キシリトールの虫歯予防効果と働き

Last-modified: 2010-12-13 (月) 10:35:33
 

キシリトールとは?

 キシリトールとは、ヒトの体に安全な食べ物(天然の甘味料)です。甘さは砂糖と同等ですが、カロリーは砂糖よりも約25%少なく、ダイエット効果も期待できます。砂糖が口の中でミュータンス菌により発酵し酸を作り出すのに対し、キシリトールは口の中で酸をまったく作りません。現在、甘味料として虫歯予防が出来るのは、キシリトールだけといわれています。日本では1997年4月に食品添加物として認可されました。
 キシリトールは白樺や樫の木から採取される「キシラン・へミセルロース」を原料に作られています。粉末状にされてさまざまな食品に混ぜられて使われるのが一般的です。また、キシリトールは私たちが普段から口にしているイチゴやラズベリー等の果物や、レタスやほうれん草やカリフラワー等の野菜にも微量ですが含まれていますし、ヒトの体内でも肝臓で1日に5~15g生産されています。

キシリトールの効果と働き

口の中で作り出される酸を減らす

 キシリトールは虫歯の原因菌であるミュータンス菌で発酵することがなく、歯の表面のエナメル質を溶かす酸を作り出さないばかりか、酸の中和を促進する働きも持ってます。さらに酸を作りにくくする効果もあります。ミュータンス菌はキシリトールの成分を吸収することによりエネルギーを消耗して活性が弱まり繁殖しにくくなり、その結果口の中で作り出される酸を減らせます。この効果は長期間キシリトールを取り込むことにより次第に強くなることも証明されています。口の中で作られる酸の発生が徐々に減少し、虫歯になりにくくする効果も次第に高くなり、他の甘味料(砂糖など)を食べても酸を作りにくくなります。

歯の再石灰化を助ける

 キシリトールが口の中で酸を作らせないことで歯の再石灰化を助ける効果もあります。私たちの口の中では、食後に発生した酸を唾液の働きにより中和し、唾液中のカルシウムがエナメル質と結びつく再石灰化を常に行っています。しかし酸の発生する量や回数が許容範囲を超えると再石灰化が追いつかずに虫歯になってしまうのです。それを抑えてくれるのがキシリトールになります。口の中の酸の発生を抑え、唾液も出やすくなるなど、虫歯になりにくい状態に保ってくれます。

キシリトールの効果的な摂取方法 

効果的に摂取する条件

 前述で、身近な野菜や果物にもキシリトールが含まれていると説明いたしましたが、キシリトールを含んだ食物を食べることにより効果が得られるわけではないのです。キシリトールを摂取する上で一番大切なことは「口の中に長く留めておく」ことです。そのために虫歯予防に効果があると謳っている食品は、ガムやタブレットなど口の中に比較的長く留まるものがほとんどなのです。
 虫歯予防に効果的なキシリトール製品には、甘味料としてキシリトールが50%以上含まれていることが望ましいといわれています。含有率が明記されていない場合は、成分表示を見て<キシリトールの量>を<糖質の量>で割るとわかります。この他にもいくつか条件がありますが、現在日本で発売されているほとんどの製品は、その条件を満たしているといってよいでしょう。

効果的な摂取方法

 虫歯予防のためには、キシリトール100%配合のガムの場合、1日3~5回、1粒を毎食後や歯磨き前に5分~10分位噛むことをおすすめします(キシリトールの成分はおよそ数分で流出しますが、長い時間噛むことで唾液をたくさん出すことも虫歯予防に大切なことです。)。食べるタイミングとしては、歯垢を落としやすくするには「歯磨き前」、歯質を強化するには「歯磨き後」が効果的です。また、唾液の分泌量が減る「おやすみ前」に噛むことも効果的です。一度に多くの量を摂るより、少量でも摂る回数や時間を多くすることが効果的です。

キシリトールの効果 

 キシリトールを効率よく食べ続けると、2週間で歯垢が減り始め、3ヶ月ほど経過すると虫歯になりにくくなるといわれています。しかし、その後すぐにやめてしまうと、また虫歯菌が増え始めて虫歯になる危険が高くなってしまいます。まずは毎日続けることが大切です。

まとめ 

 キシリトールを摂っていればそれだけで虫歯を防げるわけではありません。正しく歯を磨いたり、フッ素が配合された歯磨き粉を使ったりすることが大切です。キシリトールは、プラークを剥がれ易くし、歯磨きの効果を上げたり、フッ素と一緒になって、より歯を硬くするなど普段の虫歯予防に加えることで大きな効果を発揮します。
「毎日の習慣にプラスして、虫歯予防をサポートしてくれる。」
それがキシリトールなのです。