7スレ/まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」2

Last-modified: 2014-04-06 (日) 04:13:03

※編集者注:>>607はこちら(まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」)

642 : 1/4 : 2011/10/10(月) 18:06:26.54
>>607の続き
(ふぅ・・・随分やられたものね。背骨や腕にひび、肋骨も何本か折れてるかもね・・・)
まどかやマミの前で無様な姿は見せられないと、痛覚を遮断して平然と振舞っていたほむらであったが、やはりその傷は重かった
(ソウルジェムは浄化したし、数日もすれば治るはずだけど・・・やはり他の子のようにはいかないわね)
壁に叩きつけられた時に刺さったのであろう、肩口のコンクリートの小さな欠片を抜きながら
多少の傷も物ともせずに戦い、けろりとしていた他の時間軸の美樹さやかや佐倉杏子の顔を思い浮かべる
そして、ついさきほどの巴マミと美樹さやかのこちらを見る目・・・
『遊び半分で魔女退治に首を突っ込んだ罰よ』
そう言ってまどかを傷つけた事を否定しなかったほむらに向けられた眼は、まさに敵に向けられるそれだった
(・・・今まで何度も彼女たちを見捨ててきた報いね)
人通りのまばらな住宅街の路地の壁に、崩れ落ちるようにもたれかかったほむらを襲ったのは、
遮断したはずの身体の痛みではなく、胸が裂かれるような寂しさと悲しみであった
(どうしてみんな仲良く出来ないんだろう・・・)
買い物袋を抱えたまま、トボトボと家路につくまどか
『やはりあの子は危険よ。関わりあってはいけないわ』
『そうよまどか。アイツがまどかを助けただなんて、絶対何か企んでるに決まってる!』
そのまま魔女探しのパトロールを続けるというマミとさやかにいくら訴えかけても、思ったような同意は得られなかった
(ほむらちゃん、どうしてあんなこと言うんだろう・・・ほむらちゃんさえもうちょっと友好的に接してくれれば、きっとみんなと仲良くなれるのに)
大きくため息をついたまどかだったが、自分の制服の上着にわずかに赤い血がついていることに気がつく
明らかに自分のものではない血。そっけないことを言いながらも、決して離そうとせず、ぼろぼろになってもまどかを庇い続けた魔法少女
(ほむらちゃん・・・例えほむらちゃんの気まぐれでも、さっき助けてもらったことは絶対忘れないから・・・)
まるでその感触をなぞるように、自分の身体を愛しげに抱きしめるまどか
そして再びトボトボと歩き始めたその時、地面にほんのわずかずつだが、点々と続く血の後を見つけてしまう
(え・・・?これってまさか・・・)
服に赤い血を滲ませながらも、何事もなく平然と振舞うほむらの様子を思い出す
それどころか、マミの攻撃を一瞬でかわして翻弄してさえいた
ただそれが、弱みを見せないための虚勢だったり・・・もっと単純に、庇ったまどかに負い目を感じさせない為の演技だとしたら・・・
そう考え出すと、顔が蒼白になり居てもたってもいられなくなったまどかは、帰路から逸れた路地に向かってわずかに続く血の跡を追って駆け出した


643 : 2/4 : 2011/10/10(月) 18:07:09.53
「ほむらちゃん!?しっかりして!」
住宅街の路地の壁にもたれ掛かって座り込むほむらを見つけたまどかは、血相をかえて駆け寄る
「え・・・まどか?」
どこか呆けた様子で顔を上げたほむらの表情は、まどかには一瞬泣いている子供のように見えた気がした
「大丈夫ほむらちゃん?やっぱり無理してたんだね・・・あんなにひどい傷だったんだもん。・・・気づいて上げられなくてごめんね」
「・・・貴女はあんなことがあったのに、まだ私に関わろうとするのね」
「何言ってるの?ほむらちゃんは私の命の恩人なんだもん。立てる?今すぐ救急車呼ぶね」
「・・・余計な事をしないで。傷ならもう塞がってるわ。貴女を助けたのはいざという時に巴マミに対する交渉材料になるからよ。変な勘違いをするのはやめなさい」
ゆっくりと身を起こすと、まどかの手を払い言い放つほむら
その言葉は予想してはいたはずなのに、心のどこかで抱いていたまどかの淡い期待を打ち砕いた
(そう・・・だよね。そうじゃないと、私なんかをあんなになってまで助けてくれるはず・・・ないよね。でも、それでも・・・っ)
「それでもほむらちゃんが私を助けてくれたことには変わりないもん!それじゃあせめて肩を貸すね。・・・本当は歩くのも辛いんでしょ?」
わずかにたじろいだまどかだったが、意思を決めると躊躇いもなくほむらの肩に腕を回した
「大丈夫だと言っているでしょう・・・」
魔法少女にとってこれくらいは怪我のうちに入らない・・・そう続けようとして、自分たちのやり取りが衆目の目を集め、
通りで何人か足を止めてこちらを見ていることに気がつき、大きなため息をつくほむら
「とんだお節介ね・・・良いわ、あっちよ」
(ここが・・・ほむらちゃんのおうち・・・)
ほむらに肩を貸したままマンションの扉をくぐったまどかは、薄暗くて生活感のまるで感じられないその部屋に、
部屋主の人となりが出ている気がして、なんとなく不安になった
「一応礼は言っておくわ。・・・さぁ、早く帰りなさい。貴女も買い物途中でしょう?」
「だめだよ、そんなふらふらなほむらちゃんを置いていけないよ」
「・・・本当に、貴女は強情ね」
(それはほむらちゃんの方じゃないかな・・・)
苦笑を浮べながら後に続いていると、黒い子猫がどこからともなく現れ、ほむらの足元にまとわりつく
「可愛い猫さんだね。ほむらちゃん、ペットなんて飼ってたんだ。なんか意外だな」
「・・・別に飼ってるわけじゃないわ。きまぐれでエサをやったら居着いたのよ。・・・私が戻ったらさっそくエサの催促ってわけ?エイミー」
そう言って小さな子猫を抱き上げるほむらの目は、口ぶりとは裏腹にどこか優しげだった
「ほむらちゃん?その子にご飯なら私がやるから、ほむらちゃんは早く横になって」
リビングに進路を変え、更にキッチンへ向かおうとしていたほむらを制止するまどか
「それじゃあお願いするわ。冷蔵庫の横に缶詰が置いてあるから。小皿にわけてあげて」
「うん、おいでエイミー。きゃっ、もぉくすぐったいってば」
受け取った子猫に腕を舐められながら、楽しそうにキッチンへ向かうまどかをどこか懐かしげに見送るほむらであった


644 : 3/4 : 2011/10/10(月) 18:07:57.13
「ほむらちゃん、失礼するね」
エイミーにエサを与えた後、寝室らしき部屋に入ったまどかの目に飛び込んだのは、着替え途中で白いショーツ一枚のほむらの姿だった
咄嗟に頬を染めて目を背けそうになるが、床に脱ぎ捨てられた赤茶色に染まったシャツと、その華奢で白い背中に広がる血の跡が目に留まり、
思わず声を上げる
「ひどいっ・・・!やっぱりほむらちゃん、すごい怪我だったんだね・・・」
「よく見なさい。もう血は止まっているわ。それに、魔女退治なんてやってればこんなものは日常茶飯事よ」
「でも!私を庇ったりしなかったら・・・」
「貴女が責任を感じる必要はないと、何度言えばわかるのかしら?・・・そうね、だったら良い事を教えてあげる」
淡い紫に輝くソウルジェムを取り出し、かかげるほむら
「私の本体はこっち。そして今、貴女が私だと思って話しかけているこの身体は、ソウルジェムに操作されているただの抜け殻よ」
「え?・・・な、何言ってるのほむらちゃん」
「魔法少女はね、契約と同時に魂を抜き取られて、この宝石に姿を変えられるの。そしてこれさえ無事なら、肉体なんていくら傷つこうと勝手に治るただの道具よ」
「・・・そんな、嘘でしょ?だってそんなこと、マミさんもキュゥべえも一言も・・・」
「でしょうね。あの生き物は自分に都合の悪い事は話そうとしないし、この事を知っている魔法少女は他に居ないかもしれない」
「・・・・・・」
「・・・まぁそうよね。こんなこと、実際に証明されないと信じられるわけないわよね」
呆然と立ち尽くすまどかを尻目に、スタスタと歩いて勉強机の引き出しから大きな刃渡りのサバイバルナイフを取り出すと、
厚いレザーのカバーから引き抜き、止める間もなく左手首を一閃する
「ほむらちゃん!?・・・なんてことを・・・いやぁあああ!」
「落ち着きなさい。言ったでしょう?この身体はただの抜け殻で、痛覚を遮断すれば痛くも痒くもないし、たとえ血が全て流れ出ても死ぬことはないわ」
表情一つ変えることなく、理科の実験でも行うように淡々と説明するほむら
派手に血飛沫を上げていた手首の出血も、徐々に勢いが弱まり、30秒もすると刀傷を残して止まってしまった
「ほら、もう血がとまったわ。これが貴女の憧れていた魔法少女の正体。もう人間ですらない、戦うための化け物よ」
「こんなの・・・ひどい、ひどすぎるよ・・・」
ポロポロと大粒の涙を流すまどかを見ながら、ナイフの血を拭って鞘に戻し、どこか自嘲気味に話すほむら
「これでわかったでしょう?こんな化け物がいくら傷ついたところで、貴女が気にする必要なんてないし、もうこれ以上関わりあうのはやめなさい」
「・・・やめてよ!自分のこと、そんな風に言うのはもうやめて!」
「・・・まどか?」
溢れ出る涙を拭いもせず、ほむらに抱きつくまどか
「ほむらちゃん、こんなにも温かいもん!・・・私を助けてくれたのがたとえ計算でも、あんなに必死に庇ってくれたもん!そのほむらちゃんが自分のことそんな風に言うなんて、我慢できないよ!」
「・・・まどか」
「みゃ~」
いつの間にか音もなく現れた黒猫も、ほむらの足に身を擦り寄せて鳴き声を上げる
「ほら、エイミーも心配してるよ。こんなにこの子に懐かれる優しいほむらちゃんが、人間じゃないはずがないよ」
「・・・この子は単に遊んで欲しいだけよ」
一人と一匹にべったり身を寄せられ、すっかり毒気の抜かれたほむらは、大きなため息をついてベッドに腰を下ろした
「お湯で濡らしたタオル持って来るから、待っててね」
パタパタと遠ざかっていく足音を聞きながらごろりと横になると、緊張がほぐれたせいか疲れがどっと押し寄せ、襲い来る睡魔に抗う事は出来なかった


645 : 4/4 : 2011/10/10(月) 18:09:01.19
(う・・・まどか・・・)
軽くうなされながら、胸と腹部に圧迫感を感じて目を覚ますほむら
首元までかけられた布団の上には、またしても一人と一匹が、今度は仲良く肩を上下させながら気持ち良さそうに眠っていた
(寝苦しい筈ね・・・本当にこの子たちは、少し優しくされただけで誰にでも懐くんだから・・・)
やれやれといった表情を浮べるほむらだったが、寝直そうにも頭を乗せて眠るまどかとエイミーが重苦しく、
かと言って払いのけて起こす気にもなれず、結局朝までそのままの体勢で我慢し続けるのであった
思いがけず好評だったから続きを書いたんだけど、まだイチャラブさせられませんでした・・・サーセン
もしかしたら後一回くらい続くかも?

http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1316610084/642-645 (リンク切れ)