げ出してきたから金もってないんだよ!」
シンはルナマリアから金を借りて、後で利子をつけて返すということになった。
深くうなだれているシンを前にして、お金の偉大さを知るカレンであった……
▽ ▲ ▽
そういうことで…クリスマス当日。
サンタの格好をするC.C.とトナカイ姿のその他一同。
「なんで、私がこんな格好に…」
カレンは自分がサンタ役だと思っていたのだが、ジャンケンに負けて仕方なくこうなってしまった。
まさか…トナカイの着ぐるみを着せられるとは…。
「物事は形からよ!」
「…だけど、お姉ちゃんこれ恥ずかしいよ…」
「安心しろ。こういうときのために、こいつを用意した」
「だから俺をモノ扱いするのはやめろ!」
ゼロの首根っこに縄をしめているC.C.
最悪ギアスで忘れさせればいいということだろう。
とにもかくにも、こうして一同はクリスマスの夜といっても宇宙だが…
眠っているステラの元に向かう。
「今見たことを忘れろ!」
というゼロの声がでかいことだけが見つかるんじゃないかという不安に繋がるわけだが…。
こうして一行は誰にも見つからないようにステラの部屋までやってきた。
重そうに運ぶシン…、シンの持つ袋にはステラの欲しそうな食べ物が入っている。
「よし!それじゃーはいるぞ…」
シンが扉をあけ、カレンとルナマリアが部屋の中にはいっていく。
「気をつけろ。あいつはあー見えて軍人であり強化人間だ。変な仕草でいくと刺されるぞ」
「ちょっ!今いわないでよ!」
C.C.の言葉にカレンが小さな声で怒鳴る。
ステラのベット…、そこには靴下が置かれている。
この中にプレゼントをいれればいいということか。
靴下の中にはいっている紙。
それをとるC.C.。
みんなの視線がその手紙に集中する。
『サンタさんへ
プレゼントはいらないから
シンやC.C. カレン、ルナマリア、メイリン、ルルーシュ…
みんなと、ずっと一緒にいれますように……』
「フ…プレゼントは無駄になったかな?」
C.C.は一同を振り返り微笑む。
「そうね、こればかりは…」
「ステラ…」
ルナマリアとメイリンはすやすやと眠るステラを見て、彼女の自分たちに対する気持ちがとても嬉しかった。
「言ってくれるじゃない…、サンタさんの力も借りて、頑張らなきゃダメってことね」
「そういうことだな、明日はクリスマスパーティーでもしてやろう」
優しく微笑むカレンと、最愛の妹・ナナリーを思い出すゼロ=ルルーシュ。
「それじゃー…俺たちは、お礼に、このプレゼント置いていくか」
シンはたくさんのプレゼントが詰まった袋を置いて部屋をゆっくりと出て行く。
みんなが去った後も、ステラは何も知らず眠っている。
ただ小さく寝言を唱えた。
「サンタさん…ありがとう…」