黄昏のネちょ学Ⅴ ~時の使者~ 3

Last-modified: 2009-11-24 (火) 16:46:23

目次

注意書き



このSSはネちょwikiでの設定、他の方々のSSの設定、自分独自で考えた設定などが含まれております。
あらかじめご了承ください・・・・・。


もし嫌な表現が気になった方は、こちらにお知らせください。
次から気をつけるか、訂正などさせていただきます。

本編



                  【5】~蠢く世界~




 ここは、とある港。
 時刻は夜中の午後11時45分。
 普段は人の気配もしないような場所だが……今日は違った。
 国谷刃が率いる、黒い服を着た男達が、50人位だろうか。
 銃声が鳴り響く、喧しい夜。
 黒い服の男達は銃を片手に、1人の男に撃ち続けている。


 その1人の男とは……奇跡のことであった。


 銃弾を奇跡の力を使い、跳ね返して相手の肩や膝に命中させていく。
 次々倒れていくが、銃を使用するのは危険と察知し、発砲を止めた黒い服の男達は、ナイフを取り出して、奇跡に向かって強襲。


「くっ!?」
「なんの小細工知らんが……いつまで持つかな?」


 幾人も、奇跡に銀色に光る凶器が、三日月のような弧を描きながら振り下ろされる。
 奇跡の力も……さすがにずっとは持ちこたえられない。
 運を意識的に発動させ、なんとか死から逃れるものの、いつまでも発動しぱなっしの訳にもいかないようだ。
 相手は恐らく、殺し屋のエキスパート達であろう。
 人間の限界に近い動きで、相手を圧倒する。
 いかにネちょ民で、スペルカードを使える者だとしても、この状況は明らかに不利。


 奇跡に猛獣の如く襲い掛かってくる得物。
 その猛獣が、奇跡の肩を抉った。


「うぐがぁ……ッ!」


 壊れた蛇口のように、血飛沫が舞い上がる。
 奇跡は前にのめり込む様にして倒れた。
 冬のコンクリートの冷たさが、奇跡の身体を凍えさせる。


「まぁ、妹思いのいい兄だ。……XIIの見せつけとして、こいつを殺しておこうか?」
「やめてぇぇぇぇぇ! うぐぅッ!?」


 国谷刃に掴まれて捕らわれている紅茶が叫ぶが、口に布を押し込められ、叫びは中断された。


「お前は黙っておけ。これは復讐……俺の父が殺されたのに、息子が何も思わずにいられるか!」
「だが……あんたらも……沢山の人を殺してきた……化け物……共だろ……ッッ!!」


 奇跡が息を荒げて、怒声を上げた。
 血の海が広がり、鉄生臭い匂いが充満する。
 何とか奇跡は、自分の能力を使い致命傷を避けたが、それでも重症であった。


「そうだ。そうして金を掻き集め、最高の暮らしを得ている。これほど最高の仕事はないだろう?」
「ふざけるな……! 人が死んで……何とも思わないのかよッ……!?」
「身内なら思うが……赤の他人ならばどうなってもいい」
「てめぇ!?」
「俺は、俺の人生が充実していればそれでいい!! それこそが俺の理想の世界だ!!」


 国谷刃は、懐から銃を取り出し、銃口を奇跡に向けた。
 今弱っている奇跡は、その攻撃を避ける事も避けさせる事も跳ね返らせる事も出来ないだろう。
 チェックメイト。


 ――絶望へのトリガーは、今、引かれた。




「全くもって、反吐が出そうな世界ですね。あなたの持つ世界は」




 ガィィン!!


 鳴り響く金属音。
 一瞬。
 本当に一瞬であった。
 何が起こったかも判らない。


 ただ……判るのは、奇跡は無事。


 そしてそこに……XIIが堂々と仁王立ちしていた。




 彼は、時の使者という因果の鎖を自らの手で破壊し、自分の世界を守りにきたのだ。




                      ~@~




 ふぅ……間に合ったようですね。
 まさか銃を所持して待っているとは、予想以上に相手も本気だということですか。
 小刀で銃弾を弾き飛ばすのって、結構集中しないとできないのですよ、まったく。


「おい……お前?」
「奇跡さん大丈夫ですか? すぐに救急車の方を呼びますので」
「何故だ? 何故ここにきた……?」


 奇跡さんは私にそう問う。
 何故……ですか。
 でも、その前に私も知りたい事があるんですけれどもね。


「それはこっちの科白です。何故、このような無謀のことを――警察くらい呼ぶべきだったでしょうに」
「……警察なんてもの呼んだら……奴らのことだ……紅茶をすぐにでも……」
「あぁ、なるほど。確かにすぐに殺されてしまいそうですね。――ご返事ありがとうございます」


 確かにあの人達のことです。
 下手な真似をすれば、人質なんてすぐに殺されてしまうでしょうね。
 それに大方、逃走の準備も済ませていることでしょう。
 港なら……船とか絶好の逃走用として使えますしね。


「それはともかく、何故お前がここにいる……? 任務はどうした?」
「えぇ。任務を遂行させる為に来たのですよ」
「?」
「そう、これは私が独断で行う『初任務(ファーストミッション)』」


 ゆっくりと私は立ち上がり、国谷刃を睨み付けた。
 私は、自信の世界を守る為にも……。


「紅茶さん救出&敵の殲滅を開始します」


 紅茶さんを救い出す事にした。
 私の世界には……彼女がいないと駄目みたいです。
 あの笑顔が無い世界は、あまりにも悲しすぎる。


「よく言ったよぉ。世界さぁん!」


 突如、どこからか妙に癖のある声が聞こえてきたかと思えば、目の前が黒い影に包まれた。
 これは……!?
 その影の向こうで、銃声が反響する。


「お痛が過ぎる子は、しまっちゃおうねぇ~!」


 影符『嘆きの影木』(なげきのえいぼく)


 黒い影は、数人の男達を飲み込む。
 男達の喚き声が影の中から聞こえ、更にその影に向かって銃を乱射する者達もいた。
 しかし、影に当たるどころか、銃弾はすり抜けて中にいる男達に命中していく。


 黒と赤で染まった、クリスマスツリーがそこに出来上がった。
 飾りつけは……傷ついた人間達。
 やがて影は蠢き、中にいた者達を地面に叩き付けた。
 メキメキ……と、嫌な音が辺りに響き渡る。


 しかし、確かあの影の技は……。


「やぁ世界さん。こんばんはだねぇ?」


 影の中から、1人の大柄の男がこちらを見つめていた。
 黒い服に、渋いおじさん顔。
 そしてこの語尾に伸びのある口調は……。


「しまさん、何故ここに?」


 そう。
 この男の名前はしまさんこと、しまっちゃうさん。
 私が学園で友達になった内の1人です。


「ちょいと頼まれごとでねぇ~。夜は私の支配下にあるから、どんどんしまっちゃえるよぅ?」


 そうしまさんは、自慢気な表情をして答える。
 確かに彼は、『影を操り何もかもしまっちゃう』能力を所持している為、この様な夜中では影のバーゲンセール状態。
 いかなる時でも、影を操縦することが可能である。
 この人は未だに謎が多い人ですが……れみうーさんというお嬢様の秘書をしている男。
 ということはまさか……。


「クックック……今宵は月が紅いわね」


 空高くから、カリスマな科白を吐き捨てる者がいた。
 ちなみに今日は月が見えていない。


 ――今日は新月の筈なのですが。
 っと、やっぱりれみうーさんもいたのですね。


 大きな漆黒な羽を持ち、ルビー色の眼光を持つ。
 ここまではいいが……幼女体系で、何故か体育服を着たまま空を飛んでいる幼女。
 彼女がれみうーさんこと、れっみっりっあっ!うーさんです。


 カリスマをただ漏れさせているが、どこか抜けているところもただ漏れの女性。
 一部のファンからは、萌えキャラだとか言われている。
 あの体系でも高校1年生であるというから、驚愕だ。


 彼女は1つのスペルカードを取り出すと、それを発動。
 れみうーさんの眼光が、更に紅く……紅く染まり……。


「紅瞳『ヴァンパイアウインク』」


 遥か下にいる男達に向かって、ウインクをした。
 すると、急に紅い光はどこかへ消滅。
 何も起こらないところ、不発かと思われた……その時。


「な……紅……っ!? グアアアアアアァァァァァァァァ!!」


 ウインクした先の地面から……紅き十字架、『不夜城レッド』が発動されていた。
 紅の炎が、男達を焼き焦がす。
 コンクリートに、血の雨が叩き付けられる。


「――何故あなた達がこんな時間に……」
「私が呼んだんですよっと!」


 そう私が不思議に思い、思わず呟いていたら、1人の男がこちらに向かって走ってきて、地面を命一杯蹴り、宙に飛び上がる。
 しまさんとれみうーさんが仕留め損なった相手が、れみうーさんに向かって、鉄の塊の雨を浴びさせようと、銃を片手に取っていた。
 さすが殺し屋というべきか……人間兵器と呼ばれた者達の攻撃(スペカ)を直撃しても尚、ピンピンとしている。
 だがその殺し屋の男達の周りに、黄色い結界が現われ、束縛。


「カレーにッ! ターゲットッ! オンッ!!」


 空中でカレーのルーの袋を片手に持っているさばさんが……そこにいた。
 ルーの袋を、銃のように構えている。
 そして、私達に……素敵なウインクをサービスしてくれた。


「T符『クライシスカレー』!!」


 カレーのルーが袋から飛び散り、束縛した者達に向かって猛スピードで滑空。
 ルーは、男達の身体を貫き……宙を旋回する。
 宙で花火のように、綺麗に破裂したルー。
 そして倒れた男達の上にルーが降り注いだ。


「人間カレーの出来上がりぃ!!」


 両手を広げ、街灯の光を浴びているさばさん。
 それはスポットライト見たいに照らされている主人公のように見えた。
 見た目はあれですが……恐ろしい技ですねぇ……。


「――じゃあ、ここからは世界さんの出番ですよ」
「はい?」


 さばさんはポーズを決めたまま、私に向かってそう言ってきた。
 既に40人ほど動けなくさせたこの3人。
 怒涛の追撃で、反撃すらもさせない所、戦いなれていますね。
 しかし、ここから私の出番とは……。
 残り約10人――詳しく数えると12人ですか。
 でも、何故今から私だけなのだろうか。
 協力してくれるのならば、最後まで一緒に戦ってくれると思ったのですが……。


「そろそろ――時が訪れるでしょ?」


 あぁ……。
 さばさんのその科白で思い出した。
 なるほど、確かにここからは一人の方がやり易い。


 57秒。


 もうすぐ――時が訪れる。


 58秒。


 私の世界が――訪れる。


 59秒。


 ――さぁ、動き出せ。




 12時00分00秒。




 こ
 れ
 が
 |
 |
 わ
 た
 し
 の……【XII】のちからだ。




 両目に……蒼き光が輝く。
 私の左目に今、XIIの刻印が刻まれ、特殊能力発動。


 ――タイムアウト。


 その瞬間……。
 私は、この世の時の中から……消滅した。




                     ~@~




「おい? 奴はどこへ行った!?」


 さっきまで確かに、世界はそこにいた。
 確かにそこにいたのだ。
 両目に蒼い眼光が宿った瞬間、彼はそこから消えた。
 霧のようにでもなく、何かの動作があったわけでもない。


 消滅したのだ。
 ぱっと消えたというのが、1番良い表現の仕方なのだろう。
 本当に彼は、急にこの世界の中から消滅したのだ。


「ゆ、油断するな! どこかに隠れただけだ! きっとどこかに……!」




「――えぇ。『あなたの目の前にいますよ?』」




 思わぬ所から、世界は現れた。
 蒼く燃え上がる瞳が、国谷刃を睨みつけている。
 世界はどこに隠れていたのだろうか。
 そして、どうしてそこにいるのだろうか。


 ――国谷刃の目前に……いきなり現れた。


 世界は国谷刃をこめかみに掌底を叩き込む。
 唐突の出来事に反応できなかった国谷刃は、唖然としながらそれを受け入れてしまった。
 そしてそのまま紅茶を、世界はお姫様抱っこし、また消滅。


 ――おかしい。
 おかしすぎる。


 国谷刃は、脳裏にそう考え込んでいた。
 何故彼は急に消え、急に現れることができる?
 何故急に、そのような動きを手に入れた?
 まるで――ワープ機能を搭載したロボットとでも戦っているようだ。
 何故だ……。
 計算外過ぎた。
 まさか奴の力が……ここまでとは。


 国谷刃は――時の使者の力を、見誤っていた。




                     ~@~




 ふぅ……。
 まずは1つ任務完了ってところですか。
 紅茶を抱きかかえ、私と紅茶さんは――時の干渉の枠から外れた世界にいた。


 世界は灰色に染まったまま。
 しかし……誰の動きも止まってはおらず、この世は止まってはいなかった。
 私は、紅茶さんの口から布を摘み出し、ぽいっと捨てる。


「大丈夫ですか? 紅茶さん」
「あ、はい……」
「なら良かった。――御免なさい。私の事情で、こんな危険なことに巻き込んでしまって」
「いえ、大丈夫です。ところで、ここは……?」


 紅茶は周囲をキョロキョロと子猫のように見回す。
 あぁ、そうですね。
 確かにここの世界は……私以外には見慣れない光景でしょう。
 だから戸惑うのも分かります。


「――ここは時の枠から外れた世界」
「ぇ?」
「時は動いているけれども……今の私達は、その時の中に一切関係していないのです」
「ようするに……」
「――今、相手の攻撃を一切受けることもなく、相手からは私達は消えて見えているでしょう。私達は、時の中に存在していないのですから」


 それが……私、XIIの力です。


 タイムイン。


 その刹那。
 灰色の世界は鮮やかに彩られ、いつもの鮮明な世界に戻る。
 紅茶さんをしまさん達に預け、私は再び時の枠から隔絶。


 タイムアウト。


 鮮やかな世界は、灰色という単色の世界に染まる。


 ――そう。これこそが時の使者達の持つ特殊能力の力。


 時の使者は、『自分のナンバーと同じ時の時間帯に、各それぞれの持つ、時に関連する特殊能力を発動することができる』。
 つまり、私――XIIならば、時計の針が12時指した今。
 0時0分0秒から0時59分59秒と、12時00分00秒から12時59分59秒の時間帯に力を発揮することが可能。


 そして私の特殊能力は……『自由に時の枠から外れ、入ることが出来る』能力なのです。
 この力を使用すれば、爆風であろうが、銃弾であろうが、『相手の攻撃を、完全回避することが可能』。
 何故なら、私はその時……時の枠から隔離された存在になっているから。


 私は世界を、自由に飛び回る。


 タイムイン。


 タイムアウト。


 タ
 イ
 ムイン
 ア
 ウ
 ト


 タイムイン
   ア
   ウ
   ト


  タ
   イ
    ム
   ア イ
  ウ   ン
 ト




  ン
  イ
 アムイタ
 ウ
 ト


   ト
   ウ
   ア
 タイム
   イ
   ン


 タイムイン。タイムアウト。タイムイン。タイムアウト。タイムイン。タイムアウト。インアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウトインアウト。




 ――自由に、世界の中を駆け巡る。




 私は時から外れ、男達の攻撃を完全回避し、時に入り、相手に拳でぶん殴った。
 今回は初めて……相手を殺すような真似はしなかった。
 殺してしまえば、きっとあの子が悲しんでしまうでしょう。
 私はそんな悲愴感は、受け取り拒否します。
 受け取るのは、あの子の笑顔。


 私には――それほどあの子は大切な人なのですから。


「ひぃ……!?」
「さて、後はあなただけですね」


 気づくと、国谷刃以外の者は、全て地に伏せて苦痛にもがき苦しんでいた。
 時の使者が特殊能力を使えば、最強の布陣となる。
 これこそが世界を守る為に備わった力。


 私は……私の世界を守る為に……。


「――喰らえ、災厄を」
「くるなぁ! 化け物!!」


 銃を構え、即、人1人軽く殺せる死の引き金を引いた。
 タイムアウト。
 銃弾を、時から外れ私は避け……。
 タイムイン。
 再度時の中に入り、相手を流星のような勢いで、拳を繰り出し地面に叩き潰す。
 コンクリートに叩きつけられた国谷刃は、呻きを上げ……気絶してしまった。


「毎度ご利用ありがとうございました。お代金は――」




「――いりません」




 私はクスリと微笑み、そう強く宣言する。
 私は自分の世界を守る為に生きる事にした。
 相手から奪うものなど……もう、何もない。


 ――欲しいのは、明日も私達が生きてく世界だけですから。




 その時、空から小さな白いものが舞い降りてきた。
 そうか……もう冬なんですね。
 ここから、私の世界は始まる。


 可愛らしい雪が、私を祝福してくれているようだった。
 これから私の新世界が始まる。




 ――私はこれから、私の大切なものを守っていくことだろう。








                  【6】~黄昏世界~




 その後。
 あれから1週間という時が流れ、ネちょ学が黄昏に染まる頃。
 奇跡さんは、病院ではなく何故か学園に運ばれた。
 何とか一命をとりとめ、現在では元気に紅茶さんと一緒に仲良く暮らしています。


 しまさんとれみうーさん。そしてさばさんにはお礼を言っておきました。
 まだ時計の針が12時を指していない時に、銃という手軽に人を殺せる道具を持っているものを相手にしていたら……正直どうなっていたことやら。
 それを想定して、さばさんは援護しに来たらしいです。
 何とも、おいしい所を持っていく人ですね……助かったから万々歳ですが。


 あの黒い影の男達は放っておいてきました。
 警察が今頃駆けつけている頃でしょうが、学園には手出しできない為、私達に問題が降り注ぐことはないでしょう。
 むしろ、今まで追っていた犯罪者が捕まり、歓喜しているのかもしれませんね。


 さばさんは時の使者にいた時より、遥かに力をつけているらしく、主の方からも迂闊に手を出せないようです。
 確かにこの学園の生徒となった者を、いくら裏切り者とはいえ、返り討ちに会う可能性があるとみたのでしょう。
 沢山の強力な仲間もいることですし。
 だから、元Ⅸは放置されたままだそうです。


「――今までお世話になりました。私は、もう貴方に束縛されず、自由に生きたいと思います」


 そして、私も時の使者から抜けることにしました。
 主との通話を切ると、地面に叩きつけ、怒りをぶつけるかの如く、踏みつける。
 携帯は奇妙な音とともに、白煙が出てきた。
 少々もったいない気がしますが……所詮、主との連絡用に貰った物。
 新しい携帯はもう、私の左ポケットの中に納められていますし。


「世界さーん!」


 おっと。
 どこぞかのお嬢さんがやってきたようですね。
 ぱたぱたと可愛らしい小動物のような動きで近寄ってくる紅茶さん。
 黄昏の空と似合う、紅葉色をした髪がそよ風に揺ら揺らとしている。
 まるで木から落ちる落ち葉のように、美しかった。


「一緒に家に帰ろっ! お兄ちゃんも待ってるっ!」
「――やれやれ、いいですよ。素敵な笑顔のお嬢さん」
「あははっ♪」


 私は紅茶さんの手をとり、校門に向かって紅茶さんと一緒に走った。
 秋のような子のそよ風に誘われて。
 私達は黄昏に負けぬような、眩しい笑顔をしていました。


 これから私は――この世界を守っていくことにします。
 いつまでも……いつまでも。




 空は――黄昏に染まっていた――
 光は――優しくネちょ学を包み込んでいた――








                   ~黄昏のネちょ学~



後書き





 どうも、皆さん御機嫌ようこんぱろは。
 最近は寒いですね。本当にw
 私は元気になったり落ち込んだりと、割と安定していない気分だったりw


 なお、今回から詰めて書いています。
 あれ? ページ数少なくね? と思う方いるかもしれませんが。
 その分、以前以上に内容が濃くなっていますので、結果的に長いです。
 いつもと同じくらい……よりも長いかな。


 後、また色々と勉強して来ました。以前よりも、見栄えよくなっているといいね。
 しかし、技術を鍛えると遊びが減るという法則があるみたいで。
 遊び心も忘れないで書いたつもりだったりします。




 ここからはネタバレが出てると思うので、続きを見たい方は下のほうをクリックして下さい。



こちらをクリック



 今回は黄昏のネちょ学Ⅴの内容となっています。
 珍しく……参考SSないかもですこれ。


 今回は咄嗟に浮かんだアイデア。
 時の使者というワードが出てきます。
 地味にⅠ~XIIまでの特殊能力とか決まっていたり。
 もしかしたら、今後の作品ででてくるかもしれません。
 世界さんの能力はちょっと変わってしまったんですけどね。
 書く前にちょっとアイデアが加わってしまって。
 でも、こっちの方が個性があるので良かったり。


 後、紅茶さんと世界さんは何の関連性もありません。
 私の脳内妄想を爆発させて、完成させただけですので。
 最近会っていない方も多いかもしれませんが……。


 テーマは世界。
 なんというか、黄昏シリーズは皆成長して行きますね。
 てか、まぁ……成長していくものだと思いますこういうのは。


 後、今回書いてて思ったんですけど。
 私、本当にさばさん好きなんだなぁとか思ったりw
 遊びを入れつつも、クールを装えたり、ツッコミもできたり、ボケもできるし、ノリがいいというね。
 いや、さばさんのキャラが素敵過ぎるのですよね。私の中ではww
 後、さばさんのスペカは、どこぞかのゲームより抜粋です。
 華麗にターゲットオンするテイルズシリーズに出てくる方です。
 さばさん大好き! カレー大好き! 出来ればカツカレーがいいけれども。
 今回は、本当にさばさんイケメンでしたね。
 てか、世界さんもイケメン。
 ネちょ民は、イケメンのオンパレードですね。


 今回は前々から出したかった方を出しました。
 しまさんとか、普通に戦闘に登場しましたし。
 影の能力を使い、相手をしまっちゃう力を得ています。
 口調は私のイメージだったり。
 ネちょ民強すぎますわ……。
 あれ、私自身はSSの中では弱くないこれ……勝てる気がしない……orz
 まぁ、そういう設定なのでいいのですけれどもね。






 そして今回のテーマソング


 http://nicosound.anyap.info/sound/sm276976


 ニコ動では見れない人もいるかもだから、こちらの方で。
 『9mm Parabellum Bullet』の【The World】という曲。
 何というか、曲名からして世界って名前だというのに、書いている途中で気づいたり。
 歌詞とかもなんか、テーマ的に合っているなぁとか後から気づいたりと、何とも運命染みた出会いの曲。
 まぁ、気に入るか気に入らないかは、人それぞれでしょうけれどもw
 こういう曲選びは、結構色々音楽を聴くようにして見つける感じだったりします。






独り言



 人それぞれには、沢山の世界がある気がします。
 その人の持っている世界と、他人の持っている世界。
 それぞれその人の価値観は違うのでしょう。


 そしてその世界の主人公は、自分達自身。
 他人は主人公にはなれません。
 だけど、他人は違う世界の主人公だったりします。


 私も色々プライドやら信じていることやら気に入っている人やら。
 私自体の世界を持っています。


 だけど、人はたまに。
 その世界自体をつまらないものにしてしまったりします。
 時には、他人の世界までもつまらないものにしてしまったりも。
 世界は確かに自分達の者だけど、他人の世界とリンクしていたりまするのです。


 人によっては、他人を気遣うあまりに、自分の世界を崩壊させてしまう人。
 自分自身ばかり目が捕らわれて、他人の世界を崩壊させてしまう人などさまざまです。


 ならどんな世界が1番幸せなのか。
 私が真実を知っているわけではありませんが、私はお互いの世界を知ることが1番の近道で花井の香と思います。
 相手を知れば、自分の世界も変わって見えてくると思いますし。




 あなたはどんな世界を見つけるでしょうか?
 あなたはどんな世界を作り出すでしょうか?




 自分と相手の世界を考える。
 それがこの黄昏のネちょ学なのかもしれません。








 そういえば、各黄昏シリーズに追記文章を加えました。
 雰囲気が出るかと思い加えました感じですが……。
 やっぱり、更新すると更新履歴が私の作品ばっかりになってしまい、何か罪悪感がw
 まぁ、仕方ないのかなぁ……?


 さて、次回はちょっと遅れめになるかもしれません。
 ちょいと、違う作品を書かないといけなくなってしまい、多分今年はこれで最後かなぁ。
 気が向いたら出すかもしれませんが。
 発想は唐突に、無意識の世界からやってくるものだからねw
 本当にこいしちゃんの能力が欲しいですわw




 それでは皆さん。
 ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
 読んでくださった皆様に……。




 最大級の感謝をこめて。








 萃まる楽しき炎:酒飲みスーさん

囁く声







         ――彼は自分の世界と、大切な人の世界を守ろうと誓った。





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コメント欄:

  • 世界さんかっけぇええええ(°Д°)!! 今回はいつもとテイストが違いましたねぇ。 黄昏~はスーさん、作り手側が毎回、実験的なものをしている節がありますが、今回も今回で面白く読めました。 さばさんのスプーンネタは俺も暖めているだけに負けていられない ヽ(`Д´)/ それはさておき面白かったですよんヽ(´ー`)ノ -- てんぬ? 2009-11-18 (水) 01:01:36
  • 読ませていただきました。世界さんかっこいいなwサバさんのスプーンに笑ったw色々と小ネタ満載で面白かったですwそして私がタンスじゃないことに安堵したのはここだけの話・・・w -- しま? 2009-11-18 (水) 08:11:09
  • 一気に読ませていただきましたが、世界さんが紳士なうえに強いですねぇ、イケメンと言うのも頷けます。そして、れみうー嬢が何時も通りという、スペカはかっこよかったんですがねぇ。面白かったです -- ファンネル@漏斗? 2009-11-18 (水) 09:01:58
  • ネチョ学はかっこいいひとおおすぎるやろwwwwwwwwwwww -- 泥酔? 2009-11-18 (水) 09:23:59
  • かっこよすぎてかっこよかった(°Д°)! なんかワケアリの人多過ぎで、そして皆かっこよすぎるとかさすがネちょ学w -- マナ識@ここな? 2009-11-18 (水) 17:32:41
  • 時間に恵まれなくて読み終わるまで時間なかったw 話毎に雰囲気違うのもなんかいいねw あと、シリーズで追加された文章は文体に見覚えが・・・・・ww -- リィ? 2009-11-19 (木) 18:57:03
  • 第二次推敲作業終了。描写、科白変更点有。内容変更点無。 -- 【作者】? 2009-11-20 (金) 20:29:54
  • やっぱりなんて言うか、世界さんかっけえええ!! 黄昏シリーズでまさかの時系列操作軍団登場 一体どれくらいの咲夜さん使いが食い込んでいるのか楽しみ( ´∀`) 私のナンバーのⅨが今は誰なのかも気になるところ 色々言いたいけど、何はともあれ次回も楽しみ!! -- さばかれー? 2009-11-22 (日) 22:32:46
  • 完璧なタイミングで来る世界さんがもうね、色々反則だよw そしてさばさんが相変わらず素敵すぎる! それにしても世界さん変わったね。 マシーンから人間へ ってとこかなぁ。 たとえ小さいことでも、自分の大切な世界(居場所)を守れるくらいの力は欲しいね……。 今回も楽しませてもらったよスーさぁぁぁん。 次作、ゆっくり頑張ってーねb -- 闇夜? 2009-11-23 (月) 07:08:28
  • 世界さんかっけええええええ(゚Д゚ )ええええ!!!これを本人に知らせてやらねば。時を操る能力ねぇ。世界さえも変えてしまう力か、面白い設定だw次回作期待してますぜw -- 朧月? 2009-11-24 (火) 16:46:22