エドガー・H・シャインの理論/複製

Last-modified: 2014-03-22 (土) 06:29:55

他の理論と比べて特徴的なのは……
 組織と個人の相互作用という視点から構築

外的キャリア・・・履歴書や職務経歴書に端的に表される、その人が経験してきた仕事の内容や業績、組織内での地位など

内的キャリア・・・経験的事実の内側にあり、仕事に対する動機や意味づけ、満たされた価値観といった心理状態を示すもの

外的キャリアと内的キャリアはそれぞれ連動している。
働く事への欲求が加齢に伴い変化することを前提に人を生かすような工夫が、個人にも組織にも必要。
キャリアが2面的に形成される事を考慮し、個人が能力を最大限に発揮し満足できるキャリアを開発することが、組織に取って存続要件となる。
その際、キャリアは、個人と組織とが相互に作用する過程を通して開発されるという見方が重要

経験の蓄積を通じて、次第に職業上の自己イメージをを確立
→この自己イメージをシャインは「キャリアアンカー」と呼ぶ。

次のような3つの成分が複合的に組み合わせ合っている。。
1.自覚された才能と能力
(さまざまなな仕事環境での成功体験に基づく2.現実の場面での自己診断や他者からの評価に基づく自覚された動機と欲求
3.自身の考え方と、働く集団・組織や仕事環境の規範および価値との衝突の経験に基づく自覚された態度や価値

キャリアアンカーは、仕事経験に基づいて潜在能力が自己診断され形成される自己像
仕事にかかわる得意意識は能力を向上させ、キャリアアンカーのひとつの要素となるが、能力だけが個別に自己像に影響するのではなく、動機や欲求、態度や価値も相互に作用して自己像に総合されると考えられている。
従って、得意な仕事ができるという事だけでなく、その仕事をする意欲があるかどうか、好きか嫌いかなども併せてキャリアについて検討しなければならない。
また、キャリアアンカーは、経験の蓄積と自己洞察の深化から生まれ増大していく個人の内面の安定した領域。特定の仕事を自身と余裕を持ってやれるという感覚。安定した領域を自身の内にかんじられるので、内面のほかの領域の変化や成長が可能。
また、キャリアアンカーは、錨が流された船を引き戻すように、能力は動機や価値が充足されそうな仕事環境にある場合、それらが充足されそうな仕事環境にその人の目を向けさせ、キャリアに関する進路の選択や決定を方向付けるように作用する。

�専門能力、�経営管理能力、�安定、�起業家的創造性、�自律、�社会への貢献、�ライフスタイル、�挑戦

キャリアサイクル

1.成長、空想、探求(0~21歳)現実的な職業選択のための基準をつくる。教育・訓練を受ける。など
2.仕事の世界へのエントリー(16~25歳)初めての仕事に就く。実行可能な心理契約を結ぶ。組織ないし職業のメンバーになる。
3.基本訓練(16~25歳)現実を知ってショックに対処する。できるだけ早く戦力になる。仕事の日課に適応する。正規のメンバーとして認められる。
4.キャリア初期の正社員(17~30歳)責任を引き受け、職務を首尾よくこなす。特殊技術や専門知識を開発する。独立を求める自己と従属させる会社の欲求を調和させる。残るか去るか。
5.正社員資格、キャリア中期(25歳以降)専門を選ぶ。あるいはマネージャーになる方向に向かう。明確なアイデンティティを確立する。など
6.キャリア中期の危機(35~45歳)キャリアを変えるかどうか決める。夢・希望対現実生活全体におけるキャリアの重要性を決める。など
7.A-非指導者役にあるキャリア中期(40歳から引退まで)助言者になる。技術を深める。マネジメントになると決めたら、より広範な責任を引き受ける。現状維持で仕事以外に成長を求めるのなら、影響力ややりがいの減少を受け入れる。
  B-指導者役にあるキャリア中期(40歳から引退まで)組織の長期的繁栄に貢献する。広く影響を及ぼす。部下を選抜し開発する。社会における組織の評価を行う。など
8.衰えおよび離脱(40歳から引退まで)権力、責任の低下を受け入れる。新しい役割を受け入れ、開発する。仕事が主でない生活を送れるようになる。
9.引退ライフスタイル、役割、生活水準の劇的な変化に対応する。蓄積した自分の経験と知恵を他者のために使う。



それぞれの段階で、年齢相応のとるべき行動と態度が周囲から期待され、私たちはその社会的圧力を受けつつ自身の欲求を達成しなければなりません。
キャリアカンセリングに当って特に重要なのは、生活段階を移行するたびに、仕事だけでなく家族や自分侍史のせいちょうにかかわる問題が生じて、それらが相互に絡み合いながらキャリアが形成されていることについての理解です。つまり、職場でのあるべき姿に加えて、家庭でのあるべき姿や、成人としてのあるべき姿などが渾然一体(こんぜん)となって、個人的な願望の成就(じょうじゅ)を規制します。人は、仕事に必要な自己の一部だけで働いているのではなく、その人の内面では、仕事以外に家族や自身の希望などをめぐる考えや感情が影響し合っている事を軽視することができない。

組織の長期目標の達成にむけて効果的な機能をねらった4種類の計画を、組織による個人のキャリア開発に関連させ、キャリア発達の各段階によって異なる個人の欲求と組織の個人への欲求と、組織の個人への欲求とを調和させるための諸段階が整理されています。

配員の計画:仕事の種類と必要な人的資源を入手するため
成長と開発の計画:人的資源の最大活用や、最適水準の成長と開発の確保、高い水準の仕事が持続するため
伸び悩みと離脱に関する計画:働く意欲の喪失、気力や技能の低下、加齢とともに変化する個人の欲求、昇進機会の欠如、退職などを処理するため
交代と再配員の計画:組織と交代する組織構成員の双方にとって、最適な体系および適切な交代要員を確保するため


”計画すること”と”計画に必要な情報”の意義を強調しています。人的資源の開発がどのように計画されるかによって、個人と組織との調和活動の有効性は規定されると主張しています。

個人と組織のニーズが調和し、両社の間でできた合意

☆プロセス・コンサルテーションの基本的な態度は・・・・
個人と組織との相互期待が良好でなくなというような相談に応じる場合に、どうしたらいいかと悩んでいる人が自分自身で考えて、その人らしい解決をするまでの思考過程に、意味のある支援を間接的にするというもの。