【カンタール】

Last-modified: 2025-08-25 (月) 20:14:42

SF2

【マニクール平原の戦い】で敗れ去った先代オート侯の息子。
この時、16歳でオート侯を引き継ぐも、【マリー】と政略結婚させられ、合法的に領地を半分奪われたことで以後【フィニー王国】への憎悪を募らす。
しばらくは立場上から形上は【ギュスターヴ13世】の義弟であり、その後1250年ごろにマリーと離婚。この時の立場は設定により異なっている。

  • PWの場合は、立場上はその後も義弟のままであったため、【ハン・ノヴァ攻防戦】でハン・ノヴァの後継者として最優位の地位にあり、それがケルヴィンを制する決定的な要因となった。
  • アルティマニアではこの離婚により義弟ではなくなっている。リマスター版ではマリーに剣を向けていたため語るまでもない。

この頃から本格的にオート侯として活動を開始し、以後フィニー王家に連なる者の宿敵であり続けた。
その政略は優れており、アルティマニアの設定では【ファイアブランドの悲劇】【メルツィヒの変】など、数々の真相不明の事件の裏に彼の影があったのではないかと疑われるほど*1
ギュスターヴ13世亡き後は【東大陸】の覇者の座を【ケルヴィン】と争う。リマスター版に至るまでの設定改変の度に盛り返されるが、慎重派のケルヴィンとは好対照な果断な軍略を得意とし一進一退を繰り返した。
後に娘と因縁を持つケルヴィンの息子【チャールズ】などはその突出癖を見切られており、カモ扱いでしかなかった。
 
ただミスが無かったわけではなく、小さい所で言えば足元の出来事や人間を軽視した結果、大きな果実を逃す事もあり、下記の通り相続管理で大きな問題を残している。
かなりの好色家でもあり、6人の妻との間に【ヌヴィエム・ドラングフォルド】【プルミエール】ら合計23人もの子を儲けた。しかし子供たちへの関心は薄かったらしく、プルミエールは彼に存在を忘れられ、ヌヴィエムに名付けされるまで名前すら与えられなかった
さらに後継者を決める前に亡くなったことで相続争いに発展し、オート侯国は衰退。敵方のチャールズには「子ばかり作っている犬」と扱き下ろされた。
 
敵方の人物でありマリーの一件やプルミエールの扱いといった苛烈非道な一面が目立つが、ヌヴィエムからは敬意や愛情を向けられ、彼女に養育されたプルミエールも【将魔】との決戦時に

さあ、来なさい。
大カンタールの娘が相手を
して差し上げるわ。

と発言するなど彼との血縁を誇りとする様子を見せる等、そればかりの人物ではなかったようだ。
サンダイル年代記によれば部下に対しては誠実であったという。
 
本作の設定変遷について彼の周りで発生した変更点については、いくつかあるが中でもマリーに対する感情の変化が挙げられる。
PW設定では、個人として愛情を向けてもよかったが、オート侯としての自尊心がそれを許さなかった。フィニーに負けたという苦い思い出が自虐心になったそうで、その想いを引きずったために多くの子をもうけて後継者を決めかねた。【ソフィー・ド・ノール】ともし出会っていれば歴史が変わったかもしれないとのこと。
一方で、アルティマニア以降の設定ではフィニー王家に連なる者であることを理由に、はっきりと憎しみを抱いている。リマスター版での【ケルヴィンとマリーの婚礼】での描写はまさにそれ。
 
なお、PW設定では156ページによるとギュスターヴ13世が表舞台を去ってからは鉄鋼産業の全面廃止や鋼鉄軍の解体によるギュスターヴの遺産の廃棄をした旨が書かれており、少なくとも彼の統治地域では価値観が術至上主義に戻っていたとのこと。


似たもの同士:【ウハンジ】


ISシリーズ

【ディスノミア】を統治する諸侯の一人として登場。原作とは情勢が異なるためか策謀の動機の殆どが「ギュスターヴ憎し」に集約されてしまっており、私怨で場を引っ掻き回す小物的側面が強く出てしまっている。
扱いとしては【ツヴァイク公】らと同格の「イベントで扱いやすい悪党」といったところ。
復讐のためなら何にでも首を突っ込むため、裏で【ヴァダガラ】配下の手先と手を組むことも厭わなかったが、ゆえにアルタメノス帝国側からは「彼の動きがヴァダガラの動きを察知できるアンテナになる」という理由でむしろ放置されていた。
 
【X’mas in オート侯領!偽りの聖母顕現す!】において生前は殆ど接点のなかった実娘【プルミエール】と再会。
当初はその素性に気が付かず、自己保身の権化のような醜態を見せつける有様であったが彼女の涙ながらの訴えを聞いて改心、「大カンタール」としての自負を取り戻し、そのカリスマを以て事態収拾の一助となった。
オート侯として領民を守ろうとする領主の気概は断じて失っておらず、この事件で己の統治能力に限界を感じ取り、領民のためにアルタメノス帝国の軍門に下る形で帝国とも和解する。
とはいえ女性に対する手癖の悪さだけは治らなかったようで、それ以降もお目付け役のプルミエールと夫婦漫才ならぬ父娘漫才を繰り広げている。


*1 これらの事件の真犯人が不明と設定された理由は、犯人を突き詰めていくと全部カンタールになってしまいそうだったから、とのこと。PW設定ではメルツィヒの変の真犯人にムートンが疑われている説あり。