DOLCE

Last-modified: 2010-03-21 (日) 23:25:14

目次

注意書き



当SSはネちょ学SSです。
ご出演者の方のお叱りを受けた場合、謝罪と共に削除させていただきます。
また、このSSは山なし、オチなし、意味なしの上、方向性不明のあれなSSです。


以上の点を踏まえてお読み下さい。

本編





【黒鳥ワルツ】




 銀狐を好きにならなければ。
 B.B.は最近、そう思うようになった。
 銀狐と恋人となって凡そ一ヶ月。B.B.は未だに恋愛感情を持てないでいた。
 元々、教師と教え子の関係でしかなかった。故に、B.B.はそういった感情が持てなかったのだ。
 では何故、恋人となったのか。
 それは銀狐の中にほの暗い、鬱積したものを感じ取ったからだった。
 銀狐の世界は極度に閉じていた。感情の出口が限られていた。故に、鬱々とした感情を自然と溜め込んでしまうのだ。
 そんな銀狐がB.B.に対して、好ましい感情を、恋愛感情を抱いたのだ。これを拒んでしまえば、銀狐はまた、狭い世界に戻っていくかもしれない。そう考えると、B.B.は何が何でもその感情を受け止めなければ、と思ったのだった。
 何故、そう思ったのか。銀狐をそこまで慮ったのか。答えは簡単だった。銀狐はB.B.にとって特別だったからだ。恋愛感情とか、そういった感情はなく、ただ特別だったからだ。
 特別なのには勿論、理由がある。
 銀狐と、かつてのB.B.は似た部分を持っていたからだ。それは、閉じた世界。B.B.は復讐に全てを奉げ、銀狐は姉と闘争に全てを奉げた。そんな共感が、B.B.の中で銀狐を特別にさせたのだ。
 そうして、B.B.は銀狐の世界を広げる事を望み、恋人となる事を選んだのだ。
 しかし、恋愛感情もなしに恋人となる事は些か問題があった。
 誤魔化し切れなかったのだ。B.B.も、銀狐も。B.B.は自分が銀狐を好きであると、恋愛感情を抱いていると誤魔化せなかった。銀狐はB.B.の感情に気付いている事を誤魔化せなかった。
 それでも、二人はこの関係を続けるしかなかった。
 銀狐はB.B.の事が好きで、離れたくない。B.B.はそれを知っていて、銀狐が望む通りにしかできない。
 互いを思い遣る不器用さが、ただ突き刺さった。
 このままでは、自分が銀狐を追いこむのではないか。銀狐の世界がまた、閉じてB.B.をも拒絶してしまうのではないか。そんな不安ばかりがB.B.の心に浮かぶ。
 それだけに、B.B.は銀狐を好きにならなければ、と強迫観念を抱くのだ。
 B.B.が銀狐を好きになれば、恋愛感情を抱けば、それで済む問題なのだ。だからこそ、強迫観念が湧いてくるのだ。
 だが、結局、好きになれないまま、今に至る。
 何故、好きになれないのか。それは実に簡単だった。B.B.が好きという感情を見失っているからだ。好きという感情の哲学に飲まれ、それを見失ってしまったのだ。故に、B.B.は好きなのかどうかがわからなくなってしまった。
 そして、今日も悩み、苛まれるのだ。見失った好きという感情と、好きにならなければという強迫観念に。










【万屋銀ちゃん】




「うぉーい、銀ちゃーん。僕、便利屋でも万屋でもないんだよー。銀ちゃーん。銀ちゃーん。聞いてるー? いい加減、友達を作りなさいよ。銀ちゃーん」


 生徒会室。
 銀狐に呼出されたドックンドールは早速、面倒事を押し付けられそうな気配を察知し、文句を言っている。
 一方、呼出した銀狐はというと、既に聞き慣れているのか無視して、本題に移ろうとしていた。


「さて、文句はもう終りじゃ。わらわの願いを聞き、叶える為に働くがよい」


 ドックンドールの溜め息。
 どうやら呼出された時点で、もう諦めていたようだ。


「はいはい、お話を伺いしましょうか。我が侭なお嬢様」
「うむ」


 ドックンドールの諦め混じりの投げ遣りな言葉に満足した銀狐は説明を始める。
 銀狐の願いは、実に単純なものだった。
 B.B.を銀狐に惚れさせる。ただ、それだけの事だ。
 その際に、B.B.が銀狐の事を本当の意味で好きではない事も、それについて思い悩んでいる事も打ち明けた。
 それを聞いたドックンドールは、やはり溜め息を吐いた。
 B.B.の状態を聞くに、銀狐が望むようにする事は並大抵ではない。
 しかし、ドックンドールにも生徒会長としての意地がある。
 努力が及ぶかはわからないが、ドックンドールは頭を働かせる。


「ふむ、つまりはあれだな。B.B.先生は銀狐君の事が元々、好きだった筈だ。恋愛感情ではないにしても」
「なるほど。では、どうすればよいのじゃ?」
「まずは……そうだな。バレンタインの時の気持ちを思い出させればいい。少なくとも、好きという気持ちくらいは戻せる筈だ」
「ふむ、なるほどの」
「で、問題はその先か……」


 ドックンドールが頭を悩ます。
 問題は惚れさせる、という部分だ。
 ドックンドールが思うに、そこまで真剣に悩めるのなら、少なくともB.B.は銀狐の事を大事に思っている筈だ。
 ただし、その方向性がわからない。
 恋愛なのか、父性愛なのか。
 その判断がつかないのだ。
 やがて、考えるのが面倒臭くなったのか、ドックンドールは携帯電話を取りだし、どこかへ電話をかける。


「あー、もしもし、教頭先生ですか? 少し相談があるんですが……」


 そんな言葉で始まった教頭との電話も二三言葉を交えて終える。
 それから、一息吐いて、ドックンドールは性格の悪さが滲み出るような笑みを銀狐に向けた。










【銀色白日】




 B.B.が強迫観念に苛まれながら悩んでいると、教頭から電話がかかってきた。
 それから、ただ学園の校庭で待っている、とだけ告げられた。
 何事だろう。そう思いながらも、B.B.は校庭に来ていた。
 しかし、そこには誰もいなかった。
 何処を見渡せど、人影すら見えない。
 悪戯だったのだろうか、B.B.はそう思ったが、教頭がそんな暇な事をする筈もない。
 では、なんだろう。
 B.B.がそう考えていると、上から声をかけられた。


「B.B.! よく来たの」


 見上げると、屋上に人影。
 長い銀髪が、純白のドレスが風に靡く。
 そこにいたのは、間違いなくB.B.の恋人、銀狐であった。


「B.B.! わらわは主が好きじゃ! 堪らなく好きなのじゃ! でも、主は違うのじゃろう?」


 その言葉に、B.B.の心臓が鷲掴みにされたように硬直する。
 その先は言ってはいけない。B.B.が叫ぶ前に、銀狐は言葉を紡いでしまう。


「わらわは、知っておった。主がわらわを好きではない事を。わらわを哀れに思い、こうしていてくれたのじゃろう? それはわらわにとって、とても嬉しい事だった! しかし、同じに悲しい事でもあった! 主は、わらわを好いてはくれぬのか? 主は、わらわに何の魅力も感じてくれぬのか? もう一度言う。わらわは、主が好きじゃ! 何度でも言う。わらわは、主が好きなのじゃ! この思いが届かぬのならば……」


 銀狐が一歩踏み出す。
 B.B.が慌てる。
 銀狐は屋上のフェンスを既に乗り越えているのだ。
 そのまま前進すれば、下に落ちてしまう。
 銀狐の身体能力を鑑みれば、学園の屋上から飛び降りても生きられる。
 しかし、それは生きる意志を持って、衝撃を上手く分散させ、やり過ごせばの話だ。
 B.B.の頭には不吉な考えが踊る。
 銀狐が幾ら丈夫だからとはいえ、受身も何もせずに落ちれば、死ぬ高さなのだ。そして、銀狐の言葉はそれを十分にB.B.に連想させている。


「わらわは、わらわは主が好きじゃ……。だからこそ、寂しい。悲しい。痛い。苦しい。わらわがどれだけ思っても、主には届かぬのだから。だから、わらわは。わらわは!」


 B.B.が走る。
 銀狐の体が屋上の淵から宙に放たれる。
 一瞬の滞空。それから、落下。
 B.B.は走る。星の子の脳が、銀狐の落下地点を演算し、そこへ走らせる。
 もう、B.B.の頭の中には何もない。何も考えられない。
 ともかく、銀狐を助ける。それ以外には何も考えられなかった。


「……よく、受け止めてくれたの」
「受け止めるに、決まっているでしょう」
「主は優しい。優し過ぎる。わらわは主の事で死のうとしたのだぞ? それを助けるという事が、どういう事かわかっておろう」
「ええ。私の責任は、重いですね」
「……終身刑じゃ」


 口付け。
 啄ばむような、そんな口付け。
 唇が離れ、銀狐の顔がB.B.の目に移る。


「……泣かせてしまいましたね」
「罪な男よの」
「既に終身刑を貰いましたので」
「全くじゃ。だが、責任だけで、その刑は終えられんぞ?」
「……そうですね」
「……わらわは主が好きじゃ」
「私は――」


 銀狐の不安そうな顔。
 泣きそうな顔。
 そんな顔をしながらも、銀狐はB.B.から視線を外さない。目も閉じない。
 それだけで、B.B.はわかってしまった。
 簡単な事だったのだ。
 何も悩む事などなかったのだ。
 そう思い、自嘲の笑みを一瞬だけ浮かべ、言葉の続きを言う。


「――好きですよ」


 それを聞いた銀狐が感極まって泣き出す。


「泣かないでください。貴方を泣かせたかったわけでは……」
「違う。嬉しいのじゃ。嬉しくて、嬉し過ぎて馬鹿になってしまった」


 B.B.が微笑む。
 それから、銀狐に胸を貸す。


「私の胸で泣いてください。私の可愛い人」


 銀狐は何の遠慮もなく、B.B.の胸で泣く。嬉し涙でB.B.の胸を濡らす。
 そして、感じるのだ。銀狐の涙一粒一粒が、その愛をB.B.の胸に確実に刻んでいくのを。
 B.B.は静かに銀狐を抱き締める。優しく頭を撫でる。
 この時間が永遠に続けばいいのに、二人はそう思う。
 だが、その時間は長くは続かなかった。


「――えー、はい。以上でオープニングセレモニー終りです」


 無遠慮な声。
 どうやら、拡声機を通して喋っているらしい。


「本気でこの告白イベントに貢献してくれたB.B.先生と銀狐君には盛大な拍手を」


 声の主が姿を現す。
 それにあわせ、何処に隠れていたのやら、全校生徒と教職員が顔を出した。
 嵌められた。B.B.がそう思うのも束の間、この企ての首謀者が何やら催し物の開催を宣言する。


「では、この調子で張り切っていきましょう。ホワイトデー大告白大会。始まりです!」


 盛り上がる生徒及び教職員。
 その様子を見て満足したのか、企ての首謀者のドックンドールがB.B.達の方へ寄ってくる。


「ごちそうさまでした。いや、流石でした」
「な、な、な」
「ああ、いや、実は銀狐君に相談されましてね。もう、面倒臭いので既成事実を作って逃げられないようにしようかな、と思いまして」
「さ、さ」
「最悪、ですか? 褒め言葉ですね」
「そういう問題では……!」
「いや、これを機に大手を振っていちゃつけるんですから、いいじゃないですか」


 ドックンドールが笑いながら、その場を去る。
 どうやら、司会進行も勤めているらしい。
 B.B.は溜め息を吐いて、この状況を楽しむ事にした。
 学園公認となってしまったのだ。もう、楽しむしかない。
 ステージを見れば、教頭がハニーなどと叫んで蹴られている。


「銀狐」
「何じゃ?」
「キス、しましょうか?」
「うむ」


 口付け。
 舌で銀狐の唇を舐め、口を開けるように合図をする。
 それから舌を絡め合わせた。
 舌を離すと、上気した銀狐の顔。


「幸せじゃ。わらわは、とても幸せじゃ」
「私もですよ」


 笑いあう。
 この幸せが長く続く様に祈り、二人はまた口を合わせるのだった。





後書き



えー、ネタないところに無理矢理書きました。
つか、甘々系統は、もう本当にネタ切れよ!
死ねるorz


えー、今回、無理矢理書いたので、まぁ、うん、出来は……。あれだ。
何も言えない。言わない。
まぁ、楽しめたら、御の字。


では、最後にご出演者の皆様と!
お付き合いいただいた読者様に最大限の感謝を!
ありがとうございました!



感想スペース

コメント欄:

  • 流石は生徒会長、鮮やかな手際です。 しかし、いつの間にか銀さんの使いっ走りにされてる気がしますが気のせいですね。 -- ファンネル@漏斗? 2010-03-14 (日) 18:46:25
  • ネタがないないとか言いながらきっちりニヤニヤさせてくれる辺りは流石のDDさんですねぇw まぁ甘味に目の無い方々から更なるオカワリも求められそうですし、今後とも期待させて頂きます。 -- ぱえりあ? 2010-03-16 (火) 13:06:02
  • と、とうとう公認にー?!w まずは執筆お疲れ様ですっ。 やー、個人的には銀姉ぇに使われるどっくんさんが何かツボでしたw まさにその通りですねと。>友達 そしてそれが仇になると……や、結果オーライでしたけども、さすがはどっくんさん。ただじゃ使われない!w 楽しませてもらいましたーw -- ? 2010-03-17 (水) 11:08:13
  • これでネタ切れですと・・・!読み終えた後、登場人物のドックンさんと同じくして「ごちそうさまでした」と言ってしまいましたよw 若干ねだりすぎた感がございましたが・・・; それでも書いてくれて感謝です! -- B.B.? 2010-03-21 (日) 23:25:13