目次
本編
和也の執事日記前半
※このSSは最近、従者として働いている和也の一日を振り返るショートストーリー
となっております。
最後まで読める方推奨ですw
それではどうぞ
「ん・・・。もう朝か・・・」
俺の朝は早い。まぁメイドとか執事ってのは主より早く起きなければならないしな。
当然といえば当然である。
もそもそと執事服に着替え朝の紅茶を用意し準備を整える
「さて・・・と。お嬢様を起こしに行かないと」
俺の朝はお嬢様こと刹那お嬢様を起こすことから始まる。
片手にティーカップとカップソーサーを持ち長い廊下を歩く。
ずいぶん此処の執事をしているがこの長い廊下は疲れるだけだな・・・
などと愚痴りながらお嬢様の部屋の前に着く。
コンコン
恐らく起きていないだろうとは思うが主の部屋の前だ。礼儀はしっかりしないとな。
「お嬢様。失礼します。」
扉を開け中の気配を探す。これはここで執事をしてから身に着けたことだ。
以前、いつだったかうっかりお嬢様の着替え姿を目撃してしまいその日は死ぬかと思うほど血を吸われたのものだ。
―すぅ。すぅ・・・
今日は寝ているようだ。寝ている姿を見たことがあるのは恐らく俺と因幡月さんぐらいだろう。
「お嬢様。朝ですよ。起きてください」
うーんと布団を被りなおすお嬢様。か、可愛い。。。
「Σはっ! 見とれているわけにはいかない。お嬢様おきてください!」
勢い良く布団を剥ぎ取る。我ながらいい仕事だ。
「か、かえせよ~。返しなさいよー。従者のくせに生意気だぞー」
寝ぼけ眼でお嬢様は手を伸ばす。だが、空高く掲げてる俺には隙がなかったのだ。・・・・が
「くすくす・・・つ~かまえた~♪」
カプッ
にゃああああああああああああああ
(台所付近)にゃああああああああああ
(玄関付近)にゃああああああああああ
「ったく!従者なんだからあたいの言うことには素直にしたがっておきなさいな。わかった」
「は、はい・・・ずみまぜん・・・」
恐らく軽く200ccは吸われただろう。感覚が地味にない。しかし、いつものことなのですぐに体勢を立て直す。
「おはようございます。お嬢様。とりあえずお召し物になります。あと私は向こうで紅茶の準備をしておりますので何かご用がありましたらお呼び下さい。」
そういい残していつも通り俺は紅茶の準備をする。朝はあまり熱くならないようにティーポットにあらかじめ用意し中で冷ますのが基本だ。
今回使った茶葉は今の季節に丁度いい早摘みされたものを使用したかったがレディグレイにする。
言わばフレーバーティーってやつだ。
「着替え終わったよ」
お嬢様のそこ言葉と同時くらいに俺も紅茶を入れ終わる。
お嬢様はというとベッドより少し離れたところにある椅子に腰掛ける。
カチャ
「今朝は少し甘めの紅茶です。食後には昨日届きました早摘みの新茶をお出しします。」
「そうかい。ありがと」
簡単に返事を返すとお嬢様は紅茶を一口飲む。
「いい温度だね。」
「ありがとうございます」
やはり自分の入れた紅茶にお礼を言われるのは嬉しい。それがお嬢様ならなおさらだ。
それから数分してお嬢様は学園に行く準備をする。私はというと昨日届いた早摘みの新茶を選別する作業に回る。
基本、キッチンには料理担当のメイドが居るのでその人たちに任せてある。
余談だけど先日キッチンで夜食を作ろうとしたらいきなり背後から声をかけられびっくりした記憶がある。
なんでもキッチンセンサーとかなんとかが働いて瞬時にその場に来ることが可能だとか。どこのメカですか。
「えーっと・・・昨日届いたのは・・・ニルギリとアッサムとキャンディか・・・お?フレーバーで新しいのがあるな」
そんな具合でチェックしているとお嬢様がリビングへ姿を現す。
「みんなおはよう。今日は軽めでいいわ。」
そう告げるとお嬢様は椅子に座りテレビをつける。
「―野生の熊が民家に迷い込みましたが無事に帰っていきました。」
よかったな熊よ。
「っと、よし、今日はニルギリにしよう。」
まずはキッチン付近にあるポットからティーポットとカップソーサーへお湯を入れる。
半分くらい入れたところで止めそのまま軽く揺すり中を温める。そして捨てる。カップソーサーのお湯はそのままにしておく。
そして小さめのスプーンに昨日来たばかりの新茶を掬う。そして、ティーポットへ入れる。その作業をもう一度繰り返す。
人それぞれだが俺は1人分+もう一杯で入れる。そうすればいざという時にすぐに入れれるからだ。
そしてティーポットへお湯を注ぐ。この時にポットへ口を近づけ少しずつ廻しながら入れる。そうすることによってジャンピングをしやすくするためだ。
加減にもよるがこれで均等にされることもある。
そして淹れ終わって3分ほど蓋を閉じ蒸す。
「時間だな―」
そう呟き蓋を開ける。いい匂いだ。やはり早摘みの香りは爽やかなものだった。あとで、俺も飲もう。
丁度食事を終わらせたお嬢様に近づく
「お嬢様どうぞ。本日はニルギリの新茶です。」
「ありがと。和也も横に座りなさい。」
食事は一人で済ませることもあるお嬢様だが紅茶の時間だけは俺と過ごすのが日課だ。
俺も失礼だと思いながら主の横へと腰を下ろす。
「相変わらずおいしいわね。」
「ありがとうございます。ですが本日は大変色のいい新茶でしたので私はなにも手を加えておりませんよ」
嬉しくなる思いを内に秘めながら俺は答える。
そんな俺の言葉など見透かしているような目で
「ふふ・・・そう。ならこの新茶に感謝しましょうか」
目を細めながらお嬢様はそう言って笑う。
「えぇ、そうですね―」
俺も短く答え軽く新茶を口にする。その味はほのかに甘く香りの良い紅茶だった。
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「それじゃ、あたいは行くわよ。」
「はい、お嬢様いってらっしゃいませ。」
「貴方も遅れないようにしなさいよ?従者が遅刻とかあたいが許さないわよ」
「えぇ。私もすぐに登校致します。」
そう言葉を交わしお互いに別々の場所へ足を向ける。
「今日も見送りご苦労だったな和也よ。」
不意に声をかけられる。
「あ、大佐。見回りご苦労さまです。」
「うむ。今日もスペシャルに平和だ」
スペシャルって何だろうか。。。
「しかし、和也がお嬢様の専任になるとは当初のお前を知っておるワシでも思ってもおらんかったわ。」
「た、大佐。そのお話は・・・」
そう止めようとしてる俺ですら確かに刹那お嬢様の専任になるとは思っていなかった
あれは俺がまだ世界を知らなかった時だ―
俺は貧富の激しいところの生まれだった。そこでは盗みは日常茶飯事。力だけが存在する世界だった。
俺もそれに習うかのように力で生きていた。だが、そんなときに刹那お嬢様と出会った。
「貴方、なんでこんなことしているの?」
その問いが当初の俺には理解出来なかった。力だけの世界で「どうしても」「こうしても」ないからだ。
「うるさいな。お前には関係ない」
「?」
知らないのは無知だと今では思うがその時の彼女にはわからなかったのだろう。
俺へと無警戒心で近づいてきた。
「近づくな!」
そう、俺は言いつつ彼女を突き飛ばす。
「きゃっ」
短い悲鳴をあげ彼女は体格の良いボディーガートらしき人物に支えられた。
今思えばこの時、刹那お嬢様や大佐に出会わなければ俺はあの世界でいつか死んでいただろう。
そしてあのときの言葉は今でも覚えている。
「貴方!名前はなんていうの?」
「・・・・・ない」
「そう、ならあたいが決めてあげる。・・・・和也」
「ちょっとまってよ!なんだよ。人の名前勝手に決めるなよ!」
「じゃぁ、名前を教えてみなさいよ」
「う・・・」
「ほら、言えないじゃない。なら今日から貴方は和也よ♪」
そして俺はその日より和也となったのだ。
そのあと色々なことを大佐から教わった。刹那お嬢様が吸血姫だということ武術のこと言語のこと
さまざまなことをこの人は教えてくれた。
「和也よ。こんなところでボーっとしていては遅刻するぞ。」
「え?あー!やばい!やばい!」
時間を見ると走ってギリギリ間に合う時間だ。やばい!そう思いながら俺は自室へ駆け込んだ
その姿を後ろから大佐は眺める
「やれやれ。まだスペシャルには程遠いな」
「行って来まーす」
「今日もスペシャルな行いをしろよ。」
そう大佐と挨拶を交わしながら俺は学園へと急ぐ。
『私立ネちょ学園』
ここには多くの生徒が通う。
そして俺もそんな一人。
「瀟洒!先生おはようございます。」
俺は学園の校門付近で待機してるメイドさん・・・もとい先生に声をかける。
「あら、和也君おはよう。少し瀟洒な時間じゃないわよ。気をつけなさい。」
軽く怒られてしまう。
「あはは。すみません。ちょっと寝坊しちゃったもので。それじゃ、俺は行きますんで」
「えぇ、今日も頑張って勉学に勤しみなさい。」
俺は軽く手を振って答える。
「――こらー!そこ!なにしてるの!」
これもいつも通りな瀟洒!先生の怒声が聞こえてくる。
(瀟洒!先生お疲れさまです。)
そう心の中で呟き俺は下駄箱へと走る。
「和也君、おはようさん」
「ん?あーぬーぶら長さん。おはようございます。」
「朝から大変やねぇ。そんな慌てて怪我したらしゃーないで?」
「えぇ。分かってはいるのですが少し時間もありませんから」
彼女の名前はぬーぶら長さん。ここまでの会話だけならすごくしっかりしてる人に見えるのだが
「んー?なんや?ウチの顔になんかついてるか?」
「いえ、気にしないで下さい。」
「変な和也君やなぁもう・・・きゃっ」
「おっと!大丈夫ですか?」
そう彼女は世間一般でいうところのドジっ娘だったりする。
「いたた・・・もう、誰やこんなとこに階段つくったんわ」
いえ、それはそういうものです。と心の中だけで突っ込んでおこう。
「とりあえず時間があらへん。先行くわ。ほなな~」
ひらひらと手を振りながら先に走っていく。あーまた、そんなことしたら
・・・・・・・にゃぁぁ! ズテーン
言わんこっちゃない・・・彼女の苦悩はまだまだ続きそうだ。
「さて、俺もとりあえずやばいな」
今から走れば余裕で着くが俺には先によるところがある。
『用務員室』
そう書かれた部屋の前に俺はいる。
ひとつ、ふたつと深呼吸をして俺は扉をノックする
コンコン
『どうぞー』
中から人の声が聞こえる。当然と言えば当然か。居る事は毎度のことだから分かっている。
ガラァ
「―失礼します。お嬢様」
そう中に居るのは刹那お嬢様、俺の主だ。
「和也君いらっしゃーい」
そこには刹那お嬢様のほかに因幡月さんも同席している。
このお二人は仲が良いことで有名だ。屋敷にもときどき遊びに来たりする。
「おや、もうそんな時間だったのかい?」
「えぇ、ですが予定より5分遅れております。」
刹那お嬢様はなぜか用務員という役職に就かれている。お嬢様曰く「あたいも仕事がしたくてね。」らしい。
まぁ昔からなので俺は気には留めていない。のだがそしてそれと同時に「和也は見た目がまだ学園生で通りそうだから学園生でいいよね」
と、言われなぜか俺は学園生として通わされている。
「せっちゃん、あまり吸いすぎないようにね?」
この人はお嬢様が吸血姫と知っても気にした様子もなく接してくれている。
本人は「そんなの関係ないのです。せっちゃんはせっちゃんなのです」らしい。実にこの人らしい考え方だ。
「そっか、時間もないしすぐに終わらせるかい?」
「そうです・・ね。では、お願いします。」
そう答えながら俺は首筋を差し出す。
「じゃぁ、吸うよ」
冷たい感触が俺の首筋に当たる。そして当たったと同時に押し込まれる。
熱い。自分の血が急激に上へと上っていく感覚がする。そしてその感覚も次第に弱くなり
「よし、ごちそうさま」
「ほえー。何時見ても驚きなのですよー」
月さんはいつも通り感心しているのか驚いてるのか微妙に分かりづらい感想を言う。
「立てるかい?」
「えぇ、大丈夫ですお嬢様。」
この行為は毎朝繰り返されている。昔からのことなので特に気にしていない。
だが、毎回刹那お嬢様は気にかけてくださる。ありがたいことだ。
「それでは、私はクラスへ戻ります。」
「がんばりなよ」
「がんばるですよー」
二人に見送られながら俺は自分のクラスへと急ぐ。。。。
そして、そんな姿を見ていた一人の人物が居た・・・
「・・・ふっふっふ。これを見逃す手はない。早速昼に張り出すための作成に取り掛からなければ」
あとがき
えーこの作品は完全にショートストーリーです。
るなちゃん、瀟洒さん、刹那さん、ぬーぶら長さんに登場していただきました。ありがとうございます!
えーあと、これは前半中間後半に分かれる予定です。それではみなさん。中間でヾ(゚ω゚)ノ゛
コメント欄:
- スペシャル?大佐?これは君○る・・・wや、感想でしたね。特定の誰かに仕える。良いですね!私にも主が欲しいですw今後も楽しみです!がんばってください! -- B.B.? 2008-09-13 (土) 00:27:59
- どうも~初めてコメント書かせていただきますwwネちょ学ってこういうところなんだ・・・・wあったかくていいなここに来てよかったぜ!w今後も楽しみww頑張ってください!w -- ヘタレ(´・ω・`)? 2008-09-13 (土) 00:40:47
- これは・・・なにか波乱の予感がびしびしするのですw 刹那×和也で悶えてるんで続きがんばってください!w -- 狐ぇ!? 2008-09-13 (土) 02:53:36
- お嬢様なせっちゃんも魅力的やね~。ビバ・カリスマw 脇役好きだし、このままウチはフェードアウトしておきますねw -- ぬーぶら長? 2008-09-13 (土) 17:55:13
- おお、中々の執事っぷりw 何気に和也さんが芸達者だw というか、どんどん刹那姉さんのカリスマ具合が上がっていくwww -- ドックンドール? 2008-09-13 (土) 19:25:21
- 刹那さんの吸血行為があるならきっと僕にも出番が・・・www -- 愛符「諏訪子の夫」? 2008-09-14 (日) 21:20:22
- せっちゃんはどの作品でもかっこいいじゃないか。羨ましい。紅茶的な専門用語が結構出てきて少し変態紳士を認めざるを得なくなったかも!で、私が暗躍するすとーりーが展開されるわけですね! -- らんかちゃん? 2008-09-15 (月) 00:54:59
- 起用してくれてありがとー。さて…物語がどう転ぶ!? -- 瀟洒!? 2008-09-15 (月) 18:30:19
- これはなんてエロゲでしょうか? -- 江田? 2008-09-15 (月) 21:20:12
- 随分いいところに就職してますねぇ。べっ別に羨ましくなんか(ry 紅茶には縁がないですけど、なんか優雅でいいなぁって思いました。 -- オワタ☆残骸? 2008-10-10 (金) 14:01:32