フィグラーレ王国設定

Last-modified: 2015-09-30 (水) 00:11:48

フィグラーレ王国(Figurare Kingdom)

十字軍の手で解放された地に建国した歴史から、国王と聖教教会との関係は切り離せないものとなっている。
建国から500年ほどの歴史を持ち、現在は二十九代目国王ガウディーノ・エルツ・フィグラーレ治世下に置かれている。
国力は周辺諸国を凌ぎ、特に魔術において追随させないレベルに到達し、賢者と呼ばれる魔術師も存在する。
現国王は近年では極めて理想的な政治を行っていたが、王族の不審死が相次いだり、庶子が発覚するなど次期王位継承について重大な問題を抱えている。
フィグラーレ王国の王位継承方法は選挙によると定められており、宮廷内では既に暗闘が繰り広げられている。
現王の健康に陰りが見え始めているとも評されているが噂に留まる。
十字軍でも討伐できなかった『シャフナッツ』と呼ばれる竜王が北部山脈の洞穴を棲みかとしている。
温暖で雨が少ない地中海性気候で、四季の区別がはっきりしている。フィグラーレと東京の気温は年間を通じてほぼ同じだが、夏は日差しも強く乾燥し、冬に比較的雨が多くなる。
北部は大きな山脈があるため、冬は寒く、夏は適度な湿気がある。


権力闘争

タニストリー

王の存命中に次期王(タニスト)の選定が行われる。国中の貴族を集めタニスト選定会議が開かれるのだ。タニストは、王位継承権をもつ者のうち能力が最も秀で、欠点・汚点のない者として、投票と合議によって選ばれる。
タニストリーは王位継承にあたり家臣が意見を述べる場を保障した。合議が満場一致となる例はほとんどなかったものの、ひとたび選ばれれば次の王と認められた。タニストになった者は、自動的に王としての正統性を持つようになり、空位の後継者争いという不安定な状態を未然に防ぐことができた。さらに会議を行うことによって、それなりの「民意」が反映され、有力者たちは王位継承に納得した。
周辺の悪魔諸侯は常にフィグラーレを狙っており、分割相続は許されない。

第四十三次タニストリー

タニストであったフロリアーノ王子の突然の死により、来年(721年)にタニスト選定会議が行われる。
候補者はグスターヴォ王子、フェードラ王女、アルフレード王子、ヴィヴィアーナ王女の四人。
フロリアーノ王子はある朝に王城の堀で溺死していたところを発見された。箝口令が敷かれ病死と発表されたが、明らかに暗殺であり誰もが知っている。そして王子の死は生き残った四人全員に利益があるのだ。

タニストの投票権は現国王に忠誠を誓う諸侯全員に存在し、爵位に応じて投票の重みが異なる。

実際

すべての袖には刃が潜み、笑顔の裏には嘘がある。宮廷では謀殺と詭弁が日常となり、騙し合いが当たり前。見せかけの礼節の影で、政治的派閥やギルドが次期王位を誰にするかで争っている。
暗殺者と間諜は陰謀の主役であり、目的のためには悪魔とも契約する。
王家に十人いた異母兄弟は今や四人にまで数を減らしている。

封建制

貴族や騎士は自らの土地を版図として支配する領主として、そこに住む農民を支配する。
それらの支配地は荘園と呼ばれる。フィグラーレでは聖教教会も寄進や開墾によって荘園を持ち、大司教などの聖職者も、貴族や騎士とともに領主として荘園の農民を支配している。

一般的な荘園の場合、領主の館(大諸侯の場合は城)・教会・農民の住居などが中心にあり、その周辺に領主の直営地・農民の保有地からなる耕地と農民が共同で使用できる牧草地や森林が広がり、水車小屋やパン焼き小屋などの施設もある。荘園からの収入が諸侯の経済力の基礎である。

荘園内の農民には移転の自由がなく、生涯その土地に縛り付けられ、職業選択の自由もない。また領主裁判権に服さねばならないなど様々な身分的な束縛を受ける。しかし家族を持つことが出来、住居や農具などの所有は認められている。

「臣下の臣下は臣下でない」世界である。
国王が貴族に領地の保護をする代償に忠誠を誓わせ、貴族も同様の事を臣下たる騎士に約束し、忠誠を誓わせている。この主従関係は個人と個人の双務的な契約関係であって、一方的な支配と従属の関係ではない。
主君といえども臣下に絶対的・無条件の服従を強いることは出来ず、臣下には主君の無理な要求には服従を拒む権利がある。


フィグラーレ史

 

国民

全人口約800万 首都人口約20万
王侯貴族と平民、そして奴隷からなる。
 
貴族は公爵(ドゥカ/duca)、侯爵(マルクィス/marquis)、伯爵(コンテ/conte)、子爵(ヴィスコンテ/visconte)、男爵(バロネ/barone)、準男爵(バロネット/baronetto)、騎士(カヴァリエレ/cavaliere)の7階位に分かれる。
 
貴族は基本的に版図を有するが、分配できる領地がない時に叙爵された者や、宮中伯といった領地を持たない貴族もいる。

 
貴族
 
公用語
フィグラーレ語
イタリア語がモデル
 
識字率
上級貴族70%/下級貴族60%/上級市民(官僚、商人、魔術師、神官等)70%/下級市民5%

文字が読めるとは「魔術語ができること」「俗語の文章を読めること」「自分の名前を書けること」などさまざまな定義があるが、「俗語の文章を読めること」であれば上記の比率の通りとなる。
「自分の名前を書けること」であれば上級市民以上であればほぼ100%となる。
「魔術語ができること」であれば半分以下となる。
 
平均寿命
飢饉や疫病が度々起こるため、地方ほど寿命が低く、農民ともなれば生まれてすぐ死ぬこともざらである。上級貴族ならば50~60歳までとされている。悪魔や堕天使との契約で魔術的な効果を得ることで100歳を超える寿命と10代の若さを得ることが可能とされているがごく一部にしか知られていない。
但し、寿命以外の要因で死ぬことが多く、ほんの一握りを除いては生き長らえてもやはり60歳前後と言われる。
 
法律
王都においては王家が直轄しており、国王が出す法律が市民に適用される。地方においては国王の勅令とともに領主の定める法律が領民に適用される。奴隷は物品としてその所有者の財産権として保護される。
15歳が成人と看做されるが、それ未満の年齢でも就労しているケースはざらにある。特にメイド等はその傾向が強い。社会福祉のような制度は殆どなく、弱肉強食社会。但し都市部では最低限の衛生面の観点から救貧法は存在し、王国からの義捐金を元に聖教教会を通じた炊き出しや住居提供、診療などが行われる。
死刑に処される重い罪状としては国家転覆罪、国王や主への反逆罪及び未遂及び共謀、殺人、放火、窃盗、姦淫である。但し、殺人、放火、窃盗、姦淫に関しては国王の恩赦により減免を受けることができる。
単純な法的な支配関係では国王>領主>領民であり、父>母>子であり、子は年功序列、性別は男>女である。
但し、高位な身分の者の庇護下に置かれることで逆転することがありうる。
 
教育体制
幼少期の教育は基本的に家庭教師によるものであり、小学校のようなものはない。また帝王学に関しては継続的に家庭教師(魔術師など何かしらの資格を持った執事やメイドが兼任することが多い)が担うものとされている。
中学校、高校、大学に相当するものとしてドミツィア王立学院が存在し、その中で徹底したエリート主義に基づく教育が行われる。語学、史学、芸術、魔術、商学、数学、兵学、神学を総合的に修学する。スポーツという概念はなく、戦技として学ぶものとされている。その他貴族としての社交が存在する。
一般学生が在籍するのは総合教育科L'istruzione generaleであるが、その中でも類稀な才を見出される者は高等研究科Ricerca avanzataへ選抜される。
特に彼らを対象に各界の熾烈なリクルートが行われる。
神官を目指す者は教会に修道士として入会し、修道士学校に通い、神学と魔術に特化した教育を受ける。
 
経済体制
金貨フィグラーレ・フローリン、銀貨フィグラーレ・デニエが流通している。都市においては貨幣経済が浸透している。しかし地方では物々交換も行われている。酒や宝石、奴隷、魔道具、武具、馬といった商品は金貨に匹敵する価値を持つ。
金本位制であり、フィグラーレ王立銀行には国庫として莫大な金塊が眠るとされ、怪盗の襲撃騒ぎが相次ぐ。国家としての収入の柱は北部の金銀の鉱山業及び地中海貿易に伴う海運業、金融(貸金や保険、預金)、カジノの四つ。ドミツィア大聖堂を通じて教皇領への義捐金を支出している。
 

  • 工業
    兵器なども含め工業品は他国から多く輸入に頼っており、自国内で盛んに行われているのは楽器製造や服飾と鉱山から産出した貴金属や宝石類の加工である。
     
  • 商業
    • 金融
      貸金や損害保険(私有財産、積荷、船舶、馬など乗り物を対象)
       
  • 農業
    小麦と大豆、ジャガイモを主とする穀倉地帯がある。またワインの原料となるブドウ、ビールの原料となる大麦、オリーブ、オレンジその他果物、ハーブなど様々な作物が各地域で栽培されている。魔術を用いることで気候に適さない作物でもある程度収穫できるほか、特に穀物の収量を1.5倍~2倍増加させることが可能で、同じ作付面積でも高効率での収穫が見込めることから広く推奨されている。
    基本的に領主を通じて神官が派遣されて請け負うが、人材の問題で天候不順時や蝗害などの緊急時が多い。そのため魔術ギルドに個別に発注することも多々ある。そうであってもしばしば悪魔の手により飢饉が発生する。
     
    軍事体制
    常備軍制度(陸3万、海1万、計4万程度)で陸海軍で軍備が充実し、十字軍においても多大な役割を担っていた。陸戦においては城を攻め落とす能力に長け、海戦においては魔術を使った複雑な艦隊機動による海戦術を得意とすると評される。
    地方の領主を通じた領民に対する募兵が行われるほか、貴族からの志願兵で構成される。ドミツィア王立学院卒業者は士官からスタートし、待遇が大きく異なる。
    陸軍においては全てが上級貴族の子息女によって構成される王国竜騎兵親衛隊と呼ばれる300人の精鋭部隊がいる。ワイバーン等を調教し、それに騎乗し、上空からの魔術攻撃を行う。この戦法は魔術師の人材に優れるフィグラーレが編み出したまだ先進的なもの。
    また戦時においては強制的な募兵も行われる。
     
    魔術
    フィグラーレにおける魔術の歴史は古く、建国からまもなく魔術ギルドが設立されるほどに重視されている。
    魔術を行使する者を一般的に魔術師と呼ぶが、そのうち魔術ギルドに属する者を魔術師、聖教教会に属する者を神官と区別するのが王国での基本。魔術師と神官はやや険悪な関係にある。と言うのも魔術師は悪魔と、神官は堕天使とそれぞれ契約を結ぶからである。いわゆる派閥争い。
    ただ険悪ではあるが、必要悪として認めあう関係でもあり、表向きは協力して王政に尽くしている。
    魔術の特性は赤黒白緑青の五色に分類される。
     
  • ドミツィア(Domizia)
    都市地図(1st環状城壁内の旧市街)
     
    フィグラーレの王都。二重の城壁に囲まれた臨海都市で、地中海に開かれた通商と金融をおもな生業としている。
    国王直轄で市長は国王により任命される。宰相が兼任することが多い。
    聖教教会のドミツィア大聖堂や魔術ギルド《Veronica Stregone Alleanza》本部などが置かれる。1st環状城壁内の旧市街地区では魔術による街灯や警備隊の常駐などがあるため良好な住環境が保たれている。一方でその外の新市街地区ではアパートメントが軒を連ねるような過密な環境であり、上下水道も未発達。それでも地方都市と比べればよい方である。
  • 旧市街
  • 新市街
    • ブレシーナ地区
      新市街の中で下級貴族やミドルクラス以上の市民が集うアパートメントが立ち並ぶ治安のよい地区。
    • メフィドロス地区
      暗黒街。賭博や娼館などが軒を連ね、道行く人々に倫理観などはない。この世の掃き溜めのような地区だが、スラムとは違って地位の高い者が出入りするため景観上は綺麗である。
      地下組織が集い、その筆頭と言える盗賊ギルド『黒の棘』の息が掛かっていない店はないとされる。
       
  • メッサーナ(Messena)
    フィグラーレ第二の都市。かつて名宰相を輩出したメッサーナ公爵家が治める領地として知られる。
    国土東部の平原のど真ん中を流れるブルーノ河中流域に位置し、周辺の大穀倉地帯から多くの農作物が集まる関係で食の都として発展した。王国料理の発祥の多くはここを起点としており、フィグラーレ人の舌を肥えさせる凄腕の料理人が集う。

整理ポスト

国民
全人口約800万 首都人口約20万
全ての王国民は国王の支配下に置かれる。魔術で戸籍も管理されており、徴税や募兵などにおいて利用されている。奴隷は主の所有物であるため国民に数えられない
貴族においては公、侯、伯の爵位を有する者を上級貴族、子以下の爵位を有する者を下級貴族としている。
但し、一族の主が上級貴族ならばその家名を名乗ることを許された直系と配偶者は全て上級貴族として扱われる。
伯爵以上は基本的に領地を有するが、分配できる領地がない時に叙爵された者や、宮中伯といった領地を持たず国王に仕える貴族もいる。
叙爵は国王の手によりなされるが、基本的に聖教教会や魔術ギルドなどに属するそれなりの地位の者が推薦することが条件である。
非貴族の市民においては職業身分によって差別されており、神官と官僚が特に優遇される。魔術師と商人は能力主義な傾向がある。農民の地位は低く、領主によっては奴隷に近い扱いを受ける。募兵に参加することで一定の身分保障が一族として保障されるため、最も容易な立身出世のルートとされている。但し、軍内でも貴族との身分格差は存在するため現実はそう優しくない。