口の中の酸を中和する
食べ物が入ると、口の中では細菌が砂糖や炭水化物を分解して作り出す酸によって、口の中が酸性に傾きます。酸性の状態が長く続くと、歯の表面からカルシウムやリンが溶け出し虫歯が始まります(脱灰(だっかい)といいます)。ところが唾液にはその酸を中和し正常に戻す作用(唾液の緩衝能(かんしょうのう))があります。唾液がどんどん分泌されることによって、酸性に傾いた口の中のpHは中和され、元の正常な状態に戻ります。
殺菌・抗菌作用がある
唾液は、口の中を流れ続けて食べ物の残りカスを洗い流し、口の中をいつも清潔に保つはたらきをしています。また、口の中の細菌を除去し、唾液中に含まれている免疫物質によって粘膜などの細菌感染を防いでいます。
歯にカルシウムを補給する
唾液の中には歯の成分であるカルシウムやリンが含まれています。食後しばらくすると、唾液のもつ酸を中和するはたらきによって口の中のpHが高まります。そして、唾液中のカルシウムやリンが歯の表面に付着して、溶け出したエナメル質を補う効果があるのです。これを唾液の『再石灰化』作用といいます。
唾液による虫歯の予防の仕組みが分かったところで,自分自身の唾液はどうか?
→歯科医院で唾液検査をすると判明します。
唾液検査
唾液検査は、WHO(世界保健機構)の調査でも、使われている最新の検査方法の一つです。
唾液検査をする前に次のことに気をつけておきましょう。
唾液検査前の1時間以内は、飲食や喫煙をしない。
歯磨きも1時間前までに済ませておく。
唾液検査前の12時間以内は、マウスウォッシュなどのアルコールを含んだ洗口液で口をゆすがないようにしておきましょう。
また風邪などで医者から薬をもらっている人は、歯医者で唾液検査が可能か確認しておきましょう。
検査の方法
唾液の検査をするために、味の無いガムを5分間ぐらい噛みつづけます。(味は全く無い。)噛んでいるうちに、口の中に唾液が溜まってきます。溜まった唾液を計量器に出して、歯科衛生士などの検査スタッフに渡します。
唾液の量を調べる
唾液の量が多いと様々なメリットがあります。
口の中の食べ物を早く洗い流すことができて、プラークの好物の食べかすが残りにくくなります。そして、唾液の成分により、歯の質を強くする効果がたくさん期待できます。
さらに口の中に唾液がたくさん溜まることで、抗菌作用が高くなり、虫歯菌に対しての抗菌力が高まります。唾液の量が多い最大のメリットは、唾液の量が少ない人より、抗菌力が高くなり、虫歯になりにくくなることが第一に挙げられることでしょう。
唾液の中和力を調べる
唾液には、抗菌作用以外に口の中のアルカリ酸を中和する力があります。
食事をすると口の中が酸性になってしまいます。そのまま酸性の状態にしておくと、虫歯が進行してしまいます。しかし、唾液には、その酸性を中性にする中和力があります。口の中が中性になれば菌の活動を抑えることができます。
あなたの唾液の中和力を調べて、 あなたが虫歯になりやすいか、虫歯が進行しやすいかを知ることができます。
検査用紙に唾液をつけることで、用紙の色の変化で、あなたの唾液の中和力を調べることができます。
唾液の菌の量を調べる
唾液の中にいる菌についても調べます。唾液の中にはさまざまな菌がいます。
その中でも虫歯をつくるミュータンス菌と虫歯を進行させるラクトバチラス菌について調べます。
唾液の中の菌の割合を調べることで、虫歯になりやすいか、虫歯が進行しやすいか、がわかります。もし、菌の数が多いとわかった人は、菌の数を減らすために歯の手入れをしたり、生活習慣を見直す必要があります。歯科衛生士さんと一緒に今後の虫歯予防のプランを考え、実践していきましょう。