目次
注意書き
このSSはネちょwikiでの設定、他の方々のSSの設定、自分独自で考えた設定などが含まれております。
あらかじめご了承ください・・・・・。
もし嫌な表現が気になった方は、こちらにお知らせください。
次から気をつけるか、訂正などさせていただきます。
囁く声
――それが普通だと思っていたから。
――彼は自由を知らなかった。
本編
私立ネちょネちょ学園。
・生徒総数不明
・敷地面積不明
・経営体制不明
という謎の教育機関であるが、それは確実にどこかに存在している。
今日もネちょい1日がこの世のどこかで繰り広げられているのだ。
ネちょ学は――黄昏色に染まっていた――。
【1】~彼の戯言~
それは、彼らが1年⑨組だった頃の話。
「どんどん生徒が増えるんですね……この学園は」
1年⑨組の教室で1人、酒飲みスーさんは呆れたように言う。
このネちょ学では、創立されてから僅かしか経っていないというのにも関わらず、まるで誰かに集められているんじゃないかというくらい、転入生がやってくる。
そして今日も1人。
しかも、この1年⑨組に転入生がやってくるらしい。
一風どころか十風変わったこの学園でも問題クラスとされるこの組。
所属者も個性的な生徒たちばかりである。
「さて、今度はどんな物語を背負った人が来るのだか……」
酒飲みスーさんは、戯言を吐き捨てるのである。
その戯言を聞いている者は、誰1人いない。
――彼は1人ぽつんと席に座って、誰も寄せ付けることはなかった。
【2】~過去の記憶破片~
滴り落ちる血。
赤い水溜りが、私の足元に広がる。
鉄生臭い匂いが、鼻に纏わりつく。
今回の任務を遂行する為にも、私は主を守ることを決意。
それが1番、任務遂行する為にも必要なことだと思い、私は動く。
主を狙ってきた殺し屋。
主を車で逃がし、私はこの殺人人形と死のダンスを踊る。
その結果がこれです。
殺し屋を、返り討ちにしてやることに成功。
だが、私は致死量に近い血を流すことになってしまったのです。
死神の足音は……もう其処まで来ていました。
カツン、カツンと音を鳴らして、私に迫る。
やがて音は聞こえなくなり、私は瞳を閉じた。
「あ、……あなた大丈夫!?」
だがその足跡の主は、死神ではなく。
天使のような少女だった。
私は時の使者。
やらなければならないことがある。
私は殺戮人間兵器。
こなさねばならないことがある。
私は……【XII】。
任務を完璧にこなす者の1人。
感情など、存在しないはずだった。
なのに……なんだろう。
この心にあるものは。
――私は一体何者で……何の為に生きているんだ?
『黄昏のネちょ学Ⅴ ~時の使者~』
~@~
おかしい……なんなんですかこの学園は……。
私、XIIは心の中でそう呟いていた。
ここはネちょ学。
謎の教育機関とも呼ばれ、さまざまな噂を聞いている。
表では、どんな人でも誰でもウェルカム。
楽しい教育機関、ここにあります。
――と、言われていますが。
もっとも有名なのが、『人間兵器教育機関』という所でしょうか。
警察すらも関わることもない学園。
関わる者は、あの学園の事を知らぬ者か、よっぽど興味がある者くらいなのでしょう。
事情により、私はこの学園に来たわけですが……。
――なんなんですかこの学園は。
入学するのに、名前とハンコだけでOKとは……。
しかも数分後には、必要な書物と制服が届いてきましたし。
仕事があまりにも早すぎる。
しかし、これは楽に任務遂行できそうな条件。
これは生温い任務になりそうですね。
今回、特別に主から私に名前が決められました。
学園での私の名は……『世界』。
これほどありがたいことはないでしょう。
私はこの名で学園生活を過ごし、任務をこなすことになります。
とりあえず、連絡がくるまではこの学園で待機。
学生気分を味わうことができるのである。
ですが私はもう、高校生の年齢ではない。
なのに何故……私は高校1年生なのでしょうか。
意味不明。理解不能。
常識なんてものを殴り捨てたかのような、適当な学園。
絶対任務成功の為に張り切っていた私は、なんだか拍子抜けしてしまった。
私のクラスは、1年⑨組。
それにしても、随分とクラスの多い学校である。
これだと、蟻みたいな数の人間がゴロゴロいるのでしょう。
けれども……私は興味はない。
興味があるのは任務だけ。
私は、使者なのだ。
所謂、飼い犬。
命令は絶対である。
それが私なのですから。
他人の人生など……興味はない。
他人など、私にはどうでもいいのです。
――けれども、私にはただ1人だけ気になっていた者がいました。
1度、私を死の淵から救いの手を伸ばしてくれた恩人でしたが……。
もうあれから1年が過ぎました。
確か、ここの学園の近くで出会った気がしますが。
相手はもう覚えていないかもしれませんね。
そんなことはともかく……。
私は学園に入学したものの、時は既に昼休みらしい。
とりあえず、今日は見学だけという形で、学園内をうろうろしていた。
何人かの生徒に話しかけられたが、適当に挨拶をしてそのまま去る。
この学園には、任務期間中しかいないのだ。
他人と仲良くなりすぎ、任務に支障が出たらたまったものではない。
私は……孤独。
孤独こそが、至高。
孤独こそが、私を強くする。
そしてまた、任務を遂行するのだ。
1つ。また1つ。
まるで、操られるがままの人形の如く。
私はこれからも生きていくのだ。
――全ては、この世界の為に。
ふらふらと歩いていると、大きな図書館が見えてきた。
立派な図書館に、私はつい目を奪われる。
学園なのに、あんなに大きい図書館があるとは……。
どうやら図書館は、2Fの渡り廊下から行ける別棟になっているみたいである。
私は2Fに上り、渡り廊下をテンポ良い足取りで歩いていく。
そして図書館に辿り着き、入り口の扉をゆっくり押すと……それはまた立派な館内であった。
ずらりとぎっしり詰められた本。
更にまだ奥にも部屋があるのか、大きな扉があった。
が、一般の方は立ち入り禁止。
後から分かったことですが、どうやら閉架書庫に通じている扉みたいです。
それにしても――実に神秘的な光景。
まるで、高級ホテルにでも来ている気分だった。
まぁ、ここはホテルではないのですけれどもね。
「いらっしゃい~」
その時、誰かにそう挨拶された。
声をした方を見ると、緑髪のポニーテールの子がそこにいた。
まるで風のような、凛として、どこか可愛げのある子。
おそらく挨拶をしてきたということは、図書委員かなんかだろうか?
沢山の本を持ち歩き、ぱたぱたと可愛らしく棚に本を入れていっていた。
しっかりとしていそうな子だ。
私は靴からスリッパに履き替え、図書館に入室。
案内場を見ていると、何やら魔道書やらそういう類の物も存在するらしい。
一般の人が見たら、馬鹿らしいと思うだろう。
だけれども、私はそうは思いませんでした。
既に、この世に魔法というものは実在しているということを、理解しているから。
私もその魔法の使える1人。
世界を操る者の1人。
だからこそ、私は雇われているのです。
しかし……まさかこの学園でそのような本が普通においてあるとは。
スペルカードという、魔法のような技術なんかは、この学園では当たり前のように殆どの方が使えるようですね。
さすが裏では人間兵器教育機関と言われたものです。
もしかすると……。
もう私の周りには、敵だらけなのかもしれないですね……これは。
気を引き締めないと、1人1人が強敵で、瞬殺される可能性も大いに有り得る。
やはり、簡単にはこの任務は上手くいかな……。
「ああああああああ!!」
突如、1人の少女の大きな声が図書館に響き渡った。
驚いて私は、腰に取り付けてある小刀を抜き、構える。
もしかして……もうばれたというのですか……!?
そう思っていた私だったが、少女の顔――いや、どちらかと言うと先に、髪の色を見て驚いた。
「あなた……もしかして……?」
「うわぁ! 久しぶりですね!」
大騒ぎする少女。
秋を思わせるような紅葉色をしたショートヘヤー。
夕暮れ時の太陽のように美しく眩しい笑顔。
――間違いない。この少女を私は知っている。
確か名前は……。
「紅茶……さん?」
「はい。覚えていてくれたんですね、時の使者さん!」
まずい!!
私は刀を納め、急いで紅茶さんを抱えて、図書館の外に出た。
不思議そうに緑髪の子は見ていたが――って、追いかけてきてるじゃないですか!?
「ちょっと何しているの!?」
緑髪の子が走って、渡り廊下までやってきた。
この子と友達なのでしょうか……?
「いや、この子と話がありまして……ちょっとタブーな話を公の場で言われそうになったので、慌てて連れ出してしまいました。すみません」
私はそう言って、紅茶さんをおろした。
緑髪の子は、ちょっと納得行かない様子だったが、紅茶さんが大丈夫と言ってくれたお陰でなんとかなったようです。
危なかった……。
「ビックリした~。いきなり連れ出すものだから……」
「いや、ちょっと色々不都合な事があってね。ちゃんとその事については話しますよ。ちょっと人気のない所で話しいいですかね?」
「いいですよー。久しぶりにお話したいしね♪」
まったく。
まさかこの学園の子だとは思わなかったですよ。
私の存在が、沢山の人にばれてしまう所だった。
――確かにこの任務。一筋縄ではいかないかも知れませんねぇ……。
【3】~時の使者~
時の使者。
それは、国家が従える秘密組織。
主は……天皇陛下。
その元ににて、私達は任務を全うしていた。
時の使者はⅠからXIIまで、12人存在している。
それぞれ12人は……全員『時を操ることが可能』。
そしてそれぞれ特殊能力が備わっている。
その証拠に能力発動時、それぞれの担当するナンバーが、左目と右目に浮かび上がるのです。
――まぁ。いつでもその能力は発動できないわけですが。
天皇陛下から与えられる任務は――主に暗殺。
この国の『ゴミ』と判断した者を、抹消する仕事。
私達は……世界の為に尽くしている。
これが天皇陛下の裏の役職とされていた。
『ゴミ』を判断し、その者を殺害する為に私達に命令する。
暗黒の死神――それが時の使者。
命令は絶対。
私達は主の為に、命を賭けて任務をこなす。
それが私。
――時の使者12人の1人……『XII』。
そんな私が、1度任務に失敗したことがあります。
最終的には成功でしたが。
任務中――とある人物の護衛に当たっていた時の事。
その人物を狙う殺し屋が現われ、大怪我を追いました。
時を止められるとはいえ、私達は完璧ではありません。
真に完璧になれる時は……特殊能力が使える時だけです。
それ以外なら、時を止めるのにもかなりの体力消耗する為、迂闊には使えません。
相手は殺し屋で、しかも私がどのような存在か知っていたプロ。
私が時を止めようとしても、周囲に毒霧をばら撒き、近付けようとしない。
時を止めようが、毒霧がある状態で相手に近付くのは危険。
完全破壊できるかどうかも判らない状態で、一気に攻めるのは感心できない行動。
下手すると、時を止めたときの疲労で相手にやられる可能性もある。
「邪魔だ……。俺はあの男に用があるんだ」
「気が合いますね。私もあの男に用があるんですよ」
「なら……。何故邪魔をする?」
「――この任務は私以外の人が完璧にこなせるか判らないんですよねぇ。だから、邪魔します」
その刹那。
ガスマスクを着用していた殺し屋は、一気に私に近寄り、首に向かって手刀を突き出す。
慌てて避け、息を止め相手の腕を掴み思いっきり投げる。
コンクリートの塀にぶつけ、止めに小刀を腰から取り出し、三日月の弧を描くように相手を斬りつけた。
だが……殺し屋は服の中に鉄を仕込み、小刀を弾く。
殺し屋は素早く、蹴りを私の肩目掛けて繰り出す。
咄嗟に反応したものの、肩から血が流れだした。
――よく見ると、殺し屋の手と足にそれぞれ仕込み刀が装着されている。
「これは凄いですね……」
私は相手を敵でありながらも、心の底から感心していた。
ガスマスクに、身体には鉄仕込。
おまけに手足には仕込み刀。
それだけ身につけていながら、まるで豹のような動きで襲ってこれるとは……。
相当体に、重りがついているでしょうに。
「くッ!」
急に私の視界が歪んだ。
息を止めていても、目だけはどうしても毒霧の影響を受けてしまう。
瞳がヒリヒリして我慢できず、閉ざしてしまった。
敵を目の前にして、その行動は……明らかにミスである。
「毒は恐ろしいものだろう?」
殺し屋の声がすぐ傍まで来ていた。
まだ視界が回復していない……!
「――しまっ……!」
そう思った時にはもう遅かった。
鈍く輝く相手の仕込み刀が、私を喰らう。
右腹を抉られ、肉片が弾け飛ぶ。
地獄のような激痛が、私の身体に嫌らしくじわじわと伝わる。
――だが、逆にこの時が好機。
その好機を、私は逃さない。
勝利を確信している相手に、私は災厄をスピード配達。
返品は一切受け付けておりません。
「喰らえ、災厄を」
「は?」
男が間抜けな声を出すと同時に、辺りに……何かを砕く嫌な音が響き渡った。
私の小刀は、相手のガスマスクを破壊しつつ、その先にある脳を貫く。
それだけでは完全破壊とは言えない。
世には、これだけでは死なぬ者もいる。
人間に化けている妖怪である可能性もあるのです。
小刀を左右に抉り、傷口を広げる。
脳から血が噴水の如く噴き上げた。
最後にナイフを引き抜き、舞うように身体を横に1回転。
――相手の首めがけて小刀を襲わせ、頭と胴体を…………綺麗に真っ二つに切り裂いた。
「毎度ご利用ありがとうございました。お代金は――貴方の命で」
相手の頭を思い切り踏みつけ、粉砕する。
骨が砕け、血が辺りに散乱。
元は人間だったものが、奇妙な飛び散った砕けた骨と肉片に、変わり果てていた。
これが……XIIの能力を解放していない時の実力。
暗殺者は常に残酷であり、それ故に無駄のない美しい動きをする。
しかし、私の傷は予想以上に深い。
死はそこまで近付いて来ていた。
意識がだんだん……遠のいて……。
――そんな時だった。
私が彼女に出会ったのは。
「あ、……あなた大丈夫!?」
最初は、死神が迎えにでも来たのかと思いました。
ですが……だんだんとそれは違うものだという事を理解していく。
「お兄ちゃん! この人……奇跡の力で何とかして……!」
「――コイツは!?」
目が眩んで、よく前が見えない。
誰か二人が話しているようですが……耳に話の内容はあまり入ってこなかった。
「神からのお告げで、この者の正体が何者か分かった。助ける必要など、無いに等しい者だ」
「でも、お兄ちゃん……!」
「いいか? 一部ではこいつ、国家の殺し屋と言われている男らしい。――人殺しを、助けるつもりなのか?」
「――でも……ひっく……それでも放って置けないよぉ……すん……お兄ちゃん……」
少女の悲痛な泣き声が、聞こえてきた。
――もしかして、私の為に泣いてくれているのでしょうか?
何故?
人殺しの私を?
どうして?
「あぁぁぁぁ! 分かったよ! お兄ちゃんの奇跡の力でなんとかしてやる! だから紅茶! お前は泣かないでくれ!」
「ありがとう……お兄ちゃん……うぁぁぁぁん……」
「あぁ泣くな泣くな! お兄ちゃんに任せろ! ――まぁ、俺は手伝いしかできないのであって、助かるかどうかは分からない。後は、あいつの奇跡に信じよう」
「うん……」
その瞬間。
急に私の身体がふんわりと軽くなった。
なんですか……これは……?
何かの光に包まれた気分……。
そして、私の辺り一帯の視点が黒に染められた。
ここはどこだろうか?
私は、その黒の世界で歩き出す。
その世界の中で……私は1つの光を見つけた。
――なんだ、この暖かさは。
それに触れると同時に、辺りは黒から白に彩色されていった。
気がついた時は、どこかのベッドの上。
見慣れない天井に戸惑い、身体を素早く起こして周りを確認する。
それがいけなかった。
「うぐぅ!?」
唐突の痛みに耐え切れず、私は再びベットに寝転がった。
周りを見渡す余裕もない位、傷は深いという事ですか。
なんとなく見えた景色は、ごく一般の居間。
テレビと机がそこにあり、娯楽を楽しむためにあるソファーの上に、どうやら私は寝転がっているみたいだ。
血塗れだった服も、いつの間にか取り替えられて……。
――あぁ、そうだ。
確か私はあの殺し屋に右腹を抉られてそれで……。
「気がついた?」
誰かの声が、私の耳に入ってきた。
声の主を見ると……そこにいたのは少女。
秋を思わせるような紅葉色をしたショートヘヤーに、夕暮れ時の太陽のように美しく眩しい笑顔。
そう。
これが私と紅茶さんの出会い。
――命の恩人との出会いだった。
~@~
あの日私は……こう質問をした。
――人殺しが怖くないのか?
すると彼女はこう答えた。
――あなたには優しい心が見えるから……怖くないんだよね。
優しい心。
この私に?
冷徹で、触ると凍傷してしまいそうな程、冷たい心を持っている私に?
何故彼女がこう答えるのか、私は理解できなかった。
そしてどうして、私の存在を知ってしまった者を殺さないで任務に戻ったのか。
自分自身にも把握できずにいた。
――なんでしょうか……このぽっかりと胸に穴が開いたような気持ち。
――私は……一体……。
~@~
「そっかー。元気そうで良かったぁ」
そして現在に至る。
紅茶さんがニコニコと太陽のように微笑んでいた。
あの時、何故か紅茶さんの兄――奇跡さんに私の正体がばれていて、紅茶さんにもその事を知られてしまったのだ。
本当は、確実に削除しないといけない人間の筈なのに。
何故か殺す(消す)のを躊躇ってしまい、そのまま怪我の手当てをして貰ったと同時に、私は立ち去ったのであります。
このまま本来、任務以外の人と関わるのもまずい。
例え死の淵に追い込まれようが、任務を続行出来る限りするのが、私達時の使者である。
あの時の任務は……その時守った主。
殺し屋のボスを暗殺することであったのです。
殺し屋を育成し、そして殺し屋の貸し出しをさせていた者。
そうやって、大漁のお金を荒稼ぎしていた。
もちろんこれは違法行為。
殺し屋などという存在は、私達以外あってはならない。
しかしアリバイが完璧であり、警察は彼を逮捕することができずにいたのであったのです。
それに痺れを切らした主は、私に相手の素性を確認。
そして相手が行っている事が犯罪的行動ならば、暗殺の任務を命じられました。
最初にそのボスのボディガードとなり、任務に取り掛かります。
意外と容易く、ボディガードになれました。
事前にどの程度の実力があるかチェックがあり、それを見てかなりの実力者だと思ったのでしょう。
その任務の最中に、殺し屋がきたのですが……。
あくまでこの任務は、私がボスを暗殺と命じられた為。
ここは一旦守らざる得なかったのです。
結果……あんな事になってしまいましたが、何とか任務続行する事ができました。
そして後に、ボスの素性が発覚。
暗殺を実行し、見事災厄を届けることに成功したのです。
――その任務から……もう1年位の月日が流れたのでしょうか……。
再びこうして、あの時助けられた紅茶さんと会話をしている。
それがなんだか……不思議な気分で溜まらなかった。
胸になんかもやもやとした霧があるような感覚。
なんなんでしょう、この気持ち。
「で、なんで時の使者さんが……」
おっと。
今は周りに人がいないから良いものの、周りに人がいては大変な事になる。
下手すると……任務に支障が出てしまうでしょう。
それだけは、腕が飛ぼうが足が飛ぼうが阻止しなけばならない。
「すみません紅茶さん。今後、私の事は『世界』と呼んでくれませんでしょうか?」
「世界……?」
「この学園での私の名前です」
「うわぁ……広大な名前……」
いや、明らかに本名じゃないのですが。
それに関しての質問は無しなのですか……。
どうもこの学園は、常識から地球から月くらいまで離れているようですね。
「じゃあ、世界さんはもうこの学園の生徒なんだね♪」
「まぁ、そういうことになります。後、時の使者の事は内密にお願いしますよ?」
「分かってるよ~。危険な仕事だし、内密にされているんでしょ?」
全くもって、その通りであった。
学園側にも今回の任務は、黙秘している。
これから私は、主から命令がくるまでの間、この学園の生徒を演じなければならない。
不自然な行動は、失敗を招く。
擬態する動物のように、私は自然でいなければならないのだ。
誰にも悟られないように……ひっそりと。
まぁ、なんだかんだで紅茶さんは情報を漏らすことはなさそうだ。
素直な性格のせいだろう。
見た目はほわんほわんしているが、こういうのはしっかり守るでしょうね。
――しかし、もし守らないと言っていた時は、私は紅茶さんを暗殺しなければなかった。
というよりも、今まで時の使者のことがばれてしまった場合。
容赦なく、相手を殺害していた。
なのに何故……今回はこんなにも別例なのだろうか……。
「よし! じゃあ、世界さんを学園の皆に紹介しなくちゃね!」
「え? いや、私は……」
「いいからいいから! レッツラ、ゴー♪」
「ちょっと、紅茶さ……!」
考え込んでいた私に向かって、急にそんなことを言い、私の腕を掴んでどこかに向かって走り始めた。
ちょこちょこと短い足を動かし、満点の笑顔のまま走る紅茶さん。
――そんな嬉しそうにされると、嫌がることもできませんねぇ……。
しかし、辿り着いた先は……。
「皆ぁ~! 新しく転入する子がきたよ~!」
そこは……1年⑨組。
私のクラスだった。
――隠密行動しないといけないのですが……しまったな。
私は物事が狂い始めたことで、頭を抱える。
任務……無事にいくといいですね。
今回の任務内容は……『ネちょ学校長の暗殺』。
この学園が力を持ちすぎて、世界の脅威になる前に。
――確かにこの任務は、無事でいくものではなかった。
――ただ……それは……。
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コメント欄:
- ふふふ、こういう展開は大好物なのだ。 さすがスーさん(*'-')y─┛~~ 早くも調子を狂わされてる「XII」だけど、殺戮ましーんの彼がどう変わっていくのか…… とかその辺楽しみにしつつ次へー。 -- 闇夜? 2009-11-23 (月) 07:04:00