要石とネちょ学と-2

Last-modified: 2010-05-08 (土) 14:28:16

目次

【昔々】

人も妖怪も私たち天人も何か意味を持って生きている。
夢が無くても、希望が無くても、何か意味を持って生きている。
どんな結果を生むこととなれど、
どんな無意味に思えることでさえ、
意味を持って生きている。


…では、この一つの石の意味は何だ。


地が揺れることも無い、この天界において、
この石が意味するものは何だ?


考えて答えが出るわけでもないだろう。
石の上にも3年という言葉もある。
幸い3年程度私にとってたいした時間ではない。
そっと石に腰掛ける。


何か意味がわかるような気がして。



【とある日のお話】



夢を見ていた気がする。
でも、夢の内容は忘れてしまった。


と、いうか要石でも夢見るんだ!
始めて知った新事実!


まぁそんなことはどうでもいい。
問題は…


「なんで、また埋まってるの?」


ご丁寧に校門の横に埋められている自分だった。
むしろ…めり込んでいるという雰囲気がある。
多分不特定多数の誰かに投げられたんだとは思うのだが…。


「投げられた時点で気づけよ自分!」


セルフツッコミはどこか遠い空へ消えていった。


「やほー、要石さんどうしたの~?」
「あ、いよて―――」


ガッシャァァァァァァン


言い終わる前に粉砕された。




言い終わる前に粉砕された!!!





「言い終わる前に粉砕された!!!!!」
「ああっ! 要石さんが!」
「いや、あんたが割ったんだよ!」
あれ?そうだっけ? と、いよてんさんが手に持ったセ○ダインで修復を行ってくれた。
割った本人だけどね!


「まぁ、割れたことは置いておいて」
「いや、割ったのあなたですけどね!」…とか言うと話が進まないので心の中でとどめておく。
「避難するよ~」
「非難? 誰を?」
また醤…じゃない、朧さんが地雷を踏んだのだろうか?
それともついに教頭のてんこぬさんがクレスタ爆破にプッツンきたのだろうか?
「違う、その二つのどっちでもない避難」
「さり気に思考を読まれた気がするけど、なんで避難なんですか?」
とそこで、いよてんさんが私立ネちょネちょ学園、通称ネちょ学の校舎のほうを指し…


「なんだかかすんでません? ネちょ学」
やけに靄がかかってるというか、濃霧ってるというか…。
「まあ、何故か校舎が霞みだしたから皆校舎内に避難して、という指示が出たんだ」
…校舎が霞んでるのに中はいるのはまずいんじゃ?
「一応らいぶらり~さんが結界張って校舎の中は大丈夫らしいから」
「なんだかまた心を読まれた気が!」
その発言は完全に無視されて、いよてんさんに引きずられる形で校舎内へと連行されていった…。


「…で、校内なんですが」
明らかに霞がかっている。
なんだかおかしくない?この状況?
「おかしいな~、らいぶらさん確かに結界貼ったって言ってたのに…」
「らいぶらり~さんをその略にするのは非常にまずいと思うんですが」
どこかゲームの相手の性能を知る魔法になりかねない。
「しかたない…こうなったら…」
ポケットのなかをまさぐるいよてんさん。
あれ?なんだろう、ポケットがおなかあたりに付いていて白くてやけに半月の形な…
「無線機~!」
「なんだか普通なものが出てきてガッカリだよ!」
「あーあー、こちらいよてん。 応答願います、どうぞ」
再び無視された。 意図的に無視されてるのだろうか?
いよてんさんの声に反応するかのように無線機の向こうから…




ガーガガガガーガーい…ガガ、早くガガガその場ガー…




…気のせいじゃなかったら
早く…その場…


「要石さん緊急離脱だ!」
むんず、と掴まれる。
「え?」
凄くいやな予感がする。
まぁ、嫌な予感は当たるもので。


振りかぶった


いよてんさんに


おもいっきり


「そぉい!」


投げられた。








夢を見ていた気がする。
だが夢の内容は忘れてしまった。


…現在壁に突き刺さっています要石です。
「いよてんさん…後で覚えてろ…」
今宵の要石は血に餓えている…
「まぁ、ソレはともかく…」
とりあえず、人型に変化する。
やっぱり腕があるってすばらしい。
壁から自力で脱出できるからね!


「まぁ、幸いにもさほど飛んでないし…」
と、いよてんさんの方向を振り返る。



「………あれ?」




いよてんさんがいない。
いろんな意味で凄い人だけど、ココまですごい人だっけ?
一瞬にして消えるって、瀟洒!先生や零奈さん辺りしかできなくね?


一瞬、廊下の向こう側に黒い影が見える。
「…予想外に吹っ飛んだのかな…? おーいいよてんさ……」




…何かがおかしい。
確かに大きな学園で廊下もケタ違いに長いけど、向こうが全く見えないほど長い廊下は無かったはずだ。
更にいよてんさんはその向こう側にいる。
だけど、この距離から見えるはずも無い…


その誰かが近づいてくる。


アレは誰だ。


非想の剣を呼び出す。


その誰か…何かが更に近づいてくる。


アレは何だ。


その何かは…。




「………」




一言で言い表すと自分だった。
自分のような自分ではないような。
姿形が自分と全く同じな何か。
その何かも自分と同じく非想の剣を構えている。


辺りが更に霞む
もう廊下の原形も残していない
ここは何処だ
ひどく広い
雲の上に立っているようだ


一陣の風が吹く


一面に広がる、緑の大地
空には一遍の雲も無く
まるで、天界にでもいるような…


「お前は誰だ?」
もう一人の自分が言う。


「要石ですが? 何の変哲も無いただの石ですよ」


「では私は誰だ?」


「知りませんよ、俺と一緒だけど俺じゃない」


ひどく気味が悪い。
自分と対峙しているなんて。
凄く嫌な感覚。


「では…私は…」


…ソイツが非想の剣を構える。


「お前になる事で意味を見つけよう」






「まじですか…」
一瞬ソイツが踏み込んだかと思うと左腕を肩から根こそぎ抉られていた。
こういう時、要石でよかったと思う。


「………」
ソイツは無言で再び剣を構える
非常にまずい、片腕が持っていかれている時点で鍔迫り合いに持ち込んでも明らかに不利だ。
かといって、当身さんのように当身することも、盾さんのように防ぎきることも出来るわけがない。


「ということで取り合えず逃げの一手!」


ソイツが踏み込む前に残った右腕でカードを取り出す!
「天罰【地砕の石柱】!」
宣言すると同時にソイツと自分の間に石柱が落ちてくる。
更に石柱は辺りにも降り注ぐ。
ソイツからは自分の事は見えなくなるはず…。


「……話にならない」


目の前の石柱に斜めに線が入る。


「……冗談ですよね?」


石柱が音を立てて崩壊した。
相変わらずソイツは剣を構えなおしてこちらを見ている。


「……冗談ではない、この緋想の剣、必ず相手の弱点を突き、崩す。」


……何かがおかしいと思っていた
自分の持つ非想の剣はガラスのような無色透明
相手の持つ剣は橙がかった美しい色
そもそも非想ではなく、緋想の剣だったわけだ。


「分が悪いにも程があるってレベルじゃない…」


「来ないのか? では私からゆくぞ?」
再びソイツが踏み込もうと…




「そうはさせるか!」
残った右手だけで全力で非想の剣を投げる!


「遅い!」
ソイツは少し屈むだけで非想の剣を避けこちらへ向かってくる


「そっちこそ、ウチで飛んでくる鉈やらナイフやらに比べたらずいぶん遅い!」
あらぬ限りの全力を持ってバックステップ
相手の一太刀は本来自分の胴があったところの空を切った。


「…避けたか」
「そりゃ死活問題ですから」
ソイツは追撃してくるでもなく、ゆっくりと剣を構えなおす。


「しかし、剣もないお前に何ができる」
「いや、意外と何でもできるもんですよ? ということでさようなら」
「…?   !」


ソイツは咄嗟の所で横へ飛びのく。
ソイツの居た場所を先ほど投げた非想の剣が戻ってくる。
余計なこと言わなければよかった。


「因果の剣です。 後方注意」
「…面妖な」
「そうでもないです…よっと!」
もう一度投擲する。


「だが二度同じ手は食わぬ」
再び難なく避けてコチラへ向かってくる。
さっきは薙いだのでリーチが足りなかった、つまり今度は…。


先ほどと同じようにバックステップをする。


「甘すぎるわ!」


ソイツは思いっきり突きを繰り出してきた。


突きは深々と腹に刺さり、背中へと突き抜けている。
助からないレベルで即死だろう…。


「まぁ、一般的な人ならねぇ」
「…何?」


ピンピンしている自分にソイツが驚いている。


「まぁ、緋想の剣は必ず相手の弱点を付くことができるわけで…残念ながら自分に弱点無いんですよ」
確かに簡単に割られるだろう。
基本的に弱いところはいくつでもある。


だが、自分の本来の姿である


要石の姿に弱点といえる弱点は無い!




「…ということで、残念ですが…」
カードを放り投げ、剣を抜き逃げようとするソイツの肩を掴み、宣言する。


「無常【因果応報の剣】!」


投擲された剣がこちらを向いて静止する。
剣の周りの空気が振動する


「…お前、何故そうまでして私を倒す」


「さぁ? やられたからやり返す…じゃなんか悪人の答えですしね…一つあるとするなら」




非想の剣が轟音を立ててコチラへ発射される。






「自分が今いる事に意味を見つけてないんで。 見つけるまでは他人に任せられませんよ」






周りの空気も巻き込んで、非想の剣はソイツと自分を抉り取った。










夢を見ていた気がする。
でも、夢の内容は忘れてしまった。


と、いうか要石でも夢見るんだ!
始めて知った新事実!


まぁそんなことはどうでもいい。
問題は…


「なんで、また埋まってるの?」


ご丁寧に校門の横に埋められている自分だった。
むしろ…めり込んでいるという雰囲気がある。
多分不特定多数の誰かに投げられたんだとは思うのだが…。


「投げられた時点で気づけよ自分!」


セルフツッコミはどこか遠い空へ消えていった。


「やほー、要石さんどうしたの~?」
「あ、いよて―――」


ガッシャァァァァァァン


言い終わる前に粉砕された。




言い終わる前に粉砕された!!!





「言い終わる前に粉砕された!!!!!」
「ああっ! 要石さんが!」
「いや、あんたが割ったんだよ!」
あれ?そうだっけ? と、いよてんさんが手に持ったセ○ダインで修復を行ってくれた。
割った本人だけどね!


「まぁ、割れたことは置いておいて」
「いや、割ったのあなたですけどね!」…とか言うと話が進まないので心の中でとどめておく。


「次の授業が始まるから回収に来たんだ」
「何その備品みたいな扱い! せめてもうちょっとランクアップさせて!」
「んーじゃぁ、捕獲に来たんだ」
「凄く実験用の生物みたいな扱いになった!」


あー…何故だろう、凄く開闢したくなった。
瀟洒!先生にまたナイフ刺されるからやらないけどね!


「まぁ、いいです。 早く行きましょう……ってもういねぇ!」
いよてんさんは既に校舎へと走っていっている。
まぁ、投げた本人に遅刻の罪は擦り付けることにしよう。


ふと見上げた空は青く。
今日もいつものネちょ学だった。





あとがき&謝罪をする程度のスペース

(´・ω・`)凄く…投稿するのが遅くなってすいま




(´・ω:;,.,.,.,.,.ガシャーン


いや、本来バトル物を作りたかったんですよ!
自分メインのやつ!
そしたらなんだかお風呂で磨いている時に何かがこーりん、もとい、降臨してしまって!


勢いで書き上げましたo,.,.,.rz




特別出演のいよてんさん、苦情があったら何なりと!
ただ、割るのだけは勘弁してください!




次回はハートフルコメディかければいいなぁ…

コメントスペース

  • ペロッ……これは玄人の味っ! いや、なんか話の構成とか上手くてついですね← さておきかっこいいです要石さん。強いです。不死身勢の中でもかなり上位じゃないですかーw 楽しませて頂きました。次回作が待ち遠しいですに! -- マナ識@ここな? 2010-05-08 (土) 14:28:12