目次
注意書き
このSSはネちょwikiでの設定、他の方々のSSの設定、自分独自で考えた設定などが含まれております。
あらかじめご了承ください・・・・・。
もし嫌な表現が気になった方は、こちらにお知らせください。
次から気をつけるか、訂正などさせていただきます。
なお、私は作品をうpしてから誤字脱字を直す駄目な人です。
後からだと色々と変わっている場合があります。ご注意ください。
本編
「あいつに感じられるのは、一つの核。……リィちゃんならどこにそれがあるか分かるね?」
リィは、縦に頷く。
ルティの胸に……一つ、エネルギーを感じていた。
そのエネルギーの核により、ルティは生きている。
「あたいが攻撃を引き寄せるから、リィちゃんはその核を壊してくれないかい?」
「……分かりました」
「うっし、行くぞおらあああああああああ!!」
刹那は鎖鎌を持って、ルティに向かって走り出した。
そこに五人の人形と呼ばれた人が襲い掛かる。
刹那は鎖鎌をひゅんひゅんと超高速で振り回す。
五人は吹き飛ばされてはまた襲いかかり、また飛ばされてもまた襲い掛かってくる。
彼らには肉体と言うものがなく、魂の欠片で構成された人達。
それゆえに何をされても痛みを感じることは無く、永遠に襲い掛かってくるのだ。
リィはスペルカードを取り出し、弓をルティに向けた。
確実に仕留める為に、かなりの集中力を用いるスペカ。
発動に時間がかかる……。
「しつこい奴らだねぇ……!!」
「ワタシノニンギョウタチヲナメナイデホシイワネ……!!」
刹那の鎖鎌の攻撃を潜り抜けた、ヴァンが刹那の腕を掴む。
そして、いきなりヴァンの手からロープが現れ、手足を縛った。
「ぐ……ッ!?」
「ツカマエタ!!」
ロープは五人の人形と呼ばれた人達によって四方に引っ張られる。
体がミシミシとなり、今にでも手足が捥げそうであった。
刹那が、声にならない悲鳴をあげる。
「刹那さん……!」
「あたいに構わずに、それを放つんだよ!」
「でも……ッ!」
「あたいは大丈夫だよ……だから、放てぇ!!」
リィは、弓に力を込めた。
龍の形をした矢が、弓に徐々に現れてくる。
「コイツヲミゴロシニスルキカ? キサマガソンナコトデキルハズガナイ!!」
「刹那さんを信じる……ウチは……」
「あんたみたいな人形なんかじゃない!!」
究極『画竜点睛』。
弓から矢が……いや。
竜が放たれた。
光速の龍の矢が放たれ、ルティの胸を貫通する。
的確に相手の急所に向かって、放たれる。
それがこのスペルカードの効果であった。
一撃必殺の龍はルティの体にあった生命の核を貫き、ルティの体が倒れる。
しかし……リィ達が見たのは……。
相手を倒した感動などを一切感じられない光景。
――四方に手足が捥げた刹那の姿だった。
「――ぃ……!?」
リィは刹那の元に走った。
五人の人形は既に動きを止めて、動く様子が無い。
刹那にもっと近寄ろうとした時。
リィは途中で足が止まる。
間近で見て……その生々しい光景が、酷く衝撃的であり……ショックで頭が混乱し始めていた。
赤い血が、辺り一面に流れる。
刹那の顔はうつ伏せになっていて、見えない。
というよりも……今は表情など見る余裕も無いだろう。
リィは崩れ落ち両手で顔を隠し、泣き続ける。
もしあの時、ルティではなく人形と呼ばれた人達を狙えば。
刹那は救えたんだろうか?
もしあの時、刹那の言葉を無視してでも助けていれば。
刹那は……死なずに済んだのだろうか?
残ったのは……後悔だけだった。
罪悪感が、リィを襲う。
「ケケケケ……ザマアミロ……ザマアミロ……」
ほとんど壊れかけたルティが、そう呟いていた。
そこにエミーがルティに向かって近づいてくる。
エミーも涙を流し、壊れかけたルティを見下ろしていた。
「――!?」
エミーは突然、ルティを抱きしめて泣き出した。
ルティは大きく目を開き、エミーを見つめる。
何故自分を抱きしめてくるのか、理解していないようだ。
「ナゼ。ダキシメル? キサマラノナカマヲコロシタトイウノニ……」
「御免ね……人間が身勝手で……御免ね……許してね……」
「……ナニヲ」
「あなたは捨てられたお人形……。悲しかったんでしょう、寂しかったんでしょう。御免ね……御免ね……」
「ナゼ……キサマガアヤマルンダ……?」
「私は貴方にこれ位のことしか出来ないから……この世に悪い人ばかりじゃないということを覚えていて……そして御免ね……」
エミーは何度も何度も謝った。
ルティの為に、エミー自身は関係の無いことだと言うのに。
彼女は謝り続ける。
「――ニンゲンハキライダ。ワタシヲミステタニンゲン……イラナクナッタラスグステルニンゲン……ダイッキライダ……」
「……ルティさん」
「ダケド……ソノヌクモリ……ナツカシイ……ニンゲンッテコンナニアタタカイモノダッタノカ……」
ルティは笑う。
狂い笑いではない。
綺麗に……笑った。
少女のような可愛いお人形さん。
ルティは……幸せそうに笑う。
「シンジ……イノチヲクレテアリガトウ……。エミー……ワタシヲダキシメテクレテ…………『ありがとう』」
彼女ははっきりとありがとうと言った。
ルティは動かなくなる。
核が機能しなくなったのだ。
それと共に、先ほどから動かなくなっていた、五人の人形と呼ばれた人々は消えてしまった。
ルティは綺麗に笑い……元の人形に戻ったのである。
しかし、刹那は未だに死んだまま……。
悲しみだけがそこに残った。
「あれ……なんで図書館なんだろう」
いきなり男の声が聞こえてきて、リィとエミーは図書館のロビーを見つめる。
そこにいたのは、刹那の執事である和也だった。
「和也さん……?」
「おぉ、リィさんじゃないですか。お嬢様を見かけ……」
その時リィの前にある者を見て、和也は溜息をついた。
刹那の姿を見た時の反応は……溜息。
和也は驚くこともなく、叫ぶことも無かった。
「お嬢様また無茶を……」
「和也さん……刹那さんが……刹那さんが……っ」
「あぁー。大丈夫ですよリィさん。泣くことありません」
それはどういう意味?
そう聞こうとしたリィさんだが、突如背後に異変を感じた。
振り向くとそこには刹那はおらず……あるのは真っ赤に染まった血の池。
赤い血はぐじゅぐじゅと蠢き、1ヶ所に集まりだした。
「お嬢様は、存在自体を抹消されない限り、蒸発しようが、切り裂かれようが、蘇生する事できる吸血姫……この程度で死ぬはずが無いじゃないですか」
そして、赤い血が固まり出し……弾けた。
そこから現れたのは刹那。
笑顔で立っている刹那だった。
「刹那っ……さん?」
刹那の名を叫ぼうとしたリィだが、途中で疑問系になる。
何故、刹那かどうかが疑問系になったのかというと……。
「あたち! ふっかちゅ!」
幼い刹那が……そこに立っていたからである。
口調も何かおかしい。
ナイスバディの刹那は、そこにはいなかった。
小さく子どもの姿をした刹那が、そこにいた。
「ただし、お嬢様は一度力を失うと、このように幼くなってしまうのですよ」
「うっさい! かじゅや、おちゃないゆうな!!」
「お嬢様。一度落ち着いてぐふぉあ!!」
膝を思いっきり刹那に蹴られ、和也は痛み苦しんでいた。
幼いという点を抜いたら、いつもの刹那で間違いなさそうだ。
「りぃちゃんごめんねー。しんぱひさてちゃってー」
「――生きていて本当によかった……」
「あっはっは! あたちはそんなにかんちゃんにちぬわけあるかー!」
元気よく笑う刹那。
思考能力が退行してこのようになってしまったが、刹那は生きていた。
それだけでリィは、安堵する。
自分の判断は間違っていなかったのだと。
信じてよかったのだと……。
「そちてりぃちゃん。いまのじょうちょうをせちゅめいしてくりぇないかねぇ?」
「――……実は」
リィは刹那に今の状況を説明し始めた。
空間歪みのこと……犯罪者のこと……。
義兄である酒飲みスーさんのことも。
そして状況を説明し終える時には、能力発動者であったルティを倒したせいか……。
――ネちょ学の黒い花は散って、空間の歪みは無くなっていたのである。
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コメント欄:
- ふーむ、ふむ、可哀想な人形だったんだなぁ……。身勝手さについてはまぁ、どうしようもないからなぁ。何とも言えない。そして、幼刹那さんに吹いたw -- ドックンドール? 2009-09-03 (木) 19:04:32
- せつなさんつえーーーーーーーーーーーーー -- 泥酔? 2009-09-04 (金) 19:37:16
- アーカー●さん思い出したwwwww -- 朧? 2009-09-05 (土) 00:27:34
- エミーさんうがぐぐ(うω;`) 聖母すぎるぅ。 ルティを狂わせた人間ってホント罪深いよね。 そしてやっぱり吸血鬼の生命力ってすごい。 でも、復活の代償が…… あれ、可愛い…?(゜∀゜) 今回のような「死」を意識するような話は、個人的にすごくツボなので良かったですb まさか読み終わる前に泣かされるとは思わなかったぞスーさぁぁん!!(♯´∀`)σ)Д`) ブツリ -- 闇夜? 2009-09-27 (日) 09:49:41