Last-modified: 2009-11-17 (火) 17:29:52

目次

注意書き



このSSはネちょwikiでの設定、他の方々のSSの設定、自分独自で考えた設定などが含まれております。
あらかじめご了承ください・・・・・。


もし嫌な表現が気になった方は、こちらにお知らせください。
次から気をつけるか、訂正などさせていただきます。

囁く声







         ――空に浮かぶ星の正体が知りたくて
               ――彼は亡くした者を探すことにしました。





本編





 私立ネちょネちょ学園。


               ・生徒総数不明
               ・敷地面積不明
               ・経営体制不明


 という謎の教育機関であるが、それは確実にどこかに存在している。
 今日もネちょい一日がこの世のどこかで繰り広げられているのだ。




 ネちょ学は――黄昏色に染まっていた――。








                 【1】~彼の呟き~




「星って、何で存在するんだろうね?」




 私、酒飲みスーさんはそう呟いた。
 時は既に深夜。
 学園の屋上にこっそりと侵入し、星空を眺めていた。




「死んだ人は……何処に行くんだろうね?」




 誰もいない中、彼はまた呟く。






 空に浮かぶ満点の星空。


 何故、其処にあるのか。
 何故、存在するのか。


 真実は闇に堕ちたまま。
 星は闇の宇宙を彩って。
 虚偽の真実を伝えてる。


 真実は虚偽、虚偽は真実。
 何が真実で、何が虚偽なのか。
 それは分からない。
 分からない真実が、分からない虚偽が。
 そこに、在る。


 光、求めて。
 真実、求めて。




 ――星、探す。








                 【2】~宇宙(そら)を眺めて~




 夜のネちょ学園。
 空には光が点々と散らばっていた。
 地上から見える宇宙(そら)の様子は、人々の心を虜にする魔力がある。
 そして、私……B.B.もその虜になっていた。


 周りには黒い鳥が、数匹群がっている。
 私は校庭のベンチに座って、ぼーっと地上から宇宙(そら)をみていた。
 空に浮かぶ星を見つめて。


 私は探していた。
 亡くした者を、探していた。
 星を……探していた。




 ――私は、探している。












 『黄昏のネちょ学Ⅲ ~星を探して~』












                       ~@~




 カァーッ カァーッ
      バサバサバサバサ……。




 私の周りにいた黒い鳥は、突然飛び去っていってしまった。
 それもそのはず。
 こんな夜中に、そしてこんな所に訪問者だ。




「何をやってるんだ? B.B.?」




 黒い服を着た私とは正反対の、白い手術衣を身に纏う者。
 養護教諭のズベン先生である。
 その腕は確かなもので、何人もの患者を助けてきた先生。
 しかし、何故か学校で勤務している先生だ。


 何故彼女が、学校で養護教諭しているのか。
 彼女の過去に何があったのか。
 それは未だに知られていない。


 というよりも、この学園自体が謎である。
 生徒総数不明、敷地面積不明、経営体制不明という謎の教育機関。
 更に生徒には普通と言われる先生、生徒はほとんどいない。


 メイド服を着た先生、勤務中にも関わらずお酒を飲む鬼。
 カレーが大好きな生徒、神出鬼没で頻出水没な生徒などなど。


 特徴のある方々ばかりだ。


 そんなもんだから、ズベン先生の謎な部分も不思議と気にならなかった。
 ズベン先生は私の隣に座り、煙草を吸い始める。
 彼女が煙草を吸う姿は、絵に合っていてかっこよかった。
 しかし、やはり煙草とは体に良くない。




「煙草の吸いすぎは良くないですよー?」
「いいだろ、うめぇーから」




 すぐに言い返された。
 まぁ、言うだけ無駄だろう。
 別に煙草吸うのを禁止させる権利が、私にあるわけもないし。
 再び私は宇宙(そら)を見る。
 そして、星を一つ一つ見渡す。
 ――やっぱり感じられない。




「何か探しものか?」
「え?」
「最近。お前星ばっかり見てるだろ? 気になってな」




 最近……。
 というか、学園に来てからほぼ毎日だったかもしれない。
 星空を見ることによって、見つかる気がしたから。
 私の亡くした者を……。




「……生き物が死んだら星になるっていうじゃないですか。それで少しね」
「あぁ? 風香さんでも探してるってか?」
「いえ……あの子ではありません」
「じゃあ、誰だっていうんだ?」




 ズベン先生が、多少荒々しく聞いてくる。
 しかし……よくもまぁ、こんな馬鹿な話に付き合ってくれるもんだ。
 少しだけ、私はありがたく思った。


 私の探している人……。




「私は……父さんと母さんを探しているんです」
「父と母……死んだのか?」
「えぇ、恐らく」
「……そうか」




 死んだかどうかは確信できない。
 でも……恐らく死んだ。
 私を助けるために、父さんと母さんはなくなった。


 愛する息子のためを思い、両親はいなくなったのだ。




 私は、元はこの時代の人間ではない。
 とある出来事により、未来からやってきた。
 時間旅行の末に、偶然にも過去にやってきてしまったのだ。
 そして辿り着いたのが……ここ、ネちょ学。
 そのままの流れで数学教師に就任したのである。


 まったく可笑しな話だ。
 こんな謎な私でも、この学園は受け入れてくれた。
 沢山の友人ができた。
 毎日それなりに幸せな生活をしている。


 でも……その代償に父さんと母さんを失った。
 父さん……リウ。
 母さん……ソーマ。
 二人とも、星になってしまったのだろうか。
 それなら探し続ければ……いつかまたあえる日が来るのだろうか?


 分からない。
 私を愛してくれた父さんと母さんに、会いたい。
 でも、その願いはずっと叶わぬままであった。


 それでも、私は欲する。
 それでも、私は願う。
 それでも……私は探し続ける。


 星になった父さんと母さんを、今もずっと捜し続けていた。
 宇宙(そら)は今日も星が宝石のように輝き続けており、綺麗だ。


 星には、人の心を虜にする魔力がある。
 私は、宇宙(そら)に浮かぶ無限の星を見つめ続けていた。




「まぁ、見つかるといいな。お前の探し物」
「えぇ……」




 ズベン先生が、私に向かってそう言った。
 いつか……見つかるはず……。




「だがな、これだけは覚えておけ」




 ズベン先生はベンチから立ち上がると、語り始める。
 彼女は私を悲しそうな目で見つめてきた。




「亡き者には……もう二度と会えない。どんなに探そうと、絶対にな」




 ――あいつだって……どんなに願ったって、戻ってこなかったからな……。




「ぇ?」




 ズベン先生の呟いた言葉に少し私は戸惑った。
 それはどういうことですか? っと私はズベン先生に呼びかける。
 しかし、ズベン先生はそのままスタスタと闇に包まれて消えていってしまった。
 再びここには、私だけが存在している。


 ――彼女の過去に何があったのだろうか?


 しかし、そのことについて応えてくれるものはおらず、私に静寂が訪れる。
 黒い鳥がバサバサと音を立てて戻ってきた。
 何故か私の周りにはカラスが来る事が多い。
 まぁ、何も害を与えてこないし、私が嫌がればすぐにいなくなるから別にいいのだが……。


 B.(BLACK)B.(BIRD)。
 やはり、私が名の通り黒鳥と呼ばれる存在だからだろう。
 黒い服装をして、他の人にはそれっぽく見える時もあるらしい。


 だが、それでも良いように思えた。
 黒い翼を持ち、鳥の中でも賢い頭脳を持って、相手を仕留める。
 忌み嫌われる存在なのかもしれない。
 でも、それでも良いと思っていた。
 別に忌み嫌われてるようではないし、気にすることはないだろう。


 黒い鳥は私を見た。
 私も見つめ返すと、いきなり黒い鳥は宙を飛んだ。
 そして高らかに鳴く。


 普通なら何も思わないかもしれない。
 しかし、私にはあの黒い鳥に呼ばれた気がした。
 そのままその黒い鳥を追いかけることにする。


 校庭のど真ん中まで、黒い鳥が飛ぶと、急に空高く舞い上がった。
 黒い鳥を私は目で追いかける。
 すると……。


 宇宙(そら)から、流れ星が降って来た。
 いや……流れ星じゃない……。




「……人!?」




 そう……。
 背中から翼が生えた人が、上空から落下してきた。


 私は、急いで落下地点まで走り……その人を両手で抱きかかえる。
 あっぶな……!!


 私は両手で抱きかかえた子を見た。
 どうやら、女の子のようだ。
 お、親方ー! 空から女の子がー!!
 ……というお約束のネタはともかく。


 小さい体に半袖半ズボン。
 髪留めで髪を留めている。
 腰には何か『うー』と描かれた旗。


 あぁ……この子ですか。




「れみうーさん……何やってるんですかこんな時間に」




 ネちょ学の恐るべきドジッ子。
 れっみっりっあっ!うー。通称れみうーさんである。
 何で空からいきなり……てか、空を飛べたんですかこの子。
 羽とかも生えてるし……ってあれ?
 そう思っていると、羽は見る見るうちに体の中に収納されていき、何事もなかったかのように普通の背中になった。
 どういう体の構造なのだろうか……?




「うにゃぁ~……? ぉー、びびさんだ~。やほーっ」
「やほーっ……じゃなくてですね」
「散歩してたーっ!」
「空中浮遊しながらですか」
「気持ちいいよー! でも、なんか飛びすぎたせいか……頭がうぼぁ~……」
「やれやれ……」




 この子はいつもこんな感じである。
 よくかりちゅまじゃないとか、自分はカリスマがあるとか言っているわりには、それに見合った行動が全くといっていいほど見受けられない。
 まぁ、本当に稀にならありますが。


 というよりも、昔は多少はカリスマがあったけれども、いつの日か、少なからず大切に持っていたカリスマを失くしてしまったのか、こんな子になってしまった。


 それでも、この子は人気者である。
 主に可愛らしいとか、面白いとか。
 まぁ……さすがに授業中に電波ソングを、大声で歌ったりするのは迷惑になりますけどね……。
 そんな私は、良く彼女と長時間『スペルカードルール』で対戦したりする。
 何故か知らないが、私に懐いてくる事が多かった。


 そして彼女も私も長時間戦うことが多かったため、周りの人からはよく仲良いねといわれたものだ。
 しかし……先生と生徒という関係のはずなのに、良くもまぁこんなに交流が深まる学校だこと。
 普通なら、先生とか嫌われたりするはずだけれども……この学園に関しては、それが全く見受けられない。


 まじあのせんせーうぜーよなぁー!!
 とか、そんな会話があるのが普通だと思うのだが……ここは全くといってもいいほどない。
 良い学園だな……と思いつつ、私はここの学園の先生になっている。




「びーびーさんは何してたのー?」




 私に抱きかかえられているれみうーさんは、そう言ってきた。
 まぁ、確かに私もこの時間にここにいるのは不思議なのかもしれないねぇ……。




「ちょっと探し物ですよ」
「へー? ねぇ、なになに~?」
「ぇ……いやー教えられるものじゃ……」
「おーーーしーーーえーーーーてええええええええ!!」




 大声でそう私に叫んできた。
 彼女は我侭である。
 まったく困ったものだ……。




「ちょっと……星を見て、亡くなった人を探していたんですよ」
「亡くなった人~?」
「ほら……人って死んだら星になるって聞いたことありません?」
「ぉー! あるよー!」
「……まぁ、それは嘘なんでしょうけれども。それでも私は信じて探しているんです。……私を愛してくれた今は亡き父さんと母さんを」




 どこかで聞いたことあるだろう。
 『人は死んだら、星となって輝くんだよ』というようなことを。
 それは嘘なのかもしれない。
 でも本当なのかもしれない。


 真実は誰も知っていない。
 だからこそその可能性を持って、私は探し続ける。
 また、両親に会いたいから。




「……びびさん」
「ん?」
「会えると良いね、お父さんとお母さんに」
「……そうですね」




 無邪気な彼女の反応。
 私はにっこりと笑い、そう言葉を返した。






 宇宙(そら)に散らばる輝く星。


 無限なるあの星達は、一体何の為に其処に在るのか。
 真実は誰も伝えられず。
 虚偽は誰も伝えられず。
 何かの為に、其処に存在する。


 其処に答えが在るのだろうか。
 其処に求めるものが在るのだろうか。


 真実も虚偽も誰も知らず。
 星は何時までも輝き続ける。


 ――でも、私の求めているものは、其処に在る気がする。


 星の中に在る気がする。
 輝く宝石のような星の中に。
 だから私は探し続ける。




 ――唯一の星を。







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コメント欄:

  • ちくせう…。 シリアスモードにどっぷり浸ってたのに…… お、親方ー! のせいで吹いてしまったジャナイカ# れみうーさんは相変わらずかりちゅまだねぇ…w でもそれがイイb -- オワタ☆残骸? 2009-06-17 (水) 21:43:27
  • ちょ、待って! 持ってかないでー! ごめんなさい。シリアス展開をしているのに本気で吹きましたorz まさか、それを持ってくるとは思ってもいなかったんです。というか、設定が設定だけにそれを利用したSSが出てくるとは思ってもいなかったんですorz 僕の長期熟成エビス返してorz -- ドックンドール? 2009-07-30 (木) 19:48:10